明治37年6月11日(土曜日)

旅順の敵情 各高地に点々と防禦工事を施している。

参謀本部軍議 山縣元帥、桂総理大臣、寺内陸軍大臣は昨十日午後三時参謀本部に出頭

露清条約破棄は虚説 清露間のある条約の破棄を声明すべきであるとの意見を上奏したとの風説

スエーデンと日露戦争 スエーデンはゴトランド島の軍港に機雷を敷設した。

米国の東洋労働者問題 本邦及び清国労働者の移民に反対する決議が行われた

旅順の敵情

旅順方面からジャンクに乗ってチーフに来た支那人のグループの話によると、南山で敗走した後、敵軍は双台溝に哨戒線を張って、土城子の各高地に点々と防禦工事を施している。露軍の南山に於ける戦闘の死傷者は四千余であり、負傷者の大部分は鉄道を利用して繰り返し水師営に収容し、赤十字旗を掲揚している。多数の死者も同地に埋葬し、旅順に送還したのは将校のみである。旅順にはなお多数の露国婦女及び非戦闘員がおり、日本海軍が時々攻撃してくるために新疆市街とも恐怖が甚だしくて安眠するものはいないそうである。

参謀本部軍議

山縣元帥、桂総理大臣、寺内陸軍大臣は昨十日午後三時参謀本部に出頭し、大山総長、児玉次長、各部長と軍議を行った。

露清条約破棄は虚説

南京において密議の結果、韓国が露国との条約破棄を宣言した例に倣って清国においてもまた、清露間のある条約の破棄を声明すべきであるとの意見を上奏したとの風説が先日来上海で流布されていたが、これは全く好事者の捏造で事実無根であるとその筋に報告が行われた。

スエーデンと日露戦争

スエーデンはゴトランド島の軍港に機雷を敷設した。そのために露国から説明を求められたスエーデン国務省は、機雷の敷設は事実であるがこれは時節柄この重要な軍港内に他国の軍艦が入港するのを防ぐためであり、決して露国に対する敵意を表しているのではないと弁明した。同国が日本の為に水雷艇を建造しているとは、根も葉もない噂に過ぎないと。

米国の東洋労働者問題

 本年五月二日米国オレゴン州に於いて開会された同州の労働同盟年次総会に於いて本邦及び清国労働者の移民に反対する決議が行われた。某新聞が報道している内容を見ると本邦及び清国より低賃金の労働者を受け入れことは、米国の労働界を危険に陥れることになるということである。しかし鉄道や農園等の資本家側は、低賃金の労働を歓迎しており、今年のように日露戦争が開戦された結果、本邦労働者の供給不足をきたしていると訴えている。