明治41年2月の世界情勢

主要記事

期日 日本関係 期日 露清関係 期日 英米関連 期日 独仏その他関連
2月1日 加奈陀議会と日本人問題 2月7日 清国阿片問題 2月2日 印度問題討論  2月5日 葡王暗殺と社会党 
2月1日 排日運動益熾  2月19日 米国と支那問題  2月3日 英独海軍競争  2月7日 摩洛哥の其後
2月6日 亜細亜人排斥大会  2月21日 米国と満州 2月8日 比律賓独立案  2月16日 摩洛哥王の希望 
2月8日 排日同盟大会決議別報 2月22日 極東に於ける米国の通商  2月9日 英露協約論評 2月18日 摩洛哥事件後報
2月8日 排日法案通過  2月22日 旅順降将判決 2月13日 回航艦隊通峡 2月21日 摩洛哥戦報 
2月14日 在外同胞の襟度     2月18日 印度反乱  2月25日 摩洛哥の佛軍又敗る 
2月15日 排日法案と日本人     2月26日 英国海軍政策 2月26日 摩洛哥問題と佛国
2月15日 排日解熱剤     2月26日 タフト卿の国防論 2月27日 印度飢餓惨状 
2月16日 加奈陀政府の決心     2月27日 印度飢餓惨状  2月28日 公果虐殺避難 
2月18日 加奈陀政府の誠意            
2月20日 米国新聞論調一変             
2月20日 排日熱依然たり             
2月21日 日本移民減少             
2月23日 排亜示威運動            
2月24日 日本人放免             
2月29日 飽迄も日本人排斥            

世界情勢

2月1日

排日熱益熾 30日タイムス社発

サンフランシスコ来電―排日的感情がますます盛んとなり、掃除に雇われている日本人の中で、子供より石を投げられたものが数名いる。

加奈陀議会と日本人問題 30日上海経由ロイター社発

カナダの下院は、移民監督権を議会から奪おうとする条約に反対する動議を否決した。首相ロウリエル氏は、本案の討議の際、英帝国の利害に訴えて、日本人に反対する人々は、戦時に日英連合軍がカナダの海岸を防御する時のみ日本人の入国を許す積りかと熱く訴えた。

今日の友は明日の敵 31日上海経由ロイター社発

独逸海軍法案は、帝国議会の第二議会を通過した。海軍の拡張は英国を目指すものであると反対した社会党党首ベーベル氏の演説に答えて海軍大臣テルピッツ氏は、独逸がその海軍の勢力を強くするのは「今日の友は明日の敵となるかも知れない」との格言に基づいている。しかし英国との紛争原因となる様な事は、現在如何なる方面に於いてもこれを見つける事は出来ないと言明した。

解説:第1次世界大戦まで6年

排日運動益熾 29日桑港特派員発

ロスアンゼルスに於いて激しい排日運動が起こり、2百余名の日本人家内的労働者が解雇された。太平洋沿岸全体を通じ、排日運動が熾烈になろうとしている。

 

2月2日

印度問題討論 1日タイムス社発

英国下院に於いて勅語奉答文の議事に際し、インドの行政を激しく非難した修正案を自由急進派から提出された。同修正案は、インドの行政に対して殆ど革命的な改革を要求し、インド議会を設置し、州議会並みに植民地式の自治制度を許可しようとするにある。インド事務大臣モーレー氏は、ごく軽くこの議論を受け流し、最近実施された改革の重大である事を指摘し、議員の多数は明らかに同大臣の弁明に満足したので、前記修正案は終に撤回された。

解説:インドは第2次世界大戦後の1946年独立した。

葡萄牙王父子暗殺さる 2日ロイター社発横浜直電

ポルトガル国王及び皇太子が暗殺された。

回航艦隊消息 1日桑港特派員発

米国太平洋回航艦隊は、マゼラン海峡の入り口にあるポツセーション湾に31日夜仮泊した。

ワシントン来電―艦隊がマゼラン海峡に近づいた時2名の日本人がブータレーナに現れたと海軍社会の注意を引いた。

 

2月3日

葡王暗殺悲劇 3日タイムス社発

ポルトガル国王及び皇太子暗殺の悲報は、欧州列国を震撼させた。皇后陛下に対し列国は深甚なる同情を表した。一般の推測によれば、兇漢は無政府党員の様であり、しかもある一部の人々は、この兇漢はポルトガルの不平党が他国から雇い入れたものであると確信している。

