1 当時の世界情勢

   東京朝日新聞明治三十七年六月二十八日(火)

     列国海軍艦隊比較 五月六日ロンドンデーリー、クロニクル

  331日現在の世界7大海軍国に於て、既に建造されたもの及び現に建造中のものを網

    羅した英国海軍の国会報告書が昨日発表された。 

   

    *英国の議会報告で、( )内は建造中艦艇を示す。

 

東京朝日新聞明治三十七年八月二日(火)

トルストイ伯 日露戦争論

トルストイ伯の日露戦争論は6月16日のロンドンタイムス紙上の約10欄を埋めた大長編で、伯が心血を注いだ最近の大作といわれるものである。

第1章より抜粋

戦争はまたもや始まった。誰も希望しない、誰も求めない困ったことが起こってしまった。

東西を隔てる事幾千里、一方は殺生を禁じている仏教の国、片方は博愛を標榜しているキリスト教徒であるにも拘らず両者互いに野獣の如く海に陸に他を虐殺している。

 解説:トルストイ伯とは「戦争と平和」、「アンア、カレーニナ」で知られる世界的文豪で、この論文は、日露戦争の勃発に際して発表した反戦論文で、ロシアでは発禁処分となりロンドンタイムスに掲載された。

東京朝日新聞明治三十八年一月二十三日(月)

回教徒の日本人観 

エジプトの「ムスタフツ、カメル、パシャ」は次のように佛国通信員に語った。

・日露の戦争が我ら回教徒にとって一大問題となっている。我らが日本に対して大きな同情を寄せる理由は 

1 露国は我らが祖国トルコ帝国にとって100年の仇敵である。

2 植民地にされる事を防ぐために、いち早く西欧文明の吸収に成功した日本を我らは尊敬する。

3 今回の戦争は露国が三国干渉の後満州、旅順を占領したために起こったもので正当な権利である。

 ・余は日本がその手を「ジャワ」に加えてくれることを信じている。「ジャワ」はアジア群島に於いて最も富み、人口の多い島嶼である。現在2千5百万の回教徒はこの島においてオランダの圧制に苦しんでおり、とにかくどうにかして今のオランダの手から逃れたいと望んでいる。

東京朝日新聞明治三十八年六月三日(土)

捷聞と米国興論

530日発刊のニューヨークサンによれば、日本が露国艦隊を殲滅し、事実上同国の海軍力を砕破した事は、海軍史は云うを待たず、世界の歴史にもその類例を見ない偉業と言っても過言ではない。日本が文明世界に対し開国したのは、今から僅かに50年前の事であり、ヨーロッパ文明を採用して未だ25年を出ない。そしてやや見るべき海軍を有するにようになってから、未だ10年の星霜を経ただけであるのに、ここに一躍して世界海軍国の首班に列することとなった。

 欧州諸国の中で優れた海軍力を持つ英国の他、日本と同じような結果を得る事のできる国がありや否や。そして日本が今回の勝利に乗じていよいよ発達していくと、英国といえどもあまり遠くない将来其の後に付かざるを得なくなる可能性がある。