期日 |
日本関係 |
期日 |
露清関係 |
期日 |
11日 |
期日 |
独仏その他関連 |
11月5日 |
日米親交論 |
11月2日 |
波斯露兵撤退 |
11月4日 |
米国帰化法と土耳其 |
11月1日 |
水兵反乱鎮圧 |
11月18日 |
日清協約と米国 |
11月4日 |
露国の芬蘭政策 |
11月4日 |
米国地学協会の決議 |
11月3日 |
希臘反乱審問 |
11月23日 |
粟の輸出 |
11月17日 |
波斯紛乱と露国 |
11月5日 |
婦人参政権 |
11月5日 |
希臘反乱首領拿捕 |
11月29日 |
満州問題日本攻撃 |
11月19日 |
芬蘭の反抗 |
11月11日 |
加奈陀海軍と米紙 |
11月7日 |
波斯財産算入 |
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11月20日 |
芬蘭議会解散 |
11月13日 |
布哇比律賓防備 |
11月26日 |
獨逸予算 |
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11月21日 |
芬蘭の形勢 |
11月14日 |
世界の最大戦艦 |
11月28日 |
沸国官吏同盟運動 |
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11月27日 |
韓人露国移住 |
11月17日 |
加奈陀首相演説 |
11月30日 |
西軍前進中止 |
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11月30日 |
露兵撤退延期 |
11月20日 |
米国と中米 |
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11月21日 |
米尼国際裁判 |
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11月23日 |
米国派兵準備 |
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11月25日 |
米尼国交断絶 |
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11月29日 |
米国の対ニカラグア態度 |
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11月1日
水兵反乱鎮圧 31日上海経由ロイター社発
ロイター社アデン通信員の報道によれば、同地の水兵反乱は、事実上一先ず鎮圧された。この反乱に於いて、反乱側には行方不明者4名、戦死者5名、負傷者数名を出し、官側には、戦闘艦ハイドラ号が反乱駆逐艦の砲火を浴びた為に、戦死2名、負傷者2名を出した。又各州に於いて動員された軍隊がアデンに到着し始めている。なお反乱者チバルドス大尉の運命は不明である。
解説:昨日の記事の続報で、ギリシャの少壮海軍軍人等は、現在の海軍行政に不平の念を抱き、30日反乱を起こした。
11月2日
波斯露兵撤退 1日タイムス社発
テヘラン特報によれば、カスウインの露国兵士は、領事館護衛コサック兵50名を除き、皆同地を出発した。これは、露国がペルシャに対し何等の意図も持たない事を示す様熱心に主張する新露国公使の考えで行われたものである。
新駐清英国公使 31日ベルリン特約通信社発
イリノイ中央鉄道会社社長スワイベサント、フィシュ氏が駐清米国公使に任命されたとの噂がある。(フィシュ氏は、米国で有名な銀行家兼鉄道経営者であり、以前米国鉄道協会会長も勤めた事がある。58歳)
解説:10月14日「駐清公使論旨辞職」の続報である。
11月3日
希臘反乱審問 2日タイムス社発
アデン来電―当市は今や静穏となった。陸軍将校等の機関紙は、代議院に対し、速やかにその事業を終了する事を勧告し始めている。政府は今回告発された将校等を、普通裁判所に於いて、軍法に基づき審問する事に決定した。多分世論が許す事の出来ない様な刑罰を課すことになると思われる。又兵士は逃亡中の反乱者を捜索中である。
解説:11月1日記事の続報
獨逸官吏腐敗 2日上海経由ロイター社発
獨逸のキールに於いて、同海軍鎮守府倉庫監督ハインリッヒ、同属官3名、商人5名の審問が開始された。罪状は、大規模な有価供給品の窃盗である。
