期日 | 日本関係 | 期日 | 露清関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | 独仏その他関連 |
9月2日 | 日本人優待論 | 9月3日 | 英露協約論評 | 9月10日 | 摩洛哥警察問題 | ||
9月7日 | 日米関係半面 | 9月3日 | 平和会議(沈底機雷問題) | 9月17日 | 摩洛哥王蒙塵 | ||
9月11日 | 摩洛哥警察問題 | 9月7日 | 回航艦隊の先駆 | 9月19日 | 摩洛哥騒乱後報 | ||
9月12日 | 日本人保護訓令 | 9月8日 | 印度人労働者迫害 | 9月23日 | 平和的談判不調 | ||
9月14日 | その後のバンクーバー | 9月9日 | 印度人迫害善後策 | 9月27日 | 軽気球成功 | ||
9月15日 | 22日 | 9月16日 | 印度人無事上陸 | 9月29日 | 摩洛哥騒乱後報 | ||
9月16日 | 日本移民制限問題 | 9月16日 | 印度人を送還せんとす | ||||
9月18日 | 加奈陀の損害賠償 | 9月18日 | 上陸印度人の苦境 | ||||
9月18日 | 迫害の扇動者 | 9月18日 | 上陸印度人の苦境 | ||||
9月19日 | 加奈陀政府の意向 | 9月19日 | 比律賓売却論多数 | ||||
9月20日 | 加奈陀移民問題商議 | 9月20日 | 米国大統領の談 | ||||
9月22日 | 加奈陀の争因 | 9月25日 | 米紙虚に吠ゆ | ||||
9月23日 | 移民問題と能勢総領事 | 9月26日 | 英露協約と波斯 | ||||
9月28日 | 日本人迫害善後策 | 9月26日 | 比律賓売却反対論 | ||||
9月29日 | 布哇転航禁止 | 9月30日 | 日本外交関係観察 |
明治40年9月
9月1日
戦闘開始規定戦闘行為を開始する前にその理由を明示する宣戦布告若しくは条件付き最後通牒を発する
東洋人排斥大会 太平洋沿岸、その他合衆国各地及びカナダに於ける東洋人排斥を目的とする団体は各自委員を派遣して、
摩洛哥騒乱別報 タンジール在留の英国人が、不十分な保護について苦情を訴えた結果、佛国政府は更に1隻の軍艦を同地に増派した。
戦闘開始規定 31日タイムス社発
ハーグ来電―平和会議の第3部委員会は、戦闘行為を開始する前にその理由を明示する宣戦布告若しくは条件付き最後通牒を発する事及び中立国は迅速に交戦国から通知を受けるとの規約を可決した。
東洋人排斥大会 31日上海経由ロイター社発
太平洋沿岸、その他合衆国各地及びカナダに於ける東洋人排斥を目的とする団体は各自委員を派遣して、連合大会を開く為の計画を行いつつある。
摩洛哥騒乱別報 30日ベルリン特約通信社発
タンジール在留の英国人が、不十分な保護について苦情を訴えた結果、佛国政府は更に1隻の軍艦を同地に増派した。
モロッコ新王ムレイバッドの布告はマザガン、サフィの両地に於いて発布された。多分マガドルに於いても同様に発布されるであろう。
解説:8月30日の記事によると、新国王は今後モロッコが列国と親密な関係を保つ事を希望し、モロッコ国民に対して平穏を保ち、みだりに騒動を起こさない様に諭している。
9月2日
日本人優待論 昨夜石井通商局長が主催した招待会に於いて、太平洋郵船会社副社長シェリン氏は、日本人に白人同様の特典を与えなければならないと論じ、
日清児童隔離教育問題 日清両国の児童を隔離教育する法律を改正する事の可否を住民投票に掛ける件は、原告の敗訴となり、棄却された。
日本人優待論 31日桑港特派員発
昨夜石井通商局長が主催した招待会に於いて、太平洋郵船会社副社長シェリン氏は、日本人に白人同様の特典を与えなければならないと論じ、若し飽く迄も日本人を排斥するならば、日本は相当な手段を以て国民的栄誉を回復すべき権利があると述べた。名士アイリツシュ氏も亦日本は東洋の英国となったが、我々はこれを察しなければならない。日本人に是非帰化權を与えなければならず、外国から来た如何なる者が、どのような事を言おうとも頓着すべきでない。我々は多数の日本人を必要とし、少数であってはならないと断言し拍手喝さいを浴びた。
日清児童隔離教育問題 同上
既に報道されている桑港市の学校監督から加州上級裁判所に対し「日清両国の児童を隔離教育する法律を改正する事の可否を住民投票に掛ける命令を市長は参事会に下さなければならない」との訴訟が上告されたが、原告の敗訴となり、棄却された。
解説:桑港とはサンフランシスコ、加州とはカルフォルニア州、
9月3日
英露協約論評 ロンドンタイムスは北部ペルシャに於ける露国の優越権を承認すると同時に今回の協約により南部ペルシャに於ける英国の利益は確保されることを確信し
平和会議 公海に沈底機雷を敷設する事を禁止するべきであるとの英国の提案は、露、獨、墺3国の反対に対し12カ国の賛成で可決された。
英露協約論評 2日タイムス社発
