明治37年8月6日(土曜日)

旅順を逃出した露人談 日本軍の砲弾は旅順市内に達し

敵の海城退去公報 露軍は無事鞍山站(あんざんたん)街道を経て海城より撤退した

戦時禁制品の積出と米国 米国政府は日本及び満州行き戦時禁制品一切の積出を禁止した

紡績界の燭光 綿布の需要が増加したため紡績界に復興の兆しが見えている

旅順を逃出した露人談

旅順を2日に出発した一行の談話によれば、日本軍の砲弾は旅順市内に達し、露艦は港内の泊地より日本軍の陣地を砲撃している。また日本軍が旅順に非常に近いところまで来ていると信じられている。

敵の海城退去公報 5日ロンドン ルータ社発電

クロパトキン将軍の報告によれば露軍は無事鞍山站(あんざんたん)街道を経て海城より撤退した。但し酷暑のため日射病に罹った者が非常に多い。

解説:露軍は8月3日海城から遼陽まで撤退した。遼陽は、南満州の政治的中心地奉天を守るための戦略上の重要拠点である。また鞍山站(あんざんたん)は、遼陽と遼東半島を隔てる低い山脈の主峰である。(参考文献 近代の戦争 人物往来社)

戦時禁制品の積出と米国

一昨日の4日、横浜サミエル商会への入電によれば、米国政府は日本及び満州行き戦時禁制品一切の積出を禁止した。また昨5日同商会への入電によれば太平洋各汽船会社もまた連合して当分戦時禁制品を搭載しないことに決定した。この電報の影響で横浜に於けるメリケン粉は急に一袋7、8銭高騰した。

紡績界の燭光

綿糸紡績界は、昨冬より今春にかけて米国綿花の高騰と内地の需要が大幅に減退した為大きな打撃を受け暗黒状態であったが、最近に至って清国に於ける需要が非常に増大したためと軍需品としての綿布の需要が増加したため紡績界に復興の兆しが見えている。