期日 | 日本関係 | 期日 | 露清関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | 独仏その他関連 |
7月1日 | 営業自由阻害 | 7月2日 | 列国の利権要求 | 7月2日 | 米国海軍の将来 | 7月5日 | 摩洛哥叛将亡状 |
7月2日 | 自称韓国代表者 | 7月5日 | 阿片税補填案 | 7月2日 | 印度暴動後報 | 7月6日 | 三国協約説明 |
7月2日 | 谷中破壊三日目 | 7月15日 | 米清労働談義 | 7月3日 | 米国太平洋艦隊増遣 | 7月9日 | 佛国海軍紊乱 |
7月3日 | 清国の委員なるもの | 7月17日 | ステッセル罪案 | 7月7日 | 米国戦闘艦隊派遣 | 7月10日 | 佛国内閣信任 |
7月4日 | 古着商営業不認可 | 7月22日 | 露帝暗殺未遂 | 7月9日 | 米国艦隊派遣反対論 | 7月18日 | 摩洛哥に於ける佛獨 |
7月5日 | 行商業も不認可 | 7月29日 | 南阿支那人問題 | 7月13日 | 米国艦隊の航路 | 7月19日 | 和蘭人の猜疑心 |
7月5日 | 狼藉事件愈起訴 | 7月15日 | 山本大将の外交的成功 | 7月23日 | 佛国と2年兵役 | ||
7月5日 | 日本移民近況 | 7月16日 | 日本艦隊歓迎 | 7月23日 | 朝鮮問題論評 | ||
7月6日 | 日米関係 | 7月16日 | 日米問題と青木大使 | 7月24日 | 佛獨外交関係 | ||
7月7日 | 韓皇と例の使者 | 7月18日 | 米国実業家意識 | 7月25日 | 新造空中飛行機 | ||
7月7日 | 海軍卿の警告 | 7月20日 | 日本酒問題 | ||||
7月8日 | 僕婢問題調査 | 7月24日 | 米国と韓国問題 | ||||
7月8日 | 加奈陀と日本労働者 | 7月28日 | 日佛交歓別報 | ||||
7月10日 | 営業権問題趨勢 | ||||||
7月10日 | 非日本人法案否認 | ||||||
7月11日 | 行商免許 | ||||||
7月12日 | 桑港市の主張 | ||||||
7月15日 | 所謂韓国委員の運動 | ||||||
7月17日 | 卑怯なる振舞 | ||||||
7月18日 | 又洋食店破壊 | ||||||
7月21日 | 排日熱減退 | ||||||
7月26日 | 韓国委員の寝言 | ||||||
7月26日 | 日本人排斥運動 | ||||||
7月27日 | 日佛交歓 | ||||||
7月28日 | 排日運動対抗 | ||||||
7月30日 | 日本移民移動 | ||||||
7月30日 | 日韓時局論評 |
7月1日
水雷使用制限案 英国政府は係留されない沈底機雷及び浮遊し易い機械機雷の使用を禁止し、機械機雷の使用を海軍根拠地及び要塞に近い交戦国の領海内に制限
営業自由阻害 当地市役所は、市民でないとの理由に依り、日本人の労働者斡旋業免許を拒絶した。
水雷使用制限案 30日上海経由ロイター社発
英国政府は係留されない沈底機雷及び浮遊し易い機械機雷の使用を禁止し、機械機雷の使用を海軍根拠地及び要塞に近い交戦国の領海内に制限し、尚又機雷を敷設した事を中立国に通告し、通知を受けない商船に対しても努めて損害を防止する途を講じなければならないとの案を平和会議に提出した。
解説:当時は機雷の事を水雷と呼称していた。
営業自由阻害 29日サンフランシスコ特派員発
当地市役所は、市民でないとの理由に依り、日本人の労働者斡旋業免許を拒絶した。これにより米国憲法の保障する営業自由権に基づき、サンフランシスコ市を相手に営業侵害の訴訟を行う為、現在準備中である。その他日本人を目的とする規則が続々と発表されつつあるが、ワシントン政府は、この営業不認可事件について何らの行動も取らないのではないかと噂されている。ニューヨーク州にも市民でなければ労働者斡旋業の免許を与えない法律があるそうである。
7月2日
米国海軍の将来 米国政府は戦艦(2万トン級)2隻の建造を私立造船所に注文したと報道された。
印度暴動後報 アルカサマオ協会の会員はボンジャブの政治的暴動の扇動者に便宜を図り始めている。
自称韓国代表者 韓国代表者と自称する者が、日本が朝鮮の主権を無視している事を非難し、自ら平和会議に参列する事を要求した
列国の利権要求 独逸公使は現在、清国政府に対し山東省に於ける製塩權を要求している
谷中破壊三日目 午前8時15分から島田熊吉宅の取り壊しに掛かった。本家と物置合わせて4棟もあり、75人の人夫を以てしても終日を要する見込みである。
米国海軍の将来 1日タイムス社発
ワシントン来電―米国政府は戦艦(2万トン級)2隻の建造を私立造船所に注文したと報道された。その設計は速力21ノット、12インチ砲10門、その他若干の備砲がある。竣工したならば現在の列国の戦艦で1隻もこれに匹敵するものは無いと言われている。
解説:明治38年の日本海海戦時の旗艦三笠は、12インチ砲4門、速力18ノット、1万5千トンであった。
印度暴動後報 同上
ラフォール来電―アルカサマオ協会の会員はボンジャブの政治的暴動の扇動者に便宜を図り始めている。そしてシムラの住民は、被追放者の為に退去命令の取消を得ようと密かに努力している。若し政府がいささかでも譲歩するならば、政府の行為は軟弱であると非難されるであろう。
解説:インドが独立を達成するのは1946年の第2次世界大戦終了後となった。
自称韓国代表者 1日サンフランシスコ特派員発
韓国代表者と自称する者が、日本が朝鮮の主権を無視している事を非難し、自ら平和会議に参列する事を要求したが、オランダ政府は、朝鮮は列席する事は出来ないと正式に拒絶した。この自称代表者は露国が頼りに出来ない事を知り、米国を頼って援助を願っているとの事である。
解説:これは有名なハーグ密使事件が露見した事を報道する記事である。これにより韓皇高宗は退位することになる。密使は確かに6月29日にロシア代表を訪問し、次いで6月30日アメリカ代表を訪問している。最後に7月1日オランダ外務大臣を訪問し、いずれも面会を拒否された。
列国の利権要求 1日北京特派員発
独逸公使は現在、清国政府に対し山東省に於ける製塩權を要求しているが、英、米、仏、伊、ベルギ5カ国も最近各方面の鉱山採掘権及び鉄道敷設権を要求中である。
谷中破壊三日目 1日特派員古川発
