期日 | 日本関係 | 期日 | 露清関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | 独仏その他関連 |
6月3日 | 日本人帰化問題 | 6月13日 | 亜細亜人排斥法案 | 6月3日 | 英国政論社会の意嚮 | 6月1日 | 独逸外務次官演説冷評 |
6月3日 | 南米に於ける日本人 | 6月15日 | 南阿労働者問題 | 6月5日 | 桑港事件調査 | 6月1日 | 清国阿片問題と波斯 |
6月4日 | アベコベに抗議 | 6月16日 | 漁区競売終了 | 6月8日 | 印度動乱眞相 | 6月12日 | 南部佛国騒櫌 |
6月6日 | 日佛外交関係 | 6月17日 | 南阿労働者問題 | 6月13日 | 日本艦隊歓迎 | 6月16日 | 佛国騒櫌後報 |
6月6日 | 米国政府の苦計 | 6月19日 | 露国議会解散後報 | 6月21日 | 北清事変賠償金免除の議 | 6月17日 | 平和会議と無政府党 |
6月7日 | 桑港事件会商 | 6月23日 | 日露交渉進捗 | 6月22日 | 米国新聞逆上 | 6月20日 | 佛国騒櫌益激甚 |
6月9日 | 米国新聞暴論 | 6月23日 | 阿片禁止令実施 | 6月22日 | 南阿労働問題 | 6月23日 | 佛国暴動猖獗 |
6月10日 | 日清漁業談判好望 | 6月28日 | 清国外交案件 | 6月25日 | 英佛西協商内容 | 6月24日 | 佛国騒櫌鎮圧策 |
6月12日 | 日本の三大協約 | 6月30日 | 米国宣教師の日本観 | 6月25日 | 佛国暴動の首魁 | ||
6月12日 | 米国人又狼藉 | 6月26日 | 佛国南部静穏 | ||||
6月13日 | 厄介な国 | 6月27日 | 暴動軍隊の処罰 | ||||
6月18日 | 日佛協約論評 | 6月28日 | 佛国暴動兵転営 | ||||
6月19日 | 佛国外務卿演説 | ||||||
6月25日 | 平和会議提案 | ||||||
6月29日 | 日本艦隊歓迎 |
6月1日
驕る者久しからず 長い間猛威を振るって来た労働組合も今や非常な悲運に陥ろうとしている様に見え、近々4万人弱もの失業者が出そうな様子である。
独逸外務次官演説冷評 独逸政府の当事者は独逸官民の意向があくまでも平和的である事を理解させようと希望している。しかし不幸にして独逸はこれまで次々と侵略主義の外交政策を演じた
清国阿片問題と波斯 清国がもし外国産阿片の輸入を禁止しないのであればペルシャの阿片を清国に供給する事を計画中である
驕る者久しからず 31日タイムス社発
ニューヨーク来電 サンフランシスコの新聞は、今回の暴行事件に対し何も掲載していないけれど、長い間猛威を振るって来た労働組合も今や非常な悲運に陥ろうとしている様に見え、近々4万人弱もの失業者が出そうな様子である。
独逸外務次官演説冷評 同上
伯林来電―独逸政府の当事者は現在独逸に滞在中である英国新聞記者に対して独逸官民の意向があくまでも平和的である事を理解させようと希望している。しかし不幸にして独逸はこれまで次々と侵略主義の外交政策を演じた事実がある事を奈何せん。
独逸外務次官の演説に対するノーウエ、ウレ・ミヤ紙の批評は面白く、独逸の海軍は沿岸貿易を保護する為であると外務次官は言うが、しかし独逸の海岸というのはわずか150マイルの砂浜に過ぎず、これを防護する為にどうして強大な海軍が必要であるのか。独逸にしてこの様な事を云うのであれば隣国の我が露国も又これに倣うのみである。
清国阿片問題と波斯 30日上海経由ロイター社発
アラハバッド来電―ペルシャ湾からの報道によれば、同地の商人等は清国に於ける印度阿片の輸入制限に関する交渉に対して多大の関心を払っている。ペルシャ人は清国がもし外国産阿片の輸入を禁止しないのであればペルシャの阿片を清国に供給する事を計画中である旨当地発行ノピオニーア新聞は報道した。
6月2日
埃及兵士行方不明 去る4月中旬、ドンゴラを出発した土人将校1名及び兵士25名が行方不明となっていたが、この将校の死体がこの程発見され
露西亜と独逸 露国は膠州湾、満州及びポーランドに関する問題解決並びに露国の軍艦製造を引き受けるとの独逸の申込について、独逸と協議中である旨欧州の諸新聞は報道
埃及兵士行方不明 31日上海経由ロイター社発
在カイロ本社通信員の報道によれば、去る4月中旬、ドンゴラを出発した土人将校1名及び兵士25名が行方不明となっていたが、この将校の死体がこの程発見され、又軍曹1名及び兵士3名が救助されたがその他は尚不明である。
露西亜と独逸 31日ベルリン特約通信社発
露国は膠州湾、満州及びポーランドに関する問題解決並びに露国の軍艦製造を引き受けるとの独逸の申込について、独逸と協議中である旨欧州の諸新聞は報道した。しかしこれらの報道は露国新聞によって全て否定された。
6月3日
日本人帰化問題 日本人の帰化權有無に就いて商務省に問い合わせたところ、同省帰化課長は日本人に帰化の権利は無いと回答した。
英国政論社会の意嚮 極東の平和と支那の発展を図る為には、日英露佛間の関係を米、独に及ぼさなければならない
南米に於ける日本人 日本人が南米で勢力を持つようになるならば、その結果は米国の支配権と衝突する事になるであろうと論じた。
日本人帰化問題 1日桑港特派員発
郡検事の意見により先頃ロスアンゼルスにおいて日本人に帰化を許した事は既に報道された通りであるが、同郡書記から日本人の帰化權有無に就いて商務省に問い合わせたところ、同省帰化課長は日本人に帰化の権利は無いと回答した。
解説:5月18日帰化權に就いて報道されている。
英国政論社会の意嚮 同上
極東における欧州諸国政策及び日米間紛争はロンドン政論社会の問題となっている。スセクテートル紙は、極東の平和と支那の発展を図る為には、諸強国が一致しなければ望み難い。日英露佛間の関係を米、独に及ぼさなければならないと論じた。
