明治37年7月18日(月曜日)

ロゼストウインスキー談話 バルチック艦隊は準備整い次第、極東に向け出発する予定

山縣元帥の午餐会 観戦武官及びその公使を昨日、目白の屋敷に招き午餐会を催した

佛のバルチック艦隊への給炭 佛国が露国艦隊に石炭を供給する方法を思いついた

ロゼストウインスキー談話

7月16日佛国のエコー、ド、パリー新聞はロゼストウインスキー提督(太平洋第2艦隊司令長官)が露都に於いて同社通信員に語った談話を発表した。

バルチック艦隊は準備整い次第、極東に向け出発する予定である。尤も石炭を得る目的でいずれかの中立港に入港する必要があるが、大西洋、地中海にても同艦隊は露佛両国政府の話し合いの結果として佛国の港に寄港するのを避け、むしろ独逸及び英国の港に寄港したいと考えている。佛国政府はバルチック艦隊が佛国の港に寄港するのは現在の情勢下では望ましくないと考えているようである。

同艦隊は地中海及びスエズを通る予定であるが但し大型輸送船は希望峰を回らざるを得ない。

解説:ヨーロッパに於ける大国は、佛、独、露であり仏は、独に対抗して国を守る為に露と同盟関係を結び、露の外債の募集にも熱心であった。

山縣元帥の午餐会

山縣参謀総長は、東京を出発して従軍しようとしている英国陸軍ニコルソン中将を始め英、独、米並びにチリーの観戦武官及びその公使を昨日、目白の屋敷に招き午餐会を催した。主人の挨拶に続き英国公使の挨拶が行われた。

解説:観戦武官とは、戦争の非当事国から派遣され、戦略、戦術、武器等を現地で観察する軍人である、当時の国際情勢を反映して佛、オーストリー、スペイン3国の観戦武官は、上記4カ国と区別し翌日招待されている。

佛のバルチック艦隊への給炭

佛国が紅海以東の領地、港湾に於いて中立法に違反せずに露国艦隊に石炭を供給する方法を思いついたという。それは石炭輸送船を、艦隊に先立ち佛国の給炭港湾に入港させ、艦隊が来た時に港を離れ、公海上で給炭する方法である。

これは表面的には国際法上の中立違反にはならないが我が政府は決してこれを黙視してはならない。国際道義の違反は条文の有無に拘わらないので、これは矢張り国際法上の一つの新たらしい違反である。