平和と米国興論 米国諸新聞は、平和に対して悪評を加えていないが、しかしウイッテを称賛する新聞が非常に多い
平和と欧州興論 英国に於いては、講和条件の成立は日本が巧みに要求を抑制した証と認め、之によって露国は其の面目を潰す事無く、日本は全て戦争の目的を達成する事が出来た
講和憤慨[大阪]
至るところ落胆失望、悲憤痛恨の声で覆われている。相当な識見がある人は無論、児童や下僕に至るまで皆憤慨の声を漏らさない人は居ない
平和と米国興論 30日ポーツマス特派員発
米国諸新聞は、平和に対して悪評を加えていない。これは今回の談判は大統領の仲裁で始まり、遂に目的を達成したからである。しかしウイッテを称賛する新聞が非常に多い。
平和と欧州興論 31日ロンドン特約通信員発
英国に於いては、講和条件の成立は日本が巧みに要求を抑制した証と認め、之によって露国は其の面目を潰す事無く、日本は全て戦争の目的を達成する事が出来た。欧州諸国の首都に於いても大同小異の論がある。露国民衆は冷淡である。
英帝、独帝、佛国大統領は米国大統領に祝電を送った。デーリー、テレグラフは日英同盟論を掲げ、同盟の更新は英国が熱心に賛成していると言い、盟邦日本が名誉ある、且つ将来有望な条件で戦争が終わった事を祝している。
講和憤慨[大阪]
至るところ落胆失望、悲憤痛恨の声で覆われている。相当な識見がある人は無論、児童や下僕に至るまで皆憤慨の声を漏らさない人は居ない。株式も暴落し、堂島は沈滞している。その中で最も的が外れたのは提灯家と花火家である。大阪朝日が天皇陛下に和議の破棄を命じられる事をお願いする一文を掲げ、当局の失態を責めて国民の奮起を促した結果、増刷に忙殺されたと云う事でもその一端を十分知る事が出来る。