明治38年6月14日(水曜日)

媾和と英国 露国が今までの政策と野心を完全に放棄しない限り、平和を得る事は出来ない

七博士一派の講和条件 これは諸氏が一致した最小限度の条件である

媾和と英国 12日ロンドン特約通信員発

両交戦国が共に、媾和談判を開始する意思があるとの報道は、至るところで満足を以て迎えられた。但し露国が太平洋沿岸の一大強国でありたいとする今までの政策と野心を完全に放棄しない限り、到底両国間の平和を得る事は出来ないと英国に於いては見られている。

露帝がこの政策が失敗に帰した事を悟れるかどうかはなお疑わしい。

七博士一派の講和条件

時局問題を研究する博士等の集会に於いて、一昨夜、戸水寛人、岡田朝太郎、中村進午、建部遯吾、松浦厚、渡邊千冬、藏原惟昶等は次の様な相談を行ったがこれは諸氏が一致した最小限度の条件である。

媾和予備条件

一、  媾和談判の場所 日本

一、  休戦 予備条約の締結までは休戦せず、その後は条件を付けて休戦する。

講和条件

一、償金 三十億円

一、土地  

(一) 樺太、カムチャッカのみならず沿海州全部の割譲

(二) 遼東半島に於いて、露国の有する権利を譲渡させること

(三) 満州に関しては、日清両国の決定に従うこと

一、

(一) 東清鉄道及びその敷地の割譲

(二) 以下略

一、国際役務

 以下略