午前8時15分から島田熊吉宅の取り壊しに掛かった。本家と物置合わせて4棟もあり、残存家屋の中でも大きい建屋であるので、75人の人夫を以てしても終日を要する見込みである。執行申し渡しに際し、既に諦めと見え、至極穏便であったが、貯水池外の所有地にまで租税を徴収するのは何故かと、田中翁と共に尋ね、第4部長は、それは何かの誤解と思われ、調査の上書面で回答すると答え、一二の問答があった他、何事も無く終了した。
解説:これは足尾銅山事件の鉱毒により廃村となった谷中村で住宅の強制撤去の事件を報道した記事である。田中翁とあるのは有名な田中正造で、1904年から谷中村に移り住んでいた。
7月3日
平和会議 英国委員は、補助艦隊が商船旗を掲げて、交戦国の港湾を抜錨し、そしてその後に性質を軍艦に変える事を禁止し
米国太平洋艦隊増遣 米国政府は、強力な装甲巡洋艦隊以外に、更に総計16隻よりなる戦闘艦隊を太平洋に派遣
清国の委員なるもの 韓国の委員なるもの1名がハーグに来て、韓国が平和会議に参列を許されない事について苦情を申し立てた。
平和会議 2日タイムス社発
(補助艦隊の制限)
ハーグ来電―英国委員は、補助艦隊が商船旗を掲げて、交戦国の港湾を抜錨し、そしてその後に性質を軍艦に変える事を禁止し、これ等の補助巡洋艦隊は、初めから公認された軍艦として所属国の港湾を出なければならないと主張した。この制限により特に影響を受けるのは露国の義勇艦隊である。
一切の補助船舶は無論、中立国の国旗を掲揚した運炭船及び給水船といえども、捕獲若しくは破壊により交戦国に利益を与えるものとしてこれを取り扱うとの提議に関しては、今や列国の意見は一致しようとする傾向を示した。
米国太平洋艦隊増遣 同上
ニューヨーク来電―日頃良くその筋の事情に精通していると評価が高いグローブ新聞の通信員の報道に依れば、米国政府は向う12カ月若しくは15カ月以内に、強力な装甲巡洋艦隊以外に、更に総計16隻よりなる戦闘艦隊を太平洋に派遣する予定との事である。
清国の委員なるもの 1日上海経由ロイター社発
韓国の委員なるもの1名がハーグに来て、韓国が平和会議に参列を許されない事について苦情を申し立てた。なおこの委員の目的は、主として韓国独立を擁護する公約を破った日本の保護について、平和会議に訴えることにある。しかし議長であるネリドフ伯爵はこの委員に対して面会を拒絶した。
解説:この記事にある日本の保護とは、1905年の第二次日韓協約で韓国は、外交権を日本に奪われて事実上の保護国となった事を指す。
7月4日
米国海軍政策 大統領ルーズベルト氏の秘書官は、フィリピン並びにハワイに要塞を建設する計画があるとのヘラルド新聞の報道を否認し
日本人問題 日本人だけが他の外国人と異なり、求人斡旋業について不利益な取り扱いを受けているのみならず、
古着商営業不認可 従来から営業して来た日本人の古着商が、半期の営業許可証が終了した為に新たに免許を出願したところ免許を拒否した
米国海軍政策 3日タイムス社発
ニューヨーク来電―大統領ルーズベルト氏の秘書官は、米国地中海艦隊の一部を太平洋方面に移す計画があるとの風説及び米国海軍の根拠地として、フィリピン並びにハワイに要塞を建設する計画があるとのヘラルド新聞の報道を否認し、且つ海軍当局者は多分この様な措置を取ることに同意しないであろうと明言した。
日本人問題 同上
ニューヨーク来電―サンフランシスコ来電によれば、日本人だけが他の外国人と異なり、求人斡旋業について不利益な取り扱いを受けているのみならず、市役所の許可を要する他の業務を営む事についても妨害を受けているようである。
古着商営業不認可 2日サンフランシスコ特派員発
従来から営業して来た日本人の古着商が、半期の営業許可証が終了した為に新たに免許を出願したところ、市役所は求人斡旋業の不許可と同じ理由で、免許を拒否した。因みに市民でなければ営業できないのは、質屋、競売(せりうり)、その他4種の業種である。
7月5日
摩洛哥叛将亡状 サー、マックリーン氏はモロッコの叛兵に捕えられた者の釈放について、交渉の任に当っていたが、生け捕りにされてしまった。
行商業も不認可 当地市役所は、日本人の市内行商業許可証の発行を拒絶した。
狼藉事件愈起訴 先頃米国の暴民の為に破壊された洋食店は、直接損害が5百ドル、間接損害が1千ドルの合計詮100ドルである。昨3日カルフォルニア州上級裁判所に提訴された。
日本移民近況 ハワイから今月中に、英領バンクーバーに到着した日本移民は、3千名以上
日本移民千名送還 メキシコのサンタクルスに到着した我が移民1千名は、不健康と診断されて送還されようとしている。
阿片税補填案 阿片禁止後は、3千万両(テール)の歳入不足が生じると思われるが、この為に補填策が現在度支部の難問題となっている。
摩洛哥叛将亡状 4日上海経由ロイター社発
サー、マックリーン氏はモロッコの叛兵に捕えられた者の釈放について、交渉の任に当っていたが、叛将ライスリによって生け捕りにされてしまった。ライスリは氏の釈放に関し、賞金を強要すると思われる。
行商業も不認可 4日桑港特派員発
当地市役所は、日本人の市内行商業許可証の発行を拒絶した。当局者は、日米条約第2条により、生産物、その他商品の卸、小売営業以外を禁止することは条約違反にはならないと考え、あくまでも争うつもりと云っている。同問題について我が大使館は、未だ何らの行動を取らない様であり、洋食店事件の提訴についても未だ何らの訓令も与えていない。
狼藉事件愈起訴 同上
先頃米国の暴民の為に破壊された洋食店は、直接損害が5百ドル、間接損害が1千ドルの合計詮100ドルである。又風呂屋は直接損害が75ドル、間接損害が1千ドルの合計1千75ドルであり、弁償の訴訟は何れも市を相手取り、昨3日カルフォルニア州上級裁判所に提訴された。
日本移民近況 同上
ハワイから今月中に、英領バンクーバーに到着した日本移民は、3千名以上になるであろうとの情報がある。
日本移民千名送還 同上
1週間前、メキシコのサンタクルスに到着した我が移民1千名は、不健康と診断されて送還されようとしている。
阿片税補填案 4日北京特派員発
阿片禁止後は、3千万両(テール)の歳入不足が生じると思われるが、この為に補填策が現在度支部の難問題となっている。鐡良(てつりょう)尚書は、酒及び煙草税から補填すべきと説くが度支部尚書載澤(さいたく)公は現在考慮中であり、未だ何らの成案も無い様である。
