4月1日
アルバニア反乱 31日タイムス社発
トルコ人は、相当以前からアルバニアの反乱が近く起こるであろうと予想していた。その為、これを鎮圧する準備を完成していたので、今回の動乱に際しても、少しも狼狽することなく、アジアトルコの軍隊15個大隊は既にウルコブに派遣され、又現在、56個大隊が動員中である。
平和談判開始 30日紐育特派員発
キシコ政府は、いよいよ叛徒と停戦協議を開始する事となった。新総理大臣リマントール氏がチハハと言う所に行き、叛徒首領マデロと会見するに就いて、叛徒はこの一行に危害を加えない事を約束した。
4月2日
モロッコ官軍敗北 1日タイムス社発
モロッコ王ムライハフイッドは、佛国将校の助言を容れず、専断にて殆どその全軍隊をフエツ付近の反乱軍陣地攻撃の為に派遣した。然るに叛徒は、反対にこれを逆襲したため、官兵は大いに狼狽し、大砲、武器を捨てて遁走した。死傷者が非常に多く、且叛徒の捕虜となったものが少なからずおり、叛徒はフエツ市街近くまで官兵を追撃した。
印度革命党流刑 同上
ボンベイ来電=コルハプールに於いてフェリス大佐の殺害を計画した容疑で告発された一罪人は、7年の流刑に処せられた。
獨逸宰相演説評 同上
倫敦タイムスは、獨逸宰相ベートマン、ホルウエヒ氏の軍備縮小及び仲裁に関する演説を論評した。これは軍備縮小についてある協約ができるだろうという空想を消し去るものであり、獨逸側の様子について、その建艦計画を我々に新たに何ら知らせるものは無いと共に英国政府も又、その計画を議会に提出するに先立ちこれを外国政府に通知する様なことはしないと言明した。
4月3日
獨帝演説と新紙 1日桑港特派員発
先日、獨帝がタフト氏の発意による平和条約を嘲笑した演説は、ベルリンに於いて歓迎されている。新聞の多くは、この様な人気取りでしかも不可能な提案に対し、これに同調しないのは喜ぶべき事であると論じている。
支那人送還 同上
メキシコやその他各地より米国に入り込んだ支那人で捕縛された者が非常に多数であるが、これは悉く大西洋岸よりスエズ回りの英国船にて送還する事となった。それは運賃が安いためである。
4月4日
アルバニア暴動 3日タイムス社発
ウイン来電=アルバニアの暴動は、益々蔓延しそうである。またイタリアのガルバルデー将軍は、アルバニア人が救援を求める場合には、これに応じることは我々の義務であると言明した。
モロッコ叛徒猖獗 3日上海経由路透社発
タンジール来電=フエツに於ける情勢は、極めて重大である。各種族は連合してモロッコ国王ムライ、ハフイッドに反対し、彼らは何時フエツ市を攻撃するかも知れない現状である。、若し攻撃をする様になれば、フエツ市は現在、軍兵、貨幣、食料共に不足し、食料の代価についても飢饉の時と同様となりそうなので、これに降伏する外ないと思われる。
4月5日
英国陸軍論戦 4日タイムス社発
ロバーツ元帥は、英国上院に於いて英帝国陸軍防備計画の不十分である事を攻撃する演説を行った。陸相ホルグン氏の改革計画は、決して安全に且信頼すべき軍隊を設けるものでなく、義勇兵制の下では、決して成功を望むことはできないと言明した。陸軍卿はこれに対し、他国が英国侵略を企てても、幾多の困難がある所以を詳細に陳述し、現在の制度こそ英国に適し、且実行できる唯一の方法であると言明した。
墨国叛徒と平和条件 3日紐育特派員発
メキシコ政府と叛徒間の平和交渉は、いよいよ米国テキサス州のエルパソに於いて開始するようであるが、叛徒の首脳は、大統領ゼアル氏が職を辞さない限り平和は成立しないと言っている。
