2月2日
朝鮮森林官営理由 内国電報1日
1日の朝鮮森林特別会計委員会に於いて、渡辺修氏は、絶対官営主義を採る理由を質問し、児玉政府委員は、国境付近の事業であり、政治上、複雑な関係を生じる虞があり、当分間、民間に移す時期なく、将来、ますます官営の必要を感じる次第である。
李王家職員任命
李王家の職制が1日より施行に付き、次の如く長官以下職員の任命があった。
勲1等 閔 丙? 任李王職長官 (1等 1級俸)
検事 従4位勲3等 小宮三保松 任李王職次官(同 同)年俸2千円加賜
勲2等 高 義敬 任李王職次官(2等 2等級)
以下略
2月3日
総督府の弁明(鉱業権不許可主義) 1日京城特派員発
総督府では、鉱業権不許可主義であると伝えられている事に対し、弁明書を発表した。これは、旧韓国政府から事務引継ぎの為に一時的に中止したもので、今や日本人64、朝鮮人53、外国人1、合計118件の出願に対し、許可の決定をした。なお農商工部の調査した最近の鉱区及び経営者数は、全国で739件、2億4千萬坪に及ぶ。
朝鮮に於ける新事業
朝鮮総督府予算の主要な施策は
朝鮮人憲兵4,321人を養成する目的で憲兵養成費5万円を計上に、
臨時土地調査費175万円は昨年に引き続き、第2期の調査を行う予定で、主として土地の地位等を定めるにある。
教育費に於いては、内地人の設立した学校補助費として41万円を支出、
小農資金の融通を図る目的で地方金融組合を設立させ、その補助費として52万円を支出する予定で、
又朝鮮の開発は、道路、港湾の修築が急務であるので1千万円の公債を募集し、5箇年計画を以って、幅4間及び3間の道路で、総延長587里を修築する予定で、来年度年間継続額2百万円を要求した。
その海関工事費202万円は、釜山、仁川、鎮南浦、平壌等の海陸設備を修築する方針である。
2月4日
豆満江の防疫 2日京城特派員発
明石警務総長は、間島を通じて吉林方面よりペスト病が侵入する恐れがあるので、豆満江沿岸にも、鴨緑江と同様に厳重な防疫手段を執るよう命令した。
朝鮮会社令の影響 3日仁川特派員発
朝鮮会社令が発布された結果、とかく煩雑な手続きを必要とする様になったので、各地にある私設会社で、社名を排し、組合組織に変更する者があるそうであるが、仁川木材会社も組織を変更し、組合組織とし、仁川木材商会と改称した。
2月5日
朝鮮航路停止
山縣朝鮮政務総監は、満州をベスト流行地と認め、満州を出発又は経過して朝鮮の各港に来る船舶は、各税関に於いて検疫の上、10日間の停船をしなければ、全ての貨物の陸揚げを厳禁する事は無論、ボロ、古綿、皮革、古着等の外大豆、豆粕、雑穀と雖も十分な消毒を行わなければ、一切輸入を禁止する事なり、その旨を関東都督府に公達したので、郵船会社、商船会社等の経営する朝鮮回り航路は、解禁があるまで、一時航行を停止する事となった。
2月6日
軽便鉄道出願 4日釜山特派員発
桂二郎氏その他の出願に係る木浦、釜山間の軽便私設鉄道は、昆陽に発電所を設けて、電気にて運転、経営する予定で、願書を慶尚南道庁に提出した。
2月7日
朝鮮事業公債 内国電報6日発
昨日午前10時開会、荒井朝鮮度支部長官の説明によれば、新たに発行予定の朝鮮事業公債5,500万円の内
1,000万円を道路費
3,750万円を太田と木浦間及び元山京城間の鉄道敷設費に当て
120万円を漢口の鉄道複線工事に用い
残額約800萬円は、築港費として釜山に380万円、仁川に350万円、鎮南浦に80万円を割りあて、なお12万円を以って大同江の浚渫工事に充当する(一部抜粋)
2月9日
穀物輸入税廃止運動 8日仁川特派員発
来る7月より施行される穀物輸入関税定率法の撤廃運動の為、仁川会議所連合会より、委員2名が上京中である。尚各道朝鮮農民1万余名が連署した請願書を提出し、更に各地日本農事経営者等も連署して同様の請願書を提出すべく運動中である。
2月10日
ペスト朝鮮に入る(京義線南川駅付近) 6日京城特派員発
7日、義州にペストの疑いがある患者が発生したが、検査の結果、胸膜炎と判明し、漸く安堵した矢先、8日朝2時、黄海道南川守備隊(南川駅は京城の北僅かに40マイル)より明石警務総長に向け、南川の南部およそ1里の碧岩と称する一村に急性熱病に倒れた朝鮮人4名、患者6名を発見し、容態はペストと判断される旨急電があった。明石警務総長は8日朝、直ちに宮尾1等軍医、福田警部、憲兵30名と共に発生地に急行、同時に南川駅より他に貨物の運搬を禁止し、発生の現場に厳重な隔離、消毒を施すのは無論、南川駅に検疫を施す旨命令を発した。