英独海軍競争 同上

英国新聞に現れた論説及び多数の投書により判断すると、今回独逸政府が帝国議会に提出した新海軍計画案は、英国人に非常に激しい反応をもたらし、疑いもなく英国人の奮起心を非常に鼓舞した様である。現にロンドンタイムスは、その社説で英国はあくまでも海上の優越権を維持する決心である事を、英独親交の為に独逸が承知している事を希望すると論告した。

 

2月5日

葡王暗殺と社会党 4日上海経由ロイター社発

独逸帝国議会に於いて、議長はポルトガル国王及び皇太子の遭難に対して弔意を表し、この様な凶行の忌むべきを述べた。社会民主党は議長のこの演説中に皆議場の外に出た。

佛国代議院議長も亦同様の意味で弔意を述べたが、社会党の議員はこれ又武断政治に徴発されたものであると呼号して、議長の演説に反抗し議場は非常に喧騒を極めた。

 

2月6日

米国回航艦隊増援 5日タイムスア社発

ワシントン来電―米国海軍省は更に若干の新造戦闘艦及び巡洋艦をエヴァンス艦隊に付け加えて、その勢いを援けようと計画している。そして同艦隊が帰航の途に就く時にはかなり多数の艦隊をマニラに残留させるものと思われる。

亜細亜人排斥大会 4日桑港特派員発

アジア人排斥大会が昨日からシャトルで開会した。来会者は、サンフランシスコ、バンクーバー、ポートランド及びその他太平洋沿岸諸都市の代表者150名であり、シャトル市長モーレー氏の開会の辞、その他演説が行われ1日が終わった。同会はサンフランシスコの日韓人排斥協会会長トベチモの指揮の下で、国会に全ての東洋人排斥に対して激烈な行動を取らさせる為、沿岸全体の民心を結合させる事を目的としている。会議は4日間の予定である。

 

27

排日同盟大会 6日タイムス社発

サンフランシスコ来電―太平洋沿岸の各地に散在するアジア人排斥同盟会の委員がシアトルに大会を開いた。出席者の多数は常に過激な議論を唱えて労働者を扇動する事を職業とする人々であり、何れもアジア人を完全に排斥する事に同意している。米国労働者同盟の代表者はこの大会に於いて悲憤慷慨の演説を行い、日本人が続々と渡来する結果、黒人問題より十倍も緊急な人種問題を惹起しており、若し今この移住を防止しないならば、今後25年の間に太平洋方面は日本人の手に支配される事になるであろうと断言した。

摩洛哥の其後 同上

タンジール来電―モロッコ内地の反乱を鎮圧中である佛軍と土人の戦闘は、終に五百名の死者を出して土人の敗北に終わり、今は土人も佛軍に抵抗する事は無益であると悟った模様である。

清国阿片問題 6日上海経由ロイター社発

ロンドン監督は、英国と清国と協同して阿片の消費を制限する義務があることを切望する決議案を、開会中の僧正会議に提出し、且つ上海支那街の阿片店舗が既に閉鎖された現在、外国居留地の阿片店舗がなお閉鎖されていない事は、誠に恥ずべき事実であると言明した。

解説:僧正会議とは英国国教の司祭会議と思われる。

 

28

排日同盟大会決議別報 6日桑港特派員発

シャトルで開かれたアジア人排斥同盟大会は、国会に対し次の請願を提出する旨決議した。

全てのアジア人を本土及び属領地から絶対に且つ有効に排斥する法律を直ちに制定する事を望む。又当局者が外国主権者と移民問題について協議する事に抗議する。この様な協議は国権を損じ、国民の権利を犯すものである。移民入国問題は、国内法で規程すべきものであり、国会の権限内に属す。又当会は、政府がアジア人を軍艦その他に使役する事を禁止する法律を制定する様望む。

同会は明年3月、更にバンクーバーで開く事を決議して閉会した。

排日法案通過 同上

全ての移民は、英語その他の欧州語の読み書きが出来る者でなければ、上陸を拒絶すべきであるというナタル法に似た移民排斥案が昨5日、英領コロンビア州議会を通過し、直ちに批准を請う為に知事に回付された。同案が日本人を目的とする事は明白であり、直ちに施行する為、議会は係官の任命、その他の準備を行った。しかし前回同様に批准されないであろうと一般に信じられている。