解説:尚書とは中国の官職名で長官と思われる。1901年の北京議定書によると義和団の乱の賠償金は4億5千万両(清国の歳入8800万両)であり、3千万両の歳入不足とは大変な額である。
7月6日
日米関係 駐英米国大使は、サンフランシスコに於ける料理店破壊は誠に遺憾に堪えない出来事に相違ないが、親密な日米両国民はこの様な些細な問題について紛争を構えるべきでないと明言し
三国協約説明 スペインの外務大臣は、今回新たに締結されたスペイン、英、仏三国協約には何ら秘密の条項は無い
日米関係 5日タイムス社発
駐英米国大使は、米国独立祭饗宴の席上で、米国の政策は平和を増進する事を目的としている旨語気を強めて演説した。引き続き日本との関係に言及し、サンフランシスコに於ける料理店破壊は誠に遺憾に堪えない出来事に相違ないが、親密な日米両国民はこの様な些細な問題について紛争を構えるべきでないと明言し、更に進んでニューヨークへラルド紙の記事を否定した。
ニューヨークへラルド紙は、日を追ってますます激烈に非日本人主義を鼓吹し、大統領が大西洋艦隊所属の戦闘艦を太平洋に移す事を決意したのは、日本との紛争に関係がある事であり、如何にワシントンの官憲が日本人の感情を和らげる為に公然と打ち消す手段を採っても明白で疑う余地が無いと論断した。
三国協約説明 4日ベルリン特約通信員発
スペインの代議院に於いて、同国外務大臣は、今回新たに締結されたスペイン、英、仏三国協約には何ら秘密の条項は無い、その目的は唯現状を維持する事であると明言した。
解説:重工業が盛んとなり、又海軍も拡張し野心溢れる独逸に対抗するためにこの協約は結ばれた。第一次世界大戦まで7年 この当時の独逸を見ると現在の中国に似ている。
7月7日
米国戦闘艦隊派遣 海軍卿メットガーフ氏は、戦闘艦艇が冬季、太平洋に回航するであろうと公言した。しかし卿は、この事は軍事上の特別な意味がある訳でなく、只演習目的に過ぎないと明言した。
韓皇と例の使者 韓国皇帝は伊藤統監の質問に対し、ハーグに於ける韓国の委員と称する者については何も知らないと答えられた。
海軍卿の警告 海軍卿メットカーツ氏は、当地沿岸、特にサンフランシスコに於ける排日行動に関して、サンフランシスコ当局者が国家を戦争に導こうとしている事を責め
米国戦闘艦隊派遣 6日タイムス社発
ニューヨーク来電―海軍卿メットガーフ氏は、戦闘艦艇が冬季、太平洋に回航するであろうと公言した。しかし卿は、この事は軍事上の特別な意味がある訳でなく、只演習目的に過ぎないと明言した。艦隊は秋季の初めに出発し、初秋にサンフランシスコに到着の予定である。
イブニングポスト紙は、この艦隊の派遣に反対し、世界各国は、これは日本に対する威嚇と考えるであろうと論評した。
解説:明治37年3月31日付英海軍の国会報告書に依れば、米国海軍の戦艦保有数は、英、露、独、仏、伊に次いで第6位であったが、明治40年には第2位となっている。
韓皇と例の使者 6日上海経由ロイター社発
京城の本社通信員の報道によれば、韓国皇帝は伊藤統監の質問に対し、ハーグに於ける韓国の委員と称する者については何も知らないと答えられた。又伊藤統監は、若し韓皇がこの様な陰謀に関係があるとするならば、これは日本に対する敵対行為に外ならず、これを制止しなければならないと明言したとの事である。
解説:ハーグ密使事件に対する統監の対応について報道された最初の記事である。韓皇はこの後退位する事になる。
海軍卿の警告 5日桑港特派員発
海軍卿メットカーツ氏は、当地沿岸、特にサンフランシスコに於ける排日行動に関して、サンフランシスコ当局者が国家を戦争に導こうとしている事を責め、求人斡旋業の免許を拒絶した事は明らかに日本人に対する偏見を示す行為であると述べ、同件は重大な国際的な紛争を引き起こす事にはならないと思うが、学校事件、洋食店事件等この種の不法行為が続発することは容易ならざる事であり、国際間の葛藤を生じる恐れがある事を心配すると、当市官憲の行動を激しく攻撃した。
7月8日
僕婢問題調査 本件は非常に重大な事件となっており、或いは意外な結果となるかも知れない。その為検事からの書面の内容は公表する事は出来ず
加奈陀と日本労働者 英領カナダに於いては、今までも労働者が過剰であるのに更に多数の日本人が移住して
米国海軍政策 主力艦隊の太平洋回航は、永久に当海岸に強大な海軍力を常備する第一歩であろう
僕婢問題調査 6日桑港特派員発
市役所の当局者は、免許証の発行を拒絶された同胞の求人斡旋業者の性質、家屋の衛生状態、経営上の不都合があるかないか、及び経営年数等について調査すべしとの依頼をアヴリン検事から受けたが、この事について次の様に述べた。
本件は非常に重大な事件となっており、或いは意外な結果となるかも知れない。その為検事からの書面の内容は公表する事は出来ず、同件について来週火曜日に会費を開く予定であり、その時検事への返書を送ると共に公表するつもりである。
解説:日本人洋食店の破壊に始まる日本人排斥は、ワシントンも巻き込む大問題となっており、これに関する記事が5月は23日、25日、27日,28日,29日,30日,31日、6月は5日、6日、7日9日、11日、12日、14日、17日、7月は1日、4日、5日、6日、8日と連日の様に報道されている。求人斡旋業については「僕婢周旋業」の鑑札問題として7月1日に最初に報道されている。
加奈陀と日本労働者 同上
英領カナダに於いては、今までも労働者が過剰であるのに更に多数の日本人が移住して来るのに驚いて、同地の労働者は武装して反対しようと威嚇している。
米国海軍政策 7日桑港特派員発
主力艦隊の太平洋回航は、永久に当海岸に強大な海軍力を常備する第一歩であろうと考えられる。
米国政府は太平洋海岸に壮大なドックを建設する議案を提出するであろうと言われている。
7月9日
米国艦隊派遣反対論 ワールド新聞は、艦隊を太平洋に派遣する事に憤然と抗議し、日本に対する兵力示威運動と誤解されかねない
佛国海軍紊乱 佛国軍艦の椿事がほとんど絶え間なく起こり、近頃又数隻の戦艦に火災が発生し、民心は不安を感じている。
米国艦隊派遣反対論 8日タイムス社発
ニューヨーク来電―ニューヨークへラルドに届いたマニラ電報によれば、オロンガ、ライテの海軍基地に雇われた日本人は全て解雇されたと言われている。
ワールド新聞は、艦隊を太平洋に派遣する事に憤然と抗議し、日本に対する兵力示威運動と誤解されかねない措置を採るのは、大変な失策を招く恐れがあると論断している。