解説:当時の新聞には、独逸の危険性と日米衝突の記事が散見される。
南米に於ける日本人 同上
ロンドンのサタデー、イッシュー紙は、南米諸国が日本移民を歓迎する事は日本にとって喜ばしい事であるが、日本人が南米で勢力を持つようになるならば、その結果は米国の支配権と衝突する事になるであろうと論じた。
6月4日
米独通商協議 新米独通商協約の成立に関し、国務省は合衆国に利益のある条約を締結した旨を布告した。
アベコベに抗議 米国政府は、メキシコ及びカナダ国境を越え密かに入国する日本人が多いと日本に強硬な抗議を行うよう準備中である
米独通商協議 3日ロイター社発
ロンドン来電―新米独通商協約の成立に関し、国務省は合衆国に利益のある条約を締結した旨を布告した。しかしこの協約は佛国その他の諸国と関税問題に関する紛争を引き起こす恐れがあると非難される。何故かと云うと列国は独逸と同じ利益を得るために煩雑で過酷な関税組織を緩和する様に米国に強く要請するからである。
アベコベに抗議 3日桑港特派員発
米国政府は、メキシコ及びカナダ国境を越え密かに入国する日本人や、或いは相当古い旅行免状を使用し、サンフランシスコ、シャトルから入国する日本人が多いと日本に強硬な抗議を行うよう準備中であると言われているが、その様子は何か洋食店の暴行事件の抗議に対抗しようとしているように思える。
6月5日
桑港事件調査 検事総長マベリウ氏は、サンフランシスコに於いて排日暴動に関する証拠を収集中である。
印度教育会議 同地に潜伏中であった暴動扇動者アサネンと称する者が逮捕され追放された。
桑港事件調査 4日タイムス社発
ニューヨーク来電―検事総長マベリウ氏は、サンフランシスコに於いて排日暴動に関する証拠を収集中である。その結果は間もなくワシントンに報告されるであろう。
印度教育会議 4日上海経由ロイター社発
在印度ラホール本社通信員の報道によれば、同地に潜伏中であった暴動扇動者アサネンと称する者が逮捕され追放された。
英国政府では教育会議を招集する動議があり、植民大臣エルチン卿、印度事務大臣モーレー氏の名をもってこの事に関する通知を発する予定であり、現在その準備中である。
6月6日
日佛外交関係 日佛及び佛タイ両協約はアジア民族の侵略に対する印度支那防衛の保障であり
日本艦隊歓迎 両艦乗組員の多数は来週火曜日にオリンピヤの競馬を観覧する予定で、伊集院司令官その他主要な将校は英帝及び皇后両陛下に謁見を賜る事になっている。
桑港事件後報 日本国民はサンフランシスコ問題に対する現在の米国の態度に満足していないとの報道がワシントン政府を驚かせた。
米国政府の苦計 中央政府が殊更に日本移民の入国に関する調査を始めた事は、これによって洋食店問題に対抗する魂胆があると察せられる。
日佛外交関係 5日タイムス社発
パリー来電―前駐日公使アルマン氏は、極東に於ける佛国の地位は現在非常に安定していると明言し、日佛及び佛タイ両協約はアジア民族の侵略に対する印度支那防衛の保障であり、日本は他国の領土を侵略する意思を持っていないと確信する旨断言した。
日本艦隊歓迎 5日上海経由ロイター社発
日本艦隊の筑波及び千歳の両艦に乗組んでいる将校及び下士卒に対する数日に亙る歓迎計画は既に決定している。
両艦乗組員の多数は来週火曜日にオリンピヤの競馬を観覧する予定である。その際伊集院司令官その他主要な将校は英帝及び皇后両陛下に謁見を賜る事になっている。
桑港事件後報 4日桑港特派員発
日本国民はサンフランシスコ問題に対する現在の米国の態度に満足していないとの報道がワシントン政府を驚かせた。米国の官憲は、この件に関する公式文書が今だ日本で発表されていない為であり、発表されたならば米国に対する世論は一変するであろうと信じられている。
米国政府の苦計 同上
当地の移民官及び連邦検事は、日本人の密入国について調査を開始した。米国新聞は、日本人の入国方法は支那人よりも狡猾で陰険であると日本人に対する過激な評論を掲げ始めた。日本移民問題は到底避けて通れない問題である。この際中央政府が殊更に日本移民の入国に関する調査を始めた事は、これによって洋食店問題に対抗する魂胆があると察せられる。
6月7日
独逸宮廷の波瀾 宮廷に勢力を振るっているエンレンブル公を始め皇帝の侍従武官オ-ヘンロウ伯爵及びベルリン守備司令官モルトケ伯爵は辞職した。
桑港事件会商 宮本参事官は日本の利益を保護する米国政府の尽力に対しては満足している旨を明言した。
米国新聞暴論 5日のコール新聞は両国の紛争を除きたいと思うのであれば日本は移民を送らなければ良いと暴論を吐いた。
独逸宮廷の波瀾 6日上海経由ロイター社発
伯林来電―宮廷に勢力を振るっているエンレンブル公を始め皇帝の侍従武官オ-ヘンロウ伯爵及びベルリン守備司令官モルトケ伯爵は、新聞の為に、新聞の味方を要路に据えようとして不当な圧力を皇帝に加えた仲間である事を摘発され、辞職した。
桑港事件会商 5日華盛頓通信員発
宮本参事官は、本日5日国務卿ルウト氏を訪問し、サンフランシスコに於ける日本料理店の襲撃事件について商議した。同参事官は本件に関する領事館の報告は新聞に掲載されたものとは非常に異なると言明し、且つ熱心に日本の利益を保護する米国政府の尽力に対しては満足している旨を明言した。
米国新聞暴論 同上
5日のコール新聞は大隈伯爵等の対米意見を冷笑し、米国が必要としない日本移民を送っているが故に両国の間に紛争が絶えないのであり、両国の紛争を除きたいと思うのであれば日本は移民を送らなければ良いと暴論を吐いた。
6月8日
平和会議観測 各国の参列委員は軍備縮小よりもむしろ国際間の紛争を仲裁により収める方法を普及させる事を熱望しているのではないか
