明治40年3月8日(土)

英露協商進行 今や英露協商は、着々と順調に進行しているので、昔日の誤解は完全に除去する事ができる。アジアに於ける英露の利益は全く衝突せず

太平洋艦隊編成 米国海軍省は太平洋、支那、フィリピンの三艦隊を合併して一大艦隊とし、新たに太平洋艦隊を組織し、ホノルルを根拠地とする命令を発令した。

桑港市長一行帰着 最初は、日本児童を公立学校から排斥しなければならないと主張していたが、大統領と会見した結果、最初の意思を変更するのが至当であると認めた。

英露協商進行 7日タイムス社発

露国皇太后は英国皇太后の訪問の為、本日木曜日ロンドンに到着される。

ロンドンタイムス紙は、その社説で皇太后を歓迎する次の論評を行っている。

今や英露協商は、着々と順調に進行しているので、昔日の誤解は完全に除去する事ができる。アジアに於ける英露の利益は全く衝突せず、又両国の関係は世界の平和に非常に影響を与える。

解説:軍備を増強する独逸に対抗する為、英国は、フランスと英仏協商、ロシアと英露協商を結ぶことになった。

太平洋艦隊編成 7日サンフランシスコ特派員発

米国海軍省は太平洋、支那、フィリピンの三艦隊を合併して一大艦隊とし、新たに太平洋艦隊を組織し、ホノルルを根拠地とする命令を発令した。直ちに隻数を増やす事は無いが、徐々に増加する計画であると云われている。その為来る4月20日頃、フィリピン艦隊司令官デートン氏は新太平洋艦隊提督となり、兼任支那艦隊司令官ブランソン少将は海軍省航路部長に転任する予定である。

桑港市長一行帰着 同上

サンフランシスコ市長一行は本日7日午後当地に帰着した。市長以下最初は、日本児童を公立学校から排斥しなければならないと主張していたが、大統領と会見し、様々な説明を受け、国際政局に於ける日本の位置及び日本人の性格等を聞いた結果、最初の意思を変更するのが至当であると認めた。詳細な経過は近く報告されると思われる。