明治37年8月21日(日曜日)

世界環視の旅順 19日ロンドン特約通信員発電

蔚山沖海戦敵報 ウラジオ艦隊のアレキセイエフ大将の報告より

知己の評論 最近2回の会戦に関して、ロンドンタイムズより

同上 米国新聞の場合

世界環視の旅順 19日ロンドン特約通信員発電

旅順が今後どのように進展していくか誰しも気に掛かるところであるが、ハプスブルグでは一般的にひどく意気消沈している。但し旅順の攻囲軍も守備軍も双方同じように勇戦奮闘して屈しない点は賞賛に値するとは衆目の一致するところである。

蔚山沖海戦敵報 ウラジオ艦隊のアレキセイエフ大将の報告より

日本艦隊と会戦し、露艦隊は将に北方に回避しようとした時リューリックは舵をやられたと信号してきた。我が艦隊は極力これを救助しようとしたが見込みが無くなりゼッセンはウラジオに向かうよう艦隊に命じた。グロモホイ、ロシア2艦は北西に進路を取り戦闘を継続したが、2艦とも損害を被り特にグロモボイはエンジンと煙突に大損害を受けた。

ロシアは水線以下や水線付近に11箇所砲弾が命中、グロモホイは6箇所であった。両艦の死傷将校は全員の半数、下士官兵は四分の一に達した。下士官兵の数を正確に言えば戦死者130名、負傷者307名、両艦は応急修理をした上で本月16日ウラジオに帰った。

知己の評論  最近2回の会戦に関して、ロンドンタイムズより</b>

日本人が艦船を運用する技術に優れている事はいよいよ明瞭となってきた。また以前露艦は極めて冷酷に日本の輸送船を撃沈し、その上溺れている乗員を助ける為の救助艇を1隻も降ろさなかったにも関わらず、日本人は極めて義侠心に富み、露艦の乗員600名を救った。ここにそれを書くことが出来るのは極めて喜ばしい限りである。

同上 米国新聞の場合

米国新聞紙は我が海軍の最近2回の戦勝を以って戦争の最重要な出来事の一つとし、日本海軍の熟練を激賞し、極東において露国の海軍力は消滅したと信じられると述べている。さらに露艦が輸送船に乗り組んだ不幸な部隊に対し、何ら仮借なき攻撃を加えたにも拘わらず上村中将がその乗員を救った人道的行動について評論している。

解説:ウラジオ艦隊が日本の輸送船常陸丸を撃沈したケースに比べ、上村艦隊の場合リューリック乗組員を600名も救助したことを英国や米国の新聞が賞賛している。