明治38年3月9日(木曜日)

露都職工又動く 警察署長は職工を追い散らせようとした際撃ち殺されてしまった

大戦続報(8日朝) 馬群丹付近において我が部隊は北方に向け追撃中である

奉天陥落予想 当地では人々は陥落の情報を待ち受けている

露都職工又動く 8日上海経由ロンドン特約通信員発

露京のブチロフ工場の職工は一昨日、蒸気機関2つを破裂させ、続いて職工仲間の間で闘争が起こり、22名が死傷した。彼等は選挙で選んだ委員が逮捕されて退去を命じられたため非常に憤激している。警察官は遂に彼等の不平仲間の首領を放逐したいと思ったが、しかし警察署長は職工を追い散らせようとした際撃ち殺されてしまった。

大戦続報(8日朝) 3月8日午前大本営着電

馬群丹付近において数日来優勢な敵と交戦中であった我が部隊は本日午前8時頃敵をその陣地より撃退し、北方に向け追撃中である。

奉天陥落予想 7日新民屯特派員発電

奉天総攻撃は今朝より開始されたと聞いている。既に三方を包囲された情勢であるので露軍は退却が困難な位置に居りその損害は莫大なものとなりそうである。当地では人々は陥落の情報を待ち受けている。

解説:第3軍(乃木大将)が奉天の頸部に突き入ろうとした3月7日に戦気は動き始め、先ず第1軍(黒木大将)正面のロシア軍に異常が認められた。砲撃が間遠くなり、後方では車両の往復がひんぱんになった。黒木軍司令官はこれらの兆候から、ロシア軍は退却しようとしていると判断し、第1軍将兵はロシア軍を急迫して渾河(こんが)に迫った。

大山総司令官は、決戦の時いたると判断し、8日午前10時各軍に追撃命令を発した。