明治37年6月12日(日曜日)

海戦消息 日本兵はその命を棄てることを葉巻の吸殻を棄てる程にも思っていない

韓国の麦作 大麦、小麦の外国輸出額は十倍以上に増加している

万国新聞記者大会 女性の新聞記者が五百名以上も参加している

海戦消息

英国公使館付き武官トルーブリジ大佐が、東京に於いてロンドンクロニクル特派員に語った話の中に次の様な興味深いものがあった。

日本兵の勇敢さについては、ほとんど向こう見ずに近いくらいで、寒さはひどいし風は強いし、吹雪で大荒れの最中に、委細構わずに溺れかけている敵兵を救い上げようとするなどその決断力や勇気は唯驚かされるのみである。

日本兵は忠君愛国の念に富み、その職を尽すことに忠実であることなどは英国海軍の兵といえども及ばない所がある。英国の水兵は暇な時には小説を読んだり、詩を書いたり、都合が良ければ上陸してゴルフでもしたいと思っている。日本の軍艦には一冊の小説も無く、士官の個室にも写真が飾られていない。手紙はというと全艦の総数が一人の片手で運ばれる位しかない。

日本兵は戦いを欲している。日本兵は終日、戦うことのみ望んでいる。必要に迫られればその命を棄てることを葉巻の吸殻を棄てる程にも思っていない。国の為に殉じて武名を上げたいとする気持ちは、到底他国に類例を見ることが出来ない。

韓国の麦作

韓国の農作物の中で米は無論その首位を占めており、大豆もまたこれについで毎年日本に多く輸出していたが、大麦、小麦もまた近年ようやく輸出を始めた。その国内需要分の剰余である外国輸出額は明治二十六七年の頃はわずか五千八百余円に過ぎなかったが三十五年になると十八万余円で、即ち十倍以上に増加している。

万国新聞記者大会

 万国新聞記者大会が開催されたが、十六日より十九日までは全合衆国新聞記者大会であり、昨日も二千名以上が参加した。しかし日本では見ることができないことは、女性の新聞記者が五百名以上も参加している事である。会場に入ると、演奏を聞きながら立食することが出来るようになっているだけで特別な式次第は無い。米国人の米国人たる所は真にここにあって、ただ各人が親睦を主として、お互いに楽しだけである。日本のように新聞記者といえば、議論の他は何も知らないような情況が見られないのは予想外であった