明治37年7月8日(金曜日)

朝鮮特電 北韓の地方は戦争の影響によって、農民が悲惨な状況に陥っている

海門艦沈没 軍艦海門は大連沖に於いて敵の機雷に触れ破損、沈没した

汽船捕獲される 英国汽船キールテン号は釜山へ航行中、露国軍艦によって捕獲された

俘虜情報局の現況 ヘーグに於ける平和条約に基づき俘虜情報局を陸軍省内に設けている

朝鮮特電 七日京城特派員発

最近、北韓の地方は戦争の影響によって、特に農作物ができる時期に農民が非常に困っており、悲惨な状況に陥っているとの報告があった。露兵が通過した安州や粛川等は、確かに現在でも露兵が略奪した痕跡が残っており、農民で帰ってきた者は尚十分の一に過ぎない。しかしその他の地方はそれほどまでには悲惨でない。現に戦争の結果として平壌以北の地に落ちた通貨は2百万円を下らなくて、そのため少なからずの農民等が潤沢な利益を受けており、何れも皆日本の恩恵を謝して、日本人に対し尊敬と歓迎の意を表している。

海門艦沈没(高橋艦長以下戦死) 七月七日午後大本営着電

軍艦海門(千三百九十トン)は大連沖に於いて敵の機雷に触れ破損、沈没した。乗組員の大部分は救助収容されたが艦長高橋守道以下十九名は行方不明である。艦長は乗組員に退去を命じた後部下が勧告したにも拘わらず、最後まで艦橋に止まり遂に本艦とその運命を共にしたと思われる。

汽船捕獲される 

先月28日、小樽港を出港した英国汽船キールテン号(三千七百頓)は釜山へ航行中に行方不明となったことは既報のとおりであるが、一昨日の電報によれば同船は露国軍艦によって捕獲され、一昨日ウラジオに到着した。

俘虜情報局の現況

我が国では、ヘーグに於ける平和条約に基づき開戦後、直ちに俘虜情報局を陸軍省内に設けている。2月以来同局で取扱ったのは、遺言書発送、遺留品発送、寄贈金品の配布、俘虜から発送する或いは捕虜宛ての郵便物等であり、俘虜の姓名、隊号等軍司令部から通知があれば直ちに佛国公使を経由して一々本国へ通報している。一昨日の6日迄に、松山へ収容した俘虜の総数は千三十三名であり、俘虜に関する照会等がある時は、一目瞭然に調査できる様になっている。