明治42年1月の世界情勢

主要記事

期日

日本関係

期日

露清関係

期日

英米関連

期日

独仏その他関連

14

ス氏殺害者判決 

11

波斯内乱と英露 

110

米国海軍拡張案 

13

伊国地震続報 

16

排日法案又出る 

19

清国大学設立計画

117

米国艦隊消息

13

獨領阿弗利加紛櫌

17

土地所有権問題 

117

ロ提督長逝

119

米国海軍拡張

16

伊太利地震彙報

18

土地所有権問題

 

 

119

英帝独逸訪問続報

16

塞爾比外相演説

19

排日案成立

 

 

120

文明国の義務 

18

塞爾比の譲歩 

111

排日案提出

 

 

124

米国太平洋防備

19

墺紙の英国攻撃

113

日本児童迫害案

 

 

125

太平洋兵備論 

110

塞爾比外相の謝罪

114

大統領の激怒 

 

 

125

米国海軍拡張

112

墺国の合併条件

116

排日案と米政府

 

 

131

英国海軍拡張論 

113

墺土間協議好望

117

排日案委員会通過

 

 

 

 

115

土墺協議成功

121

排日案下院通過

 

 

 

 

128

土勃の示威運動

122

加州議会情勢

 

 

 

 

130

英独関係論評

123

大統領の真意

 

 

 

 

 

 

125

飽迄日本人排斥

 

 

 

 

 

 

127

大統領の誠意

 

 

 

 

 

 

128

排日案立消?加州知事教書

 

 

 

 

 

 

129

形勢愈再変

 

 

 

 

 

 

131

排日案の帰着点

 

 

 

 

 

 

世界情勢

11

波斯内乱と英露 31日タイムス社発

ロンドンタイムス露都通信員の観察によれば、露国はペルシャ問題に関し、完全に英国と一致するようになったので、今後は一層活発な政策を執るものと信じられている。ペルシャ国王は、その誓約を実行する事が出来ない為に、遂に今や露国の手で無政府状態を打破する時期が熟している。将に起ころうとしている干渉は、多分明確な財政及び行政の改革計画を含んでおり、且つ最強の圧迫を加えてこれを採用させなければならないと言っている。

解説:ペルシャの北半分が露国の勢力圏下で、南半分は英国の勢力圏下であり、現在守旧派と改革派が対立し内乱状態となっている。1900年頃の韓国に似ているところがある。

塞比亜国王不人気 30日ベルリン特約通信社発

セルビアに於いては、国王に反対する運動が盛んになろうとする情勢がある。

葡領の暴動 同上

スンダ島の一つであるチモール島に於いて土民が蜂起し、ポルトガルはこれを鎮圧する力が無い。

解説:スンダ島の大部分は、現在のインドネシアであり、当時はオランダの植民地であった。1860年チモール島は分割され、西チモールはオランダ領、東チモールはポルトガル領となっている。

西蔵反乱の風説 31日上海特派員発

チベットのラマ僧等は、紛争を起こそうと準備中であるとの説がある。そして彼等の口実とする所は、西太后崩御の際、何等の進物も彼等に送らなかった事である。彼等は、北京皇室が彼等を寵愛しない以上、彼等もまたこの様な皇室の下に支配される事を望まないと言明し始めているとの事である。

 

13

伊国地震続報 2日上海経由ロイター社発

死者数はますます増加する模様であり、降雨が止まず、死者の臭気は、刻一刻と激しさを増している。兵士等は、不倒不屈の精神で、広くパンと水を配布しているが、水道が破損している為水量に限りがある状況である。

アルゼンチン政府は、救済費として88百ポンドを支出した。

解説:死者数は20万人以上と言われている。

獨領阿弗利加紛櫌 1日ベルリン特約通信社発

獨領アフリカに於いて、カラス山の土人ホッテントット族に対し、戦闘が開始された。

解説:有名なドイツ軍によるホッテントット族の大虐殺の終了頃の記事である。

ドイツ軍は、反乱に手を焼き、1904年全てのホッテントット族を抹殺すると宣言をして鎮圧を開始している。

 

14

英露益親善 2日タイムス社発

露都来電―英国大使ニコルソン氏は、英国人クラブに於いて演説し、昨年ほど英露の関係が親密であった事は未だかって無かった。しかし英露両国の国民が十分に、互いに知り合うまでは、恒久的に親交の基礎ができたと安心する事はできない。そして英露両国の親密な関係は、即ち世界の平和に対する無上の保障であり、両国の親交は、英露連合商業会議所の開催により、一層その態度を増進させるであろうと助言した。

震災後の惨状 2日桑港特派員発

イタリア皇后陛下は、被災民の救助中に地震が発生し、負傷された。但し重傷ではなく、両陛下、特に皇后陛下の勇敢なお働きは、イタリア全国民に感激を与え、被災民は感涙している。メッシナの被害者は、今や殆ど運び去られ、陸海軍人と破壊された家屋に埋もれている者のみ残っている。

ス氏殺害者判決 同上

韓国顧問スチーブンを殺害した韓人張仁(ちょうじん)は、今朝25年の禁固に処する判決を受けた。

解説41323日「スチーブン氏」の記事にある様に、スチーブン氏は、韓国顧問であったが帰国後、日本の韓国政策について発言した。その後韓国人の襲撃を受け、殺害されており、その状況を書いた記事がが325日「ス氏」以後410日「ス氏埋葬式」にある。

