期日 | 日本関係 | 期日 | 露清関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | 独仏その他関連 | ||
9月1日 | スチーブンス氏の遺族 | 4月9日 | 満州問題と米国 | 4月5日 | 富豪教育年金献納 | 4月1日 | 佛国特赦法案 | ||
9月10日 | ス氏埋葬式 | 9月10日 | 米国の海軍拡張 | 4月3日 | 摩洛哥問題と佛国 | ||||
4月13日 | 加奈陀移民法修正 | 4月12日 | 布哇守備費通過 | 4月3日 | 佛国騎兵又苦戦 | ||||
4月17日 | 排日運動猶止まず | 4月17日 | 米国艦隊南カルフォルニア着 | 4月20日 | 摩洛哥の戦報 | ||||
4月24日 | 日本人排斥決議 | 4月17日 | 米国戦艦新造案否決 | 4月22日 | 伊土紛議落着 | ||||
4月29日 | 米国艦隊着日期 | 4月18日 | 太平洋の将来 | 4月24日 | 波斯国境攪乱 | ||||
4月24日 | 米国海軍拡張案 | ||||||||
4月25日 | 印度国境反乱 | ||||||||
4月25日 | 印度国境反乱 | ||||||||
4月26日 | 回航艦隊歓迎費寄付 | ||||||||
4月27日 | 自由貿易派喪心( | ||||||||
4月28日 | 太平洋未来記 | ||||||||
4月29日 | 英獨海権の競争 |
4月1日
佛国特赦法案 31日タイムス社発
パリー来電―佛国政府は、特赦法案の討議に際して、非陸軍論者、上官の命令を順守しなかった文官及び非愛国者を特赦する事に反対した。代議院は大多数の反対により、非陸軍論者に特赦をしようとする修正動議を否決した。そして佛国南部のブドウ栽培者の暴動に関係した者を赦免するとの条項は満場一致で可決された。
解説:ブドウ栽培者の暴動に就いては、40年6月12日「南部佛国騒櫌」の記事以降連日のように報道されていた。約50万人が参加した。6月28日の記事によると歩兵12連隊はこの暴動に加わった為に、アフリカのチェニスに移駐させられている。
佛国は、後6年後に第一次世界大戦が始まり、独逸に攻め込まれる。
スチーブンス氏の遺族 30日桑港特派員発
昨29日夜、スチーブンス氏の姉ケート夫人及び義弟ポーター氏がサンフランシスコに到着し、警察官は、数名の私服警官を付け厳重に護衛した。旅館に行き、ス氏の遺骸を見た時の夫人の悲しみは激しいものであった。又米国大統領から花束を送られた。
解説:ス氏の事件については3月23日以降連日のように報道されている。
4月2日
愛蘭自治決議案 31日上海経由ロイター社発
英国下院は、157票対313票の多数で、レッドモンド氏提出のアイルランド自治決議案を可決した。大蔵大臣アスキス氏は、帝国議会の最上権を擁護する修正動議を提出し、これも又賛成多数で可決された。
解説:北アイルランド問題は現在も完全には解決していない。
4月3日
摩洛哥問題と佛国 1日タイムス社発
パリー来電―元老院は満場一致でモロッコ遠征費を可決した。外務卿ビション氏は、モロッコ警察隊が組織される事及びこれら警察隊の大部分は沿岸の諸港に配置されるべき事並びに内地の騒乱を鎮圧する都合上、佛国に対抗する土民の居住する二三の地点を占領する方針であるが、これらは完全に一時的であり佛国は決して永久にモロッコの土地を占領する意図が無い旨を言明した。
佛国騎兵又苦戦 1日上海経由ロイター社発
佛軍司令官は、未だに降伏しないムダクタス種族のモロッコ土民を討伐したが、佛国騎兵隊は、又も苦戦の状態に陥り、戦死8名、負傷12名を出した。