解説:7月7日以降関連記事がある。
佛国海軍紊乱 同上
パリー来電―佛国軍艦の椿事がほとんど絶え間なく起こり、近頃又数隻の戦艦に火災が発生し、民心は不安を感じている。半官報は頻りに民心を安堵させようと努力しているが、多数の新聞はこれらの椿事は監督不十分と政治上の影響による訓練の不足とに原因があるとしている。
7月10日
米国世論醒覚 多数の米国新聞は、人為的に醸成された危険な日米関係について、今や漸く気付き始めたように見える。
佛国内閣信任 激論沸騰の末、同院は大多数を以て、暴動兵をチェニスに移動させた政府の処置を是認した。
米国海軍拡張 太平洋沿岸の防備及び艦隊を予算の許す限り良好な状態に置くべき緊急な工事は、徐々に進行しつつある。
営業権問題趨勢 当市の法律顧問は、日本人の求人斡旋業免許拒絶事件に対する警務委員会の処置は専断に失したとし、且つ法律顧問の意見を徴したのではないと述べた。
非日本人法案否認 入国した日本人に25ドルの人頭税を賦課する法律案は英領コロンビア州議会を通過したが、カナダ政庁がこれを否認した。
米国世論醒覚 9日タイムス社発
ニューヨーク来電―多数の米国新聞は、人為的に醸成された危険な日米関係について、今や漸く気付き始めたように見える。ポスト新聞は、昨今民心を扇動中であるイエロペーパーの態度は、往年の米西戦争を誘発した手段を学んでいるとその戦略を素破抜いている。
佛国内閣信任 同上
パリー来電―代議院は1903年入営兵の期前除隊及び南部暴動兵は服役年限中、帰休させない事に関する法案について長時間討論した。激論沸騰の末、同院は大多数を以て、暴動兵をチェニスに移動させた政府の処置を是認した。
解説:南部フランスの暴動について、6月11日に報道されてから連日のように報道され、6月23日歩兵12連隊が脱走した記事、6月28日この部隊はアフリカのチェニスに移動させられた記事がある。今回の暴動兵とはこの12連隊についてである。
米国海軍拡張 8日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―太平洋沿岸の防備及び艦隊を予算の許す限り良好な状態に置くべき緊急な工事は、徐々に進行しつつある。ワシントン州プゼット、サウンドには乾ドックを建設中であり、又マリースランド造船所は更に大戦闘艦を入れ得る様に、特別に力を尽くしてドックを浚渫する予定である。
営業権問題趨勢 8日桑港特派員発
当市の法律顧問は、日本人の求人斡旋業免許拒絶事件に対する警務委員会の処置は専断に失したとし、且つ法律顧問の意見を徴したのではないと述べた。又この事件は米国憲法補則第14条と矛盾したものであり、かっての大審院判決録18欵(かん)で支那人の洗濯業者某が営業権について、偏った取扱を受けたと訴訟を行った際原告に勝訴の判決を与えた事があり、その為今回の日本人求人斡旋業事件もこれと同一の判決を受けるに違いないと公言した。明後10日の警務委員会は、審議を翻して求人斡旋業を許すことになると委員の一人は語った。
解説:7月1日の記事でこの問題が最初に報道されている。大審院判決録18欵(かん)とは、節の下で月の上の単位である。
非日本人法案否認 同上
入国した日本人に25ドルの人頭税を賦課する法律案は英領コロンビア州議会を通過したが、カナダ政庁がこれを否認した。
7月11日
日本海軍の新注文 日本海軍委員はドレッドノート型の新造戦艦に備え付ける12インチ砲をクルップ社に注文した。
桑港商業会議所決議 当地商業会議所は、日本商業会議所の決議に報う為、両国の歴史的友好及び貿易関係を永遠に持続する事に力を合わすべきであるとの決議
行商免許 一旦拒否しながら本日9日、突然同胞の市内行商免許証を許可した。
日本海軍の新注文 9日上海経由ロイター社発
日本海軍委員はドレッドノート型の新造戦艦に備え付ける12インチ砲をクルップ社に注文した。期限は9カ月間である。日本がこの大砲を英国の鉄工所に注文しなかったのは英国の工場は、皆一杯の注文を受けている為であるとメール新聞ベルリン通信員は報道した。(編者注、我が海軍当局者は打ち消している)
桑港商業会議所決議 9日桑港特派員発
当地商業会議所は、本日9日午後、役員会で日本商業会議所の決議に報う為、両国の歴史的友好及び貿易関係を永遠に持続する事に力を合わすべきであるとの決議を行い、明10日東京商業会議所に打電する事になっている。
行商免許 同上
一旦拒否しながら不思議にも納税課は本日9日、突然同胞の市内行商免許証を許可した。
解説:7月5日行商業不許可の記事がある。
7月12日
桑港市の主張 市の条例を適用するならば条約に違反せず市に免許を拒絶する権利がある。しかし或いは私の措置に間違いがあるとすれば日本人は勝手に訴訟を起こしても良い。
米国新聞覚醒 10日ベルリン特約通信員発
一部の米国新聞は今や米国艦隊の太平洋への回航に反対し始めている。
桑港市の主張 10日桑港特派員
警務課からデブリン検事に送られた回答の要旨には次の様に述べられている。
市の条例に依り警務課は求人斡旋業、行商その他の管理権を有する。日本人は条約に保護されているというが第2条の但書があるのをどう解釈するのか。私は日本官憲が当国にて条約上の絶対的権利として求人斡旋業を許可すべきであると主張する事が出来るとは信じられない。市の条例を適用するならば条約に違反せず市に免許を拒絶する権利がある。しかし或いは私の措置に間違いがあるとすれば日本人は勝手に訴訟を起こしても良い。そして法廷が若し日本人の主張する権利があると判決するのであれば甘んじてこれに服従するつもりである。
米国新聞覚醒 10日ベルリン特約通信員発
一部の米国新聞は今や米国艦隊の太平洋への回航に反対し始めている。即ちニューヨークサンは、艦隊の派遣は徒に失敗を招く行為であると酷評している。
7月13日
山本大将と米国新聞 大将は新聞記者の責任が重大である事を説き、今日の状況で、虚構の風説を無遠慮に記載する様な軽率さは米国新聞記者には無いであろうと、暗に米国新聞の軽挙を戒め
米国艦隊の航路 米国艦隊はマゼラン海峡から太平洋に回航し、帰航にはスエズを通過する予定である旨ニューヨークヘラルド紙は報道した。
日本人の権利保護 米国大統領は従来よりも一層確実に日本人の権利を保護するよう望むと言明した。
山本大将と米国新聞 11日紐育特派員発