4月6日
英国民の満足 5日タイムス社発
日英通商条約調印の報道は、英国に於いて大いに満足を以って迎えられた。現在伝えられつつある説は、「日本はその最初の関税率提案中、約8割の種目に付き、平均3割の減率を承諾した」であり、いよいよ真実である事を示すならば、英人は最も満足すると思われる。
英政府弾劾案 5日タイムス社発
ロバーツ元帥は、政府の陸軍軍備計画は不十分であると弾劾する動議を提出したが、英国上院は、この動議を40対99の大差を以って可決した。
モロッコ叛軍優勢 同上
モロッコ叛徒は、官軍を撃破した勢いに乗じて、フエツ市を包囲し、又続々と同市附近に集合中である。モロッコ国王はあくまでもこれに反撃しようと決心した。
4月7日
タイムス日英條約評 6日タイムス社発
ロンドンタイムスは日英同盟條約の成立に付き、熱心に日本の為に祝意を表し、現行條約規定の期限の満了と共に、日本が強国の仲間に列する点についての最後の障害物は撤去された。新規定は完全に均等であると説き、若し日英両国でその親交結束を強固にしようとする本当の希望を有しないならば、困難な関税問題を見事に解決する事は出来なかったであろうと言明した。
佛国植民政策 同上
パリー来電=佛国代議院は、各地のイスラム教徒について、種々のイスラム教徒の情報を収集する様、政府に求める決議案を可決した。その目的は、これを参考としてアフリカに於ける佛国植民地政策の統一を図ろうとするものである。
墨国平和談判 5日紐育特派員発
▽叛徒首領首府に入る
メキシコ叛徒の首領マデーロは、いよいよ平和談判をする為にメキシコ首府に入る事になったが、メキシコ総理大臣は危険が無く入府できる保障と通行券を送った。
4月8日
モロッコ叛乱重大 7日タイムス社発
タンジール来電=モロッコのフエツ市から8マイルの距離にあるモロッコ王の軍隊との交信は断絶した。都市附近の各種族は皆叛徒と合流した。
土耳古官軍優勢 同上
コンスタンチノープル来電=トルコ領アジア、エーメン州の反徒は長く継続したサメア市の攻囲を放棄し、トルコ軍隊は重要な陣地を占領した。
日本関税と英紙 7日上海経由路透社発
諸新聞は、日本の譲歩について、多少加減した歓迎を述べた。自由貿易主義の諸新聞は、一般に満足であると認め、スタンダード紙、デイリーエキスプレス紙等は、この譲歩を以って滑稽さが歴然としていると説いた。ロンドンタイムス紙は、これをもって大いに満足であるとし、諸協定の消滅は、日本が完全な商業的自治を得た外面の象徴であると説き、日本の友人に対し、その国民的自尊心を正当に満足させたことを誠意を持って慶賀した。
4月9日
武器密輸入征伐 8日タイムス社発
ボンベイ来電=ペルシャ、メクランの武器密輸入者征伐を目的とする英国遠征隊員1千名は、既に出発した。多分ラフシュに上陸し、ビンスに突進すると思われる。彼らの内地進撃は、武器密輸入の隊商を途中で捕まえる為である。
米国戦艦計画変更 同上
ワシントン来電=新戦闘艦2隻に、石油のみを使用する計画は、専門家による攻撃が激しい為に中止されて、燃料両用方式を執ることとなった。又武装は14日吋砲12門からなり、一砲台には3門を置く計画である。
墨国平和談判不調 7日桑港特派員発
メキシコ内乱の講話談判は、エルパソに於いて政府と革命派の両代表が会見したが、革命派は現大統領の辞職を主張し、政府はこれを拒絶した為に不調に終わった。
4月10日
モロッコ危機 9日上海経由路透社発
モロッコの情勢は依然として憂慮すべきものがある。最近着の電報によれば、反乱に加わっている土賊がお互いに合同してフエツを包囲中である。
