明治41年6月の世界情勢

主要記事

期日 日本関係 期日 露清関係 期日 英米関連 期日 独仏その他関連
6月12日 又復日本人迫害 6月3日 清国移民問題再燃 6月1日 英吏殺害犯人処刑 6月11日 摩洛哥僭王入都 
6月15日 日本移民満員 6月13日 英露関係現情 6月1日 新三国同盟説  6月16日 摩洛哥官兵叛乱 
6月23日 加奈陀移民問題 6月17日 南阿東洋移民 6月2日 印度蕃賊鎮静  6月16日 欧州国際政局観
6月30日 日本漁業家窮伯  6月25日 清国学生上陸制限  6月2日 英吏殺害者減刑  6月20日 摩洛哥叛酋即位
        6月6日 印藏通商条約  6月28日 波斯内乱続報
        6月10日 印度叛立運動取締  6月28日 摩洛哥僭王書簡
        6月10日 回航艦隊先発  6月29日 波斯国王詔勅 
        6月27日 南阿印度人運動    

世界情勢

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英吏殺害犯人処刑 31日上海経由ロイター社発

カイロ来電―54日報道の英官吏スコット、モンクリフ殺害事件は、審判の結果、12名を死刑に、8名を終身懲役刑に処し、3名は無罪放免の言い渡しを受けた。

解説:当時エジプトは英国の保護領であった。

新三国同盟説 30日桑港特派員発

パリー来電―佛国の官民は大統領に対する英国の誠実な歓迎を深く喜んでいる。佛国外務省の一官吏が英佛両国の間には文書の上に於いてこそ同盟協約が無いが、精神的同盟は既に成立している。何人もこれを傷つける事は出来ないと明言している。それにも拘らず、一般の世論は、英帝及び佛国大統領が露帝を訪問した後、英、仏、露三国同盟の成立を疑わず、そしてこの三国同盟は日英同盟と共に両半球平和の確保になるであろうと確信している。

解説1914年の第一次世界大戦まで後6年  三国同盟は成立していないが、露佛同盟、英露協商、英佛協商による三国協商と呼ばれる関係で第一次世界大戦に突入した。

回航艦隊消息 同上

大西洋艦隊第一戦隊コネチカッタ以下3隻は、スペリー少将の統率の下に今夜か明朝、タコマから当港に帰航するであろう。残余は北方諸港に於いて船底の修復を行う筈

 

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印度蕃賊鎮静 1日タイムス社発

インド国境のイスラム教徒番賊の討伐は終了した。ボハイダクに於ける敵軍の城壁は、敵が大いに防戦に努めたが遂に英軍の手で破壊され、その他各種族全ても充分に被害を蒙った。そして英軍は現在インドに向かって引上げ中である。

英吏殺害者減刑 1日上海経由ロイター社発

英官吏スコット、モンクリーツ氏の殺害犯人中、死刑の判決を受けたものは、今回減刑して終身懲役と決定した。

解説:昨日の記事の続報

革命党行動探偵 同上

ニューヨーク来電―数名の英国情報員は、ニューヨーク在住のインド革命党員の行動を調査中である。なおこの革命党員の中にはチャンゲル協会及びその他のアイルランド団体と密接な関係がある者が数名いる。

 

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清国移民問題再燃 2日タイムス社発

バンクーバー特電によれば、今回数百名の清国移民が到着した為、例の人種問題が俄かに騒がしくなった。そして今後なお多数の清国移民が渡来する様であるので、バンクーバー清商組合は、香港商人団体に打電し、移民の渡航を制止する事を求めた。又労働大臣は、昨年9月の暴動に関し、支那人の提出した損害賠償額を審査中であるが、支那人は日本人よりも多大な損害を受けたにも拘らず、その損害賠償額は、日本人の要求よりも相当穏当である。

 

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摩国外相哀訴 3日タイムス社発

タンジール来電―モロッコ外務大臣は、アブダルアジス王に代わって、モロッコが現在の状況になったのは、一に改革と文化輸入の為に尽力した結果であると称して欧州列国の同情を求めた。

