明治40年6月17日(火)

南阿労働者問題 ボタ首相の演説は、本年末までに16千人の支那人を送還し、1907年末までには、支那人の労働者を一人残らずトランスバールから駆逐する事を暗示する

桑港市長の獄内執務 重罪公判に付せられたサンフランシスコ市長は特別獄者に入れられ、市の事務を取っている。

平和会議と無政府党 第二回平和会議は、昨15日ハーグに於いて正式に開会した。

南阿労働者問題 16日上海経由ロイター社発

トランスバール植民地首相ボタ氏は議会開会の当日、政府は支那人の在住がトランスバールの利益に反するものとして、且つ土人の労働者は需要を上回っている旨を明言した。ボタ首相の演説は、本年末までに1万6千人の支那人を送還し、1907年末までには、支那人の労働者を一人残らずトランスバールから駆逐する事を暗示するものであり、鉱業家社会はこの為に大騒動となり、支那人の代わりに使用すべき労働者はカフィール土人で十分に供給する事が出来るであろうとの首相の意見に反対し始めている。そして政府党の英国諸新聞はボタ首相の演説を称賛し、統一派の新聞はボタ首相の方針は公債を保障する為の一手段過ぎないと論断した。

解説:カフィール土人とは、英国統治下で南アフリカの先住民を指す蔑称であり、その種族がいた訳ではない。

桑港市長の獄内執務 15日桑港特派員発

重罪公判に付せられたサンフランシスコ市長は、上告すればその決定まで市長の職務を取る事ができなくなる為に保釈を求めて、昨15日裁判所に哀願したけれども却下され、特別獄者に入れられた。市の事務を取っている。

解説:贈賄疑惑で逮捕されている。

平和会議と無政府党 同上

第二回平和会議は、昨15日ハーグに於いて正式に開会した。参加国は47カ国、委員は225名であり、オランダ外相ゴドリアン市が開会の挨拶を述べた。無政府党員の中に会場を爆破する陰謀があるとの噂が伝わり、一時やや混雑した。

解説:韓皇高宗は、1905年に締結された第二次日韓協約により奪われた外交権を取り戻す為に、この会議に密使を送った。しかし議長国ロシアを始め、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダの代表等に何れも面会を拒否された。伊藤統監は高宗に対しこの事件を厳しく追及し、高宗は純宗に譲位した。又その後統監の権限を強化した第三次日韓協約により内政權も日本に接収される事になった。