明治38年6月2日(木曜日)

露紙既に叩頭す 対馬沖の海戦は現在の戦争の行方を決定する

市場好人気 日本の公債は引き続き騰貴している

平和の希望 平和への希望は漸く勢いを得てきた  

捕虜提督病状 ロジェストウェンスキー提督の負傷は前額部の骨が砲弾で挫けている 

大捷と列国新聞 文明各国新聞紙は皆露国が望みの無い戦争を止めるべきと主張している 

露紙既に叩頭す 1日上海経由ロンドンルータ社発

ピータースブルグにあるブールス、ガゼット新聞は、対馬沖の海戦は現在の戦争の行方を決定し、歴史上の新局面を開くものと論じている。

市場好人気 (同上)

その後の電報によれば市場は彷彿として浮き立ち、日本の公債は引き続き騰貴しており、現に開戦以来5ポイントと上昇している。

平和の希望 (同上)

佛国新聞の熱心な主張で、平和への希望は漸く勢いを得てきた。

捕虜提督病状 31日佐世保特派員発電

ロジェストウェンスキー提督の負傷は、前額部の骨が砲弾で挫け、背中及び左腿、右脚にも砲弾創を受けている。しかし診断によれば生命に別状は無いと思われる。参謀長クラビエフロフ大佐も軽傷を負い入院中である。

大捷と列国新聞 31日ロンドン特約通信員発

文明各国新聞紙は、皆露国が望みの無い戦争を止めるべきであると主張している。但し大陸の新聞紙の中には、再び黄禍論を唱えはじめたところもあるが、英国の新聞は、今回の戦争の結果として、日本が当然得るべきものを奪う事には、英国が反対することを明確にしている。