11月4日
波斯蕃賊猖嗽 3日タイムス社発
テヘラン来電―ペルシャ政府はアルダビール(ペルシャの北端、カスピ海の西岸に位置する市)を救援しようとしている。同市は、蕃賊に包囲され、しかも弾薬欠乏の為に苦境に陥っている。コーカサス露国駐屯兵も同市領事館を保護する為に出発した。
露国の芬蘭政策 同上
露都来電―露国は先にフィンランドの一州ウイボルグを露国の直轄に移し、又陸軍費の一部をフィンランドに負担させる事を定め、同時に万一の変事に対する準備として、軍隊をフィンランドに派遣した。これについて有力な一政治家は、政府に於いてウイボルグ州併合を決行したが、これは決してフィンランドの権利と自由に打撃を与える意志からではないと公言した。
米国帰化法と土耳其 同上
ニューヨーク来電―トルコ国代表者は、「アジア人は合衆国市民権を得る事は出来ない」と言うワシントン官憲の帰化法解釈に対し、激しく抗議した。これは、同公使館がトルコ国民を構成する6種の主要な民族中、トルコ人、アルメニア人、シリア人、アラビア人の4種族を劣等な好ましからざる分子であるとする理論に、止むを得ず反対しなければならなくなった為である。
米国地学協会の決議 2日桑港特派員発
米国地学協会委員会は、北極を探検したベアリー氏の主張と記録とを十分に調査した後、ベアリー氏が北極に達した事を満場一致で是認し、3日の委員会に付議する予定である。無論これを是認するであろうし、その上は、探検に関する情報を公表すると思われる。しかしその決定はクック氏の探検問題には少しも関係が無く、又同協会は、両氏何れが先に北極に到達したかについては何等決定をしない筈である。
11月5日
婦人参政権 4日タイムス社発
ニューヨーク来電―大統領タフト氏は、余は婦人全体が参政権を熱望すると信じる事が出来ない限り、婦人の参政権付与に賛成する事は出来ない。婦人等がいよいよこの権利を熱望するようになるならば、その権利を獲得する事が出来るであろうと言明した。
希臘反乱首領拿捕 4日上海経由ロイター社発
アデン来電―ギリシャ反乱首領、海軍将校4名は、昨夜テブス付近で憲兵と互いに射撃した後、拿捕された。
解説:10月末に起こった反乱記事の続報である。
日米親交論 3日ワシントン特派員発
3日夜の晩餐会席上で、国務郷ノックス氏は次の様な演説を行った。
日本が米国に学ぶように、米国も又日本に学ぶ事が多い。余は日本人の品性に敬服するが、この品性は武士道の賜物である。伊藤公の死はタフト氏の悲しむ所であり、公は一身を国家に捧げた偉人である。又日米の親交は、長く変わる事がないが、将来に於ける激しい商業上の競争は、予め覚悟しなければならない。とは言え礼儀を持って国交を維持するならば、競争は、平和と福利を増進するであろう。
11月6日
国務郷の演説 5日タイムス社発
ニューヨーク来電―国務郷ノックス氏は、ワシントンに於いて日本実業団の為に催された饗宴の席上、一行を歓迎する演説を行った。その中で伊藤公は、国家の為に一身を犠牲にした愛国心に富む高尚な政治家であり、且つ優れた組織的な才能を有していたと称賛した。次いで日本人は、通商上では、米国に対する非常に親密な競争を行わなければならないと警告した。
獨逸又増艦 6日上海経由ロイター社発
獨逸は、更に2隻のタービン式ドレッドノート型戦艦を新造するであろうとの情報がある。
11月7日
加奈陀軍備反対 6日タイムス社発
オタワ来電―ケベックで開催された商業大会に於いて、軍備拡張に反対する決議が採択された。カナダ首相ロリエル氏は、この決議に答えて、カナダが陸海軍無くして存在できない事は、警察なしで存在出来ないのと同じである。我々の様々な権利を防衛し、且つ母国の要求がある場合にはこれを支援する為に、カナダ海軍を設置する件については、既に確定した事であると公言した。
波斯財産算入 同上
テヘラン来電―ペルシャ政府は、内乱を鎮定する費用が欠乏している結果、今回内閣及び代議院からなる非常会議を開き、熟議の末、皇室の財宝を質入れする事を可決した。但しこの収入は、アルゼヒル(北部ペルシャに位置し、ロシア国境に近い都市)遠征の費用に充てる予定である。なおアルゼヒルに於いては、現在殺傷、略奪が盛んに行われている。
獨紙の英獨協約主張 5日ベルリン特約通信社発