解説:ナタル法は英領南アフリカでの移民禁止法と思われる。

比律賓独立案 6日ニュヨーク特派員発

5日、米国上院議員の一人がフィリピン独立案を提出した。提出者は共和党議員であり、この案を以て民主党と戦うべきであると主張している。これより先、フィリピン議会の決議により、比島を代表して2名が來米しており、彼等は既に上院の決議で米国議会に参列の特権を得て以来、大いに運動してきた。その結果本案の提出を見るに至ったものであるという。ともかく同島を米国議会が持て余している事は事実であるので、或いは議会の大問題となるかもし知れないと伝えられる。

2月9日

英露協約論評 7日上海経由ロイター社発

前インド総督カーゾン卿は、英国上院に於いて英露協約を公平に、次の様に論評した。

アフガンに関する取り決めは曖昧であり、チベットに関する部分は不出来である。そしてペルシャについての協約は、なお一層の不出来である。この協約によって決定された露国の勢力範囲は、経済上及び地理上に於いて相応しいものではない。又チベットのチョンセ条約に至っては降伏も同様であり、英国の屈辱とも言うべきものである。従来チベットに於いて英国が確実に有していた優勢な権力は今や地に落ちたも同然である。

解説:ロシアの南下政策は、極東では日露戦争の結果、日本により阻止された。アフガン、チベットでは英国と対峙している。ペルシャでは北半分はロシアの南半分は英国の勢力権とする協定が結ばれていた。

 

2月10日

比島まで来るべき米国艦隊 8日桑港特派員発

エヴァンス艦隊は、今秋フィリピンに到着する予定であるのでカピテ(軍港)に於いて、石炭その他軍需品の搭載準備をせよとの命令が下り、同所には13万トンの石炭が貯蔵されている。海軍省は艦隊が秋季にカピテに到着する事並びにその派遣艦隊は、エヴァンス少将指揮下の6隻又は8隻となるであろうと語った。

 

2月11日

米国労働者救済策 10日タイムス社発

ニューヨーク来電―大統領は更に労働者に関する法律の制定を勧告する教書を近々臨時議会に送る予定である。今や米国鉄道の貨物輸送が著しく減少し、同時に失業者の総数は逐次増加の傾向を示している。

解説:不景気と共にアジア人排斥運動が高まっている。

摩洛哥事件質問 8日ベルリン特約通信社発

去る月曜日、佛国代議院に於いてモロッコ王アブダル、アジス及び僭王ムレー、ハフネッドが独逸政府に向かって運動した顛末に就いて質問が起こり、佛国政府はその受けた報告により、これに答弁した。

摩洛哥騒乱後報 同上

モロッコに駐屯する佛軍司令官ダマード子は、戦いながら進軍し終にセッターに到着した。しかし未だ同地を占領するまでには至っていない。

 

2月13日

摩洛哥と独佛 11日タイムス社発

パリー来電―佛国外務卿ビション氏は、議会に於いて佛国の対モロッコに関する社会党の攻撃に答えて次の様に述べた。モロッコの二王が独逸の関与を得るが為に、同国政府に求めた事があったのは、非常に誇張された説である。この件に関する独逸政府の行動は、正当であり且つ丁重であったと明言した後、同相は社会党の態度を非難し、これを以て愛国心を欠き、軍隊を侮辱するものであると説いた。

回航艦隊通峡 10日桑港特派員発

天候が険悪であるにも拘わらず、エバンス艦隊は、チリー軍艦の先導で無事マゼラン海峡を通過したとの情報があった。

解説:南アメリカ南端にあるマゼラン海峡は、船乗にとって魔の海峡と言われているが、大西洋から太平洋に出る為には通過せざるを得ない海峡であった。

 

2月14日

在外同胞の襟度 13日タイムス社発

ロスアンゼルス来電―当地在留の日本人は、回航艦隊乗組み将校及び水兵歓迎会に加盟する事を申し出たが、歓迎員はこの申し込みに同意し、且つ日本人の態度が非常に公明正大であり、称賛を禁じ得ない旨を特筆した決議案を可決した。同時に当地の有力な新聞は、筆を揃えて、排日運動の張本人を激しく非難し、彼等が全ての点に於いて白人に勝る日本人を排斥しようとする卑劣な心情を非難した。

