明治39年1月12日(金)

コーカサスの形勢 コーカサス地方の形勢は非常に不安定であり、革命党員は爆発物によって多数のコサック兵を殺害しており

モロッコ問題の魂胆 佛国政府の提議する改革案では、モロッコに対する佛国の完全な管理権を要求している。

南ア支那人問題 植民大臣は、既に許可した支那人1万4千人の乗船を差し止める為あらゆる措置を取るよう訓令したが、セルボルン氏の強烈な異議を受けて終に乗船許可の電報を発信した。

コーカサスの形勢 10日ロンドン特約通信員発

コーカサス地方の形勢は非常に不安定であり、革命党員は爆発物によって多数のコサック兵を殺害しており、又若干のイスラム教徒がアルメニヤ人の為に殺害されたとの警報がコンスタンチノーブルに届いた。

モロッコ問題の魂胆 上海経由ロンドンルータス社発

モロッコ問題に関する独逸政府の議院公書が発表され、この公書によればモロッコ王は、佛国が同国の指名者となる事を要求中である旨を明白に独逸の代表者に告げている様である。

欧州の各地から到達する報道によれば、モロッコ会議で論争を引き起こすと思われる諸々の事項があり、即ち佛国政府の提議する改革案では、モロッコに対する佛国の完全な管理権を要求している。

宰相ビューロウ公は、独逸がモロッコ問題に関して列国会議を要求した理由を説明し、よって列国の利益を防衛したい考えを主張している。

南ア支那人問題 同上

英国政府は、南ア支那人問題に関する往復文書を発表した。植民大臣は、既に許可した支那人1万4千人の乗船を差し止める為あらゆる措置を取るよう訓令したが、セルボルン氏の強烈な異議を受けて終に乗船許可の電報を発信した。

首相パナマン氏は、リバプールに於ける演説で、一旦許可した支那人の入国を取り消す事が出来ない事を遺憾とし、また昨年11月新たに入国を許可された1千3百名の支那人労働者については、なお調査を要する件があり、政府は現在南アに居る責任者の通報を待っている旨を明言した。