獨逸保守党機関紙クロイツ、ツアイツングは、英獨間で誓約を結び、互いにその領土に関する現状維持を保障する事を主張した。
11月9日
摩洛哥と獨逸 8日タイムス社発
タンジール来電―モロッコ王は、先般ドイツが提出したドイツ債権者に対するモロッコの債務を支払えとの要求に回答した。しかしその回答は漠然とし、非常に不満足なものであった。
波斯憂乱形勢 同上
露都来電―廃帝マホメット、アリに味方すると呼号して、蜂起した北部ペルシャ蕃賊は、今尚アルゼビルに於いて奪略をほしいままにしている。但し露国領事館、居留民及び2千人の避難者は皆安全である。
11月10日
摩洛哥征伐効果 9日タイムス社発
マドリード来電ーモロッコのマリヤ駐屯軍司令官は、リーフ山土民の掃討作戦に於ける主要な目的が既に達せられたと説明し、余は土民が十分有効な教訓を受けた事を信じると公言した。
解説:スペイン軍がモロッコに駐屯している。
獨米対清策論 9日上海経由ロイター社発
駐米ドイツ大使ベルンストルツ氏は、フィラデルフィア学士会館に於いて演説し、ドイツの外交政策は、純粋に商業的であり、少しも領土的野心を持っていない。米国が清国の問題に関し、新たな発展をするならば第一に之に味方するのはドイツである。ドイツは一時的利益を犠牲にしても、開放政策を固執しようとする者である事を証明したと言明した。
解説:8月7日の記事「川漢借款と米人」に見られる川漢鉄道の問題に関する問題と思われる。米国銀行団が英独仏に遅れて談判に参加している。
11月11日
加奈陀海軍と米紙 10日タイムス社発
ニューヨーク来電―2等巡洋艦3隻、駆逐艦4隻を建造し、いよいよ独立海軍の基礎を立てようとするカナダの計画に対し、多数の米国新聞は賛成している。但しニューヨーク、ヘラルド紙は、カナダ海軍は英国の海軍力と結ばれ、英国は同盟に依って日本に結ばれ、日本に太平洋の制海権を得させるかの知れないと論評した。
対清鉄道政策 10日上海経由ロイター社発
英国上院に於いて、スタンフォード郷の質問に答えて、植民大臣クルウ郷は次の様に答えた。
1 山東省に於けるドイツの鉄道及び鉱山に対する占有的要求について、英国政府は何等の保障をドイツに与えた事はない。
2 ロシアの揚子江流域に於ける鉄道敷設計画への参加について、これは唯借款に限り、線路に対し何等の抵当権を得たものではない。
11月12日
巴奈馬運河工事 11日タイムス社発
ニューヨーク来電―パナマ運河計画の根本であり又ガタム水門と共に最難関工事として知られるクレブラ水路開削は、その半ばを終えた。今後4年間を経過すれば完成する筈である。
解説:現在は1909年で、パナマ運河は19014年2月に開通した。
巴奈馬運河防備 11日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―米国陸海軍将校の連合委員会は、パナマ運河を視察し、同地防備方法を研究させる目的を以て任命された。
豪州罷工続報 同上
シドニー来電―鉱山持主等は、恐喝の下で労働者と協議する事を拒否した。南部に於ける7個の炭鉱に於いては、遂に同盟罷工が行われた。
11月13日
布哇比律賓防備 12日タイムス社発
ニューヨーク来電―ハワイの真珠湾は、太平洋上に於ける米国の主要な海軍鎮守府として選定された。又以前から提案されていたマニラ港の修築は見合わせとなり、仮鎮守府をレイテ島のオロンガボに置く。但しフィリピンの防備は主に陸軍によるであろう。
解説:これがパールハーバー海軍基地の始まりである。
英獨協商説 12日上海経由ロイター社発
ドイツ新聞の英獨協商可能談は、英国首相アスキス氏の演説によって復活する事になった。デーリー、クロニクル紙は、首相アスキス氏がドイツの対英感情が変動した証拠があるとした事及び新ドイツ宰相ペートマン、ホルウエヒ氏の就任後、両国間に意見の交換が行われた事を信じると言明した。
解説:第一次世界大戦まで5年
11月14日
クリイト問題 13日タイムス社発
アデン来電―トルコは、頻りにクリイト問題決定を要求中である。これは今後、更にギリシャを刺激することになるであろうと見られている。もっともトルコが直ちに無理にこの決定を求める意図であると信じる事は出来ないが、来春になるとどの様な事件が起きるかについては、疑惑を抱くものが多い。
ギリシャ首相は、海軍武装費として、3千万ドラマク(1千1百60万円)を要求した。
