明治37年8月31日(水曜日)

敵帥の退却如何 クロパトキンは最後の大決戦をして雌雄を決するはずである

進歩党の京釜線官有論 その為京釜鉄道を買上げ全て国有とすることが望ましい

対韓意見 政府は先ず人心掌握するための方法を考え対韓政策を考えるべきである

敵帥の退却如何

有力な一将校の言によるとクロパトキンはなお遼陽に居り、我が軍が遼陽に肉薄してもハルピンや奉天にいわゆる予定の退却をすることなく、最後の大決戦をして雌雄を決するはずである。クロパトキンが皇帝に出した報告を見ると九連城(くれんじょう)の敗走を始め魔天嶺(まてんれ)、得利寺(とくりじ)、蓋平(がいへい)、大石橋(だいせききょう)等の敗走も皆決して敗走にあらず遼陽に日本軍を誘致して大決戦をする為である。

進歩党の京釜線官有論

進歩党の政務調査委員会は韓国鉄道の管理方法について大隈総理に次の報告した模様である。

現在韓国内には私鉄の京釜(けいふ)線と国有の京義(きょうぎ)鉄道があり、また義営(ぎえい)鉄道も建設する計画がある。日露戦争後東清(とうしん)鉄道(注:ロシアが満州に設けた鉄道)が手にはいると更にこれと接続する必要があり、その為京釜(けいふ)鉄道を買上げ全て国有とすることが望ましい。

解説:京釜(けいふ)線とは京城と釜山を結ぶ鉄道、京義(きょうぎ)線とは京城と北朝鮮北部の新義州を結ぶ鉄道、義営(ぎえい)線とは新義州と営口(遼東湾にある港)を結ぶ鉄道

対韓意見 

今日まで我が国は韓国を知っているが未だ韓国国民を知らないようである。韓国は帝国の自衛上一日もこれを放っておけないと八方手を尽してきたが、未だ韓国国民の心を捉えていない。帝国政府は従来韓国国民を基礎とせず官吏を相手にしてきたが我が国の行動が常に彼等の感情を害して、排日思想を持つようになっている。政府は先ず人心掌握するための方法を考え国民を基礎とした対韓政策を考えるべきである。(大垣丈夫記)