明治40年1月20日(月)

桑港事件提訴 本日米国政府は、遂に2件の訴訟を提起した。その一つは、敬吉が従来通学していた学校長が復学を拒絶した事は不法であり、取消命令を求めるものである。

訴訟のその他の一つは、州裁判所に提起されたもので、カルフォルニア州の法律に、蒙古人は、隔離教育をすることができるとあるが、日本人は蒙古人ではなく、特別人種である。

桑港事件提訴(提訴2件の理由) 19日桑港特派員発

本日米国政府は、遂に2件の訴訟を提起した。その一つは、青木敬吉の父道継及び検事デブリン氏からカルフォルニア州大審院に提出されたものであり、その概要は、敬吉が従来通学していた学校長が復学を拒絶した事は不法であり、取消命令を求めるものである。大審院は、即日命令を発して、来月11日までに復学拒否を取り消すか、そうでなければ抗弁書を提出せよと命じた。

訴訟のその他の一つは、州裁判所に提起されたもので、公立学校から日本児童を排斥する行政權に対する禁止命令訴訟である。その理由は、学校は、米国憲法及び米国主権が締結した全ての条約に準拠する合意の下に、公共用地の払い下げを受けている。又カルフォルニア州の法律に、蒙古人は、隔離教育をすることができるとあるが、日本人は蒙古人ではなく、特別人種である。そして米国が最恵国人と同様な取り扱いを与える日本児童を隔離することは、日本人の条約上の権利を阻害するものである。カルフォルニア州法律は、州の教育家が日本児童に対してとった処置を是認していないとの主張である。