明治37年7月10日(日曜日)

スクリドロフ報告 我が砲火に依り日本水雷艇2隻を撃沈したと信ずる

韓国に対する荒地請求と大隈伯 これは非常に姑息な手段で、大義名分を欠いている

チリー軍艦来る 生徒30余名が乗り組んでいる

スクリドロフ報告(浦潮艦隊来襲の敵報)

ルター電報に依ればスクリドロフ海軍中将は7月7日次の電報を露国皇帝に電送せりという

ペブブラブフ海軍中将の率いる巡洋艦隊は7月1日朝鮮海峡を通過したが午後6時20分になって、大型軍艦7隻(装甲巡洋艦4隻及び戦闘艦3隻)及び水雷艇12隻に出会い我が艦隊は退却した。敵は我を追跡し砲火を開いたが効果なく、午後8時水雷艇11隻が我が艦隊の前方に現れ、我が砲火に依り日本水雷艇2隻を撃沈したと信ずる。翌朝に至り敵を見ず我に負傷者又は損害なし。

我が巡洋艦が日本海において捕獲した英国汽船は7月5日ウラジオストックに到達した。同船は京釜鉄道用資材を搭載し小樽より釜山に向かっていた。

韓国に対する荒地請求と大隈伯

長森氏の荒地を開拓するための請求は、最近彼我両国間の問題となっているが、一個人の為に韓国全土における民間地以外の荒地を無償払下げを請求するのは果たして正当な処置であろうか、又これは我が帝国政府の請求であるが長森氏を通じて請求したに過ぎない。そうであるならば私は、これは非常に姑息な手段であって、疑いなく大義名分を欠いたものである。

我が国は、既に日韓議定書に於いて韓国の内政、外交の全てについて助言すべき立場についている。朝変暮改の韓国の政治に根本的な改革を加えて、確固たる基礎を樹立するならば、彼我の間にある全ての問題を解釈することができる。

世界の第一等国に列する我が日本の外交は正々堂々たるを要す。殊に助言する権利を有する同盟国に対してはなお更小細工を弄してはならない。

チリー軍艦来る(長崎) 

 チリー練習艦バケザノは仁川から寄港した。生徒30余名が乗り組んでいる。同艦は昨年10月本国を出発し、喜望峰を廻ってインド洋から香港、上海及び北清を経由して当港に寄港している。来る10月迄に帰国の予定のようである。