ス氏殺害取調 1日桑港特派員発
スチーブンス氏の暗殺事件について、検察官及び陪審判事数名が出張して、加害者の作った覚書並びに領事以下の証人を取り調べた。陪審判事は趙、玄の2名を有罪と認定した。
解説:4月1日の記事の続報
4月5日
富豪教育年金献納 3日タイムス社発
ニューヨーク来電 カーネギー氏は教育の進歩を図る為、各州学校教員の恩給費として百万ポンドを政府に献納しようとしている。
解説:カーネギー氏とは、カーネギーホール等で有名な米国の篤志家である。カーネギー鉄鋼会社を創業し、ロックフェラーに次ぐ史上2番目の富豪と言われており、教育や文化の分野で多くの寄付を行っている。この恩給費もその一つと思われる。
満州に於ける米国の態度 3日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―米国領事フィッシャ氏がハルピンに於いて採った政策は、同様に南満州にも適用されると言われている。この措置が日本に喜ばれない事は無論であるが、極東に利害関係を有する列国は、皆米国の意見に同意するものと考えられる。
解説:ハルピン駐在の米国領事が、ハルピンに於ける清国の領土保全を主張して、露国官憲に対して、自分は清国政府に駐在を命じられた者であると主張している。
日印綿糸競争 4日上海経由ロイター社発
ボンベイの紡績業者大会に於いて、会長は、日本の紡績業が一時不況に陥っているのを見て安心してはならない。支那に於けるインド綿糸と日本綿糸との競争は、非常に重大な問題であると演説し、事業者の覚醒を促した。
4月6日
満州問題と米国 5日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―露国大使ローゼン男爵は、国務卿ルウト氏を訪問して何事か協議した。多分満州における露国の勢力範囲についての交渉ではないかと推測される。そして米国は、既に宣言した態度を清国に於いて維持する上は何らも困難を感じないと思われる。東清鉄道の総辦は清国がこれを任命して、北京に駐在して、露国の当該官はハルピンに駐在すべきである。国務省は露国に対して、日露両国は同時に満州から撤兵しなければならないとのポーツマス条約の規定及び露国が満州に於いて列国の商工業に対して機会均等を承認した事を指摘して注意を促した。
解説:前日の記事の続報
ス氏遺骸到着 4日紐育特派員発
スチーブン氏の遺骸は、本日4日ワシントンに到着した。来る8日午後2時半、セントジョージ教会に於いて葬儀が執行される予定であり、当日は米国官民、各国外交官等が参列し、盛大な式が行われると思われる。
解説:4月3日の記事の続報
4月7日
米国艦隊来日期 6日タイムス社発
米国艦隊は10月に到着すると言われている。
米国と満州問題 同上
ワシントン来電―ハルピン駐在米国領事が国務卿の訓令の下で、東清鉄道沿線に於ける露国の統治権を承認しない事に対する露国の抗議は、非常に重大な事件であると思考される。
そしてある部分では、米国の今回の措置は、露国に対すると同時に日本を目指しているものであると認められている。何となればこの様な行動をとる事により、満州に於いて日本が内外人に対して異なった待遇を与えているとの商人の漠然とした苦情に対し、門戸開放主義を確認させる良い口実を米国政府に与えているからである。故に結局米国政府がこの問題に対して如何なる態度を採るかは非常な興味を以て注視されつつある。
解説:4月6日の記事の続報
4月8日
米国回航艦隊と英国 7日タイムス社発
ワシントン来電―米国回航艦隊は、英国の海軍貯炭所に於いて必要な石炭を搭載し、且つ英国の軍港を訪問するよう英国政府の招待を受けたと言われている。
