明治39年3月9日(土)

佛国内閣危機 佛国議会に於ける政教分離法案の討議は、政府の負けとなり、政府は辞職せざるを得ないであろう。

モロッコ問題 タンジールのモロッコ官憲は、アルゼシラス会議の議決を受託する意思はないと公言した。

佛国内閣危機 8日ロンドン特約通信員発

パリ―来電―佛国議会に於ける政教分離法案の討議は、政府の負けとなり、政府は辞職せざるを得ないであろう。右翼の全員、進歩共和党の半数、社会党の大部分及び多数の急進社会党が政府に反対した。首相のルーネー氏は微笑しつつ議会を去った。

解説:フランスの政教分離政策とは、国家とカトリック教会との関係を分かち、国家の宗教的中立を定めた法律で、1905年に施行された。「信教の自由と自由な宗教活動を国家が保障」するとともに「国家は宗教に対し、認証したり、賃金を支払ったりして助成してはならない」と規定している。

モロッコ問題 8日上海経由ロンドンロイター社発

タンジールのモロッコ官憲は、アルゼシラス会議の議決に拘束されず、又その採用を欲しない条項は全てこれを受託する意思はないと公言した。