 

15

露国の対波斯策協議

1230日露都に於いて、外相イズウオルスキー氏及び大蔵、陸軍の両相が会合し、ペルシャ駐在露国公使ハルトウイング氏も出席の上、今後ペルシャに活発な手段を執る件について、

協議を行った。なお公使は、間もなく任地へ向かおうとしている。

伊太利震災救助 同上

イタリア皇帝及び皇后陛下は、最大の努力をしてシシリーの救援作業に助力中である。ドイツに於いては、多数の救援資金の応募があり、病院列車及び汽船は、続々とイタリアに向かい、ドイツ巡洋艦ヘルタ号、同フネトリア、ルイヒ号も極めて活発に、メッシーナの救援事業に従事している。

巴爾幹時局

塞爾比議会の墺国攻撃 

セルビア代議員ミリモウシュ氏は、非常に激烈な墺国反対演説を行い、墺国はバルカン干渉を中止しなければならないと言明した。

 

16

巴爾幹時局 5日タイムス社発

塞墺関係危殆 ウイン来電―セルビア外務大臣は、昨日議会に於いて演説し、ボスニアの自治を要求し、又一般的にオーストリアの政策を攻撃した。これに就いてオーストリア政府は、セルビア駐在オーストリア公使に対し、同外相の謝罪を要求すべき旨の訓令をしたが、これが入れられないならば、公使はベルグラードを退去するものと思われている。

伊太利地震彙報 4日上海経由ロイター社発

生存者救助 少数の生存者は引き続き、倒壊物の間に発見されており、いよいよ最後に、生存者が居ない事が明確となったならば、倒壊物は生石灰等で消毒した上で、約6カ月間そのまま放置して置く必要があるであろうと言われている。

死骸水葬 掘り出された死骸は、数百づつ積み上げ、生石灰でこれを蓋い、船で海上に送り、水葬されている。

巴爾幹時局 同上

塞爾比外相演説 セルビア外相は議会で演説し、ボスニア併合はベルリン条約に違反しており、ヘルチェゴビナは、欧州列国支配の下に独立させなければならない。但し我々は戦争を願うものではないと言明した。ウインに於いては、この演説で情勢はますます危険になるのではと認め始めている。

排日法案又出る 4日桑港特派員発

カルフォルニア州会が4日開会し、既報のとおり排日案が提出された。中でも土地所有権の禁止を目的とする3個の異なった議案が提出された。他の案はともかく、これだけは是非成立させようとする意向と言われている。総領事及び日本人会等は、極力運動中であるが危険な情勢である。日本人の土地所有権を取り上げられる事になると、邦人の発展は非常に制限されるであろう。

 

17

巴爾幹時局 6日タイムス社発

塞爾比外相の弁解

ウイン来電―オーストリア対セルビアの衝突事件は終了した。セルビア外相は、ウインに於いて発行された自己の演説筆記に誤訳があり、オーストリアの抗議した個所は全く誤訳に原因があると弁解した。

土地所有権問題 5日桑港特派員発

カルフォルニア州会に於ける日本人の土地所有権問題について、副知事で上院議員であるポーター氏、海軍委員アイリッシュ氏、日本観光隊委員であったドールマン氏等は充分な努力を誓った。スタンフォード大学総長ジョルダン博士は、土地所有権問題が日本人の為に最も危険であり、必要であればできるだけの尽力をするつもりであると述べた。排日派の気炎はなかなかであるが、或いは食い止める事が出来るのではと思う。

 

18

巴爾幹時局 7日タイムス社発

墺紙の英国攻撃 ウイン来電―政府機関新聞は、英国がバルカン諸国の排オーストリア感情を扇動、徴発しているとして大いにこれを攻撃している。

巴爾幹時局 6日ベルリン特約通信社発

塞爾比の譲歩 セルビアは、遂に譲歩した。英国政府はセルビア政府に対して警告を行っていた。

露墺関係不円滑か 駐露オーストリア大使ベレトルト伯爵は、なお任地に帰らず、引き続きウインに滞在すると思われる。

露国外相辞任説 6日ベルリン特約通信社発

露国外相イズウオルスキー氏が間もなく辞任するであろうとの風説が又盛んに行われている。

巴奈馬独立承認 同上

コロンビア政府は、パナマの独立を承認した。

解説:パナマは、コロンビア領であったが、運河を自らの支配下とする為に1903年にアメリカとコロンビアは条約を結んだが、コロンビア議会はこれを承認しなかった。しかし1903年パナマはコロビアからの独立を宣言している。1909年となって議会もこれを承認したものと思われる。

土地所有権問題 6日桑港特派員発

カルフォルニア州会に於ける排日議案の情勢が危険である為、大統領ルーズベルト氏に依頼し、州会議員を説得させることが有益であるとの意見を提起するものがあり、その為に在米日本人会は、委員をワシントンに派遣し、高平大使を通じてこの方法を講じる事に決定した。

 

19

巴爾幹時局 8日上海経由ロイター社発

墺紙の英国攻撃 オーストリア紙が英国攻撃に耽る結果、遂にノイエ、フライエ、ブレッセ紙上で、非常に過激な論文を見る様になった。同新聞は英国がセルビア及びトルコに於いて、オーストリア反対を扇動中であると激しく非難し、英国が抱く唯一の目的は、ドイツの味方である友邦国は、その何れかを問わす、危険な地位に落ちる事を証明する事であると公言した。