露都来電―去る土曜日に調印された英露協約は帰する所、両国の結びつきが従来よりも密接になる前兆と考えられる。諸協約に対する露国新聞の論評は言うまでも無く皆賛成の側である。
ロンドンタイムスは北部ペルシャに於ける露国の優越権を承認すると同時に今回の協約により南部ペルシャに於ける英国の利益は確保されることを確信し且つアジア方面が平和となれば英国は結局インドに対する軍事費に若干の節約をする事が出来る希望もあると論評した。
平和会議(沈底機雷問題) 同上
ハーグ来電―沈底機雷の問題に関する委員会の報告は、二三カ国の賛否保留を条件として可決された。
一旦敷設した機雷を無効にする方法が発見されるまで、公海に沈底機雷を敷設する事を禁止するべきであるとの英国の提案は、露、獨、墺3国の反対に対し12カ国の賛成で可決された。米国は棄権した。
沈底機雷を無効にする方法が間もなく発見されるものと見なし、当分は従来どおり公海に沈底機雷を敷設する事を許可すべしとの露国の提案に対し、日本は反対の主導者となった。
9月4日
摩洛哥問題 列国はカサブランカに於ける佛国の活動がアルゼシラス条約に違反しているとして、現在スペインの或る地方でしきりに活動中である。
西阿弗利加葡萄牙領騒乱 西アフリカのポルトガル領モサメズに於いてポルトガルの兵士は、土民の叛徒7千名をロケーズ付近で打ち破り
波斯首相殺害下手人 ペルシャの総理大臣が暗殺された。加害者は露国のバークから来た革命的秘密結社の会員であり
摩洛哥問題 3日タイムス社発
パリー発行のエコー、ド、パリーの報道によれば、列国はカサブランカに於ける佛国の活動がアルゼシラス条約に違反しているとして、現在スペインの或る地方でしきりに活動中である。
タンジール来電―首領ライシユリの勢いが益々強くなり、今やタンジール地方一帯を圧倒し、至る所で人心は恐々としている。
解説:モロッコは佛国の勢力圏であるが独逸が以前から触手を伸ばしており、現在は一応アルゼシラス条約で独逸の野望は抑えられている。
西阿弗利加葡萄牙領騒乱 2日上海経由ロイター社発
西アフリカのポルトガル領モサメズに於いてポルトガルの兵士は、土民の叛徒7千名をロケーズ付近で打ち破り、叛徒に多大の損害を与えた。ポルトガル軍の死傷者は40名
波斯首相殺害下手人 2日ベルリン特約通信社発
ペルシャの総理大臣が暗殺された。加害者は露国のバークから来た革命的秘密結社の会員であり、凶行後何処かに逃走した。首府テヘランは平穏である。
解説:ペルシャ北部はロシアの勢力圏である。
9月5日
米国人の疑惑 米国政府は戦闘艦隊の太平洋回航について現在準備中であり、現任艦長の大半を少壮の士官と交代させるものと思われる。
摩洛哥騒乱後報 スペイン政府は佛国政府と協議の結果、欧州人を保護する為にタンジール、テチュアン、ラレーシュ及びトルカザルの各地に軍隊を派遣する事に決定した。
米国人の疑惑 4日タイムス社発
ニューヨーク来電―米国政府は戦闘艦隊の太平洋回航について現在準備中であり、現任艦長の大半を少壮の士官と交代させるものと思われる。そして艦隊を移動する真意について国民の間に不安な気持ちがある事は蓋う事の出来ない事実である。
ニューヨークへラルド紙はフィリピン群島に極めて近い一つの小島に日本の国旗が掲げられたとの情報に接した旨を報道した。日本が来年度の予算で台湾と香港の間に新艦隊を置く為の経費を計上するであろうとの報道を想起するならば、その真意を十分想像する事が出来ると論評した。
解説:米国の報道機関による日米衝突に関する記事が散見されるがその一つである。
摩洛哥騒乱後報 4日上海経由ロイター社発
スペイン政府は佛国政府と協議の結果、アルゼシラス条約に規定された警察隊が組織されるまでの間、欧州人を保護する為にタンジール、テチュアン、ラレーシュ及びトルカザルの各地に軍隊を派遣する事に決定した。
又佛軍司令官ドルウド将軍の報告によれば、去る土曜日佛軍の偵察隊はカサブランカから5マイル程離れた地点に於いて、優勢な敵に襲われたがこれを撃退し、逃走する敵を追って散々攻撃を加えた。
9月6日
摩洛哥激戦 9月3日カサブランカに於いて壮烈な戦闘があり、アラブ人は勇敢に奮闘し、再三砲火を冒して突進した。
比律賓売却論 米国の新聞の中には、昨今フィリピン売却論を唱え始めたものがある。
回航艦隊の先駆 米国装甲巡洋艦セントルイス号(9,700トン)は大艦隊の先発として無事マゼラン海峡を経て当港に来着した。
摩洛哥激戦 5日ロンドンタイムス社発
タンジール来電―9月3日カサブランカに於いて壮烈な戦闘があり、アラブ人は勇敢に奮闘し、再三砲火を冒して突進した。この戦いに於いて佛軍は3名の将校を失い、死者7名、負傷者17名を出した。アラブ人のこの戦いに加わった者は約8千人と思われる。
比律賓売却論 4日上海経由ロイター社発
米国の新聞の中には、昨今フィリピン売却論を唱え始めたものがある。そして統計の示す所によれば米国が現在までにフィリピンに投資した額は既に8千万ポンドになっている。