印度動乱眞相 印度に於ける民心の動乱は、明らかに教育がある中級社会の土人に限らず、酋長、地主、商人、イスラム教信者及び軍人等とは事実上無関係である。
平和会議観測(軍備縮小と国際仲裁条約) 7日タイムス社発
パリー来電―当地の外交及び軍人社会一般の予想によれば、軍備縮小問題はハーグの平和会議に於いてうやむやの間に消え去り、各国の参列委員は軍備縮小よりもむしろ国際間の紛争を仲裁により収める方法を普及させる事を熱望しているのではないかと言われている。
印度動乱眞相 同上
ロンドンタイムスのシムラ特派員の報道によれば、印度に於ける民心の動乱は、明らかに教育がある中級社会の土人に限らず、酋長、地主、商人、イスラム教信者及び軍人等とは事実上無関係である。暴徒の首謀者は軍隊及び農民の同情を得ようとして全力で尽力しているが、しかし英国政府の機敏な処置に驚いたこれらの首謀者は今後数カ月間、秘密の運動をするであろう。
6月9日
印度問題討議 政府は印度参議院の中に1名若しくは2名の印度人を加える意思がある旨を明言した
米国新聞暴論 何よりの良策は日本人をここから立ち去らせる事である。そうすれば紛争は起こらないであろうし、日本人がここに居る間、紛争は絶えないであろうと暴論し
印度問題討議 7日上海経由ロイター社発
英国下院に於いて、印度予算討議の際、印度事務大臣モーレー氏は印度に於ける動乱を鎮圧する為政府の処置、中でも首謀者を追放した政府の行動を弁明し、且つ政府は印度参議院の中に1名若しくは2名の印度人を加える意思がある旨を明言した。そして動乱の原因を調査する為に委員を任命するとの動議は問題とならなかった。
米国新聞暴論 7日桑港特派員発
本日のコール新聞は、その社説で日本人はやじ馬が多く、軽率であり、事件が起きるのを好み、陰険で狡猾な国民であると評した。大隈伯は、問題は米国人にあると言われたそうであるが、何よりの良策は日本人をここから立ち去らせる事である。そうすれば紛争は起こらないであろうし、日本人がここに居る間、紛争は絶えないであろうと暴論し、クロニクル紙も当地は日本人の居留を好まず、彼等日本人は不平を並べつつ何故立ち去らないか理解に苦しむと悪口の限りを並べた。
6月10日
同上打消し 佛国が日米の関係について尽力する事を米国に申し込んだとの風説は誤報である。
日清漁業談判好望 蓋平問題と漁業団保護問題とを完全に分けて商議したいという我が要求を趙将軍が受け入れたので、蓋平問題は将軍の去るまでに解決されると思われる。
同上打消し 8日上海経由ロイター社発
パリー来電―当地で半官的に報道される所によれば、佛国が日米の関係について尽力する事を米国に申し込んだとの風説は誤報である。現在日米両国の関係について佛国の尽力を必要とする様な事項は無い。しかし日佛協約に関して、従来米仏両国政府の間に極めて親密な打合せがあったのは事実である。
日清漁業談判好望 8日奉天特派員発
日清両国当事者は、一時中断していた蓋平問題を成るべく速やかに解決したいとの希望を以て、昨日7日再び会議を開いたが、尚両者の意見は一致しない所があり、解決を見るに至らなかった。しかし蓋平問題と漁業団保護問題とを完全に分けて商議したいという我が要求を趙将軍が受け入れたので、蓋平問題は将軍の去るまでに解決されると思われる。
解説:蓋平事件とは明治40年4月7日、奉天省蓋平の清国漁業公司に於いて、関東州水産組合の清国人高景賢が殺害された事件である。高が日本の租借地内の住民であった為に日本が抗議し、最終的に黄総辦の免職と賠償金2千円の支払いで解決した。関連記事が5月16日、24日にある。
6月11日
青木大使視察 青木大使は近々出発し、シアトル、サンフランシスコ及びロスアンゼルス等太平洋西海岸地方を視察する予定であり
佛国政府多事 ブドウ耕作地の情勢が益々悪くなる様で、その結果商業の不景気を醸し、各地の市長、市職員等が続々と辞職し
平和会議新問題 佛国は、国際紛争を解決する為、万国平和裁判所の創設を平和会議に提唱する予定であり
青木大使視察 10日タイムス社発
ワシントン来電―青木大使は近々出発し、シアトル、サンフランシスコ及びロスアンゼルス等太平洋西海岸地方を視察する予定であり、大使の旅行はカルフォルニア州事件の結果が出る以前から決定していたとの事である。
佛国政府多事 同上
パリー来電―ブドウ耕作地の情勢が益々悪くなる様で、その結果商業の不景気を醸し、各地の市長、市職員等が続々と辞職し、市民は政府に対して、強引に耕作地の状態を改良させようとして納税を拒否するようになった。
平和会議新問題 9日ベルリン特約通信社発
佛国外務卿ビシオン氏は次の様に明言した。
佛国は、国際紛争を解決する為、万国平和裁判所の創設を平和会議に提唱する予定であり、軍備縮小問題は、列国陸軍の定員を決める事が出来なければこれを討議しても意味が無いであろう。
6月12日
日本の三大協約 日米両国の紛争を遺憾として、早く両国の間で協約を締結し、極東の平和を図らなければならないと主張した。
南部佛国騒櫌 佛国におけるブドウ栽培者の運動が益々激しくなり、当日南部フランスの各地からこの運動に参加する為、同地に入り込んだ者は50万人を数え
米国人又狼藉 サンフランシスコ対岸のバークレー市に居る日本人鍋田某が経営する園芸畑が米国の暴漢30名程に襲われ、植物、温室、その他がことごとく破壊されてしまった。
日本の三大協約 11日タイムス社発
ロンドンタイムスは、日本が最近外国と締結した三大協約の無限の利益とその重要な所以とを指摘し、これらの協約は、近い過去に於いて危難の地位に陥るのを回避し、又将来に於いては世界政策の中心であるべき広大無辺な地域にモンロー主義の形態を据えるものであると評論した。更に進んで深く日米両国の紛争を遺憾として、太平洋の東西で最も進歩している国民の間でこの様な紛争が起こるであろう事は到底我々には想像する事ができない所であり、早く両国の間で協約を締結し、極東の平和を図らなければならないと主張した。
