映画監督川瀬直美が東京大学入学式の祝辞で、ロシアによるウクライナ侵略について次の様に主張していた。
奈良県の金峯山寺では、節分に「福はウチ、鬼もウチ」という掛け声で、鬼を外へ追いやらない。ロシアの正義とウクライナの正義がぶつかっているが、「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である。けれども一方的な側からの意見に左右されてはならない。つまりロシアの正義を理解する必要があり、鬼もウチに入れろとの主張の様であった。
まずこの主張には根本的な誤りがある。「鬼もウチ」という掛け声をする神社、仏閣は金峯山寺の他にも元興寺(奈良県)等幾つかあり、そこで言う鬼は、邪悪なものではなく、例えば、秋田県男鹿の「なまはげ」のように、神様に姿を変えた鬼と言われている。ウクライナを侵略しているロシアを「なまはげ」と一緒にして貰いたくない。ロシアは本当の鬼である。
次にロシアの正義については、報道に見るとおり、ロシア軍がウクライナを侵略し、人命を奪い、国土を荒廃させており、正義はない。ウクライナ軍は命を犠牲にして国土を守ろうとしている。何れに正義があるかは、自明の理である。その為に西側諸国がプーチンを戦争犯罪人と言っている。これが分からない筈はないのに、これを認めたくないのは何か、その理由を知りたいと思う。慶応大学の細谷教授は、河瀬監督の感性が欠如しているのではないかと言うが。
またこの様な人物を入学式のゲストスピーカーとして迎えた東京大学の見識を疑う。欧米では入学式が無いので、卒業式のゲストスピーカーを見てみると、大学ランキング第2位のハーバード大学はFacebook社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏、第5位のMIT大学はアップル社CEOのティム・クック氏、9位のイェール大学は、ワールドシリーズで優勝したシカゴカブスのオーナーであった。これら一流大学のゲストスピーカーを見ると今回の東京大学のゲストスピーカーはいかにも見劣りがする。東京大学が世界の大学ランキングで35位の証左かも知れない。
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