期日 |
日本関係 |
期日 |
露清関係 |
期日 |
英米関連 |
期日 |
独仏その他関連 |
7月2日 |
又復日米戦争論 |
7月3日 |
膠州獨兵増加 |
7月1日 |
阿片問題 |
7月1日 |
摩洛哥の戦闘 |
7月3日 |
日韓合邦と米国 |
7月25日 |
満州通課税問題 |
7月4日 |
昨年の移民 |
7月26日 |
英獨海軍妥協論 |
7月4日 |
日本関税攻撃 |
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7月16日 |
英獨海軍競争 |
7月26日 |
獨逸戦艦と十四吋砲 |
7月6日 |
日露協約成立通告 |
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7月17日 |
米国と尼国干渉 |
7月28日 |
タイムス印度論 |
7月6日 |
協約と佛国 |
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7月20日 |
加奈陀移民問題 |
7月28日 |
獨逸海相辞職否認 |
7月7日 |
日米戦争論宣伝 |
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7月22日 |
加奈陀鉄道と東洋人 |
7月29日 |
佛国陸軍の読書力 |
7月8日 |
日露協約と獨逸 |
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7月23日 |
印度革命運動 |
7月30日 |
獨逸演習と飛行器 |
7月9日 |
日韓合併反対運動 |
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7月24日 |
猶太移民上陸拒絶 |
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7月11日 |
獨紙の日露協約評 |
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7月26日 |
米国戦艦艦隊巡航 |
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7月12日 |
日露協約と米国 |
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7月18日 |
日露協約と清紙 |
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7月21日 |
着英後の生駒乗員 |
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7月26日 |
ホブソン大佐の国防論 |
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7月28日 |
米国陸相の日本観 |
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7月1日
摩洛哥の戦闘 30日タイムス社発
タンジール来電―1200人の佛国軍隊と5000人のモロッコ人(叛賊か)とが、6月23日テドオに於いて激戦した。モロッコ人の戦死は300名であり、沸人は11名戦死し、70名負傷した。
阿片問題 同上
英国下院に於いて植民省予算の審議があり、自由党議員のテオドアー、テーラー氏は、政府が香港及び海峡植民地の阿片窟に加えた措置を感謝し、更に姓名登記をすることを拒んでいる現在の阿片喫煙者全員の登記をさせることを願った。次いで植民次官シーリー氏が起ち、政府の阿片売買に対する意見は変更せずと述べ、香港の同売買を終わらせるためには、多少の補償を与える事が必要であり、そうすれば不平の声は聞かれないだろうと言明し
た。
解説:海峡植民地とはマレー半島の英国植民地である。
7月2日
佛国海相の演説 1日タイムス社発
