明治37年6月14日(火曜日)

トルコ政府の海峡厳守 ダータネルス海峡は開放しない

海軍任務の重大時期 海軍作戦は昨今さらに重大な時期に入っている

波羅的艦隊新消息  露帝が遂に同艦隊に東航の命令を与えた

佛国新聞の絶望論 バルチック艦隊を旅順口に回航する事は、到底実行不可能である

敵師の軍令 勇敢な敵兵に対して敬意を表しなけてばならない

トルコ政府の海峡厳守(12日ベルリン特派員発)

トルコ政府は、露国バルチック艦隊のためにダータネルス海峡を開放するのではないかとの風説を強く否定した。

海軍任務の重大時期

現在海軍が実施中である任務は、一方においては陸軍に対する支援作戦及や掃海の続行があり、あらゆる手段を用いて陸戦の進行に有力な援助を与えている。他方にては実力を持って旅順封鎖を厳重に監視している。そのため海軍作戦は昨今さらに重大な時期に入っていると同時にその計画を実行する苦労は表面に現れていないが極めて困難なものである。

波羅的艦隊新消息(バルチック艦隊)

春以来噂の絶えなかった敵のバルチック艦隊が東航する件は別項で記載されているように露国側に立つ佛国の大新聞も絶望の声を揚げ始めている。しかしそれにも関わらず最近到着した情報によれば露帝が遂に同艦隊に東航の命令を与えたと言われている。

我が海軍にとっては由々しき大事件として警戒せざるを得ない問題である。

 

佛国新聞の絶望論

露国バルチック艦隊は近々二つの艦隊に分かれて太平洋に向かって出港するであろうとう噂が最近欧州で流れているが、この件について佛国のルタン新聞の海軍軍事記者は本月十一日の紙上において、本件に関し精細な軍事的は研究をした結果、いずれの点より観ても、回航途中に一つの根拠地さえ無い艦隊がクロンスタットから旅順口に回航するというような事は、どう考えても到底実行不可能であるいう結論に達したと述べている。

敵師の軍令

露都発電報によれば、クロパトキン大将は次の趣旨の命令を出したと言われている。

勇敢な敵兵に対して敬意を表しなければならない。もし死傷者又は捕虜となって我が手に落ちた時は、死者に対しては軍隊礼式を実施し、傷者に対しては我が傷者と同様に丁重に取扱わなければならない。