明治39年12月8日(日)

独領南阿守備 独逸政府は、南西アフリカに5千の守備兵を永遠に駐屯させる計画を発表した。

摩洛哥問題 佛とスペイン両国の行動は、唯モロッコが無政府状態に陥る事を気遣って、これに備えるのみで、絶対に必要な場合でなければ、決して干渉を試みない方針である

独領南阿守備 7日ロンドン特約通信員発

ベルリン来電―独逸政府は、南西アフリカに5千の守備兵を永遠に駐屯させる計画を発表した。この為、今後15カ月間に要する費用は、950万ポンド乃至千万ポンドであり、兵士一人に付、平均480マルクの割合である。

解説:独逸領南西アフリカは、現在のナンビアで、喜望峰のある南アフリカの北側に位置している。ホッテントット族の反乱で有名であり、1907年から8年にかけての戦闘で、数万人の原住民と約2千名のドイツ兵が戦死している。

摩洛哥問題 7日上海経由ロイター社発

佛国代議院に於いて、社会党の党首ジョウレ氏は、モロッコ問題に関し、激しい言葉で政府を攻撃し、佛国は、モロッコの内地に引き込まれる恐れがあると発言した。これに答えて、外務卿ビション氏は、佛とスペイン両国の行動は、列国も是認しており、両国政府は、唯モロッコが無政府状態に陥る事を気遣って、これに備えるのみで、絶対に必要な場合でなければ、決して干渉を試みない方針であると明言した。そして代議院は、結局政府の政策を信任する旨決議した。