桑港事件解決案 合衆国は、合衆国及びその領土に入ってくる日本人労働者を排斥する事が出来、日本も亦、これと同様に日本に入ってくる米国人労働者を拒絶する権利を有する
独逸海軍協会と政治運動 海軍協会なるものは、その責任者である政府の官吏が、常に非政治的なものであると説明してきたにも拘らず、今やこの有様である。
桑港事件解決案(善後策か悪後策か) 11日タイムス社発(14日延着)
ワシントン来電―サンフランシスコ学童問題に関して、大統領とサンフランシスコ教育当局者との間で協議会が開かれたが、この席には以前、日米戦争説などを撒き散らした不注意な加州の代議士を招かなかった。
この協議の結果、双方は誠実に、最終的には条約となる為の一つの協定案を作るよう努力した。この協定案には、合衆国は、合衆国及びその領土に入ってくる日本人労働者を排斥する事が出来る条項がある。但し日本も亦、これと同様に日本に入ってくる米国人労働者を拒絶する権利を有する事になる為、この協定は、日本に悪感情を与える事は無いであろうと信じられる。これを要するに労働者問題が主であり、学童問題は第二位であるものと認められる。
この協約が一度成立するならば、加州は多分、先に日本学童に加えた束縛を撤去する事になると思われる。
解説:昨日の記事の続きである。
独逸海軍協会と政治運動 同上
ベルリン来電―今回の総選挙に際して、中央党と戦う見込みで政府側にはせ参じたものの中に、海軍協会が、政府側の承認を経て、中央党に対して激しい政治運動を実行した次第を知るに及んで、激怒するものがいた。
元来海軍協会なるものは、その責任者である政府の官吏が、常に非政治的なものであると説明してきたにも拘らず、今やこの有様である。そして同協会が、以前、莫大な経費を必要とする英国海軍対抗策を鼓吹する党派運動に従った事があった。この為にこの協会の行動は、漸く一般の非難を被る様になった。
解説:海軍協会は、1898年に作られたが、当時クルップ砲やクルップ鋼で世界的に有名なドイツのクルップ商会が多額の資金を供給していた。