摩洛哥問題と佛西 13日上海経由ロイター社発

マドリード来電―佛国政府はスペイン政府に公文を送り、軍隊をモロッコに派遣して、従来より一層活発な行動を採り、先頃カサブランカに於いて尽力したよりも更に多く尽力する事を要求した。しかしスペイン政府はアルゼリア条約による警察隊の組織を以て満足する事に決定した。

 

2月15日

排日法案と日本人 13日桑港特派員発

既電の英領コロンビア州議会を通過した英語又は欧州語を読み或いは書く者に限り上陸を許すと云うナタル法案と同性質の法案は、昨日知事ダンスピユル氏の承認を得、官吏の任免その他一切の準備が既に終わっている。この法律は、単に日本人を目的とする事は明らかであり、加賀丸で来た日本人268名がヴィクトリア検疫所に留置されているが、内125名はカナダ上陸者である。そしてコロンビア知事は許可したが、連邦政府は英帝国の利益に反するものとして、これを認可しないであろうと期待されている。

排日解熱剤 同上

スタンフォード大学総長ジョルダン博士は、当地で「日本」と題する演説を行い、宗教、政治、人情、風俗に言及して、日本人の根元は白人種であるが、欧人と雑婚したために変化したと言い、又日米戦争はあり得ない事として戦争熱の冷却に努めた。

解説:博士がどの様な理由で日本人は白人種であるとのべたのか理解に苦しむが、当時から特に太平洋岸では日米戦争論がしばしば語られていた。

 

2月16日

摩洛哥王の希望 15日タイムス社発

タンジール来電―モロッコ王アブダル、アシズは仏国兵の代わりにローマ法王の軍隊を同国に駐屯させるよう列国に向かって哀訴しようと考え中であり、その理由は、ローマ法王がモロッコに野心を持っていない唯一の主権者であると信じている事による。

僭王ムライハビツトは、その率いる軍隊の一部が統制に服さず佛国軍隊を攻撃した件に関して、佛国司令官に謝罪した。

加奈陀政府の決心 同上

カナダ政府は、コロンビア州議会の議決した移民条例を裁可しない旨を公然と言明し、日本政府に向かってカナダ政府は、コロンビア州にカナダに於ける日本人民の権利を妨害させない旨を通告した。

清国阿片問題 15日上海経由ロイター社発

英国外務大臣は、下院に於いてコウトン氏の質問に答えて、上海居留民会の結果を待って、居留地の阿片店舗に対し、何らかの措置を採る事が得策であると考える旨明言した。

 

2月17日

移民待遇小変 15日桑港特派員発

バンクーバー来電によれば、理由は不明であるが、コロンビア政府はナタル法による移民検査に手数料を徴収する事を突然中止し、昨14日シャトルから来た日本人2名は、検査の上許可されるも手数料は徴収されなかった。その前日シャトルから来た2名は、検査の上手数料1ドルづつ徴集されたが、多分返還されるであろう。

回航艦隊進行 同上

エヴァンス艦隊は、昨14日午後バルパライソを経由シ、ペルーのカラオに向かった。同国の大統領以下官民等送迎し、祝砲の交換などがあった。駆逐艦は14日午後チリーのモルトモントに安着した。

同胞の防御準備 同上

コロラド州デンバー市に於ける日本人排斥運動は、非常に激烈であり、多数の大会には乱暴が発生するかも知れず、同地に居る我が同胞は、短銃、サーベル類を準備しているとの急報があった。

 

218

加奈陀政府の誠意 17日タイムス社発

オタワ来電―カナダ連邦政府部内では、アジア人排斥案に対し不認可の指令を下している時に、コロンビア州民がアジア人に対し頑迷な排斥的態度を採った事を深く遺憾としている。連邦政府は、日本人に対し最も適切な保護手段を採る予定であり、連邦政府の官吏は若し日本人に対し不都合な処置がある場合には、法廷の保護を要求すべしとの訓令を受けた。