解説:三大協約戸は、日英同盟、日露講和条約、日佛協約と思われる。モンロー主義とは、1823年アメリカ大統領モンローが教書で発表したアメリカ外交の基本方針である。即ちアメリカはヨーロッパの戦争に対し中立を守るが南北アメリカは主権国家としてヨーロッパの干渉を受けるべきでない。しかしこの孤立主義は、海軍力の整備とともにハワイ併合、フリピンの植民地化で捨て去られた。
南部佛国騒櫌 10日上海経由ロイター社発
佛国におけるブドウ栽培者の運動が益々激しくなり、昨日は遂にモンペリエに於いて未曾有な激しい示威運動を見るに至った。当日南部フランスの各地からこの運動に参加する為、同地に入り込んだ者は50万人を数え、会堂その他公共の建物は皆その宿泊に充てられたが、しかし尚数1千人は入る事が出来なくて、夜間、止むなく大道に眠ったほどであった。
政府が若し来る10日までに要求を容れない時には、南部諸州は納税を拒否するであろうとは相当前からの噂であったが、今や全ての地方官は辞職し、ブドウ栽培者は納税拒否を実行するべき旨の申し合わせを行った。
各地の市職員1200名も今夜から執務をしない事になっている。
米国人又狼藉 10日桑港特派員発
サンフランシスコ対岸のバークレー市に居る日本人鍋田某が経営する園芸畑が米国の暴漢30名程に襲われ、植物、温室、その他がことごとく破壊されてしまった。この地方の於ける日本人の園芸畑は非常に繁栄している為に、以前から白人の同業者から妬みを受ける事があり、今回もその為である。犯人は逮捕されず日本人の激昂と中央政府の鎮撫は同地方に少しの影響も与えていない。
6月13日
日本艦隊歓迎 筑波、千歳両艦の乗組み将校及び下士卒は、昨日ロンドン市長の午餐の饗応を受け、夜は海軍大臣の晩餐会に招待された。
タフト氏渡来説 米国陸軍卿タフト氏は、近々フィリピン群島を視察する予定で、日本訪問もその旅程表に含まれている
亜細亜人排斥法案 アジア人のナタル移住を禁止し、尚現在契約中の者は1908年12月31日を契約終了をもって本国に送還する
日本艦隊歓迎 12日タイムス社発
筑波、千歳両艦の乗組み将校及び下士卒は、昨日ロンドン市長の午餐の饗応を受け、夜は海軍大臣の晩餐会に招待された。
昨日一行は、オリンピアの競馬を見物したが、競馬場では英国皇帝、皇后及びデンマーク皇帝等の真向かいの桟敷に請じられ、多数の観覧者が被れるばかりの喝采で歓迎の意を表した。
タフト氏渡来説 11日上海経由ロイター社発
米国陸軍卿タフト氏は、近々フィリピン群島を視察する予定で、日本訪問もその旅程表に含まれているとの事であるとスタンダード新聞のニューヨーク通信員が報道した。そしてこの報道は世間の非常な注目を集めている。
亜細亜人排斥法案 同上
ピーチルマソツツブルグ来電―労働派の議員ハツガー氏は、アジア人のナタル移住を禁止し、尚現在契約中の者は1908年12月31日を契約終了をもって本国に送還する事を規定する法案を植民地議会に提出する予定である。
解説:アメリカの太平洋岸では清国人が入国禁止となっているが、同様に南アフリカの植民地で働く清国人の鉱山労働者を排斥する運動である。
厄介な国 12日桑港特派員発
一昨日10日夜、市内に於いて日本人が暴徒の為に危害を加えられたが、巡査は被害者が日本人であるのを見て、そのまま姿を隠した。この様な有様であるので米国政府及びカルフォルニア州知事の保障があるけれども我が同胞の生命財産は当地警察の保護の下に安全が保障されない。
6月14日
青木大使巡会延期 神経過敏に陥っている米国新聞が大使の旅行は、実際には現存しない外交上の紛争を解決する為であると解説するのではないかと気遣った結果
佛国南部佛国騒櫌後報 ブドウ栽培地の騒動が益々激しくなり、多数の地方官は、暴動主謀者の指揮を受けて続々と離職中である。
青木大使巡会延期 13日タイムス社発
ワシントン来電―青木大使は太平洋沿岸の巡回視察を延期した。これは神経過敏に陥っている米国新聞が大使の旅行は、実際には現存しない外交上の紛争を解決する為であると解説するのではないかと気遣った結果であり、大使はもう少し日を経て巡回する予定である。
佛国南部騒櫌後報 同上
パリー来電―ブドウ栽培地の騒動が益々激しくなり、多数の地方官は、暴動主謀者の指揮を受けて続々と離職中である。しかし政府はこれら地方官の離職が行政機関の機能を停止するものと認めこれを認可していない。
6月15日
南阿労働者問題 トランスワール植民地首相ボタ氏は、労働条例を改正せず支那人は契約期限の終了を以て、直ちに本国に送還する旨を明日あたり発表する予定である。
日露平和関係堅実 日露両国の平和関係は堅実なものであると確信される
日佛協約と露国 日佛協約は、日本が侵略主義の政策を強行せず、極東における現状維持を保障する証拠である
南阿労働者問題 12日上海経由ロイター社発
トランスワール植民地首相ボタ氏は、労働条例を改正せず支那人は契約期限の終了を以て、直ちに本国に送還する旨を明日あたり発表する予定である。同首相は労働者としての土人の技能及びその数についても頗る楽観的な意見を抱いている。
解説:南アの鉱山には、非常に多くの清国人が働いており、カルフォルニア州の移民禁止と同じ様に植民地の労働者を圧迫しているとして出国を求められている。
日露平和関係堅実 14日上海経由ロイター社発
露都来電―外相イズウオルスキー氏は国民議会の予算委員会に於いて、ポーツマス条約は元来一時の試験であると思考されていたが今やこの見解は一変し、日露両国の平和関係は堅実なものであると確信されると演説した。
日佛協約と露国 13日ベルリン特約通信社発
日佛協約は、日本が侵略主義の政策を強行せず、極東における現状維持を保障する証拠であるとして、露国は日佛協約を歓迎する旨ペテルスブルグから半官的に報道された。