摩洛哥と独逸 同上

パリー来電―独逸はモロッコに於ける佛国の行動に干渉する模様はない。もし同国が干渉を企てるならば、佛国は関係列強に向かって訴える事になるであろう。

解説:モロッコは佛国の保護国であるが、現在内乱が発生している。

清国移民問題 3日上海経由ロイター社発

バンクーバー来電―当地清商組合は、カナダ労働次官マッケンジー、キング氏の勧告に基づき、香港の商人組合に打電して、清国移民の英領コロンビアへの渡航を制止する様要求した。又他の清国諸条約港にも同一の檄文を送った。又清人排斥協会は、今回清国移民が増加した結果、盛んな活動を開始した。

日米関係と高平大使 2日桑港特派員発

高平大使は、新聞記者に対して日本政府は新たな方法によって移民の渡航を制限中であり、施行して間が無いのでまだ十分な効果が現れていないが、米国への移民はますます減少すると思われる。米国政府は未だかって日本政府の移民取締まりに関して、その誠意を疑った事は無く、両国の親善関係は百年不易である云々

解説1924年移民法で日本人の移民は禁止された。

 

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露国海軍改革論 4日タイムス社発

露都来電―下院海軍予算委員は、熱心な討議の上ロシア帝国の防御を目的とする有力な海軍の再興に賛同する旨を報告し、同時に海軍省の失策を一つ一つ指摘した後、大規模な建艦計画を議会に提出する前に、先ず海軍の行政を改革する必要があると主張した。

 

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波斯王出奔 5日タイムス社発

テヘラン来電―ペルシャ国王は、先に免官した寵臣を始め、多数の守衛に守られて、突然当市を出発した。多分国外に出奔するつもりではないかと噂されている。

解説:ペルシャは北半分はロシアの南半分はイギリスの勢力圏となっており、現在内乱が発生している。

印藏通商条約 4日ベルリン特約通信社発

インドとチベット間の通商条約がロンドンに於いて調印を終わった。チベットに於ける商業の特権はこの条約により英国に保障された。

摩国僭王の要求 同上

モロッコの僭王は、列国領事団がフエツズに復帰する事を要求した。

解説:フランスの保護国であるモロッコに内乱が発生しており、僭王が優勢の様である。

 

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印度革命運動論評 6日タイムス社発

前東ベンガル知事サー、ジョセフ、フーラー氏は、ロンドンタイムスに注目すべき投書を行った。氏は、先ず冒頭にインドに於いて謀叛的革命的精神の迅速に勃興伝搬する由来を記述し、次いで政府の処置が非常に臆病に失して、秩序を維持する事ができず、却って敵の勢いを鼓舞して味方を失望させた事を攻撃した。ロンドンタイムスは、これに就いて英国のインド統治策が不思議に臆病になっていると言明し、政府は速やかに断固たる方法によって土民の叛乱運動及び殺人を奨励するインド新聞を処分すべしと主張した。

 

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排清暴動償金 8日タイムス社発

バンクーバー来電―カナダ労働次官マッケンジー、キング氏は、バンクーバー事件で遭難した清人の損害補償に関する調査を終了し、且つその要求額5千ポンドを極めて妥当と見なし、この支払いを政府に要求した。なおカナダ政府が支払う東洋人排斥暴動事件の賠償総額はこれで1万ポンドに達すると思われる。

 

610

印度叛立運動取締 9日タイムス社発

シムラ来電―インド立法参事官会は、爆発物及び新聞取締法案を通過させた。この討議中総督は、刑法に違反する印刷物の配布は、あくまでもこれを禁止する意思である旨を宣言し、且つ今後更に一般的に新聞を取り締まる法律案を提出するであろうと暗示したが、土民側の参事員も亦、この際適切な行動をとる必要がある事を承認した。

印度新聞条例評 同上

ロンドンタイムスは、インドに於いて新たに制定された新聞条例を次の様に論評した。

甚だ不十分の誹りを免れないが、インド新聞の乱暴な言論自由権の乱用を防止する点に於いて、はるかに数百件の新聞告訴に勝るであろう云々

新気球試乗 同上

ベルリン来電―ツェペリン氏は新軽気球で当市とコンスタンス及びボーンスとの間を往復しようと計画中である。なお同気球は無事に数回の試験を済ました。

解説:ツェペリンの気球は、この後発展していったが1937年アメリカで着陸中に火災の為に墜落したヒンデンブルグ号事件が発生し、定期旅客航路の運航は中止された。

回航艦隊先発 9日上海経由ロイター社発

米国戦闘艦メーン、アラバマの2隻はサンフランシスコを出発してホノルルに向かった。その後順次マニラ、スエズ方面に巡航する筈である。

又米国内務卿ガーフェルド氏はメーン号に便乗し、ホノルル市に向かったがその目的はハワイ移民問題の調査にある由

 