摩洛哥事件後報 16日ベルリン特約通信社発

スペインの軍隊は北部モロッコのメリラ付近にあるマルチカを一時占領した。

僭王ムレー、ハフイッドは佛軍の前進に反対し、この事をタンジール駐在の列国公使に訴えた。又正王アブダル、アジズはモロッコ銀行から250万フランを借り入れた。

219

印度反乱 18日タイムス社発

カルカッタ来電―アフリジ種族の反乱民が隊を組んで英兵に反抗し、哨兵及び護衛の任務を負う英兵を諸所で悩ましつつある。これら反乱民は、1897年反乱の当時より遥かに良い武器を携帯しているが弾薬には欠乏している。そして英国の兵力は彼らの反抗運動を撲滅するに余りある。

米国と支那問題 17日桑港特派員発

ワシントン来電―世人は移民問題について日米の危険を叫ぶといえども、両国の危険は移民問題にあらず、実は満州問題にある。

今や満州に於いて日本の割りこまんとする二個の楔がある。鉄道の特権及び境界問題がこれである。双方とも日本は是非目的を達成しようと努力中である。

タフト氏が昨年上海に於いて支那の領土保全の為に必要な場合には、米国はあらゆる手段を講ずるであろうと声明した時、如何に支那人が歓呼したかに思いを致せば、支那人の意中は又推して知るべきである。

そして米国は、エヴァンス艦隊に更に太平洋にある戦艦3隻、装甲巡洋艦8隻及び新戦艦3隻を以て、今秋、東洋に行き、改めて支那保全に関する列国の態度を問うであろう。もし支那が米国の後援により門戸を開放しないならば、米国は直接各国に抗議するであろう。日本の返答は、東洋における米国艦隊の勢力如何によると思考される。(長文の為一部略)

解説:米国は、人種問題でいち早く清国人を入国禁止にしたため、清国全土で米国製品の不買運動が起こっており、列国に比べて清国に対しては出遅れている。

日米戦争を予見する論文と思われる。

 

220

米国新聞論調一変 19日タイムス社発

ニューヨーク来電―諸新聞は日米関係に就いての高平大使の所説に同意する論評を掲げたが、その用語にも非常に注意を払っている。そのためこれら諸新聞の論評は、日米の紛争をさらに大きくさせようとする一派の勢力を十分阻止する事が出来ると思われる。そして日米共に誠意を以て交渉するならば良好な結果が得られるものと思考される。

排日熱依然たり 18日桑港特派員発

シャトル来電によれば、日本政府の探偵と思われる日本人2名が同地公園に於いて、熱心に地図を作製している所を発見され、新聞が騒いでいる。

又同地駐在米国連邦判事ハンフォード氏は、日本人入国に関する同所法廷の係争事件について、移民官がことさらに日本人を苦しめている事を発見し、なお調査の上で真相を大統領に報告すると言っている。これに就いて移民官は、最近日本人が詐欺手段で入国する為に、これを阻止する手段に過ぎないと述べた。

 

221

摩洛哥戦報 20日タイムス社発

パリー来電―その後のモロッコは、暫くの間静穏となり、且つ幾多の投降者を出した程であった。しかし最近、モロッコ種族は再び攻勢をとり、カサブランカから派遣された佛国の部隊を襲撃して、国内を横行し、2日間にわたり引き続き激しい戦闘を演じた。モロッコ種族は、7回佛軍を襲い、接戦の末に銃剣で撃退されたが、この戦闘に於ける佛軍の働きは実に目覚ましいものであった。なお現在敵の三種族が新たに進軍して来ており、遠からずして新たな戦闘が始まると思われる。

米国と満州 19日紐育特派員発

ワシントン通信によれば、米国政府は日本の満州経営に深い注意を払っている。商工務省への報告によれば、満州における米国貿易は非常に衰退している。日本は朝鮮を占有し、又早晩満州をも占有する意思があると思考される。国務卿ヘイ氏の満州門戸開放政策に同意した日本であるが、至って門戸を閉鎖する傾向がある。日本は満州から米人を排斥しようと努めており、そして支那政府は最近大いに米国に依頼する方針を採り、伍延芳(ごていほう)氏が近日着任の上は、必ず満州問題について日清米三国間に協議が行われると思われる。

解説:一昨日の米国と満州問題の記事と同じ主張である。伍延芳は、孫文らと革命を起こした外交官である。

日本移民減少 19日桑港特派員発

18日、内閣会議で商務卿ストラウス氏は日本移民の大減少を報告した。昨年1月約5千人であった日本移民は本年1月中、本土とハワイを合わせて僅かに971名である。

解説:日米戦争の恐れが指摘されていた移民について、どの位の数であったのか疑問に思っていたが、この記事によると最盛期には、一月に5千人の移民がいた様である。

 