ビルマの暴民 8日紐育特派員発
▽英国人4名を殺す
英国よりビルマに派遣されている官吏1名、技師1名外2名が同国の暴民によって殺害された。
布哇米化手段 同上
▽白人労働者使用論
ワシントンの移民官が先日ハワイの視察に赴き、6日帰り復命したところに依ると、ハワイを米化しようとするならば、今少し労働賃金を引き上げ、白人労働者を多く使用する途を取らなければならない。現在の様に安い賃金で異人種のみを多く使用するならば、到底同化の見込みは無い。特に雇主及び工業家がこの観念を持たないのは不都合であると述べた。
4月11日
モロッコの激戦 10日タイムス社発
タンジール来電=モロッコの叛賊ベルベル人3千名は、フエツ市を攻撃したが成功せず、官軍の砲兵隊は、佛国陸軍大佐の指揮の下に、盛んに賊に発砲し、多数の住民もこれを援けて城門を防禦した。市内は静穏である。
アルバニア反乱 同上
コンスタンチィノープル来電=アルバニアの叛徒は大砲を使用してトルコ官軍に迫り、官軍は大いに悩んでいる。叛乱は蔓延中である。
墨国内乱形勢 同上
メキシコ市来電=前米国陸軍経理官の指揮下にある米人80名よりなる革命反乱軍は、メキシコ官兵5百人が占めつつある陣地を襲撃したが、60名の死傷者を出して敗走した。またこれに反してメキシコ官兵はアトリキスコ、プエブロ付近に於いて、反乱軍に潜伏襲撃されて全滅した。
4月12日
又々日墨密約説 10日桑港特派員発
メキシコ首府よりの来電によれば、2月下旬、米大使ウイルソン氏はある手段を持って、外務省より日墨秘密條約を聞き出し、写真に写して米大統領に送った。この為国境に兵を進めることになったと伝えられている。
解説:午後1時発行のサン新聞はこの記事を否認する記事を掲載した。
土地所有権没収 同上
▽米国北部の排日説
▽日本人に対する米国官憲
ワシントン州官憲は、エバーレット市の日本人、佐藤なる者の土地所有権を没収しようとして、州憲法に基づき起訴した。この為一般外人の土地所有権に影響がありそうである。
アルバニア反乱 11日上海経由路透社発
コンスタンチィノープル来電=アルバニア叛徒は大砲を用い、10時間引続きサナア市を砲撃した。市内の軍隊と住民は力を合わせて同市を厳重に守っている。
4月13日
スペイン出兵準備 12日タイムス社発
モロッコの騒乱がますます激しくなり、フエツ市の運命が、今日か明日かに迫ってきたので、スペインはマリア並びに南部スペインに於いて軍隊を動員しつつある。
土耳古叛乱形勢 同上
アルバニア反乱は、ますますその勢いを増しつつある。トルコ軍隊はスクタリの北部に於ける叛徒の陣地を砲撃したが、彼らによって、クラデッタに追われた。又アルバニア人等はジノンを占領し、トルコ兵等は伏兵に遭遇し多大の死傷者を出した。官兵は戦闘の継続に飽きた様に見える。
英国15吋砲採用 12日上海経由路透社発
英国は今回、試験的に15吋砲を採用する旨発表されたため、大いに海軍社会の注意を喚起した。これは他の強国が14吋砲の採用に対して英国が応答するものと認められる。
4月14日
モロッコ叛乱形勢 13日タイムス社発
モロッコの叛賊に包囲されているフエツ市の状況は少しも改善せず、守備軍は弾薬欠乏に悩み始めている。賊の攻撃は何時行われるかも知れない。
佛国飛行家成功 同上
佛国飛行家ブリエル氏は、ロンドンよりパリーに向け飛行を試み、成功した。しかもその要した時間は4時間に過ぎず、実に時速は、僅か40マイルであった。
婦人市長となる 12日紐育特派員発