回航艦隊の先駆 4日桑港特派員発
米国装甲巡洋艦セントルイス号(9,700トン)は大艦隊の先発として無事マゼラン海峡を経て当港に来着した。同艦の乗組員は、艦隊の回航は想像する程困難ではないと語った。
解説:8月26日にマゼラン海峡に関する関連記事がある。
9月7日
日米関係半面 大使の職を辞したとの説がある前駐日大使ライト氏は、日本は現在戦争を求めていないと明言した。
佛軍退却説否認 佛国首相クレマンソウ氏は来客の質問に答えて、カサブランカに於いてドルウド将軍が敵の背中を見せたとの風説を否認した。
日米関係半面 6日タイムス社発
ニューヨーク来電―大使の職を辞したとの説がある前駐日大使ライト氏は、日本は現在戦争を求めていないと明言した。
元老院議員ストウン氏は極東からサンフランシスコに帰着し次の様に語った。
日本の現状は大いに注目を要し、欧米列国は近い将来、日本によって容易ならざる事態に遭遇するであろう。余は日本が米国に対し非常に不快な感情を抱いていると見聞している。
米国海軍省は次の様に明言している。
太平洋に回航する戦闘艦隊は、大西洋艦隊を太平洋に移動させる事が実行不可能な事でないと示威的に実験するものであり、その後大西洋に帰航する予定である。
更に二つの戦闘艦隊を組織する計画は未だ計画に上がっていない。
佛軍退却説否認 5日上海経由ロイター社発
佛国首相クレマンソウ氏は来客の質問に答えて、カサブランカに於いてドルウド将軍が敵の背中を見せたとの風説を否認した。
9月8日
印度人労働者迫害 米国ワシントン州ベリンガム市に於いて、昨夜暴民5百名は外国労働者を使用する工場に乱入し、労働者の宿舎を襲って窓を破壊し,
米国大西洋艦隊 米国海軍省は第二大西洋艦隊を編成する計画があるとの風説を否定した。
排日反対運動 水利組合大会で、賛日決議をしようと運動した者がいるが、移民問題には一切関係しないとして遂に不成立となった。
印度人労働者迫害 6日上海経由ロイター社発
米国ワシントン州ベリンガム市に於いて、昨夜暴民5百名は外国労働者を使用する工場に乱入し、労働者の宿舎を襲って窓を破壊し,若干の負傷者が発生した。そして印度人750名程は英領コロンビアの国境方面に避難した。これは人種的偏見と印度人が白人労働者の地位を奪った事実とがその原因である。
解説:清国人、日本人、朝鮮人、印度人の排斥運動があるがこれもその一つであり、貧しい白人労働者により人種的偏見が原因と思われる。
米国大西洋艦隊 6日ベルリン特約通信社発
米国海軍省は第二大西洋艦隊を編成する計画があるとの風説を否定した。しかし現在の大西洋艦隊は28隻に増加される予定で、太平洋に回航する艦隊も永久に太平洋に居る訳にはならない。
排日反対運動 8日桑港特派員発
加州サクラメント市で開会中である水利組合大会で、賛日決議をしようと運動した者がいるが、移民問題には一切関係しないとして遂に不成立となった。されば有志のみで賛日決議を行い、団体を設立する筈である。
9月9日
日米問題と仲裁 既に合衆国はニューファンドランドに関する係争問題をハーグの仲裁裁判に付すよう要求した以上、若し日本がカルフォルニアに於ける事件に対し
印度人迫害善後策 印度人は皆恐怖のあまり、預金を引き出してバンクーバーに向かっている。
摩洛哥騒乱後報 ある種族のモロッコ土民等は、佛国司令官ドルウド氏と平和会議を開く為に、敵対行為の休止を要求した。
日米問題と仲裁 7日タイムス社発
米国新聞クーリエル紙はその週報で、「既に合衆国はニューファンドランドに関する係争問題をハーグの仲裁裁判に付すよう要求した以上、若し日本がカルフォルニアに於ける事件に対し同様の手段を取る事を要求して来たならば、これを拒絶する事は出来ないであろう」と論評した。
印度人迫害善後策 7日上海経由ロイター社発
米国ワシントン州ベリンガム市長は、関係職員にアジア人の保護を誓わせ且つ再び以前の地位を与える事を表明し、充分の保護を保障した。しかし印度人は皆恐怖のあまり、預金を引き出してバンクーバーに向かっている。
摩洛哥騒乱後報 8日上海経由ロイター社発
在カサブランカ本社通信員の報道によれば、ある種族のモロッコ土民等は、佛国司令官ドルウド氏と平和会議を開く為に、敵対行為の休止を要求した。これは、その期間中に戦闘準備をする為の策略であると考えられる。
9月10日
英領の排日運動 当日日韓人排斥同盟会は大集会を開き、集会終了後暴徒が日清両国人の店舗を襲撃し、多大の損害を与え、日本人1名がこの為に負傷した。
摩洛哥警察問題 佛国政府はモロッコの従来からある警察を廃止し、新たに佛国人の警官を以てこれに充てる事を要求する公文を列国政府に送付した。
英領の排日運動 9日タイムス社発
オタワ来電―去る6日日清両国人に対し最も悲しむべき示威運動がバンクーバーで発生した。
当日日韓人排斥同盟会は大集会を開き、集会終了後暴徒が日清両国人の店舗を襲撃し、多大の損害を与え、日本人1名がこの為に負傷した。