山本大将の訪米は、時節柄非常に世間の注目を集めている。昨10日、各新聞記者が大将を旅館に訪問した際,大将は新聞記者の責任が重大である事を説き、今日の状況で、虚構の風説を無遠慮に記載する様な軽率さは米国新聞記者には無いであろうと、暗に米国新聞の軽挙を戒め、各新聞が大将の写真を求めた事に対し、貴君等が平和の為に働くならば私の写真を採っても構わないがそうでないならば御免を蒙ると述べ、一言一句米国新聞記者を大いに感服させた。
米国艦隊の航路 11日ベルリン特約通信社発
米国艦隊はマゼラン海峡から太平洋に回航し、帰航にはスエズを通過する予定である旨ニューヨークヘラルド紙は報道した。
解説:大西洋艦隊が太平洋に来る事が、対日海軍兵力の増強ではないかと大きな問題となっており、これによると大西洋艦隊は南アメリカの南端にあるマゼラン海峡を通過して太平洋に入るようである。
日本人の権利保護 同上
米国大統領は従来よりも一層確実に日本人の権利を保護するよう望むと言明した。
7月14日
滞米中の山本大将 米国大統領はオイスター湾に於いて山本大将その他の日本海軍将校の為に午餐会を催し、国務卿ベーコン下出席した。
日米問題と青木大使 駐米日本大使青木子爵は、独逸新聞フランクフルト、ライツング紙の通信員に対して、日米両国の紛争は第三国の教唆で生まれたとの報道を否認し、日本政府はこれらの風説信用していない
滞米中の山本大将 13日上海経由ロイター社発
米国大統領はオイスター湾に於いて山本大将その他の日本海軍将校の為に午餐会を催し、国務卿ベーコン下出席した。
山本大将は、昨日ニューヨークに於いて演説し、日米の親密な関係は些細な出来事に依り傷つけられるべきではなく、私は米国の有力な人々が感情によって正道を踏み外す事が無いように希望すると明言した。
日米問題と青木大使 12日ベルリン特約通信社発
駐米日本大使青木子爵は、独逸新聞フランクフルト、ライツング紙の通信員に対して、日米両国の紛争は第三国の教唆で生まれたとの報道を否認し、日本政府はこれらの風説を信用していない、又日本国民もこの様な風説に惑わされる事は無いと言明した。
青木大使の以上の談話は明らかに英国新聞デイリー、テレグラフ紙の記事を指したものであり、平和会議の問題についても、同新聞の記事は全く信用できない。
7月15日
所謂韓国委員の運動 ハーグに滞在中である韓国の委員と称するものは昨日1枚の抗議書を米国委員チヨウト氏に提示した。
山本大将の外交的成功 山本大将は各方面に向かって外交的手腕を発揮し、最も円満な言動を以て日米戦争論を次第に消滅させつつある。
米清労働談義(米国品排斥の警告) 外務部は駐米公使に電命し、清国労働者の排斥問題について協議の開始を米国政府に督促させた。
所謂韓国委員の運動 14日上海経由ロイター社発
ハーグに滞在中である韓国の委員と称するものは昨日1枚の抗議書を米国委員チヨウト氏に提示した。チヨウト氏は、この委員に対して合衆国は韓国に対して好意を持っているが、しかし若し意見を述べる必要があるならば、ワシントン政府に向かって直接に述べなければならないと告げた。
解説:ハーグ密使事件の一人が、13日米国代表に面会を求めた記事である。
山本大将の外交的成功 12日紐育特派員発
山本大将は各方面に向かって外交的手腕を発揮し、最も円満な言動を以て日米戦争論を次第に消滅させつつある。米人も日本人も共に大将の來米によって俄然戦争談が薄らいだことに驚いている。
当市の新聞も本日12日ハサンチャゴ、カルフォルニアに於ける日本人の軍事スパイが逮捕されたとの風説を記載したのみで、他に扇動的な記事を載せてはいない。
米清労働談義(米国品排斥の警告) 13日北京特派員発
外務部は駐米公使に電命し、清国労働者の排斥問題について協議の開始を米国政府に督促させた。米国が若し依然として要求を容れないならば、清国の商人が米国品の排斥運動を起こしても、清国政府はその責任を採らないと警告させた。
7月16日
日本艦隊歓迎 伊集院中将以下筑波、千歳の乗組み将校一同は、去る土曜日ポーツマスの造船所を見学し、英国軍艦ヴィクトリーとドレッドノートの2隻を訪問した。
日米問題と青木大使 米国人は、今や戦争論の風潮を食い止めた事は、青木大使の一大成功であると認め
日本艦隊歓迎 15日タイムス社発
伊集院中将以下筑波、千歳の乗組み将校一同は、去る土曜日ポーツマスの造船所を見学し、英国軍艦ヴィクトリーとドレッドノートの2隻を訪問した。
ポーツマス市長は、我が水兵4百名を電車に乗せ、郊外に案内した。
日米問題と青木大使 同上
ニューヨーク来電―米国人は、今や戦争論の風潮を食い止めた事は、青木大使の一大成功であると認め、ヘエル博士の如きは、大使との会見録を発表して、盛んに大使を称賛した。大使は博士との会見の際、日米戦争は害があって益が無いことを指摘し、米国に対する日本の友情を言明した後、太平洋は広大であり、優に列国は並立する余地があり、人種問題等は自ずから解決の道があるであろうと信じる旨を明言した。
7月17日
卑怯なる振舞 去る13,14日に亘り夜12時過ぎから3時までの間に何者かが同胞の洋食店の窓ガラスに石を投げ、第三街にある5軒の洋食店は悉く表戸を破られた。
ステッセル罪案 15日ベルリン特約通信員発
ステッセル将軍及びその幕僚は軍規を無視し、虚偽の報告を行い、且つ戦うべき戦いを戦わずして旅順を敵の手に委ねた
卑怯なる振舞 15日桑港特派員発
去る13,14日に亘り夜12時過ぎから3時までの間に何者かが同胞の洋食店の窓ガラスに石を投げ、第三街にある5軒の洋食店は悉く表戸を破られた。加害者は例の如く逮捕されず、警察の保護もなかった。白人同業者の嫉妬か或いは労働者の迫害と思われる。被害状況はそのままとして置き、商務卿がサンフランシスコを訪問した際示す事になっている。
ステッセル罪案 15日ベルリン特約通信員発
ステッセル将軍及びその幕僚に対し、新たに提起された告訴状には重大な個所がある。即ち被告等は軍規を無視し、虚偽の報告を行い、且つ戦うべき戦いを戦わずして旅順を敵の手に委ねたという事がその主要な罪状である。
解説:ステッセル将軍とその幕僚は、旅順要塞の降伏により死刑の宣告を受けている。
7月18日
摩洛哥に於ける佛獨 「マタン」新聞は、あらゆる機会を利用して佛国に反対するタンジール駐在の独逸公使の態度を攻撃した。
米国実業家意識 米国に居る日本移民に対し、日本における米国人が現に受けている特権と同一の特権を受けさせるよう希望する。