カンサス州ハンネウエル市に於いて、ウイルソンと言う婦人が市長となった。同市長の意見では、警察署長も婦人がなる予定で、そうすれば賭博や酒屋等の取締りが容易となりそうである。
606号の功績 内国電報13日発
▽秦技師叙勲
伝染病研究所技師秦佐八郎氏は梅毒注射液606号発明の功績により、本日13日、次の勲等を叙勲された。
伝染病研究所技師
陸軍2等軍医従6位勲6等 秦 佐八郎
叙勲5等綬双光旭日章
4月15日
モロッコと獨逸 14日タイムス社発
ベルリン来電=モロッコの情勢は混乱を極めつつあるため、ある二三の新聞紙はこれを機として、アルゼシラス協約の修正を行う事を意味ありげに提案している。
(備考 アルゼシラス協約は1906年の列国会議に於いて成立したもので、佛国、スペインの勢力を認める面が多くあり、獨逸側には不平論が多く聞かれた。)
佛国シャンペン酒暴動 14日上海経由路透社発
1万3千の軍隊が、シャンペン騒動の中心地であるエベルネイを占領する事になり、歩兵及び騎兵が周囲の村落に宿泊している。諸道路は半酔いの人民が充満し、彼らはポケットに余裕が無い程にシャンペンのボトルを入れている。昨日行われた略奪や破壊は数えきれない程である。
大隕石 13日桑港特派員発
2,3日前、ローマ附近に於いて大地震が起こったとの報道があったが、これは地震ではなくて一大隕石が天空から落下したもので、カタニアという所に落下し、9mの深さの地中に入ったと言われている。
4月18日
佛国騒櫌沈静 15日タイムス社発
シャンペン生産地域のランズ、ニベルニー地方は静穏となった。軍隊の大部隊派遣が凶徒を圧迫したものと思われる。
巨砲製造 同上
ウイーン来電=スコダ兵器製造所に於いて、ドレッドノート型大艦に対抗して、海岸防禦に使用する為に口径42センチメートルの巨大なホイッチェル砲を造った。
米国の対墨通帳 15日上海経由路透社発
ワシントン来電=米国大統領タフト氏は、国務省を経てメキシコに対し、アクアブルエタは米国国境に近いので、ここに於いて、メキシコの官軍が賊軍と戦う事を許さない旨通知した。
叛徒に対しても、陸軍省を経て同一の通知を行った。
4月17日
佛国騒擾余聞 16日上海経由路透社発
エベルネイ来電によれば、ベルネー及びアイにあるメーチュンドウーブドウ園50エーカーが破壊された。
又々排日案 15日桑港特派員発
▽支那人排斥法適用
加州選出議員ヘース氏は、現行支那人排斥法を日本人及び全てのアジア人に適用するとの法案を、15日の議会に提出した。この法案が通過後、学生、商人、旅行者を除く外は、1年以内に商工務卿より居住証明を得なければならない。もし居住証明を所持しないならば、その者は直ちに送還すると言う法案である。同案は即日外務委員会に送られた。
英兵上陸別報 同上
メキシコのハンクエンチンと言う所は、先日来、叛徒の来襲説が盛んであるので、同沿岸に停泊中の英国軍艦より、水兵30名を上陸させたが叛徒の来襲は未だ無い。
4月18日
米墨関係難(墨国革命党の猾策)17日タイムス社発
ワシントン来電=米国軍隊がメキシコ国境を横切ったとの報道は真実ではないが、情勢は非常に困難であり、憂慮すべき事情が多い。革命軍の首領等はアクアブルエタで起こった様な事件(即ち戦闘を米国国境付近で行い、米人殺害事件等を発生させ、国境紛争を生じさせる策)を大規模に亘って繰り返し、もってメキシコ政府を苦しめようとしている様である。
モロッコの戦闘 同上
タンジール来電=ベニワシーン蛮族は陰険な計画で、フエツ市のモロッコ王宮廷の守備兵及びフエツ市自身を攻撃した。砲兵隊はフエツ市を防禦し、双方に死傷者を出した。
