明治39年3月17日(日)

南阿清人問題 次官のウインストン・チャーチル氏は、トランスバールへの支那人の輸出を止めさせる考えがある事を鮮明にして、併せて鉱山所有者に向かって、支那人に代わるべき今少し自然に近いものを発見する方に全力を傾注する旨を勧告した。

在野党の警告 自治植民地の死活問題に干渉するような危険な政略を避けるべきである

南阿清人問題 18日上海経由ロンドンロイター社発

英国下院に於いて、次官のウインストン・チャーチル氏は、第一、清国駐在の領事に訓令して、清国政府の協力を止めさせる。第二、帝国政府が自由と真摯という民主主義の根本に反すると思われる提案をトランスバールの自治政府から出された時は、これを裁可しない事により、現在の特例が廃止される事になれば、トランスバールへの支那人の輸出を止めさせる考えがある事を鮮明にして、併せて鉱山所有者に向かって、支那人に代わるべき今少し自然に近いものを発見する方に全力を傾注するべきである旨を勧告した。

解説:トランスバール共和国では、大規模な金鉱が開発されていたが、1899年からこれに目を付けたイギリスによってボーア戦争が開始された。ボーア人は各地でゲリラ的抵抗を続けイギリスを苦しめたが、1902年に敗戦するとイギリスの「直轄植民地」とされた。その後イギリスはボーア人との関係改善を図り、1905年にはボーア人農民を勢力基盤とする人民党の成立を認め、1906年にトランスバール自治政府が樹立されている。

在野党の警告 同上

バルフォ氏及びチェンバレン氏は、自治植民地の死活問題に干渉するような危険な政略を避けるべきであると政府に警告することに一致した。