又洋食店破壊 昨15日夜、又一日本人の洋食店が暴徒の為に表窓ガラスを割られ、同胞の要求に依り警察は多少の保護を行った
摩洛哥に於ける佛獨 16日タイムス社発
パリー来電―「マタン」新聞はモロッコの現状を論評した注目すべき社説に於いて、佛国の経済活動の成功と経済上の見地から見た、独逸外交の失敗とを対比し、あらゆる機会を利用して佛国に反対するタンジール駐在の独逸公使の態度を攻撃した。
米国実業家意識 16日桑港特派員発
米国商品取引所は次の決議を発表した。
日本移民に対し他の外国人と異なった差別的待遇を与えようとする如何なる移民条約にも賛成せず、又米国に居る日本移民に対し、日本における米国人が現に受けている特権と同一の特権を受けさせるよう希望する。更に日米両国の最も親密な貿易関係に至っては現在少しも障害が無い事を確信する。
この決議は大統領及び国務卿に送付される事になっている。
又洋食店破壊 同上
昨15日夜、又一日本人の洋食店が暴徒の為に表窓ガラスを割られ、同胞の要求に依り警察は多少の保護を行ったが、加害者はこれまで通りに逮捕されなかった。要するに官憲の保護が不十分である。
7月19日
マグダレナ湾 米国が先ほどメキシコに対し、ある期間マグダレナ湾に貯炭所を置く事について同意を求めたのは事実であるが、メキシコは決してその地域の割譲に同意する事は無い
新市長と日本人 サンフランシスコ市参事会員デイズーアと云う弁護士であり、又医師と詩人を兼ねた人が選挙で選ばれた。
和蘭人の猜疑心 日本がズンダ諸島の一島をオランダから獲得しようとする意思がある旨を報道した。
マグダレナ湾 17日タイムス社発
ロンドンタイムスがある確かな筋から入手した情報に依れば、米国が先ほどメキシコに対し、ある期間マグダレナ湾に貯炭所を置く事について同意を求めたのは事実であるが、メキシコは決してマグダレナ湾その他何処に拘わらず、その地域の割譲に同意する事は無いと云う。
新市長と日本人 17日上海経由ロイター社発
サンフランシスコ市参事会員デイズーアと云う弁護士であり、又医師と詩人を兼ねた人が選挙で選ばれた。
労働党は反対しているが一般市民はこれを歓迎している。この為日本人に対する市の方針が一変するものと予想される。従って前市長シュミッツ一派と紛争が発生する兆候がある。
和蘭人の猜疑心 16日ベルリン特約通信社発
オランダ新聞「ド、テレグラフ紙」は日本がズンダ諸島の一島をオランダから獲得しようとする意思がある旨を報道した。これに関し独逸新聞「フランクツワルト、ツアイツング」紙は日欄両国のその筋に調査した結果、これは全く根拠の無い妄想であるとの回答を得たと報道した。
7月20日
平和会議 平和会議の第4部会委員会は、21票対11票の多数決で「戦時禁制品を除く外、私有財産は海上に於いて捕獲を免れなければならない」との米国の提案を可決した。
日本酒問題 18日桑港特派員発
日本酒がワインであるかビールであるかの問題が起こり、ワシントンから鑑定審査官が来訪した。ワインであれば1ガロン50セント、ビールであれば20セントが課税される事になる。
三国同盟近情 墺(オーストリア)伊両国外相の会見は、三国同盟が強固に維持される証拠であると認められる。
平和会議(私有財産海上捕獲権問題) 18日タイムス社発
ハーグ来電―平和会議の第4部会委員会は、21票対11票の多数決で「戦時禁制品を除く外、私有財産は海上に於いて捕獲を免れなければならない」との米国の提案を可決した。独逸は或る条件を付してこれに賛成したが、日、英、露、佛の4カ国は反対した。英国委員のサトウ氏は極めて明確に英国の意見を述べ、英国は、以前強く反対した主義に制限を付けるに過ぎない提案は討議するに値しないと明言した。日露両国も事実上英国と同一の態度を採った。
日本酒問題 18日桑港特派員発
日本酒がワインであるかビールであるかの問題が起こり、ワシントンから鑑定審査官が来訪した。ワインであれば1ガロン50セント、ビールであれば20セントが課税される事になる。日本人側では日本酒はワインでもビールでなく、規定の酒類に入らない飲料であるので2割の従価税を賦課されるべきであると主張している。これであれば1ガロン10セントの課税となる。
三国同盟近情 18日ベルリン特約通信社発
墺(オーストリア)伊両国外相の会見は、三国同盟が強固に維持される証拠であると認められる。独逸宰相ビューロー公は墺伊両国外相の懇切な挨拶に対して丁寧な謝辞を贈った。
7月21日
艦隊回航中止(米国大統領の言) 大統領ルーズベルト氏は今まで戦闘艦隊を太平洋に派遣する事を海軍省に命令した事は無く、又この回航命令が発令された事については全く知らない。
排日熱減退 当地に於ける有力な日米両国の商人は、現在の問題について協議し、併せて懇親会を開く予定で現在準備中である。
朝鮮問題論評 日本は伊藤統監と林外相の才能、公共的精神、智略及び不屈の気力により1894年及び96年の失敗を繰り返すことなく、朝鮮問題を処置する事ができ
艦隊回航中止(米国大統領の言) 19日タイムス社発
ニューヨーク来電―ワールド新聞の情報によれば、大統領ルーズベルト氏は今まで戦闘艦隊を太平洋に派遣する事を海軍省に命令した事は無く、又この回航命令が発令された事については全く知らない。将官会議に於いては演習の件を協議したが日本人問題については何ら議題とならず、日本人問題は格別に重要な問題とは考えていない。又米国戦闘艦隊の目的地は未だ決定していないと明言した由
排日熱減退 同上
桑港来電―当地に於ける有力な日米両国の商人は、現在の問題について協議し、併せて懇親会を開く予定で現在準備中である。
サンフランシスコ商品取引所の理事等は、諸外国人と区別して日本人を扱う移民法には以前から反対である旨を公言している。
又果実栽培業者は、果実の摘み取り人を白人に求める事は出来ないので日本人は絶対に必要であると明言している。
ロンドンタイムス紙は前記の諸報道を総合して米国人の態度が異変した事を喜んでいる。
朝鮮問題論評 20日タイムス社発
ロンドンタイムスはその社説に於いて、朝鮮問題を論評し、日本は伊藤統監と林外相の才能、公共的精神、智略及び不屈の気力により1894年及び96年の失敗を繰り返すことなく、朝鮮問題を処置する事ができ、そして韓国の現王統を維持しつつ日本は日韓協約を履行する事になるであろうと述べている。
7月22日
露帝暗殺未遂 露帝及び首相ストリビン氏を暗殺する陰謀に加担した嫌疑により拘留中である20名の暴徒は近々軍法会議に付せられるであろう。