パリ―来電―海軍大臣は、代議院に於いて演説し、駆逐艦が先頃汽船と衝突して沈没した事に言及し、商港の付近に於いて演習を禁じる規則が往々、無頓着な士官の為に無視されることを認めた。
又復日米戦争論 30日紐育特派員発
新聞記者会の怪物ハースト氏の機関紙ニューヨークアメリカンは、3日間に亘り、日米戦争は到底避ける事が出来ない故に強大な海軍を造るべしとの論文を掲げた。
7月3日
日韓合邦と米国 1日紐育特派員発
日韓合併が切迫していると米国一般に信じられている。しかしこれに対し何等の異論はない。
列国軍艦派遣 1日ベルリン特約通信社発
クリート保護の任にある英沸露伊四国の軍艦9隻はクリート島北岸のスーダ湾に集合した。
解説:6月20日「クリート問題」も続報である。
膠州獨兵増加 2日上海特派員発
山東巡撫は、政府に対し、獨逸が膠州湾付近に歩兵及び騎兵2千名、砲兵1千6百を増加した理由を獨逸公使に質問する様に要請した。政府は大いに驚き、外務部に至急この兵士の撤退を獨逸公使に迫らせる事とした。
解説:膠州湾一帯は獨逸の租借地である。東南アジアに於ける列強の植民地は、英国のインド、ビルマ、マレー半島、佛国のインド支那、オランダのインドネシアであるが遅れて進出した列強の獨逸は、この膠州湾と南洋諸島しかなかった。中国の青島ビールはその名残である。
7月4日
日本関税攻撃 3日上海経由ロイター社発
日本の関税は相変わらず厳しい非難の的となっている。ロンドンタイムスは、日本の関税は堅牢であり、耐久性に富む英国製器械の代わりに、粗製の器械を保護している。印刷機械も然りと述べた東京発の記事を掲載した。
昨年の移民 2日紐育特派員発
カルフォルニア州に渡来した昨年度の移民総数は百3万5千5百95人であり、前年より28万3千人多い。
7月5日
土耳其と墺獨 4日上海経由ロイター社発
コンスタンティノープル来電―トルコに於けるギリシャ人反対のボイコットは漸く衰勢に向かいつつある。トルコ政府は獨逸、オーストリア両国に対し、クリート問題を明確に決定する為、両国も同問題に関係する列国団に加入する意があるかと質問した。
7月6日
日露協約成立通告 5日タイムス社発R
パリ―来電―日露協約の調印が行われた。英沸両国政府は、その内容、条件の通告を受けた。
協約と佛国 同上
日刊新聞ル、ジョルナル、デ、デバの報道によれば、沸国は同協約によって、満州の現状維持が保証されたことを歓迎し、且つその成立は、全く清国が満州に於いて威厳を回復しようとする企てに答えたものと認めている。又同新聞は、日本の朝鮮併合完成を妨害するものは全くなしと言明した。
7月7日
日露協約論評 6日タイムス社発
タイムスは、社説に於いて日露協約を論じ、これは世界政治の上にも深い意義を有するものである。英国に於いては、最終衝突の機会を取り去るものとして、誠意をもって歓迎されたと説き、又欧州に於ける露国の権威をも回復する所以であると言明した。
解説:この当時は、日露の満州に於ける権益が米、英、仏国で好意的に捉えられている。
日露協約内容 6日上海経由ロイター社発
日露協約は調印され、その内容、条件は英沸両国に通告されたが、但し未だ発表されていない。伝えられる所によると、これは従前の日露諸協定と同一の方針により、満州の現在情勢の維持を保障し、且つ若しこれら日露間の諸協約若しくは清国との間に結んだ諸協約が他から邪魔を蒙る場合には、両国は協力して防護の手段を取る事ができると言われている。
日米戦争論宣伝 5日サンフランシスコ特派員発
例の新聞王と称せられるハースト氏は、最近至る所で日米衝突の免れざる事を論じていたが、4日より当地のエキザー、ナー紙上に於いて、盛んに日米の衝突は免れる事が出来ない事、これに対し米国の準備が無い事を警告し、海軍拡張の必要性を説いている。その筆法は極めて煽動的である。
解説:当時は米国海軍は、英国に次いで第2位の海軍勢力と言われていたが、太平洋側の勢力は殆ど無かった。準備がないとはこの事と思われる。
7月8日
日露協約と獨逸 7日タイムス社発