土耳古官軍大勝 17日上海経由路透社発
4月7日付の本社サアナ通信によれば、トルコの将軍リザベイは、メトネエに於いて叛徒を撃破し、これを潰走させ、4月4日サナアに入った。トルコ軍の死傷者は少数であった。但し将校2名が含まれている。これに反して叛徒の死傷者は非常に多く、イサツトバーシャのトルコ軍本隊は、4月5日入場し、4月6日大観兵式が行われた。
4月19日
シャンペン騒動止まず 18日タイムス社発
佛国エベルネイ来電=後詰の軍隊が新たにシャンペン生産区域に到着し、暴徒の捕縛が続々と行われている。昨今、暴徒の戦略は、シャンペン酒店の警護が不十分な小村を選んでいる様で、この為に各地の人心が恐々としている。
モロッコ戦報 同上
タンジール来電=叛徒は、フエツの北方にあるモロッコ王の軍隊を攻撃し、撃退された。
巴里来電=佛国政府は近く4個大隊の兵士をカサブランカに派遣しようとしている。
墨国の激戦 18日上海経由路透社発
メキシコの戦闘は終日継続した。1千5百の官兵は、アクアブリエタの堡塁に守られた1千の叛徒を攻撃したが、幾度となく、これに撃退された。叛徒の言によれば、機関銃2門が叛徒の手に落ち、又[佃1] の死傷は30名に過ぎないが、官軍の死傷は2百となった。
また米国兵士はダグラスから来た戦争見物人を国境より一定の距離にある地に止まらせたにも拘らず、なお6名の負傷者を生じた。
4月20日
東郷大将招待 19日上海経由路透社発
(帰路米国賓客たらん)
ワシントン来電=東郷大将は、英帝戴冠式の帰路、米国民の公賓である事を求めた米国政府の招待を承諾した。
墨国反乱軍退去 同上
ニューヨーク来電=米国国境に近いアクアブルエタの戦闘は中止された。叛徒は密かに退去し、メキシコ官軍は払暁、同地に入った。
叛将米国に降る 同上
ニューヨーク来電=アクアブルエタに於ける叛徒の司令官2名は、国境を横切り、米軍の手に降伏した。
4月21日
墨国叛徒復勢 20日タイムス社発
メキシコ叛徒は、サンチャゴ及びババスクイロを占領した。両軍の死傷者は百を超えた。
モロッコ官軍大勝 20日上海経由路透社発
タンジール来電=モロッコの官軍はシエラルダ地方よりフエツに退却中、叛徒の軍と会戦し、大勝利を得た。この為に、形勢は非常に官軍に有利な様に見える。
平和談判行悩 15日紐育特派員発
メキシコ叛徒と同政府との講和会議は又もや始まるだろうとの噂があるが、確かなものではない。兎に角叛徒の要求が大きいので、談判が始まっても行き悩むと思われる。
4月22日
モロッコ形勢重大 21日タイムス社発
モロッコ、フエツ市の情勢及びフエツ市の北方に居るモロッコ軍隊の境遇は危険である。居留欧州人の運命がどうなるか最も不安の念を惹起し始めている。パリーに於いては、フエツ市がいよいよ叛徒の手に落ちる様な事が有れば、佛領アルゼリアより佛兵を派遣する必要が生じるであろうと憂慮されつつある。佛国はこの旨をスペインにも通知し、警戒し、直ちに万一の変に処する準備を行った。
墨国の対米回答 21日上海経由路透社発
ワシントン来電=米国がメキシコ国境付近に於いて秩序維持するよう要求した件について、メキシコは回答を大統領タフト氏に手渡した。メキシコ大使の言によれば、形式、内容とも友好的であるとの事であった。
南極探検隊帰る 20日伯林特約通信社発
ノールウエイの南極探検家アムンゼン一行の乗船ノラム号は南米アルゼンチンに到着し、来る10月、一行を迎える為に、再び南極圏に向かう予定である。
4月23日