222

極東に於ける米国の通商 21日上海経由ロイター社発

ワシントン来電―大統領ルーズベルト氏が清国の依頼を受けて、満州に於ける日本の政策に抗議を行うとの報道は、当地に於いて殆ど否認されている。日本が満州を管理する為に害を蒙るのは、米国よりも英獨その他諸国の方がはるかに大であり、これら諸国の東洋に於ける貿易額は、米国よりも多額である。故にこれらの諸国から苦情が出る事は驚くに値しない。米国は唯道徳上の援助を求める書簡を受けたのみと言う。そして米国が東洋に於いて足場を失いつつあるのは事実であり、その原因は主として米国政府が国内の鉄道会社に干渉した結果、ある種の商業が完全に中断した事による。

解説:東洋における足場を失った原因として、ある種の商業が完全に中断したとの意味は不明である。

旅順降将判決 同上

露都来電―旅順開城の軍法会議は、ステッセル中将に対し位階を剥奪せずに死刑に処する旨を宣告した。フォーク将軍は譴責に、レース、スミルノフ両将軍は釈放する旨の宣告があった。しかし軍法会議は改めてその武勇を酌量し、ステッセル将軍を禁固10年に減刑する事を奏請した。

 

223

排亜示威運動(日本人の対抗準備) 22日タイムス社発

バンクーバー来電―アジア人排斥派の気勢が非常に強く、彼等は今回の新移民法に対し、賛成の意志を表示する為に隊を組んで市中を練り歩き、一大示威運動を行う事を決定した。

労働者を搭載した2隻の汽船が日本から到着する予定であるが、市当局者は再び流血惨憺たる闘争が起こる事を気遣い、前記の示威運動を中止させようとして尽力している。

在留日本人は排日派の行動を憤り、暴力に対して暴力で報いる準備を行った。

コロンビ州排日法無効 22日上海経由ロイター社発

英領コロンビア州の司法長官は、新移民法は日本との条約に反するとの理由により、日本人に対して無効である旨を本日22日公示した。かくてカナダ連邦政府は、別に該案の不認可を通達する必要がなくなった。

 

224

日本人放免 22日京城特派員発

ナタル法に関し、試験的裁判提起の前提として起こされた人身保護法の手続きが終了し、ヴィクトリア移民官は、不法入国の嫌疑で逮捕された日本人を釈放する事を布告した。

なおカナダ連邦政府の弁護士グレゴリー氏は、コロンビア州移民官イードン氏に対し、日本人を言われなく逮捕し不法に拘留した嫌疑で損害賠償の訴訟を提起するようである。

 

225

アフガニスタンの好意 24日タイムス社発

カルカッタ来電―アフガニスタン王は、治下の各種族に対して、同国と親善な同盟を結んだ英国の軍隊に対抗して、印度の反乱兵であるザツカケル族を援助しない事を命令した。

摩洛哥の佛軍又敗る 24日上海経由ロイター社発

佛軍の二個縦隊は、モロッコの摘軍を要撃しようとして山地に於いて、手厳しい攻撃を受け、非常な窮地に陥れられた。弾薬が全て尽きた後、行く度かの白兵戦を交えて、からくも完敗を免れることが出来た。この戦いに於いて佛軍の戦死者は将校2名、卒7名、負傷者は将校3名、卒29名であった。

伍公使と支那人排斥問題 23日桑港特派員発

來任の途上である駐米支那公使伍廷芳(ごていほう)氏は、ホノルルに於いて同国人の哀願に対して、支那人排斥法の改正を約束する事に躊躇しないと断言した。

解説221日米国と満州に関連記事がある。

 

226

摩洛哥問題と佛国 25日タイムス社発

パリー来電―代議院に於いてモロッコ問題の討議に際して、首相クレマンソー氏は、佛国がモロッコより軍隊を引き揚げるならば、外国(独逸を指している)は、直ちにその後に入り込み、容易ならざる関係を引き起こすであろうと演説した。又外務卿セション氏も佛国政府は、あらゆる手段を尽くして外国の干渉を防ぐ決心であると明言した。

