明治38年6月19日(月曜日)

媾和観 日露両全権の集合地が公示されたのは、和議が着々と進みつつある

モロッコ問題 オウストリヤ、伊、米の三国はも又列国会議に参加する旨通告した

露国政変について アレキシス大公及びアヴエラン提督の辞職はいよいよ事実ななったようである

媾和観 17日上海経由ロンドンルータス社

ワシントンを日露両全権の集合地に選定した旨が公示されたのは、和議が着々と進みつつある事実を示すものの様に理解することが出来る。そうでなければ談判に就いて何事も発表されるわけがないと一般に言われている。

モロッコ問題 同上

パリ―在住独逸大使ラドリン公は現在ルウヴイエ氏と重要な協議を行っている。

オウストリヤ、伊、米の三国はモロッコに浅からぬ関係がある列国が列国会議の開催の勧誘に応ずるについては、三国も又これに参加する旨通告した。

露国政変について 

最初ワシントン特電が伝えたアレキシス大公(海軍元帥)及びアヴエラン提督の辞職はいよいよ事実ななったようである。但し辞職の原因は日本海海戦により海軍が全滅したため、遂にその地位を保つ事が出来なくなったのではないかと思われる。そして露国主戦派が政治的に一打撃を被ったものと見る事が出来る。