明治38年6月1日

御安心ありたし 連合艦隊司令長官は30日「安心ありたし」との電報を送ってきた

敵帥傷所 体温,脈拍とも異常なく現在脳病があると認められない

日本の大勝と欧州 トラファルガー海戦以来未だかって見たことがない

御安心ありたし

今回の大海戦が将に開かれようとしている時「敵艦見ゆとの警報に接し連合艦隊は直ちに出動之を撃滅せんとす」の電報が東郷大将から到達するや、海軍大臣、軍令部長は直ちに連名で同大将に「連合艦隊の絶大なる成功を祈る」との電報を発し、連合艦隊司令長官は30日大臣、部長に向かい「敵の第1,第2艦隊の主力は殆ど全滅せしに付き御安心ありたし」との電報を送ってきた。

敵帥傷所

司令長官ロジェストウェンスキーは30日佐世保病院に収容されたが、その負傷は頭部の挫創であり、前頭骨の外板の一部が欠損している。内板の異常の有無は不明であるが体温,脈拍とも異常なく現在脳病があると認められない。その他3箇所に負傷があるが何れも軽微である。

日本の大勝と欧州 30日ロンドン特約通信員発

英国及び大陸諸国の新聞は東郷大将の勲功を賞揚している。これをネルソンの功業と対比してその勝利の至れり尽くせる点、その効果の重要な点、その戦略上に及ぼす影響の大なる点に於いてはトラファルガー海戦以来未だかって見たことがないと書いている。