解説:第一次世界大戦まで5年の世界情勢である。

清国大学設立計画 同上

ウイリアム、セシル卿は、ケンブリッジ、オックスフォード両大学卒業生団体の有力な委員の希望により、清国に国際的大学を設立する方法を研究する為に、清国行きの途に上った。なお同大学は、米国の伝道団体と協力し、その設立した多数の小校舎に代わる計画であり、その目的は、将来大学の講座を引き受け、諸官庁の雇入れ外国人に代わるべき清国人を養成する事にあると言われている。

排日案成立 7日桑港特派員発

ワシントン来電によると、日本人排斥案が議会に提出されることは、疑いのないと雖も、その成立の見込みは絶無である。カルフォルニア州選出議員ヘース氏は、各方面からの要請を受けて盛んに運動中であるが、政府は、日本政府が米国移住に対する態度に誠意が見られる事を諒としてとして、この成立を好まないので、カルフォルニア州人が如何に運動しようとも大勢を動かす事は出来ないであろう言われている。

 

110

摩洛哥と佛獨 9日タイムス社発

ベルリン来電―二三の独逸新聞は、佛国のモロッコ政策に関する攻撃を継続しているが、独逸外務省は、賛成していない。これは、これまでも佛国が取る針路を変える効果が無く、却って同国を憤怒させるだけであった。且つ佛国はむしろ列国から受けた使命を敢行しているに過ぎないと認めている。

解説:モロッコはフランスの保護国であり、独逸がチョカイを出している。

米国海軍拡張案 8日上海経由ロイター社発

ワシントン来電―米国政府は25千トンの大型戦艦4隻、巡洋艦4隻、小軍艦19隻を建造する法案を議会に提出した。この費用総額は75百万ドルである。

巴爾幹時局 同上

塞爾比外相の謝罪 

オーストリアに対するセルビア外相ミラノヴネチ氏の謝罪文がベオグラードに於いて発表された。議会に於ける自己の演説は、オーストリアを非難する意志が無かった事を言明し、同時にオーストリア外務省は、同事件が終結した旨を発表した。

解説1月6日の記事の続報

英独の協同 8日ベルリン特約通信社発

北独逸アルゲマイチ新聞は、西南アフリカに於けるホッテントット族に対して英独は協同した措置を執る事になったと報じた。

解説:独逸領南西アフリカは、現在のナンビアであり、英国の植民地南アフリカの北側に位置している。13日の記事「獨領阿弗利加紛櫌」の続報であり、ホッテントット族の虐殺により、殆どのホッテントット族が死亡した。

 

111

クレテ問題 10日上海経由ロイター社発

コンスタンチノープル来電―参加者1万人に達した公式の集会において、クレタ島をギリシャに併合する事に反対する決議を行い、その決議文をトルコ政府に提出し、これを送付する事を要求した。トルコ首相は、集会の代表者に対し政府は国民に対する義務を履行するであろうと言明した。

解説:1913年オスマン帝国が領有権を放棄し、ギリシャ領となっている。

西蔵と英国人 同上

スエンヘジン博士は、モククワに於いてスエーデンの新聞記者と会見し、チベットに於ける英国人の地位は、ラッサ遠征前と比べても良くなく、支那の勢力が日を追って増進し始めていると明言した。

解説:明治37912日の記事によれば、英国はラッサに侵攻し、英蔵条約を結ばせ、チベットと貿易を始めている。

排日案提出 9日桑港特派員発

日本人の公立学校通学禁止案、会社の重役となる事を禁止する案、日本人を市町村内の一定地域に居住させる案並びに土地所有権禁止案がいよいよカルフォルニア州会に正式に提出された。

解説19日「排日案成立」の記事の続報

 

112

巴爾幹時局 11日上海経由ロイター社発

墺国の合併条件 ウインー来電―オーストリアはボスニア及びヘルチェゴビナを併合する報償として、両州のトルコ国有地に対し250万ポンド(トルコポンド)をトルコに支払う旨を申し出た。但しこれは極めて曖昧な文句よりなり、その土地が果たしてトルコ国有財産であるか、或いはボスニア、ヘルチェゴビナの財産であるかの問題を仲裁に付す事を提議した。

土墺報償協議 コンスタンチノープル来電―墺国大使パルネーニ氏は、250万ポンド(トルコポンド)をトルコに支払う提議をするよう訓令された。

ウイーン来電―オーストリア半官報フレブデンブラット紙は、この報償金額の当否については、これを論じる事は出来ないが、しかし要求に対して反対の要求を行い、相争う事はトルコの利益にならないので、同国はむしろ喜んでこれを承諾するものと思われると論評した、

コンスタンチノープルのトルコ官吏社会は、この報償提議を歓迎し、トルコとオーストリア間の協議が間もなく成功するであろうと確信している模様である。

西蔵騒櫌鎮静 11日上海特派員発

チベットのラマ僧達は、ダライラマが間もなく帰国し、帰着の上は自らチベットの政務を実施すると思われるので、最早騒動が続く憂いは無い旨の通知を受けた結果、鎮静化した。

 