ベルリン来電―クロイツ、ツアイツング紙は日露協約成立を論評して、獨逸が極東に於いて最も願うところは現状維持であり、故に日露協約成立の為に、少しも激昂する様な事は無い。唯米清両国がこれに対し如何なる態度を執るかを見るのは、非常に興味がある事であると言明した。
日露協約評 7日上海経由ロイター社発
ロンドンタイムスは社説に於いて日露協約を論じ、同協約の成立は世界政治上重要な意義を有する出来事である。極東の平和を永久的基礎の上に確立しようと希望するものは最深の満足を以てこの結果を見るに至ったのを祝賀しなければならないと言明した。
クリート問題 同上
本社の得た情報によると、最近クリートの情報は穏やかでなく、クリート議会は、再開に際し飽く迄も「イスラム教議員にギリシャ国王に臣従する宣誓をさせる」と主張する情勢が増加しつつある。依って同島保護の任にある英露佛伊4国は、もしこの様な場合になるならば、如何なる手段を執るべきかについて協議中である。多分その様な行動があれば、4国の軍隊をクリートに上陸させるであろうと信じられている。
7月9日
クリート問題 8日タイムス社発
コンスタンティノープル来電―クリート代議院は、無益に且つ危険な難局を生じさせたので、今や速やかにこれを解決する為に断固たる手段を執る時期に到ったと認められる。なお同問題の為、トルコとギリシャ間に衝突が起こる得る恐れがある。
日露協約続聞 8日上海経由ロイター社発
タイムス露都通信員の報道(7日発タイムス特電)は、日露協約の内容、条件が去る6日本社所報のものと同一であることを確認した。
又両協約国は、満州に於ける双方の鉄道を改善し、連絡を完全にする為、互いに友好的な協力をし、同時に各種有害な競争を行わない旨約定した。(この協定が協約中に含められているか、或は別個のものであるか尚不明である)
日韓合併反対運動 7日紐育特派員発
サンフランシスコを中心として、各地に散在する韓国人等が連合して、日韓合併反対会を組織した。米人の助力を求める為である。
7月10日
佛国の協約評 9日タイムス社発
パリ―来電=佛国諸新聞は一般に日露協約を歓迎した。ル、ジョルナル、デ、デバ紙は、同協約を以て獨逸膨張派が主唱中であった黄人種反対欧州大連合組織の論に打撃を加えるものとしている。
獨紙の日露協約観 8日ベルリン特約通信社発
獨逸諸新聞は、日露協約が満州に於ける獨逸の商業的競争を制限する様な結果さえ生じなければ、これは極東平和の新結束として歓迎すべきものであると述べている。
巴奈馬運河 同上
パナマ運河の開削工事管理者は、1911年1月を以て、同運河の公式開業式を行う予定と述べた。(備考 米国が同運河を譲り受け、自ら工事に着工して以来約10年、工事はほぼ完了の域に近づいたが難工事がある為、開業式は1915年1月1日と内定しており、この電報の1911年は多分1915年の誤りと思われる。)
解説:実際にパナマ運河が開通したのは1914年8月15日である。
7月11日
獨紙の日露協約評 10日上海経由ロイター社発
獨逸新聞は日露協約に対して反対の評論を試み、同協約は主として米国を目的として締結されたのみならず、又他の列強に不利益をもたらすであろうと評論している。フランクフルテル、ツアイツング紙は、同協約は時局に何らの変更をもたらすことなく、日露両国は依然として敵であると論じ、又フォツシラセ、ツアイラング紙は、同協約は日本の最も危険な競争者である米国に対して締結されたと論じている。
7月12日
クリート問題落着 11日タイムス社発
カンギア来電―クリート議会は列国の要求に従い、イスラム教徒議員の着席を許し、その為同島民は漸く難局より救われ、安心する事になった。但し今回の解決は島民の希望より一歩後退するものと考えられつつある。
日露協約と米国 同上
華盛頓来電―米国側の日露協約評は驚くべき程慎重であり、警戒的態度をとっている。但しワシントンの楽天家といえども同協約成立の結果、国務卿の満州案が将来終に採用されるべしという点について、一層疑念を深くせざるを得ない様である。イブニング、ポースト紙は、同協約を論じて日露両国が満州の米国起業に反対して偏頗的措置を執る意思があるかどうかはなお今後の證明を待って判断しなければならないと言明した。
