防大学生当時、陸士55期の桑江良逢2佐が指導官でおられたが、桑江2佐から聞いた話を思い出した。大東亜戦争に参加した時の初陣の話である。
実弾が飛び交う中、軍刀を掲げ、部下に「突撃!」と命令しようとしたが、一瞬声がでなかったそうである。あの剛毅な桑江2佐でさえそうであった。
今回の場合、第1回の発射音を聞いた後、射殺しておれば安倍元首相が暗殺されることはなかったが、しかし日本の警察官は、警察官職務執行法第7条で、武器の使用は正当防衛と緊急避難に限られており、拳銃の使用については厳しい制限を受けている。そのSPに、あの桑江2佐でさえ、突撃の号令が出なかったのに、まして心の準備の無いSPに拳銃の発射を求めても無理であった様に思う。
私が、わが国のSPの問題点を検討するとすれば、まず、米国のシークレットサービス(USSS)、ロンドン警視庁やフランス国家憲兵隊の要人警護を研究する。恐らく拳銃使用については普遍的なものがあると思う。スタディーの結果は、現在の警護要領とは異なったものになると思われるが、これを契機に今後は、国際的なテロリストにも対応できるよう、法改正をしてでも、要人警護要領を改める必要があると考える。
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