解説:3月15日3月15日に関連記事「エバンス艦隊航程」がある。
支那人又暴行 7日上海経由ロイター社発
ニューヨーク来電―4名の日本人が支那人に襲われて、奉天の米国領事官に避難した。米国領事は支那の警官を呼び出して、この日本人は日本領事館に送り届けられた。本件に関し支那官憲は謝罪の意を表さず、多分外交処分を要する事になるであろう。
4月9日
満州問題と米国 7日紐育特派員発
ハルピン駐在米国領事は、同地方に於ける露国の施設は清国の主権を侵害するものであるとし、独逸領事もこれに賛同している。そして米国は満州における主権問題に関して、各国に向かって第二の宣言を発しようとの意志がある。即ち満州の主権は、当然清国に属すべきものであり、満州の貿易は各国共通でなければならない。現在満州問題を明確にせずに歳月が移るままにしているならば、日露両国は満州に強固な基礎を据える事になり、その様になってからは、清国は如何ともする事が出来ないであろう。故にこれを未然に防止するのは米国の取るべき当然方針であると云うにある。
スチーブンの遺骸 同上
スチーブン氏の遺骸は、昨夜ワシントンに到着し、高平大使がこれを駅に出迎えた。
政府及び遺族の希望により、大使は一切の葬儀を指揮する予定であり、葬儀は8日午後2時に挙行される予定である。
4月10日
米国の海軍拡張 8日ワシントン特派員発
国会では、先に提出された海軍拡張予算案が通過して、戦闘艦2隻、水雷駆逐艇10隻、潜水艦8隻、潜行艇1隻の建造費を支出する事となり、早速本日6千人の水兵募集案が可決された。
ス氏埋葬式 同上
スチーブンス氏の埋葬式は、高平大使の指揮により執行され、国務卿ルート氏を長とする米国文武官の多数が葬送した。
解説:前日の続報
4月11日
船舶補助案敗れる 9日ワシントン党派員発
船舶補助法案は、海軍軍備拡張法案の為に廃案となり、国会は戦闘艦2隻、駆逐艦10隻の建造費を認めるであろうと報道されている。
英国の武器禁制 9日香港特派員発
香港政庁は、予てから清国の為に武器の密輸入を防ごうとして、厳重に取り締まってきたが、今回又、従来は海賊防禦用として自衛の為に許可されていた漁船の銃器携帯を禁止した。
4月12日
印度人に対する同情 9日タイムス社発
オタワ来電―政府が提出した移民法改正案の討議に際して、陸軍大佐ヒユウス氏は、インド人の排斥を激烈に非難して、国境を越えてカナダに入り込み、我が国の法律及び秩序を紊乱しようとしている百の米国人よりも、事あれば帝国の為に闘う1名のインド人が渡来する事を希望すると言明した。
加奈陀移民法案 9日上海経由ロイター社発
カナダ内務大臣は、生国若しくは寄港地から直接に渡来しない移民の排斥を認可する法案を下院に提出した。
布哇守備費通過 10日ベルリン特約通信社発
米国下院は、ハワイに海軍基地及び乾ドックを建設する費用として315万ドルを請求する政府案を可決した。
4月13日
加奈陀移民法修正 11日タイムス特派員発
オタワ来電―移民法修正案(生国若しくは寄留地から直接に渡来する移民の外、排斥する権限を移民官に付与するもの)は、本日カナダ議会を通過し、即時執行される旨公布される。
4月14日
練兵時間の短縮法案 11日ベルリン特約通信社発
佛国下院は、兵士の訓練時間を短縮する法案を可決した。
解説:第1次世界大戦は約6年後に迫っているのに
波斯兵の暴挙 同上
テヘランに於いて、ペルシャ兵が、露国及びオーストリア公使夫人に向かって発砲した。しかし両夫人とも無事であったばかりかオーストリア国夫人は兵士から銃を奪い取った。
4月15日
加奈陀移民法非難 13日タイムス社発