米国海軍根拠地 12日ベルリン特約通信社発
米国大統領タフト氏は、将来太平洋艦隊の根拠地をハワイに置く事とし、同時にマニラ湾港の工事は、これに伴いその程度を減少させる様命令した。
世界の最大戦艦 内国電報(13日発)
最近英獨米に於ける軍艦の建造は、ますます巨艦の建造を競う情勢である。そのトン数は増加すると共に主砲の威力に重きを置き、最近まで12インチ砲10門が最大軍艦の標準であったが、現に英国に於いて計画される5号から8号に至る戦艦4隻は、各2万6千トンで、その主砲は、13インチ半10門を採用するに至った。獨逸は未だ2万トン以上の建造計画を発表していないが早晩英国に対する競走上、必ずその計画をするであると信じられている。米国は、2隻の2万5千トンの計画があるが、更にその計画を増大し、新たに3万トンの戦艦4隻の建造を計画し始めている由にて、その主砲は14インチ砲12門である。
11月16日
西摩平和談判 15日タイムス社発
マリーヤ来電―スペインは、平和条約として、リーフ地方に於ける土地割譲の主張を固守している。このリーフ土蕃の代表者は、近日中に平和条約についてスペイン司令官と協議を開始するであろうと期待されている。
波斯議会開会 同上
テヘラン来電―ペルシャ議会は、11月15日を以て開会した。本議会は10月中の選挙に於いて当選した新議員を以て構成されるが、その多数は、現政府に賛成の意向を持っている。
クリイト問題 同上
列国は、トルコが通牒を発し、クリイト問題の解決を促したのに対し、近日中に回答し、この回答に於いて、現在はクリイト問題を論議する為の好機ではない旨言明するものと思われる。
解説:11月14日記事の続報である。
11月17日
波斯紛乱と露国 16日タイムス社発
テヘラン来電―アルデビル地方に於ける土蕃の暴行は、今尚止んでいない。この為2千余の露兵は、バーク(カスピ海西岸の良港)を出発し、ペルシャ及び露国の境界に位置するアスタラに上陸し、今後の情勢の推移を見守っている。
解説:ペルシャの北半分は露国の勢力圏であり、南半分は英国の勢力間である。
加奈陀首相演説 同上
オタワ来電―カナダ首相は、上奏文の討議に於いて演説し、カナダ議会は自ら海軍を組織する件に付いて、完全に一致した。予は豪州及びニュージランドもカナダの意見に同意するものと考える。若し英帝国が従来の様に強大である事を希望するならば、個々それぞれの国が充分に海軍の発達を期し、以て英帝国全体を強大にするべきであると公言した。
解説:英国は、ドイツと熾烈な建艦競争をしている。
11月18日
印度改革反対 17日タイムス社発
カルカッタ来電―インド人の発行する諸新聞は、インド政治を改革する計画に対し、様々な攻撃を試みており、又極端な反対者に至っては同改革を阻害する目的を持つ同盟運動を計画中である。
日清協約と米国 同上
ワシントン来電―日清両国間に締結された満州協約中、南満及び安奉沿線の鉱山経営に関する条約に対し、米国政府は、日本も清国もこの鉱山採掘事業について、管理権を占有していないと解釈している。余(タイムス通信員)が確かなる筋から聞く所によると、この解釈は、米国政府が同協約を承認した事を意味するものと言われている。他の条項については、米国政府は日清両国に向かって、何事をも問い合せる意志が無く、即ち日本は、その権利に属する所を行えるものであると考えている。
解説:9月3日、7日に日清協約の内容が報道されている。
11月19日
芬蘭の反抗 18日タイムス社発
ヘルシンキフォルズ来電―フィランド議会は、先般露国政府の要求した露国陸軍費の一部をフィンランドより拠出し、又同議会の軍事的立法権を制限する諸案を否決した。
解説:11月4日「露国の芬蘭政策」の続報である。
11月20日
芬蘭議会解散 19日タイムス社発
ヘルシンキフォルス来電―露帝は、フィンランド議会を解散した。これは同議会があくまでもフィンランドの自治権を主張して、軍事に関する立法権の制限を拒み、且つ10月14日の詔勅に見える毎年露国陸軍費40万ポンドを負担する件を否決した結果である。
解説:昨日の記事の続報である。
米国と中米 同上
ニューヨーク来電―米国政府は、ニカラグア大統領ゼラヤ氏の非行に対し、これを久しく忍んできた。しかも今やいよいよ同国の紛争を終了させる為、断固たる手段を執る事が予想される。
11月21日
芬蘭の形勢 20日タイムス社発