611

摩洛哥僭王入都 10日上海経由ロイター社発

モロッコ僭王ムラフイドは、堂々とした行列を整えてツエツに入城した。

解説:フランスの保護国であるモロッコでは内乱が続いていたが、叛乱側の僭王が優勢の様である。

英露関係と露紙 同上

露国諸新聞は、一般に英帝の露国訪問を歓迎した。その好例とも見るべきは、半官報ノオウレミヤの社説である。同紙は、英露両国は今や冷静公明な態度を以てアフガン、ペルシャ、チベット等の諸問題に対するに至り、軍用鉄道用資材は空しく両国境に横たわっている。又アフガンは今や両国の経済的利益が一致する有力な要素となることができるであろうと論じた。

波斯紛憂 9日ベルリン特約通信社発

ペルシャの官兵は、テヘランに向けて進軍中である。高官は捕縛され、議会は威圧され、守旧派の知事が新たに任命された。そして露軍はペルシャに侵入するであろうと期待されている。

解説:ペルシャの北部は露国の、南は英国の保護領である。現在内紛が続いている。

 

612

波斯革命運動 11日タイムス社発

テヘラン来電―昨年12月と同様の事件が再び起こった。武装した数千名の国民党員は議会を包囲し、国王の政策に反対する準備を行った。その為官兵はこれらの煽動者を鎮圧するために、武器を携帯した全ての者を捕縛するよう命令された。なお革命的檄文が市内各所に張り出されているのが見える。

又復日本人迫害 11日上海経由ロイター社発

米国カルフォルニア州ロスアンゼルス郡スイカ産出地方に於いて、若干名の白人が日本人所有の荷車を破壊し、車内に居た数名の日本人を傷つけ、又日本人の群衆に石を投げて同じく数名を負傷させた。これは或る白人等が、日本人が同地に居る事を好まない結果である。数名の白人の犯罪嫌疑者がその後捕縛された。

613

英露関係現情 12日上海経由ロイター社発

レヴォルのロイター社通信員が露国側の或る確かな筋から聞いた所によれば、露国外相メスボールスキー氏及び英国外務次官ハルデンジ氏の数回の会見は、1907年の英露協約が各種問題の進展上に良好な影響を示している事、現在両国の意見は依然として完全に一致しており、特にアフガン、ペルシャの問題に於いて最も顕著である事及び両国は共に各国と親密な関係を維持しようと希望している事を示している。

運賃引き上げ延期 11日上海経由ロイター社発

当市日本人雑貨輸入商の連合運動はその効果があり、贅沢品の鉄道運賃引上げは来る101日迄延期となった。

 

614

波斯王党勝利 13日タイムス社発

テヘラン来電―ペルシャ国王は、議会に最後通告を行い、若し武装した国民党が2時間以内に解散しないならば、政府は武力を用いるであろうと通告した。そして議会は国王の要求に屈服し、議院を防護していた国民党は退散した。

英国新戦艦設計 12日上海経由ロイター社発

デイリー、テレグラフ紙のポーツマス通信員の報道によれば、同軍港に於いて来る9日、戦艦聖インセントの進水後引き続き更に戦艦1隻の建造に着手する筈である。この新造戦艦は、2万5千トンであり、13インチ半砲を装備し、多分ガス機関を装備して煙筒を使用しない計画である。建造費は2百25万ポンドを要する予定である。

摩洛哥の形勢 13日上海経由ロイター社発

モロッコ僭王ムレイハフイツドのフエツ入城は、同国の情勢に非常な影響を及ぼし、佛国その他の列強に再びその地位を考慮せざるを得ない事になった。

解説:6月11日の記事の続報

 

6月15日

英国の清人水夫排斥 13日上海経由ロイター社発

国務院長チャーチル氏は、英国海員代表者に対し、政府は英国船に清人水夫の雇用を黙認する意思がないので、清人が英国臣民であると証明しないのであれば、これに英語試験を課するとの新規則を起草したと語った。