オタワ来電―生国若しくは寄留地から直接に渡航しない移民の入国禁止を認可した新移民法案は、先週の木曜日にカナダ議会を通過したが、この問題については議会に於いて、今後も議論が行われるであろう。この様な法案を制定する事は、果たして賢明な政策であるか否かについて、今や世論が紛々としている。殊にこの法律は英国人の利益に反するとして、多数の論者の間に反対がある。しかし当局者は英国人の利益に関する点は寧ろ付随的な問題であり、今回の入国制限法は、ヨーロッパ人に対する場合には、寛大に解釈されるであろうと公言している。
4月16日
海軍拡張駆引 15日タイムス社発
ワシントン来電―大統領ルーズベルト氏は、国会に対して熱心に戦艦4隻の建造費を可決するよう勧誘しているが、その実大統領の希望は、海軍部委員に、更に2隻の戦艦建造費を可決させようとしている。
満州問題と露米 14日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―駐米露国大使ローゼン男爵は、満州問題に関して国務卿ルート氏と長時間の会談を行った後、ペテルスブルグに向けて当地を出発した。諸新聞の報道によれば、この会見は双方を完全に満足させたとの事であり、ハルピンに於ける露国の行政權に対する米国領事の主張に就いて、最早面倒な議論は起こらないものと考えられる。
解説:4月9日の記事「満州問題と米国」の続報である。
4月17日
排日運動猶止まず 16日タイムス社発
バンクーバ来電―当地のアジア人排斥協会は、豪州に於けると同一の方法によりアジア人をカナダから排斥する事を要求した。カナダ首相ラウリール氏は、この提議に反対し、支那人は法律により入国を制限されているが、日本人は相互の協約により入国を制限されている事を指摘し、昨年日本人が特に多くカナダに渡来したのは、或る行き違いが原因で、その行き違いは今や氷解していると信じている旨言明した。排斥派は首相のこの演説に満足せず、集会を開き首相の回答に就いて協議中である。
米国艦隊南カルフォルニア着 15日桑港特派員発
米国回航艦隊は、本日午後零時40分サンディエゴに入港した。
米国戦艦新造案否決 同上
新式戦闘艦4隻の建造案は、下院委員会に於いて否決され、15日本会議でも199対3の大多数で否決された。これより先政府の修正案が出されたが成立しなかった。本案を討議中に、議員の一人は、太平洋の危機を見越して日米戦争に備える必要はない事を説いた。
4月18日
米国戦艦4隻建造案を否決 16日上海経由ロイター社発
米国下院は、190票対70票の多数で拍手喝采の内に戦艦4隻を建造する案(2隻に対する修正案)を否決した。本案の採決に先立ち、予算委員長は経費の過大な膨張に伴う財政の危険を論述した。
英清西蔵談判終結 17日上海経由ロイター社発
チベット談判が終結し、英国委員は本国に向けて帰還の途に就いた。
太平洋の将来 同上
米国回航艦隊は、サンジェゴに到着し、非常な歓迎を受けた。カルフォルニア州知事ギレット氏は、艦隊歓迎の準備に忙しくしていたが、米国は早晩、世界の大海戦が起こるであろう太平洋に於いて、その天職を尽くす準備を整えなければならないと言明した。
4月19日
大統領候補と関税改正 17日上海経由ロイター社発
ミネソタ州の巨和党大会は、タフト氏が大統領候補となる事を是認し、且つ関税率の改正に同意した。
4月20日
摩洛哥の戦報 18日上海経由ロイター社発
アルゼリア国境方面で激戦が行われた。歩兵2千、騎兵3千で編成されたモロッコ兵が、終夜行進を続け、15日の払暁、佛軍の宿営地を攻撃した。しかし佛軍は結局敵を撃退し、敵は125名の死体を遺棄して逃亡した。佛軍も死者28名、負傷者百名を出した。