6月16日
佛国騒櫌後報 佛国首相兼内相クレマンソウ氏は、南部騒櫌地に文書を送付し、市長やその他の辞任を却下した。彼等は大抵首相の文書を開封せず、そのまま突き返した。
漁区競売終了 漁区の競売入札は本日15日午後2時に全て終了した。日本人の落札は約百カ所であり、露人は僅かに4カ所のみであった。落札額は最高五千円でこれはカムチャッカのオロスキー地方である。
佛国騒櫌後報 14日上海経由ロイター社発
佛国首相兼内相クレマンソウ氏は、南部騒櫌地に文書を送付し、市長やその他の辞任を却下した。首相はこの文書の中で、今回の様な状態の下で市長等がその職を辞する事は、即ち議員政治及び共和政体に対する反抗に外ならないと論断し、この為に損害を受けるものは地方自治体であると警告し、最後に彼等の愛国心に訴えて、辞表の撤回を求めたが、彼等は大抵首相の文書を開封もせず、そのまま突き返した。
漁区競売終了(日本人落札者百カ所) 15日ウラジオ特派員発
漁区の競売入札は本日15日午後2時に全て終了した。日本人の落札は約百カ所であり、露人は僅かに4カ所のみであった。落札額は最高五千円でこれはカムチャッカのオロスキー地方である。
5月17日
南阿労働者問題 ボタ首相の演説は、本年末までに1億6千人の支那人を送還し、1907年末までには、支那人の労働者を一人残らずトランスバールから駆逐する事を暗示する
桑港市長の獄内執務 重罪公判に付せられたサンフランシスコ市長は特別獄者に入れられ、市の事務を取っている。
平和会議と無政府党 第二回平和会議は、昨15日ハーグに於いて正式に開会した。
南阿労働者問題 16日上海経由ロイター社発
トランスバール植民地首相ボタ氏は議会開会の当日、政府は支那人の在住がトランスバールの利益に反するものとして、且つ土人の労働者は需要を上回っている旨を明言した。ボタ首相の演説は、本年末までに1万6千人の支那人を送還し、1907年末までには、支那人の労働者を一人残らずトランスバールから駆逐する事を暗示するものであり、鉱業家社会はこの為に大騒動となり、支那人の代わりに使用すべき労働者はカフィール土人で十分に供給する事が出来るであろうとの首相の意見に反対し始めている。そして政府党の英国諸新聞はボタ首相の演説を称賛し、統一派の新聞はボタ首相の方針は公債を保障する為の一手段過ぎないと論断した。
解説:カフィール土人とは、英国統治下で南アフリカの先住民を指す蔑称であり、その種族がいた訳ではない。
桑港市長の獄内執務 15日桑港特派員発
重罪公判に付せられたサンフランシスコ市長は、上告すればその決定まで市長の職務を取る事ができなくなる為に保釈を求めて、昨15日裁判所に哀願したけれども却下され、特別獄者に入れられた。市の事務を取っている。
解説:贈賄疑惑で逮捕されている。
平和会議と無政府党 同上
第二回平和会議は、昨15日ハーグに於いて正式に開会した。参加国は47カ国、委員は225名であり、オランダ外相ゴドリアン氏が開会の挨拶を述べた。無政府党員の中に会場を爆破する陰謀があるとの噂が伝わり、一時やや混雑した。
解説:韓皇高宗は、1905年に締結された第二次日韓協約により奪われた外交権を取り戻す為に、この会議に密使を送った。しかし議長国ロシアを始め、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オランダの代表等に何れも面会を拒否された。伊藤統監は高宗に対しこの事件を厳しく追及し、高宗は純宗に譲位した。又その後統監の権限を強化した第三次日韓協約により内政權も日本に接収される事になった。
6月18日
解散前の露国議会 社会党の代議士の中には露帝に対して容易ならぬ陰謀を企てた者がいるとの事である。
日佛協約論評 天津新報は清国の主権を害し、南清に災いをもたらすものと認めている。
解散前の露国議会 16日ベルリン特約通信社発
社会党代議士の処分に関する露国首相ストリピン伯爵の動議は特別委員に付託された。首相の説明によれば、社会党の代議士の中には露帝に対して容易ならぬ陰謀を企てた者がいるとの事である。この動議を提出した当日、政府はコダック兵で国民議会の周囲を取り囲んだ。
日佛協約論評 17日北京特派員発
清国政府は未だ日佛協約の内容を知らないが、支那の主権を害するものと考えて憂慮している。
北京の新聞はこれに対する論評を開始していないが、天津新報は清国の主権を害し、南清に災いをもたらすものと認めている。
6月19日
佛国外務卿演説 日本は往年の北清事変の際に、卓越した功績を示した。当時もし日本が北京の列国公使館に救援を送らなかったならば、私も本日まで生存する事は出来なかった
露国議会解散後報 露帝は議会解散と新選挙法の発布の理由を説明し、露国の人民はその性質が未だ議員政治に適していない所があると断言した。
佛国外務卿演説 18日タイムス社発
パリー来電ー外務卿ロシヨン氏は代議院に於いて日佛協約を発表し、次の様な演説を行った。日本はこの様にして侵略的な野心を持っていない事を証明した。日本が欧州諸国と肩を並べたのは既にずいぶん前の事である。日本は往年の北清事変の際に、卓越した功績を示した。当時もし日本が北京の列国公使館に救援を送らなかったならば、私も本日まで生存する事は出来なかった等
代議員に於ける外務卿のこの演説は反対党の異論を沈黙させた。
露国議会解散後報 17日ベルリン特約通信社発
国民議会の解散と同時に発表された詔勅に於いて、露帝は議会解散と新選挙法の発布の理由を説明し、露国の人民はその性質が未だ議員政治に適していない所があると断言した。
新選挙法の規定によれば選挙人の年齢、資格を高め、ポーランド、コーカサス地方の選出議員を減少させ、アジア国境方面は全ての選挙権をはく奪された。