露都来電―フィンランド人等は、完全な独立を希望したと一般に考えられている。その為に露国政府は、一層警戒を厳重にしようとしている。
解説:1917年までフィンランドはロシア領であった。
米尼国際裁判 19日桑港特派員発
ニカラグア大統領ゼアラ氏が、同国の反乱に加わったとして2名の米国人を死刑に処した。米国国務省は、同国政府に対し、説明を求め、且つ同国に居る米人の利益を保護する旨を称して、巡洋艦ピッツバーグをコリトンに、砲艦テスモインスをシオンに急派した。米国政府は、エストラダ将軍とゼラヤ大統領とが対立状態にあると認めており、その何れを正統と認めるかにつき、公式の宣告を近く発表するであろうと言われている。
11月22日
渡米団帰程 20日ロスアンゼルス特派員発
雪のデンバー、氷のソルトテイクを経て当地に来れと、熱帯の植物が繁茂し、温暖で春の様である。22日更にメキシコ国境のサンジェゴ行き、それより東に向かいアリゾナ州に入り、グランドキャニオンの激流を見て、27日サンフランシスコに到着した。30日出帆する地様丸にてホノルルを経由して、来月18日横浜着の予定である。同日東京にて解散式を行う筈
11月23日
沸摩借款問題 22日タイムス社発
タンジール来電―モロッコ王がもし沸国が申し込んだ借款条件を受け入れないならば、沸国は、遠からず軍事的行動を採ることなく、ただ債権者に対する支払い保証として、租税徴収という手段を採ると思われる。
解説:当時のモロッコは仏国の保護国であった。
米国派兵準備 同上
ニューヨーク来電―米国政府は、米国人2名が処刑された事に対し、ニカラグワ政府の弁明に満足せず、既に米国汽船による軍隊輸送の準備を整えた。
解説:当時の米国の陸軍兵力は少なく、8万人位であった。目的はアメリカ大陸を勢力範囲として、この記事にある様に、その秩序を維持する事であった。
粟の輸出 内国電報(22日発)
最近本邦からロンドン及び欧州大陸へ粟の輸出が行われる様になった。その結果欧州航路の同盟汽船会社の協議の結果、重量1トンに付33シリングの運賃に協定した。
解説:当時の日本では、粟の様な雑穀を食べる人が多くいたと言われているが、まだ多くの粟が生産されていた様である。
11月24日
杜伯の非軍隊論 23日タイムス社発
ゼチワ来電―非軍隊主義者の大会があり、席上各国民が兵士として服務しない事を熱望したトルストイ伯爵反戦論文が読み上げられ、聴衆は熱心にこれを歓迎した。
解説:日露戦争直前、トルストイ伯爵は、10篇からなる長大な反戦論文をロンドンの新聞に発表した。その冒頭に、「仏教の国である日本と博愛を尊ぶキリスト教徒の国が何故戦うのか」という文言がある。
英国予算案討議 同上
上院に於いて財政案に関する討議を開始した。保守党領袖ランスダオン郷は、下院が今回の予算案を国民の判断に訴える前に、これに同意した事は不当であるとの動議を提出した。大法官ロアバーンス氏は、これに答えて政府は、失業者及び貧民の救済を希望する故に、富裕階級に課税せざるを得ないと言明した。
11月25日
希臘改革運動 24日タイムス社発
アデン来電―ギリシャ政府を左右し、且つ各種改革を強制的に実行中である陸軍協会の一機関紙は、国家改革上より是非公職を免職させる必要があるとする人物の名簿を発表しようとしている。尚同紙は、既に名士4名を挙げて、これを攻撃している。
沸国と摩洛哥 同上
パリ―来電―首相ブリアン氏は、代議院に於いて、沸国のモロッコに対する政策を弁明する重要な演説を行い、沸国は、居留沸人の為に公正な待遇を得るよう希望すると述べ、これに次いで社会党の議員は、軍隊のモロッコ占領を撤廃するよう提議したが、賛成者が少数で否決された。
解説:モロッコは沸国の保護国である。
米尼国交断絶 23日桑港特派員発
米国国務郷は、ニカラグア代理公使ロードリグエズとの会見を拒絶した。国交断絶をするものと予想される。
なおニカラグア国に於ける対米感情は、非常に悪化し、善良な多くの国民が、立って米国の野心を挫けと叫んだ。同国に在住する米国人の主要な者は、漸次減少し始めているが、これは、ニカラグア政府の捕縛、投獄したからではないかと推測される。
解説:23日の記事の続報
11月26日
波斯強盗横行 25日タイムス社発
テヘラン来電―ブシル駐在露国総領事が強盗団に襲撃され、旅人隊は略奪され、又コサック兵1名が殺害された。
