明治40年4月3日(木)

羅馬尼暴動現状 暴動地に於ける軍隊の行動は着々と好結果を挙げつつある。羅馬尼政府が現在暴動鎮圧に充てている兵員は136千人であり

独逸外交の失敗 独逸は、事実上モロッコの金融を支配する佛国に対して到底対等の競争を行う事は出来ないであろう。

独墺伊会商 三国同盟を一層有力なものとし、特に墺、伊両国が乖離の為三国同盟を危険に陥らせる事を避けようとしているのは間違いない。

羅馬尼暴動現状 2日タイムス社発

ブカレスト来電―暴動地に於ける軍隊の行動は着々と好結果を挙げつつある。羅馬尼政府が現在暴動鎮圧に充てている兵員は136千人であり、英国が以前南阿で実施した掃討の方法をそのまま実施している。そして農民は皆家屋に銃眼を開け、官兵を狙撃している。これらの農民は皆捕えられて銃殺される。

独逸外交の失敗 同上

モロッコ政府は今回の事件を口実として行政改革の実施を見合わせた為、佛独両国に対する土人の反抗運動はその気勢を弱めた。

独逸は、事実上モロッコの金融を支配する佛国に対して到底対等の競争を行う事は出来ないであろう。モロッコに於ける佛国の通商的利害ははるかに独逸の上に在り、そしてモロッコの官民は今日に至るまで、独逸が欧州人排斥運動を援助し、且つ現在における国際的地位の変動を黙過しないであろうとの確信していたのに、案に相違してウジダを佛軍に占領された為、モロッコに対する独逸の威厳は全く地に落ちた。

ロンドンタイムスは、モロッコ事件を論評する序に、独逸は実に危険な政策を遂行しようとしていると指摘し、進んで佛国と妥協するよう熱心に勧告している。

独墺伊会商 2日桑港特派員発

独逸宰相ビューロウ公及び伊国外相チェットニ氏は伊国ラボラにて会見した。会見の内容はなお秘密であるが、三国同盟を一層有力なものとし、特に墺、伊両国が乖離の為三国同盟を危険に陥らせる事を避けようとしているのは間違いない。なお引き続きビューロー公とチツトニ外相は墺国外相エーレンタール氏とも会見すると思われる。

解説:第1次世界大戦まで後7年 イギリス、フランス、ロシアを中心とする連合国対ドイツ、オーストリア、トルコの中央同盟国との戦いとなった。イタリアはオーストリアとの領土問題があり、後に連合国側に加わり、日本も連合国側に加わった。