釜山港改良 9日釜山特派員発
政府は、今回3百万円を支出し、登港の係船桟橋及び暗礁の撤去工事に直種する計画である。
2月12日
昌徳宗の衛生講話 10日京城特派員発
朝鮮人に衛生思想を普及させる手始めとして、李王が先ずその範を示す事となり、総督府嘱託山根正二次氏及び森安博士は、10日昌徳宗に於いて、李王以下各王族、貴族等を集めて、ペスト予防に関する講話を行った。
李王の御礼使 10日京城特派員発
李王は、今回王世子に対し、聖上陛下の思召しに依り鳥居坂御用邸を賜り、その他優渥な御沙汰を拝する事が度々であるので、このお礼として高事務官を特派した。同事務官は、家職変更について総督と打合せる用務も帯びている。
2月16日
賊魁捕はる 14日元山特派員発
3年来、京畿道、江原道、咸鏡道、平安道の4道を荒らし、我が討伐隊とも数回交戦した、元親衛隊の軍曹であった京城生まれの賊魁姜基東は、長らく行方を晦ましていたが、13日当地吾妻橋に於いてその筋の手に逮捕された。
景徳宮を官ガとす(南山のい官邸は李王別邸とす) 14日京城特派員発
京城の中央部を占め、規模が最も大きい景徳宮を総督府官ガ及び総督府官邸とし、現在の南山の総督府官邸を李王の別邸に差し上げる事に決定した。
2月18日
京城水道買収(追加予算提出) 16日京城特派員発
京城に於いて残っている在留外人の事業である水道を、渋沢、竹内シンジケートに売り渡そうとした事は、既電の通りであるが、総督府では、これを買収する事として、その費用250万円を来年度の追加予算に計上、今期議会に提出し、京畿道庁の官吏に属させる予定の様である。
治外法権撤去 同上
併合の結果、治外法権の撤去を宣言されたにも拘わらず、朝鮮に居る外国人は清国を除く外、いずれの本国政府から公然たる通知がないので、これを認めようとしない者が居る様である。当地の英国総領事代理は、本日、朝鮮に居る英人一般に対し、同国政府が去る1月23日発表された勅令、即ち従来の領事裁判所は韓国併合の日より、その効力を失った旨を公示した。
2月19日
日本帆船停船 18日釜山特派員発
18日、旅順より某日本帆船が来た。当税関にて検疫の上、停船を命じ、乗員は検疫場に停留させられた。満州の病毒地を経て、日本に至るものは検疫を施され、当地に5日間の停留を命じられる。現に数名は不平ながら、停留の処分を受けつつあり、汽船渡航者は注意する必要がある。
2月23日
爵記本書授与式 22日京城特派員発
山縣政務総監は、本日総督官邸に於いて、朝鮮貴族の侯爵李載完以下64名に対し爵記本書授与式を挙行した。
2月25日
朝鮮観光団 24日釜山特派員発
全羅北道庁の主催で、朝鮮人50名乃至60名を以って母国観光団を組織し、3月下旬、当地を出発、凡そ1カ月の予定で、東京、大阪その他各地を視察する予定
米豆取引所不認可 24日釜山特派員発
当地米豆取引所は、遂に不認可の指令があり、一般の失望が甚だしい。
2月26日
北里博士のペスト報告 25日京城特派員発
25日、山縣政務総監、明石警務総監、福田総督府医院長が会合し、24日夜入京の
北里博士、山根正次氏も出席し、博士の満州ペスト状況報告が行われた。今後朝鮮に於ける防疫方針について協議し、博士は25日夜京城官民の歓迎会に臨み、26日朝帰京の予定である。
恩賜公債交付式 同上
24日から28日に亘って、第2回恩賜公債の交付式が京畿道庁に於いて行われる予定である。受恩者は、旧韓国政府時代の各部職員793名であり、その額2万5千円内外である。
東拓規則改正 同上
東拓移民規則中、移住希望者は、最初に町村長の證明を受けて申込む手続きを、更に府県庁を経て申込む事に改正する件が25日、総督府の認可を得た。尚来年度募集する移民は1千家族と決定し、近日募集広告を出す予定である。
2月27日
東拓漁業権放棄 26日京城特派員発
朝鮮の鴨緑江沿岸180マイルに亘る東拓会社の漁業権は、昨年の失敗に懲りて、これを長崎県外3県の漁業組合に譲り渡す予定で、現在協議中である。投資額の評価等について、纏まりかねる所があるが、兎に角、東拓は漁業権を放棄する事に決した。