明治40年4月20日(日)

独逸の煩悶 一部の独逸政論家及び新聞は、英国並びに英国皇帝は紛れも無き独逸の敵であると思わせようと必死に努力している。

英国海軍の将来 英国海軍次官ロバートソン氏は、列国がそれぞれその海軍を拡張する場合には、英国も更に海軍を拡張するであろうと明言した。

独逸の煩悶 19日タイムス社発

一部の独逸政論家及び新聞は、英国並びに英国皇帝は紛れも無き独逸の敵であると思わせようと必死に努力している。彼らは英国皇帝が地中海旅行に成功する事を妬み且つ独逸がますます孤立の地位に陥る事を憂えるあまり、大いにその神経を悩まし或いは演説に或いは新聞の社説に暴論を吐いてそのうっ憤を漏らし、次の様に述べている。英国は各方面に於いて政局を我が物顔に支配する。英国は独逸に不利な政策を遂行しようとしている。佛国は英国との親交を頼んで傲慢な振る舞いを行い、これは大いに憂うべき事である等

独逸政論社会の一部がこの様に英国に向かって敵愾心を表示しつつある時にあたり、ロンドンタイムスのベルリン通信員は、今の独逸政府の内外に対する政策が益々国民の間に不評になると、独逸政府と有名な中央党との意見が一致しなくなる事及び政府の立脚地が極めて薄弱不定である事を指摘している。

英国海軍の将来 18日上海経由ロイター社発

英国海軍次官ロバートソン氏は、下院に於いてベルライ氏に答えて海軍省の方針を弁護し、英国政府は現在に於ける海軍の優勢な地位を維持する決心である。そしてもしハーグの平和会議の結果が不首尾に終わり、列国がそれぞれその海軍を拡張する場合には、英国政府は亦これに匹敵する地位を保持する為、更に海軍を拡張するであろうと明言した。