明治38年2月6日(月曜日)

敵の大敗承認 クロパトキンは失望のあまり満州軍司令官の地位を去ることを希望している

ドイツ海運業者の不安 近頃日本軍がしきりにドイツ船舶を拿捕することに驚いている

敵帥辞任と獨紙 グリペンベルグ将軍は健康不良の為第2満州軍司令官の職を去った

時局雑感 日露戦争の経費は、第1期で既に支払いが確定しているもののみで57千万円である

敵の大敗承認 4日ロンドン特約通信員発

パリーよりの報道によれば、クロパトキンは失望のあまり満州軍司令官の地位を去ることを希望し、その後任には多分第1軍司令官リニエウイッチがなるとの説がある。

ドイツ海運業者の不安 5日上海経由ロンドンルーター社発

ドイツ海運業者は、戦時禁制品を搭載してウラジオに向かうドイツ船舶の安全に関して非常に心配し、また近頃日本軍がしきりにドイツ船舶を拿捕することに驚いている。

敵帥辞任と獨紙

グリペンベルグ将軍は健康不良の為第2満州軍司令官の職をミロフ将軍に譲ったと露京電報通信社が発表した。これについてベルリン新聞はおよそ軍司令官たるものが戦地に勤務中に健康上の理由で交代することは未だかってない事であると報じている。かかる口実は最後の逃げ道で今回失敗した攻撃運動は、将軍の独断で行ったもので、これに対して責任を取らざるを得なくなったと思われる。

解説:グリペンベルグ将軍は第2軍司令官に着任早々、本国の革命情勢も考え、武功をあせり、その上クロパトキン将軍よりも先輩であり、連戦連敗のクロパトキン将軍をあなどってついに独断で約10万の大軍を率いて出撃した。こうして125日の黒溝台の戦いが始まり、大激戦となったがロシア軍は14千の損害を出して退いた。この後グリペンベルグ将軍はクロパトキン将軍と意見の衝突を引き起こし、腹をたててモスクワに帰ってしまった。

時局雑感

坂谷大蔵次官は次のように述べた。

日露戦争は空前の大事件であり、日清戦争で中央政府の負担額は22千万円であったが今回は第1期で既に支払いが確定しているものは57千万円で更に第2期になると78千万円の予想である。単に経費の上だけで見ても空前の大事件である事は言を待たない。