解説:当時ペルシャの北半分は露国の勢力下にあったが、内乱状態である。
希臘改革問題 同上
アデン来電―ギリシャ首相は、海軍行政改革を呼号中である陸軍協会の有力者と会見、協議した。そして国内の平和、秩序の維持が必要な事を主張し、且つ無能な将校や犯罪を行ったと言われている将校は、適当な方法で、着々免職する事を誓約した。
獨逸予算 25日上海経由ロイター社発
政府側の報告によれば、1910年度獨逸海軍の予算総額は、21,704,412ポンドポンドであり、その内、新艦建造費及び武装調達費は17,177,500ポンドである。又植民省予算では、諸植民地に対する補助金の削減に注意を惹くものがあり、膠州補助金のごときは、実に38,203ポンド削減した。
解説:清国の膠州はドイツの植民地であった。
11月27日
希臘海軍将校の要求 26日タイムス社発
アデン来電―ギリシャ海軍の将校は、陸軍協会に通牒を送り、いやしくも艦隊に関する問題については、艦隊の存在を認識し、その意見を尊重するよう要求した。
解説:昨日の記事の続報である。ギリシャ海軍の一部が反乱を起こし鎮圧されている。
巴爾幹連盟説 26日上海経由ロイター社発
ブルガリア王フェルナンドは、ソフィアに帰る途中、ベルグラードに立ち寄り停車場に於いてセルビア王と同皇太子及び外務大臣の出迎えを受け、直ちに宮廷列車で宮城に赴き、慇懃な歓迎を受けた。そして同時に首都に於いて注意を惹き始めているバルカン諸国の協商若しくは連盟説が益々高くなった。
解説:セルビアは、バルカン半島では、唯一ロシアと同じスラブ民族であり、セルビアが第一次世界大戦の引金を引く事になる。
韓人露国移住 25日ベルリン特約通信社発
露国よりの報道によれば、多数の朝鮮人等は国境を越えて露国領地に移住し始めている。但し露国政府は、これを少しも歓迎していない。
11月28日
沸国官吏同盟運動 27日タイムス社発
パリ―来電―約10万人の沸国官吏若しくは雇員を大乗する諸団体は、全国連合同盟を組織することに決定した。保守的共和党諸新聞は、政府は国家を蔑視する傲慢千万の運動を鎮圧しなければならないと論議した。
解説:第一次世界大戦まで5年、英獨は戦争に備えているのに対し沸はこの状態である。
加奈陀海軍反対 26日上海経由ロイター社発
カナダの有力な農業団体である「カナダ農民協会」は、カナダ海軍設置が、却って戦争を誘発することを恐れ、この件を国民全員の投票に諮ることを主張する決議案を可決した。
11月29日
満州問題日本攻撃(米国領事の報告) 27日ニューヨーク特派員発
27日のニューヨークタイムスによると、大連在住米国領事よりの報告が米国に到着している。これによると日本政府は、盛んに悪い手段を用いて、外国物品を排斥しており、この事は、日露戦争終了後の満州の解放当時より、外国人が等しく認めている所である。日本政府は、日本品に対して税金を課さなくて輸入させており、この事に関して清国政府も大いに注意を払い、これを各国に注意した。故に清国政府は新たに税関を設けてこの害を防ぐであろうとの説が盛んであると報じ、更にこれは米国政府が秘密にしているが確かであると付記している。
米国の対ニカラグア態度 28日サンフランシスコ特派員発
当地に居る米国御用船3隻は、ワシントン政府よりの秘密命令によって軍需品を積み込み、中米行の準備中である。又ニカラグア駐在米国領事がニカラグア政府によって捕縛、投獄されたと新聞紙は例によって今にも開戦する様に、誇張的に報道を始めている。しかし事実はそれ程切迫していないが、唯陸軍運送船のフィリピン群島行が中止されたのは事実である。
11月30日
露兵撤退延期 29日タイムス社発
テヘラン来電―北部ペルシャに於いて、長い間、欲しい侭に略奪をしていた部族が、旧占領地を撤退した。しかし露兵は、これら部族長が真に行動を慎み、略奪品を変換する確約が成立し、同時に各種損害に対する賠償の件等が定まるまでは、依然としてアルデビルに駐屯する事になると思われる。
西軍前進中止 同上
マドリード来電―モオレット氏の新自由党内閣は、多数のモロッコ部族が降伏し、スペイン軍の前進運動が成功した為に、今後更にマリーヤ方面に於いて進撃を行う必要は無いと考えている。但し若干の委員は、将来の防備の為の防塁が必要と考えており、スペイン軍は、それを築く地点を決定する目的で、将に同地に出発しようとしている。