期日 | 日本関係 | 期日 | 露清関係 | 期日 | 英米関連 | 期日 | 独仏その他関連 |
12月2日 | 日本移民抑留される | 12月3日 | 人頭税不納事件 | 12月1日 | ナイチンゲール叙勲 | 11月1日 | 摩洛哥に於ける佛国の活動 |
12月5日 | 加奈陀と日本 | 12月17日 | 露国反逆罪人の処罰 | 12月3日 | 米国財界恢復 | 11月4日 | 佛獨論争 |
12月6日 | 日英同盟の実 | 12月19日 | 旅順降将審問 | 12月3日 | 英国政府忍辱 | 11月4日 | 土耳古内政紊乱 |
12月7日 | 日清労働者需要 | 12月5日 | 大統領教書 | 12月11日 | 独逸の海軍拡張の要 | ||
12月11日 | 移民制限問題黙約 | 12月7日 | 英独海軍競争 | 12月12日 | 独逸海軍拡張反対論 | ||
12月14日 | 日本人に対する苦情 | 12月10日 | 南阿の反乱 | 12月14日 | 独逸海相の自慢 | ||
12月14日 | 布哇日本人の将来 | 12月10日 | 欧州移民続々帰国 | 12月20日 | 波斯騒乱後報 | ||
12月15日 | 米艦乗組の日本人 | 12月11日 | 外人続々退米 | 12月22日 | 独逸海軍協会非難 | ||
12月16日 | 米艦乗組の日本人 | 12月12日 | 英独進行吹聴 | 12月24日 | 波斯国王の譲歩 | ||
12月17日 | 日加移民制限問題 | 12月14日 | 米国以前不景気 | ||||
12月18日 | 日本移民の総数 | 12月17日 | 米国艦隊愈出発 | ||||
12月19日 | 東洋人排斥論拠 | 12月18日 | 回航艦隊と列国 | ||||
12月20日 | 日加移民談判 | 12月21日 | 英独海軍拡張 | ||||
12月25日 | 隈伯の印度論と世評 | 12月26日 | 桑港及び布哇の防備問題 | ||||
12月28日 | 大隈伯印度論続報 | 12月30日 | 南阿移民法紛議 | ||||
12月29日 | 日本移民制限通告説 | 12月31日 | 印度人退去後報 |
12月1日
佛国の大艦製造 30日タイムス社発
パリー来電―佛国海軍卿は2万8千トン戦艦6隻を速やかに起工しなければならないと言明した。
佛国議会は愁眉の急務として佛国海軍の根本的改革を行うべき事を決議した。
ナイチンゲール叙勲 同上
フローレンス、ナイチンゲール嬢は有功勲章を授与された。
解説:イギリスの看護婦、統計学者等で近代看護教育の母として有名である。 ロシアと英国、フランス等がクリミア半島で戦った時従軍看護婦として参加し、献身的な看護を行った。この有効勲章(メリット勲章)は女性として初めてであった。
摩洛哥に於ける佛国の活動 30日ベルリン特約通信社発
佛国政府はモロッコに於ける反乱を鎮圧する為に、アルゼリアから軍隊を進出させる事に決定し、リアンティー将軍をその指揮官に任命した。モガドル在勤の佛国領事は佛国軍艦で他国の国民を保護する事を申し出たが、他国民はこれを辞退した。
12月2日
日本移民抑留される 30日桑港特派員発
日本郵船土佐丸は米国行き旅券を有する日本船客111名をヴィクトリアに上陸させようとして、米加両国移民官と会社との間に紛争が発生し、同地に抑留された。
米国移民官は米国旅券を有する者を同地で検査するに及ばずとの訓令を受けており、カナダ移民官はヴィクトリアに上陸させてシャトルへ送るよう主張しているが、会社はこれを受け入れない為に抑留される事になった。現在ワシントン、オタワ両政府と交渉して解決策を求めている。
総領事の抗議 オタワ来電によれば能勢総領事は旅券を有する日本人をヴィクトリアに上陸させない事に対して移民局に抗議を提出した。
12月3日
日米関係趨向 2日タイムス社発
