清国政府横議 満州は別段日本から還付を受ける必要はない清国の領土である
露国全権更迭 露帝は講和会議に列する全権委員として、ウイッテを任命した
清国政府横議 12日北京特派員発
支那政府の官吏の中に、一説を唱え出した者がいる。それは、満州は未だかって外国に譲ったことも獲られた事もない。故に別段日本から還付を受ける必要はない清国の領土であるので清国が自ら、自由に善後策を考えるべきである。
上級、下級の官吏等多くはこれに雷同し、今や殆ど彼らの与論となっている。その中にはこれに関して上訴(事情を記して天子に差し出す文書)も上諭(君主が臣下に告げて諭す文書)も出そうな状況である。
露国全権更迭 12日ロンドン特約通信員発
ロンドン「デイリーレレグラフ」紙、セントピータースブルグの通信員の報道によれば、露帝は講和会議に列する全権委員として、ムラビヨフ伯に代えてウイッテを任命した。ムラビヨフ伯は、自己の申し出により自ら好まない全権の職を免ぜられる事となった。
この全権の新任命はますます平和への見込みを増すものと一般に考えられている。
ウイッテの一行中にはイエルモロフ将軍、マルテンス教授があり、駐清公使ポコチロフも又北京から来て加わると思われる。パリ―駐劄露国大使エリドフは健康が優れないため使節の申し出を断った。