現在バンクーバーに滞在中である石井通商局長は直ちに、詳細な状況を当地に在留中の能勢総領事に打電し、能勢氏はこれを首相ローリア氏に報告した。但し石井氏の電報にはこの騒動は最早終結したと信じる旨が記されていた。
摩洛哥警察問題 9日ベルリン特約通信社発
佛国政府はモロッコの従来からある警察を廃止し、新たに佛国人の警官を以てこれに充てる事を要求する公文を列国政府に送付した。列国政府は未だ回答するに至っていない。
9月11日
排日的暴動 太平洋沿岸に於ける日本人排斥運動は、全てアイルランド労働者代表の差し金であり、スカジナビア人もこれに声援を送っている。
排日的暴動 10日タイムス社発
ニューヨーク来電―太平洋沿岸に於ける日本人排斥運動は、全てアイルランド労働者代表の差し金であり、スカジナビア人もこれに声援を送っている。
英国の植民地とその同盟国人であるアジア民族との間に発生した紛争に対し、英国は今後ますます困難な立場となるであろうとイブニングポスト新聞は論評した。
オタワ来電―当地の新聞は筆を揃えてバンクーバーに於ける排日的暴動を非難している。
能勢領事は、バンクーバーに於ける暴動の結果、日本人の店舗で損害を受けたもの56軒、又日本人で2名負傷したと語った。
カナダ首相ラウリエル氏は、今回の出来事を深く遺憾に思い、同地の官憲に対して、同地の秩序を維持して日本人を十分に保護すべき旨を訓令した。
9月12日
日本人迫害の黒幕 この暴動は全くワシントン州の労働同盟会長と日本人排斥同盟会書記とシャトルの有名な某労働党員との3米国人が計画したものである。
タイムスの正論 本件の教唆者は大騒動の種子を播き、英国の正義に対する信任を転覆させようとする者であると論じた。
日本人保護訓令 市長デユーン氏は、日加条約で保障した日本人の生命、財産は極力これを保護しなければンらないとの訓令を受けた。
日本人迫害の黒幕 11日タイムス社発
ニューヨーク来電―バンクーバーの暴行に実際手を下した者の多くはカナダ人である。しかしながらこの暴動は全くワシントン州労働同盟会長とワシントン州日本人排斥同盟会書記とシャトルの有名な某労働党員との3米国人が周到な注意を払って計画したものである。
解説:9月10日に暴行事件発生時の記事がある。
タイムスの正論 同上
タイムスは激しくバンクーバーの暴徒を攻撃し、アジア人の入国に関して英国植民地住民の大部分が示した狭量は実に不善であり、且つ危険なものであるとし、これに対する善良な市民一同の細心な反省を促した後、本件の教唆者は大騒動の種子を播き、英国の正義に対する信任を転覆させようとする者であると論じた。
日本人保護訓令 10日桑港特派員発
市長デユーン氏は総督グレー伯から如何なる費用を投じても、バンクーバーの法律秩序を維持する為に、日加条約で保障した日本人の生命、財産は極力これを保護しなければンらないとの訓令を受けた。
9月13日
日本人迫害事件 バンクーバーから到着した最近の報道によれば同地の民心も漸く静まり、ホテルに雇われている多数のアジア人は既にそれぞれ復帰した。
佛国輿論の趨勢 カサブランカに於いてモロッコ土民と平和協議を開始する事は猛烈な反対論を引き起こした。
その後のバンクーバー 11日上海経由ロイター社発
バンクーバーは昨夜は平穏であった。民兵は何時でも出動できる準備を整えていた。
警官は東洋人20名を拘束したが多くは拳銃を所持していた支那人で、又小銃30丁と銃弾5千個を入れた支那人あての箱1個がドックに於いて押収された。
本日上陸の日本人 12日桑港特派員発
本日12日、入港する汽船で5百名の日本人が来着する予定であるが、暴動の再発は避ける事が出来ないのではないかと思われる。日清人は今後もし襲撃されたならばバンクーバー市全体を焼き払おうと計画中である。
日本人迫害事件(カナダ政府の希望) 12日タイムス社発
オタワ来電―バンクーバーから到着した最近の報道によれば同地の民心も漸く静まり、ホテルに雇われている多数のアジア人は既にそれぞれ復帰した。
カナダ政府は日本移民の入国に制限を設ける事を熱望している。しかしカナダの官憲が日本人に対し十分な保護を保障し得る迄は、この事を日本政府に申し出る事は決してないと思われる。
佛国輿論の趨勢 同上
パリー来電―カサブランカに於いてモロッコ土民と平和協議を開始する事は猛烈な反対論を引き起こした。佛軍は進んでテツデルトを占領すると思われる。
その後のバンクーバー 11日上海経由ロイター社発
バンクーバーは昨夜は平穏であった。民兵は何時でも出動できる準備を整えていた。
警官は東洋人20名を拘束したが多くは拳銃を所持していた支那人で、又小銃30丁と銃弾5千個を入れた支那人あての箱1個がドックに於いて押収された。
本日上陸の日本人 12日桑港特派員発
本日12日、入港する汽船で5百名の日本人が来着する予定であるが、暴動の再発は避ける事が出来ないのではないかと思われる。日清人は今後もし襲撃されたならばバンクーバー市全体を焼き払おうと計画中である。