113

巴爾幹時局 12日タイムス社発

墺土協議と世論 ウイン来電―一般の人心は、オーストリアがトルコに報償金を支払う旨を申し出たとの報道に接して、大いに安心した。又若しトルコがいよいよこれを承諾するならば、オーストリアは、何ら問題なく報償金額を支払うであろうと一般に予期されつつある。

日本児童迫害案 11日桑港特派員発

カルフォルニア州会に於ける反日感情は非常に高く、既報の他に又もや、スタッケンブラックと称する人物が、市民又は市民となり得る者の子弟でなければ、無料で公立学校の教科書を貸与しないとの憲法修正案を下院に提出した。同人はこの案によって、日本人児童の恩典を剥奪するものであると公言した。同一法案が上院にも提出された。

巴爾幹時局 11日ベルリン特約通信社発

墺土間協議好望 オーストリアのボスニア、ヘルチェゴビナ両州併合に対する報償案は、コンスタンチノープルに於いて歓迎されている。トルコは、今週末に回答し、必ず同提案に同意するであろうと期待されており、その上で直ちに調印を行う筈である。なおこのトルコに支払うべき報償金の一部はブルガリアが負担するであろうと言われている。

へ博士露都着 同上

スウエン、ヘジン氏が露都に到着した。氏はチベットに於ける清国の勢力及び韓国における日本の勢力が次第に増進中であると語り、又日本に於ける氏の歓迎を非常に喜び、且つ日本人の聡明であり且つその態度の正しさを切言した。

解説:へ博士とは独逸のSven Hedin(18651952)であり、第3次中央アジア・チベット探検調査を終えた後東京地学協会の招きで、190811月来日し、以後韓国、大陸経由で帰国中で、露国に到着している。

これによると、中国はチベットを中国領と主張しているが、当時のチベットと清国との関係は、韓国と日本との関係と同様であった様である。

 

114

大統領の激怒 (加州排日法案通過)13日タイムス社発

ワシントン来電―大統領ルーズベルト氏は、カルフォルニア州会に於ける3個の排日法案は信義を破り、公平を失する一愚挙であると言明した。又責任を重んじる社会の人々は、皆この大統領の憤怒に全く同感を示し、且つ日本人がこの排日法案の精神に反対する点に於いては、米人も決して日本人に譲るものではない旨を了解するよう希望し、且つ確信しつつある。同事件は、日米関係が日一日と親密で強固になろうとする場合に起これる為に特に遺憾とされる。因みに最近の移民統計は完全にワシントン官憲を満足させている。

排日案不成立か 同上

ニューヨーク来電―大統領ル氏は、カルフォルニア州知事に対して、排日法案を喜ばない教書を発した為、同案が果たして通過するかどうか、又万一通過した場合でも知事の拒否を免れる事が出来るか極めて疑わしい。

解説:1月9日以降排日法案についての報道がある。

 

1月15日

巴爾幹時局 14日タイムス社発

土墺協議成功 コンスタンチノープル来電―トルコ内閣は、遂にオーストリアの提案を大体に於いて承諾する事に一致した。トルコは、一旦オーストリアがボスニア及びヘルチェゴビナ両州占領中の歳入に比例して、トルコの負債の一部に対して責任を負う事が出来ないと主張したが、オーストリアはこれを拒絶した。この時に英露獨佛の四国大使は、トルコに対しオーストリア及びブルガリアと妥協を行い、偏に内政改革に注意を払う事を希望した。

巴爾幹時局 14日上海経由ロイター社発

セルビア官民楽観 ベルグラード来電―官憲側に於いて、トルコのオーストリアの提案承諾を以て善兆と考える旨を言明し、諸新聞はセルビア及びモンテネグロが必ず報償を得る事になるであろうと予想し始めている。又オーストリア領ボスニア鉄道では、多分セルビアの為に関税上の譲歩を行い、同国から海に至る道路を開くであろうとの説がウインで行われている。

運河費増加案 13日紐育特派員発

パナマ運河工事費を5億ドルに増加する議案が13日ワシントンの議会に提出された。

解説:パナマ運河は、1914年に竣工したが、難工事の為に最終的には、当時のお金で50億ドルの工事費、現在のお金で16兆円となった。

排日議員の気炎 13日桑港特派員発

3個の排日議案をカルフォルニア州会に提出したジョンソン氏は、日本の諸新聞の激昂に付いてどのように感じるかの質問に対して、予は大統領やその他如何なる人が干渉しようとも従わない。2年前にはルーズベルト氏の要求に従ったが、今回は決して従わず、他の議員は知らないが予のみは全力で提出議案の通過に努力すると答えた。

 

1月16日

英国外交成功 15日タイムス社発

露都来電―諸新聞は、去る1年間の事件を回顧評論し、英国の外交政策が光彩ある成功を見たと記し、英国皇帝が平和の為に、倦まず弛まず尽力した結果、ロンドンは今や欧州政治の中心となるに至った。これは又露国の利益であると言明した。

排日案と米政府 14日桑港特派員発

ワシントン来電によると、米国政府は、カルフォルニア州会の排日議案に対し、日本の国論が激昂しているとの電報に接して深くこれを憂い、カルフォルニア州の下等な政治家が、或る階級の投票を得ようとして、憎むべき手段を弄する事を深く遺憾としている。大統領ルーズベルト氏は、この事件の為に両国間に重大な紛争が起こるとは考えていず、ただカルフォルニア会の行動は、愚にして且つ不誠実な猜疑心の結晶であるとして深く注意していない。且つ到底到底州会が排日議案を通過させるとは信じていない。若し日本の新聞が騒がなければ、少しの注意も払う必要のない事件であると語った。

