明治40年3月27日(木)

露国艦隊待遇 露国軍艦の乗組員は、英国海軍省の賓客として、盛大な歓迎会に出席した。

摩洛哥と佛国 佛国政府はフランス人医師殺害に対する賠償が支払われるまで、ウジダ市を占領する事に決定した。

中米戦争後報 ニカラグワ軍は、本日26日ホンジュラスの首都を占領する筈であり、中米の戦争は事実上終了したものと認められる。

露国艦隊待遇 26日タイムス社発

英国皇帝の希望により、現在ポーツマス港に停泊中である露国軍艦チェザレウイッチ、ボウチル及びスラワの乗組員は、英国海軍省の賓客として、本日火曜日ロンドンに入り、盛大な歓迎会に出席した。同艦隊は来る木曜日にポーツマス港を出港する予定である。

解説:英国海軍は、ドイツ海軍の増強に対抗する手段として露国、佛国との友好に努めている。第1次世界大戦の7年前である。

摩洛哥と佛国 同上

パリー来電―佛国政府はフランス人医師殺害に対する賠償が支払われるまで、ウジダ市を占領する事に決定した。そして佛国新聞は皆筆を揃えて、現在のモロッコに於けるフランス人の地位は到底耐える事ができないので、これに対し相当な報酬がなければならないと論評している。

解説:ウジダ市は、モロッコ東部の中心都市である。列強によるアフリカや東南アジアの植民地の他に、フランスはモロッコ、イギリスはエジプト、アメリカはフリピン、日本は朝鮮を保護国としていた。

中米戦争後報 26日桑港特派員発

ホンジュラス及びサルバドル連合軍は要害堅固なチェルテカを奪取されて、ホンジュラスの大統領ボニラ氏は手兵200人を率いて、汽船で遁走した。ニカラグワ軍は、本日26日ホンジュラスの首都を占領する筈であり、中米の戦争は事実上終了したものと認められる。

解説:ニカラグアのセラヤ大統領がこの様にして全土を支配する事になった。しかしその後、セラヤの勢力拡大を恐れたアメリカの仲介により、ホンジュラスの大統領にはダビラが就任した。