露帝暗殺未遂 20日上海経由ロイター社発
露帝及び首相ストリビン氏を暗殺する陰謀に加担した嫌疑により拘留中である20名の暴徒は近々軍法会議に付せられるであろう。
7月23日
佛国と2年兵役 佛国のハーグリン大将は2年兵役法案を実施する事により起こる兵員の減少について、戦争となった時に責任を負う事ができないとして辞職した。
朝鮮問題論評 独逸諸新聞は、今回韓国に於いて日本が採った措置は当然の結果であり、韓国が発展する時期が今や来たと論評した。
佛国と2年兵役 22日上海経由ロイター社発
佛国のハーグリン大将は2年兵役法案を実施する事により起こる兵員の減少について、戦争となった時に責任を負う事ができないとして辞職した。
朝鮮問題論評 21日ベルリン特約通信社発
独逸諸新聞は、今回韓国に於いて日本が採った措置は当然の結果であり、韓国が発展する時期が今や来た。日本は既に韓国に於いて非常な成功を収め、韓国の国民はただ日本と運命を共にすべきのみであると論評した。
7月24日
朝鮮問題と佛国 韓国における佛国の要求は只商工業に関する自由のみである
佛獨外交関係 独逸はモロッコに於いて佛国の行動を阻害する意思を全く持っていないと明言し、なお獨帝が黄人患を憂いているとの風説を否定して
米国と韓国問題 日本が韓国を占領し、これを管理しても米国は如何なる抗議も行わない。米政府が日本の韓国併吞に黙認を与えたのは、2年前にタフト氏が日本を訪問した時に起因する。
自称韓国委員 ハーグに居る自称韓国代表者はロンドンに向かった。
朝鮮問題と佛国 22日タイムス社発
パリー来電―タン新聞は韓国問題について、韓国における佛国の要求は只商工業に関する自由のみであると論評した。
佛獨外交関係 23日タイムス社発
パリー来電―独逸宰相ビュロウ公は佛国の新聞記者と面会し、独仏の関係を楽観視する融和説を披露した。独逸はモロッコに於いて佛国の行動を阻害する意思を全く持っていないと明言し、なお獨帝が黄人患を憂いているとの風説を否定して、思慮に富む日本人は欧州を脅かすような事を全く考えていないと述べ、最後に日米の紛争も必ず無事に解決するものと信じる旨を言明した。
米国と韓国問題 23日桑港特派員発
ワシントン来電ー日本が韓国を占領し、これを管理しても米国は如何なる抗議も行わない。米政府が日本の韓国併吞に黙認を与えたのは、2年前にタフト氏が日本を訪問した時に起因する。当時タフト氏は日本当局者から韓国の紊乱した状態とこれに対する日本の政策を聞き、2千㌦の電報料を費やして会見の模様をルーズベルト大統領に報告し相談した結果大統領も承諾した。従って日本が韓国を経営し、発展させる事について米国は今さら何ら異論を述べるべき事も無く、日本の行う事を傍観するだけと信じられる。
自称韓国委員 同上
ハーグに居る自称韓国代表者はロンドンに向かった。
7月25日
英国艦隊検閲 招集に応じてソレント海峡に集合した戦艦以下潜航艇を含めると160隻であり
英露協約後報 交渉は順調に推移しているが尚商業について未解決の問題があり、従って協約が確定するまでには早くても尚数週間の日数が必要である。
新造空中飛行機 佛国首相クレマンソウ氏及び陸相ピカール氏は、操縦自在の新造空中飛行機に試乗し
英国艦隊検閲 23日上海経由ロイター社発
英国本国艦隊の検閲は、昨日、海峡演習以来初めて挙行され、世人の非常な注目を浴びた。招集に応じてソレント海峡に集合した戦艦以下潜航艇を含めると160隻であり、全艦隊の延長は24マイルに達した。
英露協約後報 24日上海経由ロイター社発
駐露英国大使は、英露協約に関する要務を帯びてロンドンに到着した。交渉は順調に推移しているが尚商業について未解決の問題があり、従って協約が確定するまでには早くても尚数週間の日数が必要である。
新造空中飛行機 23日ベルリン特約通信社発
佛国首相クレマンソウ氏及び陸相ピカール氏は、操縦自在の新造空中飛行機に試乗し、その構造が安全である事を非常に称賛した。
明治40年7月26日
印度騒憂とカルゾン卿 印度の騒動の原因は根が深い訳ではなく、確固とした態度を持って臨むならば極めて簡単な手段で見事に処理する事が出来る。
日本艦隊と日佛協約 佛国人は、日本の政策が思慮深い事及び極東における佛国の領土が今回の協約によって保障された事を認識している。
韓国委員の寝言 韓皇は仮令朕は殺されても汝らはその任務を続行し、5百年以来継続した韓国の独立を回復せよと訓告された
日本人排斥運動 バンクーバーの白人労働者間には、最近来着しようとする多数の日本人に対し、一大示威運動の計画がある。
印度騒憂とカルゾン卿 25日タイムス社発
前印度総督カルゾン卿は、ロンドンに於いて次の様な演説を行った。印度の騒動の原因は根が深い訳ではなく、確固とした態度を持って臨むならば極めて簡単な手段で見事に処理する事が出来る。
日本艦隊と日佛協約 同上
パリー来電―筑波及び千歳は去る水曜日ブレストに入港した。
佛国人は一般的に日佛協約を重要視しており、日本の政策が思慮深い事及び極東における佛国の領土が今回の協約によって保障された事を認識している。
韓国委員の寝言 25日上海経由ロイター社発
所謂韓国委員は、米国に向けサザンプトンを出発した。委員の一人ヨンはロイター通信員と会見し、米国に渡って大統領を訪問し、更に主要都市を巡回した後、韓皇が我々を派遣した使命の為に再び英国に帰ってくるであろう。韓皇は我々の出発前に既に、日本から遠からずして譲位を強いられる事を予知して、仮令朕は殺されても汝らはその任務を続行し、5百年以来継続した韓国の独立を回復せよと訓告された旨を明言し、尚又今回の譲位は日本が韓国の反逆人に金銭を与えた結果であると語った。
日本人排斥運動 24日桑港特派員発
バンクーバーの白人労働者間には、最近来着しようとする多数の日本人に対し、一大示威運動の計画がある。国会議員マグファーソン氏は、カナダは白人国でなければならず、如何に高額を要しても日本人を排斥しなければならないとして、適切な手段を講じなければ、より過激な手段を取るであろうとの声明文をカナダ政府に打電した。
7月27日
日佛交歓 佛国大統領ファリエル氏はエリーゼ宮に於いて日本艦隊乗組将校の為に公式の晩餐会を開催した。大統領はこの席上で、日本、皇帝陛下及び日本海軍の為に祝杯を挙げて
英獨両帝又会見 英国皇帝は8月1日ウイルヘルムスホーヘ宮へ御到着、その日獨帝との間に往来、会見が行われた。