ペテルスブルグに於いて今までに逮捕された者は七百名、この中には前代議士も9名居る。その他に政府が以前から監視していた7名の代議士はどこかへ姿を隠した。しかし民心は一般的に静穏である。
解説:ロシア革命まで約10年
明治40年6月20日
佛国内政危機 佛国南部の各地は、殆ど反乱に類似した状態を呈し、
佛国騒櫌益激甚 佛国首相クレマンソウ氏は代議院に於いて、南部騒動地に対し国法を励行する時期となったと公言した。
新団獄協約と独逸 地中海及び大西洋の現状維持に関し、今回新たに英、仏、スペイン三国の間に締結された
佛国内政危機 19日上海経由ロイター社発
佛国南部の各地は、殆ど反乱に類似した状態を呈し、政府は東部及び北部から呼び寄せた軍隊を以て不平満々たる同地方の軍隊と交代させ、且つ辞表を提出した各市長を告発する事に決定した。
佛国騒櫌益激甚 同上
佛国首相クレマンソウ氏は代議院に於いて、南部騒動地に対し国法を励行する時期となったと公言した。そして叛徒の主要人物に対して令状を発した。
軍隊を満載した列車が昼夜の区別なく南部の騒動地に向け、ツールウス市を通過中である。
新団獄協約と独逸 18日ベルリン特約通信社発
地中海及び大西洋の現状維持に関し、今回新たに英、仏、スペイン三国の間に締結された同盟協約は、前記三国の駐独大使から内密に独逸政府に通告された。
独逸諸新聞は外国新聞の静穏な論評に対し、未だ何事も言わず唯詳細な事情の判明する事を待っている。
英、仏、スペイン三国の間に交換された文書によれば、新協約には別に付属の軍事協約若しくは秘密取締まり等は無い様である。そして独逸政府は新協約が平和的性質のものであると信用せざるを得ない状況である。
6月21日
北清事変賠償金免除の議 米国大統領ルーズベルト氏は北清事変の際米国が実際に要した1100万ドルだけを受け取り、その残余の支払い義務を免除する事を国会に勧告した。
佛国内閣の地位 南部佛国の暴動によって、クレマンソウ氏の内閣はこの為に危険な地位に陥ったと思われる。
北清事変賠償金免除の議 20日上海経由ロイター社発
米国大統領ルーズベルト氏は北清事変の際米国が実際に要した1100万ドルだけを受け取り、清国に対してその残余の支払い義務を免除する事を国会に勧告した。そして米国は前記金額の内既に600万ドルを受け取っている。
解説:北清事変は、義和団による叛乱であったが西太后がこれを支持し、欧米列強に対して宣戦布告をしたため、敗戦後清朝は莫大な賠償金を支払う事になった。歳入8800万両でありながら賠償金の総額4億5000万両であり、あまりにも多い賠償金に対して国際的な批判と反省が起こった。この記事はその一つの例である。なおアメリカは賠償金によって北京に精華大学を建設している。
佛国内閣の地位 同上
南部佛国の暴動は遂に軍隊の派遣を必要とする事になった。クレマンソウ氏の内閣はこの為に危険な地位に陥ったと思われる。
6月22日
米国新聞逆上 ヘラルド紙は、日米の海戦が近いと呼応し、日本の海軍力に凌駕する為更に多くの軍艦を太平洋に派遣する事を当局に勧告した。
南阿労働問題 英国植民次官チャーチル氏は、南阿に於ける支那人の送還は、ボタ首相が収賄を受けた結果であると言われる事は実に驚くべき誤解
佛国騒櫌後報 ヤールボンの暴徒は、昨日拳銃を使用し派出所を襲撃したが、歩兵によって撃退され、死者4名、負傷者11名を出した。
米国新聞逆上 21日タイムス社発
ニューヨーク来電―ニューヨークのヘラルド紙は、排日運動の首謀者に加担して日米の海戦が近いと呼応し、日本の海軍力に凌駕する為更に多くの軍艦を太平洋に派遣する事を当局に勧告した。
南阿労働問題 21日上海経由ロイター社発
英国植民次官チャーチル氏は下院に於いて次の様な演説を行った。
南阿に於ける支那人の送還は、ボタ首相が収賄を受けた結果であると言われる事は実に驚くべき誤解である。ボア人が支那人労働者に反対するのは今日に始まった事ではない。英国政府の保証によりトランスバールの内閣は、鉱業家の運動に掣肘されることが無いと承知されるよう希望する。
解説:6月15日、6月17日に関連記事があるが、首相は現地のボーア人労働者の要求により、清国人労働者1万6千人を清国に送還しようとしている。
佛国騒櫌後報 同上
ヤールボンの暴徒は、昨日拳銃を使用し派出所を襲撃したが、歩兵によって撃退され、死者4名、負傷者11名を出した。又モンペリエに於いても昨夕、暴徒と軍隊が衝突し多数の負傷者が発生し、更にペルピナンの暴徒も県庁に火を放ったが漸く消し止めた。同地の暴徒は市役所の屋上に赤旗を掲げた由
6月23日
日露交渉進捗 通商及び満州鉄道に関する特別協約の外に一般政策に関する日露条約も間もなく協定を終わり、近々調印されるであろうと言われている。又漁期を逃さない為に漁業条約議定書は既に調印を終わった。
佛国暴動猖獗 6百名の兵士は将校の説得も聞かず、去る20日兵器、弾薬を携行したまま脱走して、ベエジールの暴徒に加勢した。
阿片禁止令実施 上海市内の各煙館は平穏の間に本日皆閉鎖した。なお当地支那市街の南西区で84軒、同北東区で64軒の阿片売店は昨日限りで廃業した。
日露交渉進捗 22日タイムス社発
露都来電―通商及び満州鉄道に関する特別協約の外に一般政策に関する日露条約も間もなく協定を終わり、近々調印されるであろうと言われている。又漁期を逃さない為に漁業条約議定書は既に調印を終わった。
ノオウーエウレミヤ紙はこの問題に関して次の様に述べている。
露国はラッコを除いてオホーツク、ベーリング海峡、その他全ての河川(34か所の入江は除く)に於いて魚類の捕獲及び養殖の権利を日本人に許可した。漁区は入札により取得させ事になり、露国はこれら露国で漁獲された魚類を日本に輸出する場合に輸出税を賦課しない事を承諾した。
露国の河川はこれより日本の平和的侵略を受ける恐れがある。
佛国暴動猖獗 22日上海経由ロイター社発