英国大観艦式 22日タイムス社発
英国皇帝ジョージ5世は、6月24日スピッドヘッドに於いて、大観艦式を行い、3百隻以上の軍艦がこれに参加する予定である。
モロッコの仏軍 22日上海経由路透社発
半官的に一般に安堵する様に保証したにも拘わらず、パリーに於いては、フレモン少佐の消息に関し、最も深く憂慮している。同少佐は、フエツ救援の為にシェラルダ地方よりマハラに向かおうとしている途中、洪水と弾薬欠乏の為に前進することが出来なくなってしまった。佛国政府はブレモン隊に対し糧食の供給を十分にする為に全欲を尽くしている事を公表した。
モロッコ叛徒勝利 同上
マドリード来電=モロッコのテツアンから来た土民側の報道によれば、叛徒はフエツを襲撃し、ムール人守備隊を虐殺した。モロッコ王ムライ、ハフイッドは、佛国領事館に逃れた。但しこれは確報ではない。
墨国強硬を装う 21日紐育特派員発
メキシコより今回米国に送った回答書は、なかなか強硬であり、ワシントンに於いて、ある面倒を引き起こすかも知れない。但し米国政府はメキシコの叛軍が米国国境に於いて、今後戦闘を行わないとの回答に満足している。又タフト氏は、この回答が強硬なのは、同国政府がある策略上故に、人民に虚勢を示す為に作ったものではないかと言っている。
4月24日
叛徒の休戦申込 23日上海経由路透社発
ワシントン来電=メキシコの叛徒首領マグロは、講話談判開始の見込みにて、休戦を申し出でたり。大統領ヂアズはこれを承認するだろうと信じられている。
フィリピンの要求 22日紐育特派員発
フィリピンより派遣された代表者数名、22日ワシントンに到着し、下院議長クラーク氏やその他の議員に向かって、同島の現状が果たして独立することが出来ないかどうかを実地に赴き,詳しく調査して頂きたいと要求した。
4月25日
佛兵モロッコ派遣 24日タイムス社発
佛国政府は、フエツ市を救援する為の軍事的準備に汲々としている。同時に諸外国政府に対し、その取ろうとする行動について通知中である。佛兵の一部はモアニエ将軍の指揮下に置かれ、シヤウエア地方より同地に向かうモロッコ官軍を援助する計画である。又アルゼリアとモロッコ間の国境に佛兵が集合している。
墨西哥形勢 同上
ワシントン来電=メキシコ叛軍の首領マデイロ氏は、大統領ジアス氏の即時辞任を主張した事を否認した。但し情勢は依然として不安定であり、唯官賊間の一時的休戦によって、幾分か改善したのみで、多数の叛軍等の鎮定を見る迄には、尚幾多の日時を要する。
4月26日
モロッコ情報 25日タイムス社発
十分な大砲を準備している優勢な佛国遊撃隊が、約5日の内にフエツ付近に到着する予定である。これに次いで、1万の更に強力な軍隊も到着する予定で、海岸にある陸軍根拠地との連絡を開始し、且維持するであろう。シャエウア地方の占領に従事しているモアニエ将軍の軍は2万に増員される予定である。又南モロッコの土族が蜂起したとの噂がある。
佛国の方針 25日上海経由路透社発
パリーに於いて半官的に伝えられた所によれば、佛国はモロッコの秩序を回復し、モロッコ国王の権力を再び確立すれば、直ちにフエツより撤兵する予定の様である。
墨国官賊休戦 24日桑港特派員発
メキシコ両軍は、24日より5日間の休戦する約束が成立した。
4月27日
勃牙利人脱走 26日タイムス社発
トルコ陸軍より脱走したブルガリア人がブルガリア首府ソフィア及び露国オデッサに到着し始めている。その言によれば、彼らは忍耐し難い待遇を受け、食べ物も十分に与えらなかったと言っている。
モロッコ王の失敗 同上
