明治40年4月23日(水)

英独制海権競争 独逸は何時までも甘んじて英国に海軍の優勢権を掌握させるものに非ずと息巻いた。

カイロ市の騒動 カイロ市の電車、鉄道が同盟罷工を起こし、続いて激しい騒動を引き起こして加盟してない電車は襲撃を受け、下等社会は多大の損害を受けている。

英帝露国訪問説 英国皇帝はこの次にはペテルスブルグに旅行されるであろう、又伊国皇帝はロンドンを訪問され

英独制海権競争 22日タイムス社発

ベルリン来電―英国海軍大臣ツウイドマス氏が最近英国議会に於いて行った演説の中で、英国は如何なる代償を払っても列国の海軍に対して、今の優勢な地位を保持すべき決心であるとの一言は独逸新聞の激烈な攻撃を買った。中でもコロンガゼット紙の如きは、この演説が酷く癪に障るものと見て、独逸は何時までも甘んじて英国に海軍の優勢権を掌握させるものに非ずと息巻いた。

解説:独逸は、英国に対し建艦競争を行っている。

カイロ市の騒動 22日上海経由ロイター社発

カイロ市の電車、鉄道が同盟罷工を起こし、続いて激しい騒動を引き起こして加盟してない電車は襲撃を受け、下等社会は多大の損害を受けている。英国兵は万一の場合に備える様命令され、厳重に市内を巡回中である旨スタンダード紙が報道した。

解説:英国はエジプトの経営に苦労しており、明治3858日の記事「朝鮮経営讃評」で、タイムスは日本の朝鮮経営を英国のエジプト経営に比較して、これは近年において一番成功を収めたものと論評している。

英帝露国訪問説 21日ベルリン特約通信員発

英国皇帝はこの次にはペテルスブルグに旅行されるであろう、又伊国皇帝はロンドンを訪問され、これに次いで英国皇帝は皇后同伴で伊国皇后を訪問の為ローマに微行されるであろうと英国新聞は報道した。

解説:英国は独逸の挑戦に対しフランス、ロシアと連合して対抗しようとしている。