6百名の兵士は将校の説得も聞かず、去る20日兵器、弾薬を携行したまま脱走して、ベエジールの暴徒に加勢した。司令官は彼らが暴徒に加勢する事を防ぐ為、歩兵第81連隊を派遣した。この部隊は空に向かって発砲した後引き揚げた。そして司令官ペロン大将は遂に暴発した兵士を説得して兵営に帰らせた。
暴徒はベジールに向け増派された軍隊を途中で食い止める為にブールハンに於いて鉄道線路を切断した。
各地の電信、電話は皆切断された。
阿片禁止令実施 22日上海特派員発
上海市内の各煙館は平穏の間に本日皆閉鎖した。なお当地支那市街の南西区で84軒、同北東区で64軒の阿片売店は昨日限りで廃業した。そしてこれらの商人に関しては速やかに布告を遵守したにより、それぞれに賞牌を授与された。この件について清国官民は、本日午後張園に於いて紀念祝賀会を開いた。
解説:煙館とは阿片を吸引する所
6月24日
日本練習艦隊消息 日本艦隊筑波及び千歳の2艦はキールに到着した。独逸皇帝は御召快遊艇ホーヘンツオレン号に於いて、伊集院司令官を始め両艦乗組みの将校に謁見を賜った。
佛国騒櫌鎮圧策 同上
政府はこの際猶予なく即時施行する為に、本日代議院はこれまでに通過した法案を一括して、完全な葡萄酒法案を取り急ぎ可決した。
日本練習艦隊消息 23日上海経由ロイター社発
日本艦隊筑波及び千歳の2艦はキールに到着した。独逸皇帝は御召快遊艇ホーヘンツオレン号に於いて、伊集院司令官を始め両艦乗組みの将校に謁見を賜った。その際伊集院司令官は日本名工の作成した青銅作りの大鷲を皇帝に献上した。
佛国騒櫌鎮圧策 同上
モンペリエ地方の暴動に関し、昨日発表された公報ニヨレバ、ナアルボンに於ける死者7名、負傷者は兵士62名、市民21名であり、佛国政府は更に歩兵15個連隊及び騎兵7個連隊を南部地方に増派した。
昨夜も数件の暴行があった。
政府はこの際猶予なく即時施行する為に、本日代議院はこれまでに通過した法案を一括して、完全な葡萄酒法案を取り急ぎ可決した。
6月25日
平和会議提案 独逸委員は去土曜日に、国際紛争を平和的に解決する為の協約に対し、2,3の修正動議を提出した。
佛国暴動の首魁 佛国暴動の首魁であるアルベルは、昨朝突然内務省に出頭した。
英佛西協商内容 若し将来領土の現状に変更を来す様な諸事情が発生する場合には、英、佛、西三国は連合して協同の手段を採るであろう。
平和会議提案 24日タイムス社発
ヘーグ来電―独逸委員は去土曜日に、国際紛争を平和的に解決する為の協約に対し、2,3の修正動議を提出した。
又各委員は高等捕獲審判所に関する案を提出した。
解説:韓皇高宗が送った密使がこの日オランダのハーグに到着している。28日、日本を除く各委員に対し韓国の外交権を取り戻す事を主張した文書を送る。29日から各国代表を訪問するが面会を拒絶され、7月1日、通報により日本が知る事になる。
佛国暴動の首魁 24日上海経由ロイター社発
先頃逮捕を免れた佛国暴動の首魁であるアルベルは、昨朝突然内務省に出頭した。内相クレマンソウ氏は、今回の騒乱に対する責任の重大である事を指摘して、厳しく詰問したところ同人は涙を流しながらどの様にすれば罪を償う事が出来るかについて内相の指図を求めた。その為内相は、唯一の方法は、ただ官憲に降伏する事があるのみと勧告した。
同上後報 アルベルは今回の騒動が政治的動機に駈られたものでないと極力弁解し、寛大な処置により関係者を赦免する事で事態を静謐に回復する様内相に願った様であるが、クレマンソウ氏は断固としてこれを拒絶した。その為アルベルは遂に騒乱地に帰って、国法を順守する様市民を説得する事を約束した。
英佛西協商内容 23日ベルリン特約通信社発
英、佛、西(スペイン)三国の間で今回調印された外交文書は、月曜日(6月24日)に発表されると思われる。その外交文書は、地中海西部、大西洋東部に於ける前記三国の共通政策並びに領域の現状維持を規定して、三国の領有に属する諸島及び海軍用地の権利侵害を許さない決心を示している。若し将来領土の現状に変更を来す様な諸事情が発生する場合には、英、佛、西三国は連合して協同の手段を採るであろう。
解説:独逸は海軍勢力を拡大しており、これに対する対抗策である。独逸の振る舞いは、現在の中国に良く似ている。
6月26日
平和会議提案 平和会議は港湾、都市及び村落に対する艦隊の砲撃並びに中立国の港湾における交戦国軍艦の諸問題を審査する為2種類の副委員を指定した。
佛国南部静穏 佛国南部の紛争地域に於いて6月23日の日曜日は静穏に経過した。
平和会議提案 25日タイムス社発
ハーグ来電―平和会議は港湾、都市及び村落に対する艦隊の砲撃並びに中立国の港湾における交戦国軍艦の諸問題を審査する為2種類の副委員を指定した。
英国委員サー、アーネスト、サトウは敷設機雷及び浮遊機雷の使用について提案した。その目的は日露戦争中及び戦後、黄海に於いてしばしば発生した危険な状態を除去する事にある。
同英国委員リュー卿は戦時禁制品に対する英国の意見を提出した。
佛国南部静穏 25日ベルリン特約通信社発
佛国南部の紛争地域に於いて6月23日の日曜日は静穏に経過した。暴徒の抵抗は漸く衰えた。政府は暴動を起こした兵士に対しその要求を容れる寛大な取扱をする用意がある。
解説:6月11日以降この記事が報道されていたが約半月で収束に向かっている。葡萄の不作でなぜこれほどまでの暴動になったのか理解に苦しむ。
6月27日
独帝の日本艦隊歓迎 筑波、千歳両艦の将校は獨帝の遊船ホーヘンツオレン号の甲板に於いて、午餐の饗応を受けた。
佛国騒乱の継続 佛国暴動の委員等はクレマンソウ氏の提案が不十分であるとし、暴動を継続する事に決定した。
暴動軍隊の処罰 騒動に加わった佛国歩兵第70連隊はアルゼリー又はコルシカへ送られる事になるであろう。
独帝の日本艦隊歓迎 25日上海経由ロイター社発
