明治37年6月9日(木曜日)

英皇のキール訪問

上海は平穏(八日上海特派員発)

露国の決心

英皇のキール訪問

一昨日発のロイター電によれば英国皇帝がこれから独逸のキール軍港を訪問するに際して、両国新聞紙上で様々な評論が行われていると報道されている。これは当然のことと言える。報道によれば、獨逸の新聞は、これによって英国が獨逸の歓心を得ようとする政治上の目的のためであると。ロンドンタイムスは、これは単に両国皇室の親族的関係に基づくものであると言っている。

最近、欧州列国の国際関係はますます複雑で錯綜を極めていると同時に、又ますます緻密、微妙を極め、帝王が互いに外交技術の精を競い、驚く可き危険な事業を平安無事の間に仕遂げるようになっている。露仏同盟と英仏協約を両立させ、又獨墺伊三国同盟と伊仏提携とを並列させるごとくである。まさに十九世紀の世界が夢想することができなかったことである。然るに二十世紀の帝王は当たり前の様にこれを行っている。

上海は平穏(八日上海特派員発)

上海ウーツン間に停泊している軍艦は英十三隻、獨三隻、米二隻、伊一隻及び露艦マンジュールである。上海における国内外の人心は穏やかせある。不穏であると伝えられているのは、神経質な新聞紙の論説によって間違った皮相な見解である。

露国の決心

露国は外国の仲裁を受け入れず、最後まで戦うべきであり、そのためにヨーロッパロシアの軍隊全部を動員するべきであるとワシントンに於いて宣言した。第一軍団(ピータースブルグ管区)は既に動員令が発令されている。