4月21日
佛土炭鉱紛議 20日上海経由ロイター社発
トルコに於ける佛国炭鉱会社の問題も非常に重大な事態となりそうである。駐トルコ佛国大使は、トルコ政府の行為に基づく会社の損害1500万フランの外に、交渉の遅延に対して毎日500ポンドを要求する旨トルコ廷に通知した。
伊土間の紛議 18日ベルリン特約通信社発
伊国政府は、トルコに対して海軍による示威行動を行う事に決した。これはトルコが条約に違反して、同国に5個の郵便局を開設しようとする伊国の計画を許可しない事による。そしてトルコ政府は多分譲歩すると思われる。
4月22日
伊土紛議落着 20日上海経由ロイター社発
ローマー駐在トルコ大使は、伊国外相チェトニー氏を訪問し、若し伊国の要求が現に外国郵便局の設置されている5ヶ所の町に郵便局を設置しようとするのであれば、トルコはイタリーに対してのみその取扱いを変える謂われは無いと告げた。しかしトルコ政府は、郵便局問題に関して、将来伊国が必ずその中に含まれる権利を伊国に譲歩したものではないと付言した。伊国外相は、この通知に満足の意を表して、艦隊の示威運動は取り消された。
解説:前日の記事の続報
4月23日
佛獨外交錯雑評 21日ベルリン特約通信社発
佛国新聞は、カメルン協約に於いて佛国が独逸に与えた譲歩に就いて、針小棒大に書き立てている。この目的はモロッコに於いて報酬を得ようとしていることである。
4月24日
日本人排斥決議 22日タイムス社発
バンクーバー来電―市民は月曜の夜、大規模な集会を開いて、アジア人移住問題を協議した。席上サー、ヒツバート、タッパーその他の諸氏は、首相ラウリエル氏及び連邦政府の方針を激烈に攻撃した後、満場一致を以て一つの決議案を可決した。この決議案は、日加条約中にある移民の条約を廃棄し、若しルミユウ協約に違反する事実がある場合には、直ちに日本人を排斥する法律を制定する事を要求し、尚又インド人に対しても英帝国政府がその移住を禁止するか、そうでなければカナダに於いて彼等を排斥する法律を制定する事を要求するものである。
解説:ルミュー協約は1907年,日加両国政府間に締結された移民問題に関する協約で、労働目的の移民は年間400名に制限された結果,日本人移民のカナダ渡航は著しく制限される事になった。
波斯国境攪乱(英露軍隊の派遣) 23日横浜直電ロイター社発
露都来電―コーカサス総督は、ペルシャ国境に2個師団の軍隊を派遣した。ペシャワールの報道によれば、約1万のイスラム教徒がペルシャ国境方面に侵入を企て、英国の哨兵に発砲した。そして英国も約3千の軍隊を同方面に集中した。
解説:当時のペルシャは、北半分は露国の南半分は英国の保護領であった。
米国海軍拡張案 22日紐育特派員発
大統領が熱心に通過する事を希望した海軍拡張案は、下院で否決され、戦闘艦4隻案は2隻に削減されたが、大統領は今や盛んに上院議員を説得し上院で復活させようと努力している。なお海軍卿は、遥かに太平洋岸から上院海軍予算委員に向かって、戦闘艦4隻の建造を勧告中であり、若し4隻案が上院を通過しないならば、太平洋艦隊の派遣を海軍拡張の口実にしようとした大統領の計画は全く失敗に帰するであろう。
4月25日
印度国境反乱 23日タイムス社発
シムラ来電―アフガン及びバジヨリ種族の土兵も又インド国境に襲来して、イスラム教徒の運動に加担している。糧食及び兵器の供給から察すると、従来しばしば発生した土兵の手法と全く趣が異なり、且つその後方には相当な設備があると思われる。そしてアフガンの一官吏は、各族長に対して挙兵を勧誘している。