日佛交歓 26日タイムス社発
パリー来電―佛国大統領ファリエル氏はエリーゼ宮に於いて日本艦隊乗組将校の為に公式の晩餐会を開催した。大統領はこの席上で、日本、皇帝陛下及び日本海軍の為に祝杯を挙げて、日本国民の勇気と愛国心は、常に日本の軍人に深甚な同情を表する佛国人にとっては特に称賛に値する点であると明言した。主要な佛国新聞は、一斉に日本艦隊の訪問を喜び且つ日佛協約に対し熱誠な賛同の意を表した。
英獨両帝又会見 25日ベルリン特約通信社発
英国皇帝は8月1日ウイルヘルムスホーヘ宮へ御到着、その日獨帝との間に往来、会見が行われた。英帝は夜11時の汽車でマリーンパッドに向けてご出発される旨公表された。
7月28日
清国と阿片貿易 米国が、清国は列国と協同して阿片貿易を調査するよう勧告した提議に対し正式に同意を表した。
英米両国委員の論戦 平和会議は英国の提議した戦時禁制品廃止案を討議したが露、佛、米、獨の四カ国は皆この案に反対した。
排日運動対抗 産業の発達の為には多くの日本人を渡米させなければならないと日本人の性質及び労働状態等を称賛したがス氏は強力な賛日団体を募り、国会議員を動かす外は無いと忠告した。
日佛交歓別報 同上
パリーに於ける伊集院中将の歓迎は大変な状況であり、数日前、同地に於ける米艦隊の歓迎と比較にならない。波斯と独逸の新関係 独逸商業銀行をペルシャに設置する交渉が終結し、ペルシャ政府は45ヵ年間営業を許可した。
清国と阿片貿易 27日上海経由ロイター社発
ロンドンタイムスの北京通信員の報道によれば、米国が、清国は列国と協同して阿片貿易を調査するよう勧告した提議に対し正式に同意を表した。
英米両国委員の論戦 同上
ハーグ来電―平和会議は英国の提議した戦時禁制品廃止案を討議したが露、佛、米、獨の四カ国は皆この案に反対した。英国委員リー卿は米国国務相の公文を引用して、米国は以前自ら戦時禁制品の廃止を唱えていながら、現在反対の側に立つとは実に意外であると述べるや、米国委員ボルター将軍はこれに答えて、リー卿が引用した米国の公電は時代遅れであり、それよりも大統領ルーズベルト氏が現在採っている政策こと大切であると明言した。
排日運動対抗(賛日団体組織計画)26日桑港特派員発
商務卿ストラウス氏がハワイに向け出発する前に、34名の当地の有力資産家が同氏を訪問した。米国中西部諸州の産業は非常に多くの日本人を必要としており、日本人なしには産業の発達は到底望む事が出来ない。産業の発達の為には多くの日本人を渡米させなければならないと日本人の性質及び労働状態等を称賛したがス氏は強力な賛日団体を募り、国会議員を動かす外は無いと忠告した。その為幸いにして、9月にサクラメントで開く勧業大会に於いて賛日大会を開いて団体を組織する筈である。
日佛交歓別報 同上
パリーに於ける伊集院中将の歓迎は大変な状況であり、数日前、同地に於ける米艦隊の歓迎と比較にならない。昨25日は大統領の昼食会があり、本日26日は又海軍卿の昼食会があり、終わって劇場に案内され、明日27日夜は大使館に於いて大夜会が行われる事になっている。市民は日本軍人の歓迎に熱狂しているとの来電があった。波斯と独逸の新関係 26日ベルリン特約通信社発
独逸商業銀行をペルシャに設置する交渉が終結し、ペルシャ政府は45ヵ年間営業を許可した。同銀行は本店をペルシャに置いて、各種の商業取引に従事する筈であり、ペルシャの銀貨改鋳も同行の一事業である。
7月29日
南阿支那人問題 トランスバール金鉱地の支那人労働者は、契約書の中に期限満了の後に契約を継続するという条項を盾にし、送還に対する抗議書を提出した。
クロニクル社長冷評される 日本はフィリピン及びハワイを狙っていると談話し、英国新聞によって冷笑された。
南阿支那人問題 28日上海経由ロイター社発
トランスバール金鉱地の支那人労働者は、契約書の中に期限満了の後に契約を継続するという条項を盾にし、送還に対する抗議書を提出した。
解説:1万6千人の清国人が鉱山労働者として働いており、ここでもカルフォルニア州と同様に、安い賃金である為経営者からは歓迎されているが現地労働者から排斥され、本国に強制送還されようとしている。
6月には南阿の清国人労働者問題が記事となっている6月15日、17日、22日にトランスバールの関連記事がある。
クロニクル社長冷評される 18日桑港特派員発
サンフランシスコのクロニクル新聞社長デアング氏は、ロンドンに於いて、サンフランシスコ市民は人種的偏見を抱いていないが、しかし日本はフィリピン及びハワイを狙っていると談話し、英国新聞によって冷笑された。
7月30日
日本移民移動 最近10日間にハワイからカナダに來航して来た日本人2千名という膨大な数となった
日韓時局論評 韓国に於ける日本の任務は、到底エジプトに於ける英国の事業と対比する事は出来ないけれど、日本は如何にしても韓国人の怨恨に打ち勝たざるを得ないであろう。
日本移民移動 19日タイムス社発
オタワ来電―最近10日間にハワイからカナダに來航して来た日本人2千名という膨大な数となったが、その内8百名はカナダ幹線鉄道の工夫に雇われた。
日韓時局論評 同上
ロンドンタイムス紙は日韓の時局を次の様に論評している。
韓国は1904年の日韓協約の結果として、遅かれ早かれ現在の新地位に遭遇する運命にあったと言える。韓国に於ける日本の任務は、到底エジプトに於ける英国の事業と対比する事は出来ないけれど、日本は如何にしても韓国人の怨恨に打ち勝たざるを得ないであろう。植民事業の経営に於いて、日本がはたして名誉ある成功を達成する事が出来るかどうかは現在試験中と思われる。そして自己の意見どおりの政策を自由に実行する事が出来る地位に立った日本は成功しても失敗しても、結果を見て判断を下そうとする人々に対しこれまでよりも一層重大な責任を有する云々
第三次日韓協約(だいさんじにっかんきょうやく)は、1907年(明治40年)7月24日に締結された協約。
ハーグ密使事件をうけて、日本は1907年7月18日に高宗を退位させた。第二次日韓協約によって日本の保護国となりすでに外交権を失っていた大韓帝国(朝鮮王朝)は、この条約により、高級官吏の任免権を韓国統監が掌握すること(第4条)、韓国政府の官吏に日本人を登用できること(第5条)などが定められた。これによって、朝鮮の内政は完全に日本の管轄下に入った。また非公開の取り決めで、韓国軍の解散・司法権と警察権の委任が定められた。