明治38年10月31日(火曜日)

時事小言(露国騒動の件)

l  又又非常な大騒動が露国に持ち上がった。同盟罷工は全国に波及し、学校は閉鎖され、新聞は自然発行停止となり、医師、弁護士すら業務を止めた。特に鉄道員の罷工で露国内部の交通は完全に断絶した。

l  ウイッテはいよいよ総理大臣となるそうだが果たしてどうするだろう。

l  我が元老、大臣諸君、諸君は尚戦争継続の弱点は、独り日本に在って、露国には存在しないと言われるや否や。

時事小言(露国騒動の件)

l  又又非常な大騒動が露国に持ち上がった。同盟罷工は全国に波及し、学校は閉鎖され、新聞は自然発行停止となり、医師、弁護士すら業務を止めた。特に鉄道員の罷工で露国内部の交通は完全に断絶した。主要都市は生糧品の欠乏に苦しみ、中には飢餓に瀕した所もあるそうである。謀叛で有名な軍艦ポテムキンはオデッサで焼討にされて、沈没したそうである。騒動の幕に欠くことのできない例のトレボフは実弾をもって人民を打ち殺すと宣言したそうである。そして皇帝及び皇室は早くも蒙塵(もうじん:都落ちの意味)の支度をされたそうだ。

l  ウイッテはいよいよ総理大臣となるそうだが果たしてどうするだろう。ポーツマスで日本全権をあやしたように行くや否か。

l  今や露国人民の最も苦労した戦争が終わってすらこうである。我が元老、大臣諸君、諸君は尚戦争継続の弱点は、独り日本に在って、露国には存在しないと言われるや否や。これが知りたい。