莫大な戦備 莫大な弾薬の注文が同政府から行われている
講和論者の失敗 名誉的講和準備の意見は遂に用いられなかった
開戦の責任 今やこの大失敗の責任は果たして誰にあるのか
莫大な戦備 8日ロンドン特約通信員発電
露国はいよいよ大規模な戦備に着手したものと想像される。莫大な弾薬の注文が同政府から行われている。某会社のごときは1社で価格が7百万ポンドに達する大砲及び弾丸の注文を引き受けた。
講和論者の失敗 (同上)
露帝において某有力者の提起した名誉的講和準備の意見は遂に用いられなかった。
開戦の責任 ノウオエ ウレミヤ新聞の社説(外務省着電)
露国は戦争を希望しないのみならず、流血を避けるため誠実に譲歩したいと思っていたが、日本との8ヶ月の交渉の後、露国外交は遂にこの本意を達成する事に失敗し、今やこの大失敗の責任は果たして誰にあるのか。世論は実にその何人であるか知りたいと思っている。
解説: 1903年7月30日、極東統監部を設けて「アレクセイエフ」を統監に任命する事が発表された。このことは各大臣の知らない間に決定されて突然発表されたのである。
1902年から3年にかけて「ベゾブラゾフ」一派の陰謀は着々と進展した。陛下は外務大臣や私が反対し、陸軍大臣「クロパトキン」も多少の反対をしたにも拘わらず、この連中の説を傾聴するようになった。そして極東統監部の設置は、対極東政策で私が敗北者となった事を示し、その結果、日本との開戦は遂に避けられないものとなった。(原書房「ウイッテ回想記」から)