後報―数千のアフガン人がインド国境に集結し、イスラム教徒と運動を共にしているにも拘らず、アフガン王はこれを差し止めず、土民は既に山頂に上り、英国の巡邏卒が長い列を作って行っているのを眼下に見ながら、流石に未だ発砲するには至っていない。
西蔵通商条約調印 23日上海経由ロイター社発
清国委員は、ようやくチベット通商条約に調印した。同条約により英国は今後2年間引き続き通商事務館及び公館保護の為に、50名の兵員をギャンツエに駐留させ、2年間を経過して英兵が撤退した後は、清国政府の手で前記通商事務館及びギャンツエとヤートン間の通商路を保護すべき旨が取極められた。
4月26日
回航艦隊歓迎費寄付 25日紐育特派員発
サンフランシスコ在留の日本人は、回航艦隊歓迎費として3千ドルを寄付した。
米国太平洋艦隊派遣説 同上
米国政府は20隻から成る艦隊をマニラに派遣し、これを永久に太平洋に置く計画がある。この艦隊は、回航艦隊とほぼ同時にマニラに到着するであろうと言われている。
4月27日
チャーチル氏落選 25日タイムス社発
植民次官から商務長官に転任したウインストン、チャーチル氏は、マンチェスター市の補欠選挙で429票の差で落選した。
印度支那兵問題 25日上海経由ロイター社発
佛国大統領ファリエル、首相クレマンソー及び陸相ビッカー氏は、国防会議に出席し、土着の民兵で印度支那の一部で正規兵に代用する案を審議した。しかし現在清国に於ける民心が不穏である事実に鑑み、同案の施行が得策でない旨を決議した。
自由貿易派喪心(チャーチル落選の結果) 同上
チャーチル氏落選の報道が伝わると、マンチェスターに於ける民心の衝撃は、実に名状できない様子であった。そしてチ氏は、今回の落選が自由党に取って容易ならざる打撃であり、特に自由貿易論の前途に由々しき影響を及ぼすであろうと演説した。
戦艦4隻新造案復活 25日桑港特派員発
元老院は、昨24日終日海軍拡張案を討議し、激烈な論戦が行われた。これより先、下院は、政府の戦艦4隻案を2隻案に修正し、辛うじて通過したが、その後大統領が熱心に運動した為に共和党は、原案即ち4隻案に賛成の旨を宣言し、委員長へール氏は、太平洋に大艦隊を置く必要性を説いた。
4月28日
戦艦4隻無用論 27日タイムス社発
ニューヨーク来電―大統領が熱心に主張する戦艦4隻の建造案は、多分元老院に於いても否決されるであろう。元老院議員セール氏の如きは、大西洋及び太平洋両方面の防備は、既定の海軍拡張計画による戦艦31隻と戦艦に匹敵する巨大な多数の巡洋艦で十分であると明言している。
太平洋未来記 同上
ニューヨーク来電―諸新聞は、太平洋を以て列国将来の権力闘争場であるとし、従って空前の海戦場となるであろうと予想し、有力な艦隊を太平洋に残留させるよう切望している。
4月29日
英獨海権の競争 28日タイムス社発
エンシャー卿は、国民評論に投書して、東西南半球に於ける海軍力均勢の変動に関して、世人の注意を促した。
卿は今から10年前迄、英国の海軍は世界至る所に於いて優勢な地位を占めていたが、現在はそうでない。現に太平洋に於いて英国は、止むを得ず優勢な地位を放棄せざるを得なくなった。その原因は他でもなく、独逸の海権が俄然著しく増進した事による。英国は地中海及び北海から海軍力の中心を他に移す事は出来ず、この方面に派是非とも英国海軍の中堅を置かざるを得ない。
これすなわち太平洋の海権を日米両国に委ねた所以であると説き進んで、現在の漠然とした二国間標準を棄て、独逸が軍艦1隻を作れば我は2隻を作る方針を取るべきであると論じた。
米国艦隊着日期 27日桑港特派員発
回航艦隊は7月7日当港をを出港、ホノルル、豪州、フィリピンを経由し、10月7日横浜に入港し、1週間停泊の後再びマニラに回航する事に決定した。