9月14日
摩洛哥戦報 佛国軍隊はモロッコ人を襲撃した。モロッコ人は一時勇敢に応戦したが結局全員潰走した。
その後のバンクーバー 汽船モント、イーグル号は901名の印度人と263名の日清人を乗せて到着した。
日清人脅迫 ワシントン州ベリンガム在留日清人は即刻立ち去らなければ危険が迫るという無名の手紙を受け取った。
摩洛哥戦報 13日タイムス社発
カサブランカ来電―佛国軍隊はモロッコ人を襲撃した。モロッコ人は一時勇敢に応戦したが結局全員潰走した。テルデルト村のモロッコ人の陣営は、捕獲の上焼き払われた。この戦いで砲兵及び歩兵は勇敢に奮闘した。
その後のバンクーバー 13日上海経由ロイター社発
最近の電報によればバンクーバーの騒動はその後次第に鎮静化した。
汽船モント、イーグル号は901名の印度人と263名の日清人を乗せて到着した。
石井通商局長は、東京来電を見ると日本はこの事件を国際問題とする意思は無いが個人の損害賠償は求めるものと思われると述べた。
解説:連日報道されているバンクーバー事件の続報である。
日清人脅迫 12日桑港特派員発
ワシントン州ベリンガム在留日清人は即刻立ち去らなければ危険が迫るであろうと無名の手紙を受け取った。これに対し日本人は武装して暴行に抵抗すると公言し、支那人は立退きの準備中である。同地漁業会社支配人は東洋人が去ったならば、鮭缶詰業は廃業しなければならないと嘆息している。
9月15日
米国の排日熱再燃 ワシントン州ベリンガム市の日清両国人は即刻退去せよと脅迫された。
バンクーバに向かえる日本人 汽船モントイーグル号はバンクーバーからヴィクトリアに赴き、日本人を同地に上陸させた
米国の排日熱再燃 14日上海経由ロイター社発
ロンドンライムスのニューヨーク通信員の報道によれば、ワシントン州ベリンガム市の日清両国人は即刻退去せよと脅迫された。同地の缶詰製造工場で働いている日本人は皆武器を懐にして、追いたて運動に抵抗すると公言している。
又シャトルの日清両国人も現在武器を準備中である。また東洋人排斥協会は近々同地に各国人の一大示威運動を催す事を計画中の様である。
バンクーバに向かえる日本人 同上
汽船モントイーグル号はバンクーバーからヴィクトリアに赴き、日本人を同地に上陸させた後、印度人を上陸させる為に再びバンクーバーに引き返した。
汽船フェニセール号は群衆があまりにも多い為に、印度人に帰船を命じた。
9月16日
印度人無事上陸 モントイーグル号の印度人は何らの危害も受けることなくバンクーバーに上陸した。
日本移民制限問題 、明後14日、首相ローリア氏と石井局長はオタワで会合し、英領コロンビア州の日本人移民制限に付いて協定を結ぶ予定である。
印度人を送還せんとす これら印度人は貧民との事であるので結局送還しなければならない者と思われる。
桑港新聞の罵倒 当地新聞はロンドンタイムスがバンクーバー暴動の扇動者が米国人であるとした説に対して激しく罵倒し
印度人無事上陸 15日上海経由ロイター社発
モントイーグル号の印度人は何らの危害も受けることなくバンクーバーに上陸した。但しその中に百名の虚弱者がおり、本国に帰航せよとの命令を受けた。
解説:昨日の記事の続報
日本移民制限問題 14日桑港特派員発
バンクーバー来電によると、明後14日、首相ローリア氏と石井局長はオタワで会合し、英領コロンビア州の日本人移民制限に付いて協定を結ぶ予定である。これは政府のカナダ西部に於ける東洋人解決の手段であると当地に伝えられる。
印度人を送還せんとす 同上
バンクーバー市長は首相に次の様な電報を発信した。9百の印度人が来着したが、寝食の設備が無く、働き口も無い。連邦政府の費用で寝食させておくべきや。
首相はこれに対して次の様な返電を行った。これら印度人は貧民との事であるので結局送還しなければならない者と思われる。何れ調査の上で処置する事になる。
桑港新聞の罵倒 同上
当地新聞はロンドンタイムスがバンクーバー暴動の扇動者が米国人であるとした説に対して激しく罵倒し、官憲の保護が間違っていたとの大隈伯の批評にも反対している。
解説:9月12日の記事「日本人迫害の黒幕 11日タイムス社発」の続報である。
9月17日
亜細亜移民排斥 内地税務大臣テンブルマン氏は、同一人種の結合を薄弱にさせる傾向があるとしてアジア人の移住に反対した。
摩洛哥王蒙塵 モロッコ王はフェツツを立退き、ラバートに向かい、来る21日同地着の予定である。
亜細亜移民排斥(加奈陀税務大臣の演説) 16日タイムス社発
オタワ来電―内地税務大臣テンブルマン氏は非常に不謹慎な演説を行い、同一人種の結合を薄弱にさせる傾向があるとしてアジア人の移住に反対した。
摩洛哥王蒙塵 16日上海経由ロイター社発
モロッコ王はフェツツを立退き、ラバートに向かい、来る21日同地着の予定である。ムシハービドも亦3万の土民を従えて、同地に向かおうとしている。
ドルウ将軍の報告によれば、将軍は更に24時間だけ休戦期間を延長した。土民の多くは平和を希望していると言われている。