日本移民と共和党 13日桑港特派員発

共和党の綱領に、日本労働者排斥の一項があるとの説が、非常に日本国民の感情を害したと朝日新聞の社説にあった。その詳細について東京より電報があり、米国人の注意を引いた。綱領の中で日本人排斥に関して、何ら言及されていないとの説もあるが今だ詳らかでない。

日本移民満員 同上

カナダ政府は、本年の日本移民は既に先頃協定した人員4百名に達したので本年は最早1名の移民も送らないよう日本政府に通知した。

 

6月16日

対清賠償支払 15日タイムス社発

バンクーバー来電―労働大臣は、昨年9月の東洋人排斥運動で損害を受けた支那人に2万5千9百90ドルを支払う事に同意した。

東洋人排斥協会は、再び活動を開始した。又諸新聞は本年始めから日本人で入国した者は既に618名に上っていると称し、日本人は早くもレミュー大臣との協約を破っていると主張した。

摩洛哥官兵叛乱 15日上海経由ロイター社発

モロッコ正王アブダラジズの軍隊はアルカザルに於いて叛乱を起こし、僭王ムライハフィドをモロッコ王であると布告した。

欧州国際政局観 15日桑港特派員発

独逸は飽く迄英仏露三国同盟の成立を信じ、不愉快極まりない様である。これに関し佛国外相ビション氏は、次の様に述べた。我々が英国と協約し、露国と同盟したのは、三国の政策の帰着すべき所に帰着したに過ぎず、今後の発展は自然の成行に任す外はない。又ロンドン電報は、英帝の目的はその在位中或る目的に限り、英仏露三国協約を成立させる事であり、しかしこれは非独逸同盟では無いと述べている。なお独逸新聞は、我々は我々の安全を危うくする国際的結合に対して適切な手段を取らなければならないと遠慮なく述べた。

解説:1914年の第一次世界大戦まで後6年

 

6月17日

摩洛哥内乱後報 16日上海経由ロイター社発

モロッコ僭王ムライハツイドの仲間は、アルカザル市に於いてモロッコ陸軍教官を捕縛し、これをフエツ市の監獄に投獄した。

南阿東洋移民 同上

ブレトリア来電―トランスバール知事セルボーン伯爵は、議会開院式の演説に於いて、3万1千百57名の清人は既に帰国し、土民労働者の供給も充分であり、鉱山は従前に比較して健全な状態である。又9千72名に上るアジア人居留民全部は譲歩の結果、既に随意で姓名の届出を行ったと言明した。

解説:大量の南アの清国人労働者が排斥された。その他南アの北に位置する独逸領南西アフリカにも清国人労働者が働いている。

排日運動 15日桑港特派員発

当地のアジア人排斥協会は、議会での報告演説に於いて、下院議員が過半数を制した次期議会で日本人排斥案の通過の見込みが十分あると聞いた。そこでこの目的を達するには是非法律の制定をしなければならないとの見地から、シカゴで開会の共和党大会に対して電報で排斥案を決議する様要請した。

 

6月18日

波斯憲政危機 17日タイムス社発

テヘラン来電―ペルシャ議会の議長は、上奏文を国王に送呈した。国王は、朕が今座っている王位は祖先が武力によって得たものである。朕は武力に訴えずしてこれを失う事は出来ないと答え、且つ答弁は文書にして送る事を約束した。

玖馬選挙形勢 同上

ワシントン来電―キューバに輸送されるであろう多量の弾薬がニューヨークに於いて没収されたにも拘わらず、キューバ知事マグーン氏は同島の選挙の形勢を楽観視して、今回の選挙は平和に行われると報道した。

波斯不穏 17日上海経由ロイター社発

テヘラン府駐在英国代理公使は、同府の人心は非常に激昂し、不安な情勢であるが、未だ居留外国人の生命、財産、利益等に危害を及ぼす憂いは無いであろうと通報した。

 

6月19日

阿州の亜細亜人排斥 18日上海経由ロイター社発

大体に於いてトランスバールの法律に倣って、唯二三の変更を加えたのみである居留アジア人姓名登記法案は、今回アフリカ州ローデシア議会に提出された。

解説:6月17日南阿東洋移民に関連記事があるが、この中で南阿のトランスバールに於いては、既に清国人労働者3万1千157人が追放されたと書かれている。

日米問題と共和党 17日桑港特派員発

昨16日共和党大会に於いて、議長バロース氏が開会の辞を述べた中に、最近4年間に於ける共和党の姿勢に関し縦横に数万言を費やした後日米問題について次の様に言明し、満場の喝さいを博した。