筑波、千歳両艦の将校は獨帝の遊船ホーヘンツオレン号の甲板に於いて、午餐の饗応を受けた。食後独逸皇帝は、伊集院中将に自筆署名の写真を与え、将校一同に勲章を賜り、英語で日本皇帝陛下がこの艦隊をキールに派遣された事を感謝し、日独両国の艦隊が常に世界の秩序と平和を擁護する為に協力する事を希望する旨述べられた。
佛国騒乱の継続 同上
佛国暴動の扇動者アルペルは、アルゼリーのナルボンに赴き、同地から暴徒の中の委員に向かって、彼らが国法を順守し、平正な手段を採る事に復帰するならば、政府は逮捕者を釈放し、軍隊を引揚、ブドウ栽培を援助すると述べたクレマンソウ氏の提案を通告した。しかし委員等はクレマンソウ氏の提案が不十分であるとし、暴動を継続する事に決定した。
暴動軍隊の処罰 25日ベルリン特約通信社発
騒動に加わった佛国歩兵第70連隊は、マルセイユまで護送され、主従の発射機を取り外されたが多分一兵一卒について処罰する事が出来ないので、連帯を挙げてアルゼリー又はコルシカへ送られる事になるであろう。
6月28日
平和会議提案 英国は水雷使用制限説を平和会議に提案するであろうと思われる理由がある。これは
佛国暴動兵転営 南部佛国の暴動に加担した歩兵17連隊はチェニスに転営を命じられた。
清国外交案件 現在清国と列国との未決外交案件は北満税関問題、阿片問題、鴨緑江森林問題及び電信問題である。
平和会議提案(水雷と戦時禁制品) 27日タイムス社発
ハーグ来電―英国は水雷使用制限説を平和会議に提案するであろうと思われる理由がある。これは陸上の戦闘に於いて軍服を着用しない文官が戦闘に参加する事を禁止すると同じ理論に基づくものと認められる。
英国は戦時禁制品を廃止する案を提出した。
解説:この日、韓皇高宗が派遣した密使が日本に奪われた外交権取り戻す為の文書を日本を除く各国委員に送っている。
佛国暴動兵転営 26日ベルリン特約通信社発
南部佛国の暴動に加担した歩兵17連隊はチェニスに転営を命じられた。
解説:6月11日以降報道されている佛国南部の暴動に加わった第17連隊は現地出身の兵であった。
彼らをフランスの保護国であったチェニジアのチェニスに移動させた。
清国外交案件 27日北京特派員発
現在清国と列国との未決外交案件は北満税関問題、阿片問題、鴨緑江森林問題及び電信問題である。
阿片問題は是非とも早く解決したいと天津、上海等外人の目に触れ易い煙館は既に全部閉鎖し、租界内の禁煙励行を各国領事に促し、又阿片の内地栽培を制限し、輸入禁止を英国に迫ろうとし、現在頻りに奔走している。英国側では、内地栽培を禁止しない以上印度からの輸入を禁止する事は理屈に合わないと論じている。(阿片問題以外は略)
解説:阿片禁止問題について、5月7日、17日、22日、29日、31日に報道されており、6月23日には清国が阿片禁止令を出している。
6月29日
平和会議消息 英国の捕獲審判所設置に対する独逸の提案は、世界の海軍国の間で異論紛々のあり様である。独逸の提案に依れば仲裁裁判所の判事は、事実上全て交戦国若しくは交戦国の友邦
日本艦隊歓迎 筑波及び千歳のキール訪問に対し独逸皇帝陛下は、日本皇帝陛下に御親電を発して、両艦が見事である事を称賛し
平和会議消息(日獨両国の提案) 28日タイムス社発
ハーグ来電―英国の捕獲審判所設置に対する独逸の提案は、世界の海軍国の間で異論紛々のあり様である。独逸の提案に依れば仲裁裁判所の判事は、事実上全て交戦国若しくは交戦国の友邦で、そうでなければ交戦国の友邦の友邦から選任されことになる。そして英国は、交戦国に直接若しくは間接的に関係がある代表者を排除する事に依り、裁判の公正を保障するよう主張した。
日本の提案は、一定の期間で自然に爆発力を失う浮遊機雷を、一定の区域に設置する事を容認するものと思われる。
解説:この日、韓皇高宗が派遣した密使は、前日に引き続き日本に奪われた外交権取り戻す為に、議長国であるロシア代表に面会を求め、拒否されている。
日本艦隊歓迎 27日ベルリン特約通信社発
筑波及び千歳のキール訪問に対し独逸皇帝陛下は、日本皇帝陛下に御親電を発して、両艦が見事である事を称賛し、伊集院中将と会見した事を喜び、且つ日本海軍将校及び下士官兵の敏捷な言動に深く感動した旨を述べられた。
伊集院中将は筑波の艦上に饗宴を催し、皇弟ヘンリー親王殿下と同妃殿下も出席された。
キール鎮守府司令官は日本艦隊乗組の将校及び下士官兵の為に歓迎会を開いた。
6月30日
平和会議(日米両国の提案) 米国委員チョウター氏は、戦時禁制品及び封鎖された港湾に侵入しようとする船舶の外、全ての私有財産は海上に於いて捕獲されてはならないと述べ
米国宣教師の日本観 サンフランシスコの市民は日本の実力を誤解しており、日本は、必要な場合には列国の前に名誉を守る準備がある
平和会議(日米両国の提案) 29日タイムス社発
ハーグ来電―米国委員チョウター氏は、戦時禁制品及び封鎖された港湾に侵入しようとする船舶の外、全ての私有財産は海上に於いて捕獲されてはならないとの米国の提案を熱心に述べ、且つ海軍の戦闘行為及び捕獲權に適切な制限を加える事は、中立国の利害に非常に関係があると断言し、なお米国大統領は米国の提案が今回の平和会議に於いて採決される事を希望している旨付言した。
都筑日本委員は商船を軍艦に改装する事に関する案を提出し、各特別委員は、階層の権利については異議を挟む余地が無いと言う事に意見が一致した。
解説:韓皇高宗の派遣した密使はこの日、英、米、独、仏の列強の派遣した委員を訪問するが、何れの国にも拒否される。この時点で密使の存在は日本側に通報されたと思われる。
米国宣教師の日本観 同上
東洋を漫遊して米国に帰着した有名な一宣教師は、サンフランシスコの市民は日本の実力を誤解しており、日本は、必要な場合には列国の前に名誉を守る準備があると述べた。