土耳其の抗議 9日ベルリン特約通信員発
トルコ政府は、クリート保護の任にある英沸露伊の四国に書を送り、ギリシャ皇帝のトルコ内政干渉に抗議した。
日露協約と佛国 10日パリ発
日露協約は佛国の諸新聞を満足させた。佛国諸新聞は日、露、英、佛間の緊密な同盟を予想し、冷淡な態度を以て獨逸の諸批評を迎え、そしてこの新協約が確かに佛国に於ける日本の信用を高め、その地位を重くすると信じている。
7月13日
クリートの宣明 12日タイムス社発
カンデア来電―クリート政府は同島保護の任にある英仏伊露4か国の要求に服従する旨宣言した。
獨帝親簡問題 12日上海経由ロイター社発
マドリス氏をニカラグア大統領として承認する獨帝の書簡が発表された結果、ワシントンに於いて様々な論評があるが、これは英米両国が同様な承認を与えていない為である。但し国務省は獨逸外務省の過失を重大視していないと言う。なおこれより先にワシントンに於いてはマドリス氏が欧州の某強国に対し「若し自己を大統領として承認する場合には、これに貯炭地を与える」と申し出たとの風説がある。
7月14日
日露協約と獨逸 13日上海経由ロイター社発
獨逸新聞ダーゲッヒ、リウンドハム紙は、本紙が確かな筋から得た情報によれば、今回の日露協約の発議者は英国の外交家であり、彼等は協約の締結にも関係している。そして英国外交家の目的は、獨逸に対抗する三国同盟を作るにあると述べている。
獨逸新聞憤激 同上
ニカラグア共和国大統領に宛てた獨逸の書簡が、ロンドンより米国に送られ、米国に於いて発表された事が判明した。この為ベルリンの民心は、非常に憤慨している。獨逸の諸新聞は、獨米離間の種子を播くものとして、英国新聞を攻撃し、米国人に、獨帝が中米の事に干渉する意思があると思わせるのは、如何なる手段を用いても不可能であると論評した。
7月15日
協約と獨逸 14日上海経由ロイター社発
日露両国大使は、獨逸外務省に日露協約の正文を通知し、その一層の極東平和を保障する所以であり、門戸開放主義にはなんら影響がない旨言明した。外相シエン男爵はこれに答えて、予は獨逸の経済的活動に対して門戸開放主義が適用されるであろうと確実であると信じると述べた。
日露協約と米国 13日ニュヨーク特派員発
日露協約は13日の新聞紙上に発表された。国務卿ノックス氏は、米国の主義に沿わないと述べたとの説がある。又秘密条約があるとの説は全く無根であると打ち消された。
獨逸の否認 同上
獨逸が米国の対ニカラグア政策に反対しているとの説に対し、獨逸は無根であると打ち消している。
英国と西蔵 15日上海経由ロイター社発
チベットに関する分厚い青書が発表された。その中で最も注目すべきは8月8日付外相サー、グレーの第2回公文であり、その内容は英清両国の間に締結された諸条約及び通商協約を清国が厳守する義務がある事を主張するものである。英国外相はその公文に於いて、英国には、常にシキム、ブータン及びネパールの各地方に於ける利益を擁護する準備がある事を通告し、これら地方に清国の兵力を増加する事の得策でない事を警告している。
英獨海軍競争 同上
英国首相アスキス氏は下院に於いて建艦費予算の討議に際し、今や獨逸との利害関係は全世界にわたり、至る所に拡大しつつある。我々は真に我が海軍力を増加する事が当然であると認める。特に獨逸がその建艦計画を繰り上げた事は争う事の出来ない事実であり、これは英国政府が今回の海軍拡張案を提出する所以であると言明した。
解説:第1次世界大戦まで4年の状況である。
7月17日
佛紙と日露協約 16日タイムス社発
パリ―来電―ル、タン紙は、日露協約に言及し、獨逸はアジアに於ける勢力均衡の確定を希望しなければならない。これは満州における日露両国の地位は、モロッコに於ける佛国と同じであると言明した。
西蔵と英国 15日上海経由ロイター社発
チベットに関する青書(外交白書)の示す所によれば、チベットの大臣等は、清国の内政干渉を調査する為に英国将校を派遣する様しばしば要求し、且つインド及びナバル間と同様の同盟を結ぶ事を切望している。
