明治38年5月15日(月曜日)

海戦勝敗いかが 米国の「マハン」大佐は現在の情勢について次のように述べた

敵艦隊の消息 支那海に入った後の任務は本国司令部との通信交換にある

海戦勝敗いかが 13日ロンドン特約通信員発電

ピータースブルグの海軍社会では、「ロジェストウェンスキー」の成功は全く疑う余地が無いと噂をしている。

米国の「マハン」大佐は現在の情勢について次のように述べた。東郷大将がどの様な戦略を取ろうとも、彼は大きな被害を与える事無く、敵艦隊を安々とウラジオストックに入港させる事はあり得ないであろう。東郷大将の現在の立場は、1805年フランスとスペインの両国艦隊を追跡したネルソン提督の立場と比べる事が出来る。ただ彼我に違いがあるとすれば東郷大将が大敗した暁には、有力な日本艦隊の予備が無い事のみである。

解説:「マハン」大佐とは、秋山中佐が師事したことのある米海軍の戦略家で有名な「海軍力の歴史」を著わしている。

敵艦隊の消息 14日長崎特派員発電

露国艦隊司令官が支那海に入った後の任務は本国司令部との通信交換にあり、司令官が発信するよりもむしろ、軍令部から日本艦隊の動静にかんする情報を受け取るのを主としている様である。安南海岸は通信が不便な所で露艦は巧みに無線電信を利用して陸上に送信し、全ての通信はサイゴンを根拠としている。