解説:蒙塵とは都落ちを意味する。
9月18日
加奈陀の損害賠償 カナダ政府は、バンクーバー事件の損害を賠償するとの事である。
上陸印度人の苦境 バンクーバーに上陸した印度人は旅館の宿泊を拒否され、且つ食事までも断られ、惨状を極めている。
迫害の扇動者 バンクーバー暴動事件の扇動者はシャトル日韓人排斥協会幹事フォーラーである事が明白となった。
加奈陀の損害賠償 16日桑港特派員発
カナダ政府は、バンクーバー事件の損害を賠償するとの事である。56軒の商店の損害は、実際は1万円以上の金額となると思われるが、賠償額は予想より非常に減額されており、これは日本の内訓の結果である。
日本が損害の要求に際して、間接損害を加えずに直接損害の実に止めたのは、英国に対する友情を示したものである。
政府は一応損害を償った後にその費用をバンクバーに負担させるつもりであるが同市長は之に対して一銭も支払う事は出来ないと声明している。
上陸印度人の苦境 同上
バンクーバーに上陸した印度人は旅館の宿泊を拒否され、且つ食事までも断られ、惨状を極めている。市長に訴えても顧みられていない。
解説:9月16日印度人に関する関連記事がある。
迫害の扇動者 17日桑港特派員発
バンクーバー暴動事件の扇動者はシャトル日韓人排斥協会幹事フォーラーである事が明白となった。同人は排日事件が英国でも大問題とならなければ米国で日本人排斥の目的を達する事が出来ないと信じ、わざわざ扇動に出かけたと公言している。現在シャトルに帰り同地の排日運動に奔走中である。
解説:9月12日、16日に関連記事がある。
9月19日
加奈陀政府の意向 石井通商局長はカナダ首相ロウリール氏と移民問題を協議した。
摩洛哥騒乱後報 カサブランカに於ける各種族の土民中、有力な地位を占めるチヤオニア種族は佛軍司令官ドルウデ氏の指示した平和条件に同意した。
比律賓売却論多数 162名の米国国会議員で同島の領有説を取る者は僅かに32名に過ぎなかった。
加奈陀政府の意向(移民入国制限) 18日タイムス社発
オタワ来電―石井通商局長はカナダ首相ロウリール氏と移民問題を協議した。首相はバンクーバーで起こった出来事について深く遺憾の意を表し、且つカナダ政府は日本との協約を締結し、毎年カナダに渡航する日本移民の数を程良く制限する事を希望する旨を打ち明けた。
解説:バンクーバー事件は連日のように報道されている白人による日本人商店の襲撃事件である。
摩洛哥騒乱後報 17日上海経由ロイター社発
カサブランカに於ける各種族の土民中、有力な地位を占めるチヤオニア種族は佛軍司令官ドルウデ氏の指示した平和条件に同意した。この種族の酋長は同地方に居る各種族の酋長と降伏の全ての条件に付いて協議し、来る木曜日までに帰来する予定である。
比律賓売却論多数 17日ベルリン特約通信社発
ニューヨークへラルド新聞は、162名の米国国会議員に対し、フィリピン売却に関する意見を求めたところ、同島の領有説を取る者は僅かに32名に過ぎなかった。
9月20日
米国大統領の談
バンクーバー事件
余はバンクーバー事件に関する英国の困難が大きくならない事を切望する。
艦隊回航問題
次に艦隊回航に関しては、太平洋は海軍の見地から見て、その重要さは大西洋と同じである。
加奈陀移民問題商議 19日桑港特派員発
石井局長と首相の両者間で条約以外の黙契ができ、石井局長は直ちに日本政府にこれを報告した。
米国大統領の談 19日タイムス社発
タイムスの通信員に対し大統領は次の様に語った。
バンクーバー事件
余はバンクーバー事件に関する英国の困難が大きくならない事を切望する。米国の労働党が他人を扇動して暴動を起こさせる事は決して許されない事である。さりながら太平洋沿岸の国民の8,9割までがアジア人の入国を望まない事も、争う事の出来ない事実である。
艦隊回航問題
次に艦隊回航に関しては、太平洋は海軍の見地から見て、その重要さは大西洋と同じである。その為この方面に於いて米国海軍が行わなければならない事を行い、その力を示す事は必要で已むお得ない事である。
加奈陀移民問題商議 19日桑港特派員発
オタワ来電によると、カナダ首相ローリア氏は石井通商局長及び能勢総領事と日本移民問題について長時間懇談した。
首相から日本が条約によって米国の移民支配権を認めた様に、カナダに対してもこれを認める様条約を改正したいと言い、石井局長は現在の状態に照らして条約改正の困難を説明した。首相もこれを認め、結局両者間で条約以外の黙契ができ、石井局長は直ちに日本政府にこれを報告した。
9月21日
加奈陀と日本 石井局長は日本とカナダの間にある友好及び商業的関係は強固であり、且つ重要である。決して些細な紛争の為に弱められるべきではないと明言した。
飽迄日本人迫害 全国労働者大会は、首相ローリア氏に対して6カ月以内に日加条約を取り消す事を要求し
加奈陀と日本 20日ライムス社発