解説:やがて労働組合のロビー活動は、カルフォルニア州を制し、やがて連邦議会で1924年の移民法案(白人以外の移民禁止)を成立させる。

 

1117

ロ提督長逝 16日タイムス社発

露都来電―ロゼストウエンスキー提督は、突然心臓病の為に逝去した。提督は辞職以後、常に平人の服装をし、諸新聞は異口同音に、対馬海戦に於ける露国艦隊に対する責任は、ロ提督には無いと主張した。

米国艦隊消息 同上

マルタからの特報によれば、米国艦隊の一部が同地に到着した。準備周到な歓迎計画ができあがり、コンノート親王もまた同艦隊の為に晩餐会を開く予定である。米国軍艦及び水兵は、共に非常に良好な状態にあり、非常に疲れる太平洋巡航後であるが、想像されたよりも一層良好な状態で帰国できる模様である。又日本人及び豪州人の親切は、深く艦隊乗組員を感動させた様である。

解説:米国大西洋艦隊は、バルチック艦隊を超える1万4千人の乗組員、戦艦11隻を含む大艦隊で、1907年12月米国東海岸を出発し、南米南端を通り、太平洋を横断し、1909年1月地中海のマルタに到着している。この艦隊は「グレート、ホワイト、フリート」と呼ばれ、米国海軍の勢力誇示の為にルーズベルト大統領が計画したものである。

排日案委員会通過 15日桑港特派員発

5年以上の外国人による土地所有を禁止し、1年以上の外国人による借地契約を禁止するドリウ氏が提出した議案は、カルフォルニア州下院司法委員会を通過した。委員の中には、同法案によって、帰化していない又教育上等で帰化できない欧州人も制限を蒙ることになるとの理由で、これに反対したが、ドリウ氏は、同案はイリノイ、アイオワ、カンサス諸州の法令に則ったものであり、欧州人も多少制限を蒙るが、目的は日清人であり、ただ日清と特記する事が出来ない為であると弁解した。多分下院も通過するであろう。

排日案喰止運動 同上

最も信頼すべき筋から、当地総領事館に向け、政府は適切な手段を講じ中であるので過激な居留民の反対運動を見合わせるようにとの通報があった。又勢力のある一上院議員からも上院の方は安心せよとの報告があり、従って多分上院では食い止める事が出来ると信じられる。

 

118

佛艦進水 17日上海経由ロイター社発

佛国のドレッドノート型ヴォルテヤ号(1万8千トン)がツーロンに於いて無事進水した。

 

119

米国海軍拡張 18日タイムス社発

ニューヨーク来電―海軍省は、新たに建造する予定の26千トンの戦闘艦2隻に関し沈黙を守っているが、この2隻は、ユタ、フロリダ両艦より50フィート長く、主要武器としては、中央線の砲塔6基に12門の12インチ砲を装備する予定である。今度の海軍拡張費は約8百万ポンドに上る様である。

解説:日本海海戦を戦った戦艦三笠は1万5千トン、12インチ砲を4門装備していた。

英帝独逸訪問続報 18日上海経由ロイター社発

英国皇帝がベルリンを訪問される今回の計画には、通常行われる閲兵式が含まれていない様である。半官報の北独アルゲマイネ、ツアイツングは、英帝のベルリン訪問が、西部アフリカに於ける英独軍隊の協力によって証明された英独の親交を一層強固にするであろうと確信している。

解説:西部アフリカに於ける協力とは、独逸領南西アフリカ(現在のナンビア)で起こったホッテントット族の反乱で、南アフリカの英国と協力した事を指す。

大統領の告訴 17日紐育特派員発

パナマ運河に関し大統領ル氏が不正行為を行ったと盛んに攻撃したニューヨーク・ワールド、ニューヨーク・サン及びインデアナポリスの3新聞に対し、大統領は、名誉棄損で告訴する事を決定した。

 

120

文明国の義務 18日タイムス社発

ニューヨーク来電―大統領ルーズベルト氏は、アフリカメジスト協会設立60周年記念祝賀会に出席し、欧米列強とアフリカの土族との関係について注目を引く演説を行った。

欧米列強がアフリカの未開地を占領し、管理し、且つこれを文明の域に導いた事を列挙した後、文明の発展は、人類に対する永久不断の慶福であると明言し、更にインドに於ける英国の施政を賞賛し、ローマ帝国崩壊後に於ける最大の功績であり、インドの土民は、英国の支配の下で無限の福利を受けている。若し英国が統治権を放棄するならば、インドは完全な内乱に陥る事になるであろう。(一部抜粋)

独逸植民地の将来 19日タイムス社発

ベルリン来電―ドイツ植民大臣は、ドイツ植民地の将来が非常に有望である旨を明言した。同大臣が英国の植民地事業及び工業の進歩を引用した事は言うまでもなく、これによってドイツ人の奮発を奨励する事を希望しているからである。しかし同大臣の提示した統計の一部は、あまりにも楽観的過ぎるのではないかと疑われている。