米国と尼国干渉 15日サンフランシスコ特派員発
国務卿ノックス氏は、ニカラグア大統領マトリッズ氏が一米人を投獄し、同国に在住するその他の米国人の生命財産が危険な状態であるとの理由で、更に同国に干渉しつつあると
7月18日
日露協約と清紙 17日奉天特派員発
16日露協約に関し、17日の中國報は日露協約の警告と題して次の社説を掲げた。「米国が満州中立の提議を行った結果、日露は非常に狼狽して、遂に今日の協約を締結した。主権者である清国を度外視し、自ら主人公のごとく振舞っている。この様な外交の失態を行ったのは、我が政府の外交が常に列国の猜疑心を利用して、これを抑えようとした結果である。」(一部抜粋)
7月20日
生駒倫敦着 19日タイムス社発
日本軍艦生駒はグレヴィセンド(ロンドンの東南24マイル、テームズ河岸の一部)に到着した。乗組み士官は、19日夜ロンドン市長官邸に於いて供応を受ける予定である。
加奈陀移民問題 同上
トロント来電―カナダ大幹線鉄道の山中線は大変な労働者不足に苦しんでいる。この原因は全くアジア人排斥の結果である為、請負業者等は移民制限を変更する様に提議している。
7月21日
着英後の生駒乗員 20日上海経由ロイター社発
生駒の水兵は、ロンドン市中を見学し、同艦の主要士官は英国皇帝及び皇后陛下に謁見した。
英国下院と弾薬費 同上
英国下院は、陸海軍弾薬費及び海軍工廠費を可決した。陸相ハルデン氏及び海相マッケナー氏は、議員の攻撃に答えて、陸海軍にて貯蔵しているコルダイトは、大砲の標準数と正確に適合する。特に海軍に於いては、砲の数よりも割合に多く貯蔵している旨言明した。
7月22日
加奈陀鉄道と東洋人 21日タイムス社発
トロント来電―鉄道人夫に関する規則で、アジア人を排斥し、スカンジナビア人を入れる事が決まった。
生駒歓迎別報 21日上海経由ロイター社発
日英博名誉総裁アーサー、コンノート殿下は、博覧会に於ける生駒将校歓迎午餐会を司会し給い、同盟国海軍の代表者を歓迎する旨御演説があり、加藤大使その他は、それぞれ適当な答辞を述べた。
英帝戴冠布告 同上
明日、英帝戴冠の布告が、セントゼームス宮に於いて行われる。儀式は、即位宣示の際と同様であり「キング、オブ、アームス」(役名であり、即位宣示の際にも宣示を行ったもの)の布告等があり、次いでチャーリンククロス、テンブルーバー、及びローヤル、エキスチェンジ(取引所)間等迄行列があり、これらの諸所で、それぞれ布告が行われる事になっている。
7月23日
波斯守旧派運動 22日タイムス社発
テヘラン来電―イスラム教徒指導者等は憲政反対運動に尽力し、ペルシャ官憲がミュウジテヒト殺害者を捕縛、懲罰できない事を攻撃している。
印度革命運動 同上
カルカッタ来電―一民家に多量の弾薬、短銃が発見された。同家に居た住民は既に逃亡していた。
米艦派遣 21日サンフランシスコ特派員発
ニカラグア国グランアス駐在の米国領事その他米人の生命、財産が危険な状態である為に、巡洋艦タコマ号を派遣する事に決定した。
7月24日
日本議員歓迎 23日上海経由ロイター社発
英国政府の主催で日本代議士歓迎午餐会がハムブトンコートに於いて開かれた。ハートコート氏が司会をし、外相サー、グレー、その他諸大臣、加藤大使等が臨席した。席上皇帝からの書簡が朗読され、極めて慇懃なものであった。外相サー、グレーは日本天皇陛下の為に乾杯し、日露協約が日英同盟及び平和維持する従来の政策を損じないばかりか、却って大いにこれを安全にする点に貢献するものであると説き、同盟再約の正当は充分に証明されたと言明し、徳川貴族院議長はこれに対し答辞を述べた。
猶太移民上陸拒絶 22日ニューヨーク特派員発
ガルベストンに上陸した露国のユダヤ人25名は、契約移民として上陸を許さず、且つ帰国を言い渡されたが下院議員の有志が彼らを上陸させようと尽力中である。
尼国港湾封鎖続報 22日サンフランシスコ特派員