オタワ来電―石井通商局長はカナダ政府との会見が全て終了し、シカゴへ向けて出発した。石井局長は日本とカナダの間にある友好及び商業的関係は強固であり、且つ重要である。決して些細な紛争の為に弱められるべきではないと明言した。又太平洋沿岸の現状に関しては、腹蔵なく政府と協議する必要がある。
石井局長は米国から更に英国に向かう予定である。
飽迄日本人迫害 19日桑港特派員発
カナダのウイニベツクで開かれた全国労働者大会は、首相ローリア氏に対して6カ月以内に日加条約を取り消す事を要求し、且つ日本人問題の解決の為に全国各州から委員を選定し、強硬な抗議をするべきとの趣旨を決議した。
9月22日
摩洛哥に対する佛国 佛国首相は若しモロッコとの平和協議が不成功に終わるならば、佛国は即刻再び猛烈な戦闘行為を開始
加奈陀の争因 カナダ人がアジア人に対して敵意を持つ原因は三つある。一つは人種的憎悪心、二つには白人労働者と競争して、ややもすればこれを圧倒しようとしている事
摩洛哥に対する佛国 20日タイムス社発
パリー来電―佛国首相は若しモロッコとの平和協議が不成功に終わるならば、佛国は即刻再び猛烈な戦闘行為を開始すべく現在更に軍隊を派遣中であると声明した。
加奈陀の争因 同上
最近までカナダに駐在していたタイム特派員は、同地に於けるアジア人の入植問題について次の様に語った。
カナダ人がアジア人に対して敵意を持つ原因は三つある。一つは人種的憎悪心、二つには白人労働者と競争して、ややもすればこれを圧倒しようとしている事及び三つにはある一部の政治家が反対党の投票を奪う為に、この人種的偏見を利用しようとする事による。これらの反対党は主として労働同盟の助けを借りて労働者中から選出された者である。
8月23日
平和的談判不調 カサブランカに於けるモロッコ土民との平和協議は不調に終わり、佛軍司令官ドルウデ氏は再び戦闘行為を開始した。
移民問題と能勢総領事 能勢総領事は日英条約により日本移民は英国領土に於いて入国を制限されるべきではないと断言した。
平和的談判不調 22日上海経由ロイター社発
カサブランカに於けるモロッコ土民との平和協議は不調に終わり、佛軍司令官ドルウデ氏は再び戦闘行為を開始した。そして最近に於ける佛軍の死傷者は死者63名、負傷者43名である。
移民問題と能勢総領事 21日桑港特派員発
能勢総領事は日英条約により日本移民は英国領土に於いて入国を制限されるべきではないと断言した。この主張は1911年まで日本政府がカナダ移民政策を変更する意思する意思が無い事を表示するものと考察される。
9月24日
平和談判不調 平和談判が不調に帰した結果、佛軍は激しい戦闘の後に、夜間進撃を継続
バンクーバー善後策 帝国政府はカナダ政府に対し日本人に対する損害賠償及び加害者の処罰を急いで行う為に速やかに有効な裁判を行こなわせるであろう。
米紙虚に吠ゆ 新聞王ハーストはニューヨークイブニング、ジャーナル紙上に於いて、日本が戦争を欲しているのは事実らしいと論じ
平和談判不調 22日タイムス社発
カサブランカ来電―平和談判が不調に帰した結果、佛軍は激しい戦闘の後に、夜間進撃を継続してシチブラヒムに於けるアフリカ兵の宿舎を焼き払った。佛軍の損害は殆ど言うに足らない。
バンクーバー善後策 23日タイムス社発
バンクーバーの暴行事件に関して、タイムス社は次の様に明言した。
帝国政府はカナダ政府に対し日本人に対する損害賠償及び加害者の処罰を急いで行う為に速やかに有効な裁判を行こなわせるであろう。又帝国政府は我が同盟国民の条約上の権利が暴徒の乱行に蹂躙された事を見過ごすことが出来ないであろう。
米紙虚に吠ゆ 同上
米国新聞は又もや日米間の問題が非常に重大であると論じ始めた。新聞王ハーストはニューヨークイブニング、ジャーナル紙上に於いて、日本が戦争を欲しているのは事実らしいと論じ、ニューヨークタイムスはエバンス提督の艦隊を東京湾に送り、大隈伯を招いて艦隊を見させるべきであると説いた。又タイムス(?)の通信員は日本人が米国の財力を知らなくて、いたづらに米国に就いて云々する事を嘲笑した。
解説:これらの日米対立が大東亜戦争の源流と思われる。
9月26日
英露協約と波斯 この協約は好意を基礎として、中央アジアに於ける英露両国の利害を協定しようとするものであり、少しも独逸に対し反抗の意は無い。
比律賓売却反対論 フィリピン群島が一度日本の手に渡った場合には、米国人は、商業上及び軍事上も完全に駆逐されるであろう。
摩洛哥人一部降伏 モロッコの3種族は人質の提供、武器及び先月1日欧州人に暴行を加えた犯人の引渡並びに償金支払いに同意したとの事である。
英露協約と波斯 25日タイム社発
ペルシャに報告された英露協約の大意は、テヘランに於ける一般の憂慮を鎮静させた。この協約は好意を基礎として、中央アジアに於ける英露両国の利害を協定しようとするものであり、少しも独逸に対し反抗の意は無い。これについてタイムスは、この協約が忠実に実行されるならば、かって両国の間に存在した敵意を一掃する事になるであろうと論じた。