巴爾幹時局 19日上海経由ロイター社発

勃牙利の賠償案 ブルガリアは、占領している東方鉄道の一部と東ルーマニアに対し、82百万フランをトルコに支払うと提案した。この申し込みは、ブルガリアの財政が窮乏している為に、同国首府ソフィアの政治社会に於いて種々の非難を浴びている。

解説:東方鉄道とはいわゆるオリエント急行である。

 

121

排日案下院通過 20日上海経由ロイター社発

カルフォルニア州下院は、外人の土地所有を禁止する排日案を可決した。カルフォルニア州知事ジレット氏は、大統領から送られて来た電報に基づき、今回大統領の書簡が到着するまで、同案について何等の行動も執らない筈である。なお大統領は書簡に於いて、排日案は自己の知る限り、カルフォルニア州及び米国全体に無限の損害を与えるものであり、従ってこの報に接し、深い心痛を感じていると言明した。

日本人問題 同上

サクラメント州知事ギシット氏は、立法府の重要な議員と協議した結果、日本人の利益に反対する法律が制定される様な事はないであろうと言明した。

大統領の演説 19日桑港特派員発

大統領ル氏は、ワシントンのメジスト教会で開かれたアフリカダイヤモンド紀念会に列席して、日米両国政府の親交上、米国の善良な市民は、単に自国の正義を保持するのみならず、日本人に対しても正義をもって対する事を切望した。

 

122

巴爾幹時局 21日上海経由ロイター社発

墺勃品排斥禁止 

トルコは、オーストリアとの紛争が解決する事になったので、又ブルガリアとも遂に妥協する事に決定したので、今回税関吏に対してオーストリアとブルガリア商品のボイコットを鎮圧する為に必要な手段を講じる旨訓令した。

加州議会情勢 20日桑港特派員発

日本人会社重役の被選挙権剥奪法案が20日朝、カルフォルニア州下院の第3議会に提出された。可否の議論が非常に激しく、提出者ジョンソン氏の如きは、盛んに排日議案の通過を要求し、大統領ル氏の要請は恐れるに足らず、州権を保護せよと叫んだ。その他の野次馬議員がこれに雷同し、非常な騒動となった末、4334の多数で採決を1週間後に延期した。

上院は大丈夫であるが、排日議員等は下院だけでも何らかの議案を通過させようと意気込んでいる様である。

大統領の満足 同上

大統領ル氏は、州会が排日議案の進行を中止したとの報道を得て、大いに満足し、世論の賛成を得た事を喜んでいる。又当地の新聞は、エキザミーナを除き、大統領の行動を是認し、暗に州会の行動に反対している。

 

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巴爾幹時局 22日上海経由ロイター社発

墺土妥協とモ国 モンテネグロは、トルコ政府に対し、オーストリアとトルコ間の妥協に付いて、驚愕し失望した旨を述べ、且つモンテネグロの人心激昂について注意を促した。今はモンテネグロ自ら公正な解決を得る為に尽力する外ないと付言した。

大統領の真意 21日桑港特派員発

ワシントン来電―カルフォルニア州方面から来る情報によれば、州会に於いて排日議案が成立する様な恐れはないと思われるが、20日下院が姑息にも排日議案の採決を延期した事、その他の情勢に照らして、ワシントン部内に於いては深く将来を憂慮している。

 

排日議案が成立するならば、日本は必ず米国人の教師を排斥し、その他非常に過酷な報復を日本にいる米国人加えるのみならず、米国政府との約束が信頼できないとして必ず移民禁止の協定を破棄するであろう。その結果日本移民は無制限に渡米することになり、事ここにいたれば、米国は余儀なく排斥条例を制定して、日本が屈服しないならば、当然、戦争となるのは、止むを得ないであろう。これが、大統領が州会に干渉する真意であるとは官吏社会の観察である。

 

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米国太平洋防備 23日上海経由ロイター社発

ワシントン来電―大統領ル氏は、先日カルフォルニア州サンペトロ港の砲台築城を主張する陸軍参謀部の報告を議会に送付した。騒動を好む新聞は、これを以て日米戦争が起こる為に出たものであると説き、陸軍省はその説を否認した。

この参謀部の報告は、或る東洋の某国が有効な反撃を受けない場合には、1カ月間に10万の兵士を太平洋岸に上陸させ、2カ月間に30万人を集合させる事が出来ると説き、更にロスアンゼルス地方一帯は容易に占領されるであろうと述べ、サンペテロ港の砲台は、国民の安全の為に必要であると説いている。(一部抜粋)

解説:当時米国は、海軍力の整備をしていたが、ヨーロッパの列強と異なり、陸軍は数万の兵力しか持っていなかった。

排日問題情勢 22日紐育特派員発

大統領は、カルフォルニア州の排日問題は大きな問題であると考え、現在苦心惨憺の努力をしている。

大統領は、カルフォルニア州の日本人排斥が次第に拡大し、ただ単に労働者のみの主張ではない事を認めた様に思われ、その為に非常な困難を感じているのは事実である。各新聞も既に大問題として、カルフォルニア州排日問題を特筆大書するに至っている。従って様々な人の意見を記載し、人心を扇動する新聞もある。(一部抜粋)

 

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飽迄日本人排斥(加州上院と土地問題) 23日桑港特派員発