タンジール来電=4月19日フエツに於いて、激烈な戦闘があった。勝敗は決しなかったが、その罪は完全にモロッコ国王ムライ、ムハンマドにあり、がウシドジュンマの蛮族が申し出た条件を受け入れなかったからである。同蛮族は、その知事の更迭を条件に、官軍に合流すると申し出た。国王は最初、これを許したが奸計な宰相の上奏を容れて、取り消した。
佛将の布告 26日上海経由路透社発
カサブランカ来電=仏軍司令官モアニエ将軍はモロッコの諸種族に対し布告を発し、佛国は決して新たに土地を占領するつもりはなく、唯危険な状態にある外国人を救い、モロッコ王の権力の下に、再び秩序を確立する為に、モロッコ官兵を援助する事を希望するのみと言明した。
4月28日
モロッコ益々騒ぐ 27日タイムス社発
▽僭王新たに立つ
タンジール来=フエツ救援の為に出発する予定の佛国軍隊は、天候不良の為に未だセオルダを出発していない。又土匪ベルベル種族がネキネズを占領したとの情報は確実であると判明した。同種族は、現モロッコ王の兄(?)ムライエルジンをモロッコ王と宣言した。
英国新巡洋艦 同上
英国の新型巡洋艦プリンセス、ローヤル号は、土曜日に進水式を挙行する予定である。同艦は2万6千3百トン、速力28ノット、13吋半砲を8門備えている。
日米條約祝賀会 27日上海経由路透社発
ニューヨーク来電=米国アジア協会の大宴会に於いて、国務卿ノックス氏及び内田大使は、何れも日米両国関係の調和を演説した。大統領タフト氏は最近、締結された日米條約は、日米両国の友情の様に親密で、根拠なき噂に対しても平然とすることが出来る事を示したと述べた。
4月29日
波斯政府敗北 28日タイムス社発
テヘラン来電=ペルシャ政府は、議会に於いて英国借款案の議事を進めようとする動議に関して敗北した。反対党は激烈に同借款契約に反対中である。
仏蘭西の通告 同上
仏蘭西政府は、1906年アルゼシラス協約に調印した英獨墺伊西露諸国の列国に対し、佛国のモロッコに於ける行動を詳細に通知した。この通牒はフエツ市救援の手段を執る必要を説き、これと同時に同国内の秩序回復とモロッコ王ムライ、ハフイッドの権力維持とを企てなければならなかった理由を述べた。但し佛国政府は、この件について列国の意見を聞く事を求めなかったので、自ら全責任を負おうとしていることは明らかである。
佛国の対獨誓約 28日上海経由路透社発
駐獨佛国公使カムボン氏は、獨逸宰相ベートマン、ホルウエヒ氏に対し、佛国は決して1906年のアルゼシラス協約に違反する行動を執る意思は無い旨を確言した。
露獨條約成立 27日紐育特派員発
露獨條約が締結され、今や調印を待つのみとなっているが、この條約は、露獨両国は如何なる強国の同盟にも関係せず、超然主義を取る事及び中央亜細亜に於ける自国の権利を維持する事等を約定した様である。
4月30日
モロッコ依然重囲 29日タイムス社発
タンジール来電=フエツは依然として、叛徒の大密集団によって包囲され中であり、フエツ城内の守備隊は1,200の普通兵、600~1,000の不規則兵であり、他に1,500の騎兵が居る。応援の官軍がタザより到着した。
新日英條約 同上
▽未だ十分満足でない
関税調査委員会は、日英新條約を研究し、この條約は、平均5割5分の増率であった日本税率の過酷さをやや少し緩和したに止まり、英国貿易に対する有害な結果は依然としてあると言明した。
土国叛首捕虜 28日上海経由路透社発
ペリム来電=土民の報によれば、トルコ領アジアの叛賊首領イマン、ヤヤはサナアに於いて捕虜になった。