解説:9月25日の記事によると、この英露協約は、1ペルシャの北半分は露国の勢力圏、南半分は英国の勢力圏とする。2アフガニスタンは英国の勢力圏とする。3チベットにおける清国の主権を認めるとしている。
比律賓売却反対論 23日上海経由ロイター社発
米国海軍提督デユウエイ氏は、本紙が報道したフィリピン群島売却運動を強烈に非難して、フィリピン群島が一度日本の手に渡った場合には、東洋の各関門は全て日本のものになり、米国人は、商業上及び軍事上も完全に駆逐されるであろう。フィリピンの放棄は東洋に対する米国外交上の発言を放棄するに等しいと言明した。
摩洛哥人一部降伏 同上
カサブランカ守将フィリペネル氏の報告によれば、モロッコの3種族は人質の提供、武器及び先月1日欧州人に暴行を加えた犯人の引渡並びに償金支払いに同意したとの事である。
9月27日
摩洛哥騒乱後報 佛国はラバートに於いてモロッコ王アブダルアジズと再び打ち解けた交渉を開始した。
軽気球成功 ツエペリン伯爵は自分の軽気球に乗り、4時間スイスと独逸の国境にあるコンスタンス瑚の上を飛行し、大成功を収めた。
摩洛哥騒乱後報 25日ベルリン特約通信社発
佛国はラバートに於いてモロッコ王アブダルアジズと再び打ち解けた交渉を開始した。
軽気球成功 同上
ツエペリン伯爵は自分の軽気球に乗り、4時間スイスと独逸の国境にあるコンスタンス瑚の上を飛行し、且つ風に逆行した場合にも相当な速力を出す事が出来て、大成功を収めた。
9月28日
日本人迫害善後策 野党のボルデン氏は、先頃日本人に加えられた暴行については、十分にその損害を補償すべき義務があると明言した。
英露協約と印度 英国の各新聞は、この協約の結果、インド駐屯軍隊の減員が閣議の問題となるであろうと思考している。
支那労働者暴行 送還を告げられた支那人労働者は、自分が勝手に休業した時間を償う事を要求された
日本人迫害善後策 26日タイムス社発
オタワ来電―野党のボルデン氏はバンクーバーに於いて、日本との条約は、その効力を失わない限りこれを順守しなければならないと演説した。そして先頃日本人に加えられた暴行については、十分にその損害を補償すべき義務があると明言した。なお又保守党の意見は、コロンビア州は英国政府の方針に従うべきである事に決定していると付言した。
英露協約と印度 26日上海経由ロイター社発
英国の各新聞は非常な興味を持って英露協約を論評し、この協約の結果、インド駐屯軍隊の減員が閣議の問題となるであろうと思考している。しかし軍人社会の与論は土民の叛乱を気遣って、インド駐屯軍の原因に反対している。
支那労働者暴行 同上
ヨハネスブルグ来電―送還を告げられた支那人労働者は、自分が勝手に休業した時間を償う事を要求されたが、これを拒否して暴行を働いたので警官は一斉射撃を行い、その15名を傷つけた。
9月29日
摩洛哥騒乱後報 佛軍司令官と平和条約を協議する予定のモロッコ王の使節がカサブランカに到着した。
布哇転航禁止 日本移民は今後、本国から直接カナダに来る旅券を有する者でなければ上陸を許可しなくなるであろう。
摩洛哥騒乱後報 27日上海経由ロイター社発
佛軍司令官と平和条約を協議する予定のモロッコ王の使節がカサブランカに到着した。そしてその後更に4種族の土民は平和条約を協議する為に委員を送ってきた。
カサブランカの市場が開かれた。
布哇転航禁止 移民商議委員派遣 27日桑港特派員発
カナダ移民局長の言明する所によれば、日本移民は今後、本国から直接カナダに来る旅券を有する者でなければ上陸を許可しなくなるであろう。これはハワイ経由の移民を防ぐ為である。なお本日27日カナダ政府は、現内閣閣員の中から適任者を選び、日本に派遣し、移民問題に関して日本政府と十分に交渉、協議させる事に決定したと言われている。
9月30日
日本外交関係観察 戦闘艦隊の太平洋回航は、日本が絶えず傲慢な外交を試みた結果である。
米国新聞の態度 ロンドンタイムスのニューヨーク通信員は、日本の態度は静粛になったと言っている諸新聞の記事を嘲笑した。
日本外交関係観察 28日タイムス社発
ニューヨーク来電―大統領ルーズベルト氏は戦闘艦隊がこの冬愈々太平洋に回航する予定である旨を明言した。
ニューヨークタイムスのワシントン通信員は、確かにその筋から出たと思われる次の様な通信を送ってきた。
戦闘艦隊の太平洋回航は、日本が絶えず傲慢な外交を試みた結果である。米国政府は事実上あらん限りの友好的な外交手段を尽くして日本の要求に応えようと努めたが、その効果が無かった。しかし一度米国戦闘艦隊の回航が発表されて以来、日本人の態度は非常に沈静になったと冷笑している。
米国新聞の態度 29日上海経由ロイター社発
ロンドンタイムスのニューヨーク通信員は、米国新聞の日本に対する面白からぬ態度の論評で、米国戦闘艦隊の回航が決定して以来、日本の態度は、前日の恫喝的外交が影をひそめ、静粛になったと言っている諸新聞の記事を嘲笑した。