昨年中、非常に人心を惑わしたけれども今や両国人民共に満足する解決を見た。両国政府の友好は仲裁条約の締結、日本の大西洋艦隊招待、これに対する米国の承諾及び米国の国会が以前外国の博覧会に支出した事がない150万ドルと云う多額の協賛金を可決した事により表示された。

 

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波斯政局危機 19日タイムス社発

テヘラン来電―ペルシャ国王は、議会と和睦する意思がなく、寧ろ再び専制政治を確立しようとしている模様である。又ダブリン市に於いては、婦人連がペルシャ憲法を防護する費用を寄付する為に宝石等を売り払いつつある。

タフト氏当選 19日横浜経由ロイター社発

ニューヨーク来電―シカゴの共和党大会は、第一回の投票に於いてタフト氏を同党の大統領候補者に選定した。

摩洛哥叛酋即位 19日上海経由ロイター社発

モロッコ僭王ムライ、ハツイドは、テツアン港に於いてモロッコ王に即位する宣言を行った。

 

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摩洛哥問題討議 20日タイムス社発

パリー来電―下院に於いてモロッコ政策の討議中、外務大臣ビション氏と社会党党首ジヨウシ氏間に激論が行われた。外務大臣は佛国が独逸の感情を無視したとの説を否定し、僭王ムライハフィドをモロッコ王と承認するや否やは佛国一国の意向に依らずして、欧州全体の意向に依ると答弁した。そして下院は社会党がモロッコ役の中止を切言したにも拘らず217票を以て政府信任を決議した。

 

622

清兵暴行事件経過 21日上海経由ロイター社発

パリー来電―清国は雲南での叛乱鎮圧について佛国の助力を感謝し、又佛領インドシナ国境の出来事については、深く遺憾の意を表すると同時に、同件の事実を調査する様要求した。そして佛国はこの要求を入れる意向である。

 

623

加奈陀移民問題 22日タイムス社発

バンクーバー来電―カナダ首相ローリエール氏は日本がもしローリエール協約を順守しないならば、カナダの日英条約加入を取り消すであろうと非公式に言明した。又アジア人排斥党は、最近7カ月間にシャトル、タコマに到着した日本人は3490名に上ったと称する新聞紙の憤懣した記事の為に非常に激昂している。尚又各移民の携帯金を200ドルと規定している新命令は唯インド人にのみ適用される。

佛清談判内容 21日北京特派員発

信用すべき筋の消息に依れば、佛国が雲南事件に関し要求した条件は、(1)加害者の懲罰、(2)10万テールの賠償、(3)総督の免職、(4)鉄道の損害賠償、(5)開原と西安間の鉄道敷設等である。しかし清国政府は断固としてこれを拒絶したと。

 

624

阿富汗武器密輸入22日ベルリン特約通信社発

シムラ来電―1908年になって、アフガンに密輸入された武器は、銃器3万乃至4万、その外弾薬多数に上る。ブラッセルス会議規程の「禁止区域」にマスカット市をも加えなければ、この密輸入商売は今後も継続するものと考えられる。

摩洛哥問題浮説 22日ベルリン特約通信社発

ムレイ、ナツイドを無理にモロッコ正王と承認させるため欧州列国は、海軍による示威運動を行おうとするとか、タンジールに佛西連合軍を上陸させる計画があるとか、又は再びモロッコ問題について列国会議を開催する儀がるとか種々の風説がマドリードに伝えられるが、独逸外務省はこれらの風説を一切否認している。

 

625

波斯櫌亂 24日タイムス社発

テヘラン来電―帝室砲兵隊は議会を包囲し、国民党員達に不意打ちを加え発砲し、2時間の後にこの議会防護隊を潰走させた。又議会礼拝堂及びチルシサルタン宮殿等は完全に略奪を蒙り、且つ半ば破壊された。国民党員の死傷者は、数名の代議院を始めとして約70名に上った。