カルフォルニア州上院議員サンフォード氏もアジア人の土地所有禁止案を上院に提出しているが、現在ワシントン在住の前サンフランシスコ市長ヘラン氏は、サンフォード氏に対し、若し「外国人」と書かれているものを「米国市民でない全ての外国人」と修正するならば、中央政府に於いても異議が無いであろうと電報してきた。サンフォード氏は直ちに訂正に同意した。この為絶対に諸種の排日議案に反対して来た上院議員団も、中央政府に異議がなければとして、情勢は俄かに一変し、全ての外国人に対して土地所有を禁止する法案は上院を通過する模様である。前記市民にあらざる外国人とするならば、市民となり得ない日本人等のみが制限を受けることになる。

太平洋兵備論 同上

カルフォルニア州の排日的行動は、端無くも軍備拡張の道具にされ、ハースト氏の暴言が一度現れてから以降、雷同する者が多い。現に国会でも現在の海軍力を倍増し、大西洋、太平洋の均等に配備すべしとの議論がある。カルフォルニア州選出の議員等は、これらの計画の即時実行が難しいならば、少なくとも現在の海軍の3分の1を太平洋に配備する事を熱心に運動中である。

解説:当時の米海軍は、大西洋艦隊のみで太平洋には軍港もなかった。

亜細亜人排斥案 同上

上院議員ジョンソン氏は、23日朝新議案を州会に提出した。その要旨は、現行の支那人排斥条例を改正して、全ての亜細亜人を支那人同様に排斥すべしである。

解説:数年前に支那人排斥法案が成立し、清国全土で米国品排斥運動が起こっている。

米国海軍拡張 23日紐育特派員発

米国海軍は、先に32千トンの大型戦艦の建造を可決したが、昨22日更に同型の戦艦2隻の建造を可決した。

解説:明治38年の日本海海戦当時の戦艦三笠は15千トンであった。

 

1月26日

巴爾幹時局 25日タイムス社発

勃土関係険悪 ベルグラード来電―官憲側の報道ではないが、今回トルコの軍隊がトルコとブルガリアの国境に集結し、南ブルガリアの要所であるチルノウオスメリシンに迫った結果、ブルガリアも1個師団の動員を行ったと伝えられている。

解説122日「墺勃品排斥禁止」の記事によるとブルガリアとの交渉は妥結した様に報道されていた。

巴爾幹時局 25日上海経由ロイター社発

ブルガリアの戦備 ソフィア来電―ブルガリアはトルコがルーメリヤの要塞を占領中であるとの報告を受け、今回辺境師団の予備役招集を行った。

墺紙の英外相演説評 英国外相サー、グレーがコールドストリームで行った演説中、オーストリアと英国両国が一層の友好関係を維持する事を希望した件は、大いにウイーンに於いて歓迎され、半官報フレムデムブラットは、この演説は、相互攻撃を事とする不愉快な時期を一掃する為、機会を与えるものである。オーストリアは、両国間の歴史的友好に復帰する為、相応の尽力を辞さないと言明した。

解説:第一次世界大戦まで5年

 

1月27日

巴爾幹時局 26日タイムス社発

コンスタンチノープル来電―トルコの官吏社会及び軍人社会では、ブルガリアが1個連隊に動員令を下したとの報道に接しても格別驚いた様子がない。これは、今回の動員が東ルーマニア地方に於ける鉄道併合問題について、最後の挨拶をしたものと考えているからである。そしてトルコ官吏社会の多数は、トルコが要求する財政的報償の軽減に賛成している。それにも拘らず軍人の一部は大いに活況を呈し始めている。

解説:昨日ブルガリアの動員報道があった。

土地所有禁止別案 25日桑港特派員発

州議会の下院議員オドモルと言うものが、日本人に土地を売った者は、1年の禁固刑又は1千ドルの罰金に処する法律案を提出する為に準備中である。

加州州会形勢 同上

下院に於ける排日議案に対する賛否両派の暗闘は激烈であり、賛成派は、サンフランシスコ亜細亜人排斥協会役員などの応援を受け、必死に運動中である。又反対にしても、議長スタントン氏等を始め、盛んに運動中であり、議員総数80名中、63名に賛否の意見を聞いたが、32名は排日案に反対である旨言明した。知事もほとほと困っている様子である。現在の情勢では、結局少数の差で否決されると思われる。上院は、一時非常に動揺したが内部の運動が功をそうして、形勢が旧に復したので、先ず安心である。

大統領の誠意 同上

大統領は、昨夜ニューヨーク選出議員の招待会に招かれ、カルフォルニア州議会に干渉した理由を次の様に説明した。

憲法上は、州議会に干渉する事は出来ないのは無論であるが、日本移民問題が解決された現在、国家の不利益となる無謀な行動を黙認する事は出来ず、余儀なく干渉したのである。多分カルフォルニア州議会も反省し、適切な解決をみるであろう。予は全国民が時局を了解し、正義を以て日本に対する事を望む云々

列席者一同は大統領の誠実さを感じた様である。

解説:日米協議の結果、既に日本は移民の自主規制を行っている。

 

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排日案立消?加州知事教書 26日桑港特派員発

加州知事ギレット氏は、26日排日議案に対し、州議会に特別教書を送り、今後同案を議論しないように希望した。

この教書の中で、カルフォルニアに居る日本人は善良な市民であり、最恵国国民に与えているのと同じ待遇を受ける特権を有している事を知らなければならない。土地所有権を外国人に許さない時は、外国人の資本家を失望させ、農商工業の衰退を招く事になるであろう。この事に関し、日本人のみを区別する事はできない。しかるにドリウ氏等の議案は日本人を区別している。余は大統領及び国務卿の憂慮に同情している。無益に中央政府を困らす様な行動は差し控えなければならない。(一部抜粋)