米国国務省は、ノールウエイ政府がニカラグア国ブリユ、フィールド湾の封鎖宣言を承認した事に対し、その港は公海港である。しかるにノールウエイ政府が封鎖されたと認めたのは、その港の状態を知らないからであると宣言した。
7月25日
満州通課税問題 24日上海経由ロイター社発
最近露国に於いて発表された半官的報道によれば、露国政府はシベリア鉄道で極東に輸送される貨物に通課税を賦課する事を考慮中であるが、獨逸の新聞は、本件に関し一般の注意を促し、露国は満州に於ける外国貿易を阻害する意思があるのか、そもそもこの計画は列国に対し、満州の門戸開放を誓約した日露協約から生じる第一の結果であるのかどうかと質問した。
7月26日
英獨海軍妥協論 25日上海経由ロイター社発
ベルリン来電―フォルウエルツは、政府が帝国議会総選挙の後1912年に他の海軍案を提出すべきであると説き、政府及び議会に働きかけて海軍拡張案を提出する代わりに、英国との妥協を図る為の大運動を起こす必要があると主張した。
米国戦艦艦隊巡航 24日サンフランシスコ特派員発
米国政府は、本年11月16隻の戦艦よりなる大艦隊で欧州諸港を訪問させ、更に地中海を航行させる事を決定した。海軍省は既にその航程と日程を発表した。
ホブソン大佐の国防論 同上
オハイオ州ロレード市に於いて、例のホブソン大佐は、米国太平洋沿岸の防備が不十分な事が日米戦争を招く所以であると述べ、大艦隊を太平洋に派遣すべきであると盛んに主張し、且つ日米関係は日を追って険悪な方向に行きつつあると述べた。
獨逸戦艦と十四吋砲 26日タイムス社発
ノイステナクリヒテン紙の報道によれば、獨逸はクルップ工場で製造した十四吋砲を今後のドレッドノート型戦艦に装備するようである。
解説:英国のドレッドノート型戦艦は12吋砲を搭載し、又戦艦三笠も12吋砲であった。獨逸はそれよりも大型の大砲を装備した。
7月28日
タイムス印度論 27日タイムス社発
ロンドンタイムスは、モンテグ氏が下院に於いて印度の対英感情が変化し、親英的となったと説いた事を攻撃し、氏はこの様な事を述べない方が賢明であると論じ、更に印度事務大臣モーレ卿、総督ミント卿も同一の事を述べているが、これらは不正当であると言明した。
獨逸海相辞職否認 27日上海経由ロイター社発
ベルリン来電―獨逸海軍卿テルピッツ大将が辞職したとの説は、半官的に否定された。これは英獨海軍妥協の運動者に対する一打撃であると信じられる。
解説:テルピッツは獨逸海軍を英国海軍戦力に比較して、6割の戦力を持つ第2位の海軍とした。
米国陸相の日本観 27日サンフランシスコ特派員発
米国陸相ジツキンソン氏が或る新聞社より日米戦争説に対する氏の意見を徴したのに対し、予が日本を訪問した結果、日米戦争等がある筈がないという予の意見は更に強固になった。日本の工業商業は各方面に発展中であり、この状態で日本が我が国に戦争を挑む事は想像すらできない。我が国も断じて戦争を欲せず。そして戦争を避ける為には全ての方法手段を講じるものである。(一部抜粋)
7月29日
佛国陸軍の読書力 28日タイムス社発
パリ―来電―今年の徴兵には、1万4千人2百25名の文字を解さない者がいる。
7月30日
獨逸演習と飛行器 29日タイムス社発
ベルリン来電―ツエペリン、グロス、パーセワル等諸式の飛行機がメツツに於ける陸軍演習に参加した。なお内務省に於いては、事故の発生を防ぐ為に規則の制定を検討中である。
日韓合邦と英国 同上
英国外相サー、エドワード、グレイは下院に於いて、朝鮮合併が実行される暁には、政府は英国の商業的利権を防護する手段を講じるであろうと言明した。
英兵西蔵派遣 30日上海経由ロイター社発
本社シムラ通信員の初報によれば、2個のインド連隊は、山砲隊と共にチベットに入る準備を整える様命令された。これは清兵の活動結果、同地に騒乱が起こる恐れがある為である。唯今の所、グネツトングに大量の供給品が集められ、若しチベットジャンテー、ヤータン等の英国商会等が攻撃を蒙る場合には、この保護の為に進軍する準備が出来ている。但し清兵及びチベット人間が相戦う場合には、英兵は厳密に中立を守る事になる様である。