清国学生上陸制限 23日上海経由ロイター社発

入国税3百ドルを納付する清国学生に限りカナダ上陸を許し、且つ同税はこの学生が修業年限を終了した後にこれを返還すると規定した新移民法案は、カナダ下院を通過した。

加奈陀移民税引上 23日ベルリン特約通信社発

カナダ行きインド移民に課せられるべき入国税は、2百ドルに引き上げられる。なお本年度に於ける同国行き日本移民は、既に定数に達している。

 

626

波斯国民党絞刑 25日タイムス社発

テヘラン来電―ペルシャ国王は下院国民党首領2名を絞首刑に処した。レシュド知事は砲撃を加えられて敗走した。又英国公使館内に避難した逃亡者を銃殺しようとペルシャ官兵は、同公使館への通路を警備している。

波斯内乱と英露 25日上海経由ロイター社発

ロイター社の得た情報に依れば、英露両国はペルシャの内政に干渉する意思が無いのみならず、特にこれら関係者に対して、王制転覆の運動若しくは議会干渉の計画も共に英露両国の援助を期待してはならない旨通告した。

又ペルシャ国王は、十分秩序を維持するつもりであると英露両国代表者に誓約した。

 

627

波斯内乱形勢 26日タイム社発

テヘラン来電―守旧派は大いに勢力を振るっている。捕縛、略奪は引き続き行われ、又全ての新聞は皆発行停止を命じられた。

国王の叔母が自殺した。

露都来電―政府部内では、ペルシャの情勢を楽観視している模様である。又一般大衆は英露協約がペルシャ国王の守旧的な政策を上手く制止するであろうと信頼している。

南阿印度人運動 25日上海経由ロイター社発

南アのヨハネスブルグに於いてインド人1000名が集会を行い、政府が1月に行った妥協の精神を放棄しようとしている事を悲しみ旨の決議を行った。又政府が申し出た諸条件を否認し、同時に上記妥協の下で行った登録出願書を撤回し、そして寧ろ法律に違反して甘んじて処罰を受けると決議した。

 

628

波斯内乱続報 27日タイムス社発

テヘラン来電―ペルシャ国王は全国に戒厳令を布告し、露国大佐リアコフは十分厳重に人民を扱う権限を付与された。又投獄者は時々刻々増加し、過酷な拷問を受けつつある。

摩洛哥僭王書簡 27日上海経由ロイター社発

モロッコ全体は自分の味方であると称して、同時に独逸の助力に依って同国の秩序を回復する事を希望するモロッコ僭王ムライハフィドの書簡がベルリン外務省に差し出された。

金剛石発見 26日ベルリン特約通信社発

ドイツ領南西アフリカのラウデリツツ湾に於いて、15kmに亙る大金剛石鉱が発見された。

解説:ドイツ領南西アフリカは英国の植民地である南アの北側に位置する。ホッテントット族が住んでいた。

 

629

波斯国王詔勅 28日上海経由ロイター社発

ペルシャ国王は、詔勅を発し、先にアンジュマン人等が盛んに煽動を行った為に、これら交戦的な徒を捕縛する旨決定したが、議会はこれに反対した。よって向こう3カ月間議会を解散する事に決定した。そして3カ月後に正義、正直で愛国心に富む議員を選出させるべしと宣言した。

民主党と日本人問題 27日紐育特派員発

最近民主党に属する者で日本人排斥の決議をする者が此処彼処に生まれている。これは大統領選挙に対して、労働者の御機嫌を取る為であり、固より歯牙に掛けるに足らずと言えども民主党の綱領には必ずこの条項が加わるものとおもられる。

 

630

波斯紛乱形勢 29日タイムス社発

テヘラン来電―人民は絶対絶命の悲境に陥り、兵士は暴行の限りを尽くしている。そして露国陸軍大佐リアコフは絶対的権力の総督として権力を振るっている。

日本漁業家窮伯 28日桑港特派員発

 

英領コロンビア州庁は、これまで許可して来たフラザー川の日本人に対する漁業許可証を、英国臣民でないとの理由で拒否した。同胞は一方オタワの総領事館及びカナダ連邦政府に嘆願すると共に来月開廷の裁判所に帰化する事を訴え出る筈であるが、オタワ政府及び総領事館から何等の指令もなく、裁判所は厳格に調査し容易に帰化を許さない。仮令許可した場合でも71日開始の漁業季節に間に合わないであろうと大恐慌を起こしている。