明治40年4月18日(金)

日本通行問題解決 日本人295名の処分に対する訓令が商務省から到着し、当地の移民官の疑いが晴れ、一同は本日17日の便船でバンクーバーに赴いた。

カナダの排日運動 英領コロンビア州議会に、英語を読み、英文で自身の姓名を書く事のできる者でなければ上陸させる事ができないという日本人を排斥する事を目的とする議案が提出された。

日本通行問題解決 17日桑港特派員発

ハワイから当地に寄港して、英領カナダに赴く日本人295名の処分に対する訓令が商務省から到着し、当地の移民官の疑いが晴れ、一同は本日17日の便船でバンクーバーに赴いた。トラブルの原因はカナダを経由して米国に入国する事を恐れた外、この旅行者の中でハワイの帝国領事が発行した旅券を所持しているものが居り、領事が旅券を発行する権限があるかどうかについて疑問を抱いた為である。しかし帝国領事が発行したカナダ行き旅券は外務大臣の発行したものと同様の効力がある事が判明して、通行は差し支えなしと決定されたものである。

解説:4月16日に問題が発生して報道されている。

カナダの排日運動 同上

英領コロンビア州議会に、英語を読み、英文で自身の姓名を書く事のできる者でなければ上陸させる事ができないという日本人を排斥する事を目的とする議案が提出された。カナダ連邦政府がこれを認可しない事は無論であるが、連邦政府に送致されるまでには5,6カ月を要すると思われ、それまでの間排日熱の影響を受けない訳には行かないであろう。州議会がこの議案を可決する事には疑いがないので、森川バンクーバー領事は、極力抗争中であるとの事である。これはカナダを経由して米国に入る日本人の上陸に関して重大な関係があるので当国の商務省は熱心にその成り行きに注目している。