英国陸軍予算減額 25日上海経由ロイター社発

英国の陸軍予算は、30万1千ポンドの純減額を示した。その結果として歩兵4個大隊、騎兵1個連隊、総計3千1百名の兵員が南アから撤退させられるであろう。

英国海軍政策 同上

来年度の英国海軍予算は、90万ポンドの増額である。軍艦の新造費は、本年度の8百万ポンドに対し、750万ポンドであり、その種類は改良ドレッドノート型戦艦1隻、装甲大巡洋艦1隻、快速巡洋艦6隻、駆逐艦16隻及び潜航艇若干である。

解説:独逸のテルピッツ海軍大臣の建艦競争に対抗して、英国は海上での優勢を維持するために、陸軍予算を減額しても海軍予算は増額している。

タフト卿の国防論 24日ベルリン特約通信社発

米国陸軍卿タフト氏は、ワシントンの生誕祭に於いて、連邦の軍隊が国防の真髄である事を希望し、連邦の軍隊は今よりも大いに増員しなければならない筈であると連邦軍隊を増員する必要性を説き、最後にハワイ、パナマ及びフィリピンに於ける現在の要塞は、その設備が不十分である旨を言明した。

解説:ハワイ、パナマ、フィリピンは大東亜戦争中に日本軍の攻撃が行われた場所であった。タフト卿時代の米国は、大国ロシアを破り太平洋で覇権を確立した日本に脅威を感じていた。

 

2月27日

印度飢餓惨状 26日タイムス社発

凶作の結果、インドの各地は非常な惨状を呈し、公報によれば、救済を受けたもの既に百万を超過したと言われている。

印度飢餓惨状  26日上海経由ロイター社発

1月14日以来のモロッコに於ける佛軍の損傷は、戦死57名、内将校6名、負傷217名である。

佛国政府信任案 25日ベルリン特約通信社発

佛国代議院に於けるモロッコ問題の討議に際し、現内閣信任案は種々の討論の末に大多数の賛成で同院を通過した。

馬尼拉の要塞 同上

デーリー、ニュースの報道によれば、米国政府は即時にマニラの要塞を完備する準備に着手した。

 

2月28日

公果虐殺避難 27日タイムス社発

英国下院は、コンゴの逆政を非難する決議案を可決した。外務大臣サー、エドワード、グレーは、その案の討議に際して、コンゴは国際的に承認された全ての権利を今や徳義上喪失した。若しベルギーが責任を負わないならば、英国政府は事実上英国人の憤激を道理あるものとしてこれを支持するであろう。

解説:コンゴは1885年以降ベルギー国王の私有地であり、強制的な収奪や残虐な刑罰が行われ、欧州で非難の的となった。そして明治41年(1908年)ベルギー政府が国王からコンゴを買い取っている。

波蘭人制圧策 同上

ベルリン来電―プロシャ政府は、融和的政策によりポーランド人に関する問題を解決する事は不可能であり、飽く迄もポーランド人の土地を買収してドイツ人の移住を奨励せざるを得ないとの意見を告白した。

英国議会と外交問題 26日ベルリン特約通信社発

英国上院に於いてモロッコ問題の討議に際し、外務次官フネッツツモリウス卿は、英国は好意の中立を守るであろうと明言し、なおサンジャック鉄道に関し、英国新聞がオーストリーを攻撃する事に反対し、結局欧州の平和は維持されるであろうと演説した。

又外務大臣サー、エドワード、グレーは、下院に於いて英国政府は近東に於いて戦争の起こる恐れが無い確実な保証を握っている等明言した。

 

2月29日

阿片問題の外交文書 28日上海経由ロイター社発

1906年9月20日から1908年2月11日に亙る、懸案であった阿片問題に関する外交文書が公表された。その文書によると1908年2月11日、インド事務局は、外務省に対して、ペルシャ、トルコ及びその他の国から輸入される阿片を制限する事に関し、清国の措置について通知されたいと照会し、尚地方政庁に、輸入阿片に対して課税する権限があるかどうか明言する様清国に照会していた。

飽迄も日本人排斥 18日桑港特派員発

サンフランシスコ労働同盟会では、市内の商店及び製造所若しくは家庭で働いている東洋人を悉く解雇することを雇い主に要求する決議が通過し、目的を達するまで大運動を行う由