明治38年5月21日(日曜日)

敵の新提督 極東に於ける露国艦隊司令長官としてウラジオに出発する

清人渡米問題 米国は支那人の上陸を禁止する条約を結ぼうとしている

佛シャム国境問題 シャム国は佛国が要求した国境を承諾した

敵の新提督 20日上海経由ロンドンルーター社発電

セントピータースブルグ通信員の報道によれば、ビリレフ海軍中将は、極東に於ける露国艦隊司令長官としてウラジオに出発するに先立ち、昨日(18日)露帝に謁見を行った。

同中将が即刻バルチック艦隊の司令官の任に当たるとの昨日の報道は事実無根であり、同中将来着までの間はロジェストウェンスキーが引き続きその任に当たると思われる。

清人渡米問題 20日北京特派員発

米国は支那人の上陸を禁止する条約を結ぼうとしているが、在米清国公使がこの調印を拒否している。多数の在米支那人がこの条約が締結される事を恐れ、新条約を調印しないよう政府に電請した。今回の条約は労働者のみならず学生まで上陸を禁止されている。

佛シャム国境問題 20日上海経由ロンドンルーター社発

佛国外相デルカッセ氏の報告によれば、シャム国は佛国が要求した国境を承諾した。その結果シャムの境界はレムリン岬からバクナモエン河に引き下げられた。

解説:シャムとは現在のタイであり、この当時西側国境はイギリスと東側国境はこの記事にあるようにフランスと接し、それぞれ圧力を受け国境線を変更している。