巴爾幹時局 27日タイムス社発

土勃の示威運動 トルコ及びブルガリアの軍事的示威運動は、協議中の問題が将に最後の決定を見ようとしているに先立ち、互いに恫喝を試みているものと理解される。なお現在トルコ兵が迫っていると言われているブルガリア領土の一部は、イスラム教徒が居住しており、その為占領する事はトルコに取って軍事上重要な意味があると言われている。

露国側の戦備評 同上

露都来電―官吏社会に於いては、ブルガリア軍隊の召集は、不適当と認められ始めている。

巴爾幹時局 26日ベルリン特約通信社発

土勃と境界問題 ブルガリアは、東ルーマニアの境界に関する規定について、トルコ側の計画を拒絶した。

 

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加州議会の形勢 28日タイムス社発

サンフランシスコ来電―サンフランシスコ知事ギルシット氏は、排日運動を制止する為に全力を尽くしている。サンスランシスコ州議会下院の情勢は、賛否各38名であり、中立3名で討議は延期された。

巴爾幹時局 28日上海経由ロイター社発

土耳古の通知 トルコ政府はブルガリアに対し、トルコが軍事的に重量な地点を占領しようとしている疑いは、全く根拠のないものであり、その為ブルガリアが最近行ったやり方は、実に自ら重大な責任を負わんとしているものであると通知した。

形勢愈再変(土地所有禁止案成立か) 27日桑港特派員発

カルフォルニア州議会は、一旦排日議案が不成立となると思われ、少なくとも上院では否決される事が明白であった。しかしその後大統領及び国務卿から、カルフォルニア州の土地禁止案は、日本人のみを目的とせず、市民以外全ての外国人に適用し得る事とするならば、制定は差し支えなしと助言して来た。その為情勢は再び変化し、全ての外国人に適用し得る土地所有禁止案を成立させるべしとの議論が、現在非常に盛んとなった。

 

130日

桑港新聞の態度 28日桑港特派員発

サンフランシスのクロニクル新聞は、ドリュー案を骨抜きとし、一般的外人土地所有禁止案にしようとする州議会の情勢は、到底成立の見込みが無いと報じ、且つその社説には如何なるものであるかを問わず、現在間接的であっても排日議案らしいものを制定する事は得策でないと再び論じた。

対日軍備冷罵 同上

サンフランシスコのコール新聞は、連日の紙上で、ハースト氏の対日軍備拡張論を冷罵、痛撃している。

巴爾幹問題趨勢 29日タイムス社発

ロンドンタイムス紙は、露国が列国に送付した提議に極力賛成した。この露国の提議は、トルコとブルガリア両国の軍事的行動を非難し、友好的協商を両国に勧告する事に付いて、列国に同意を求めたものである。そして最も信頼すべき筋の報道によれば、英国外相サー、グレーは、巴爾幹問題が結局平和に解決されるであろうと確信しているのみならず、オーストリアの政治家もまたこの問題の速やかに解決される事を希望していると述べている。

英独関係論評 29日上海経由ロイター社発

独逸コンミュニック紙は、宮廷の意を受けて、英国皇帝及び皇后陛下のベルリン訪問は、大国民に相応しくない英独の誤解を消滅させるであろう。英国は、従来唯我独尊主義を遂行して、強大国となった。独逸が英国と同様にこの主義を採る事は、正当な権利であると説き、最後に誠実に正直に他国と握手する事について、独帝の例に倣う事を国民に勧告した。

 

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英国海軍拡張論 30日タイムス社発

ロンドンタイムスは、欧州列強の海軍拡張計画案を攻撃し、英国は1909年に於いて、少なくとも6隻の戦艦の建造に着手し、1910年には、更に6隻の建造に着手しなければならないと主張した。

解説:独逸は、テルピッツ提督の下に海軍拡張計画を推進しており、英国は欧州での優勢を維持する為に2強国標準と言われる海軍政策を採っている。つまり二つの強国である独逸とフランスを合わせた海軍力以上の勢力を維持しようとしていた。

排日案の帰着点(在留日本人状態調査) 29日桑港特派員発

カルフォルニア州議会の排日問題は、知事の意を受けて先ず1万ドルを支出し、州の労働調査委員会によって、カルフォルニア州在住日本人の状態を調査させなければならないとの議案を可決した。その他には何等の議案も成立させない事にほぼ両院首脳の意見が一致したものと思われる。

日本人の減少商務卿言明 同上

商務卿ストラウス氏は、加州選出の上院議員フリント氏に対し、一昨年度中に日本人が入ってきた者は12千人であったが、昨年度は1千人に過ぎない事実を挙げて、前日発表した統計が事実であり、在米日本人が減少している事を告げた。

解説:当時のヨーロッパからの白人の移民は、年間100万人を超えていたにも拘らず、プアーホワイトにとって、少数の日本人移民が大きな存在となっていた。これは、日本人が勤勉さ、有能さを発揮し、如何にカルフォルニアの大地にしっかり足場を固めたかを示していると思われる。