本社サンフランシスコ通信員の報道によれば、同市の米国官憲は、近頃日本移民の渡航が事実上中止となっている旨明言している。然るに東洋人排斥運動は依然として殆ど毎日の様に行われ、現にある労働組合の如きは、東洋人に対する大々的なボイコットを宣言している。
太平洋沿岸各地の日本人は日米両国人の親密な感情を恢復しようと呼びかけており、この目的を達する手段として日米両国人の結婚を奨励する者すらいる。
米国財界恢復 同上
ニューヨーク来電―財界の暗雲は一掃され、西部及び南部の諸州は現金の支払いを開始する準備がなされた。その他の各州の報告によれば、既にある部分では、事務は通常に復帰した所もある。
英国政府忍辱 同上
タンジール来電―マクリーン将軍を反将ライスリーの手から釈放させる為、英国政府は不面目を忍んで叛徒の要求を容れ、ライスリーの一族を英国にて保護し、あまつさえ50名の捕虜を釈放させる為に莫大な償金を支払う事に同意した。
解説:モロッコの反乱軍により英国の将軍が捕虜となっている。10月8日「摩洛哥事件」に関連記事がある。
人頭税不納事件 2日上海経由ロイター社発
カナダのノブ、スコチア州の高等法院は、人頭税5百ドルを納めなかった為に拘引された支那人70名に釈放を言い渡した。この判決書は、支那人排斥法の効力の有無には一言も言及せず、しかし人頭税の不納は法律違反を以て論ずる事は出来ず、その租税は債務として徴収されるべきであり、議会は当初人頭税の不納を有罪とする意思であったが、法律の文面から論ずればこの様に解釈する事は出来ないと当法廷は思考する旨を明記した。
解説:10月16日「支那人入国税廃止論」に関連記事がある。
12月4日
佛獨論争 3日タイムス社発
パリー来電―独逸の新聞の記事が、アルゼリアとの国境上のモロッコ種族に対する佛国軍隊の行動を非難し、且つ佛国は、何処までも際限なく紛争を継続していると論断した。
この記事は佛国新聞の憤怒を徴発し「タン」のごときは、ビューロー宰相が佛国の好意を無視していると非難し、独逸がモロッコに於いて絶えず陰謀を企んでいる事実を指摘し、注意を促した。
土耳古内政紊乱 同上
イスタンブール来電―チアルペクル地方に於ける回教徒の不平運動、アペボ、ペールウトに於ける生活問題暴動、その他二三の地方の騒乱及び兵士の給料支払い請求等これらの状況を総合して、トルコ駐在外交官はトルコの内政は日を追って無政府の状態に陥りつつあると観察している。
米国議会開会東洋人移民制限法案 同上
ワシントン来電―米国議会は本日開会した。大統領ルーズベルト氏の説明によれば明年度の歳出予算は7億7千6百万ドルであり、本年度より7千7百5十万ドルの増加である。カルフォルニア選出の下院議員ヘース氏は東洋人移民制限案を大統領に示したが大統領はこれを非難した。しかしヘース氏はカルフォルニア州人の意見に基づくとの理由でこの案を国会に提出する筈である。
12月5日
大統領教書 3日正午ニューヨーク特派員発
米国大統領ルーズベルト氏は本日米国議会の開院式に当り、例により教書を議会に下した。その教書中特に我が国に関係している事項を抄録する。
解説:日本の大博覧会、米国の対外政策、海軍拡張案、艦隊回航の目的、布哇及び比島防衛等14項目あり。
艦隊回航の目的
海軍が外国海軍の如何なる行動に対しても有効に海岸を防御出来るのは、先ず外国海軍を破壊した後にある。敵を避けるのは戦いに勝つ所以では無く、猛然として敵に対して大打撃を与えるにある。この様な大打撃は、偏に海上に行動する、攻勢的な戦闘艦の能くする所である。そして戦闘艦隊は常に一か所に集中し、隔年に一回大西洋と太平洋を代わる代わる巡航させなければならない。
加奈陀と日本 4日タイムス社発
オタワ来電―カナダ首相ローリア氏は次の様に語った。
カナダ政府は移民問題について、日本と友好的な協約が成立するであろうと信じている。余は日本政府が移民制限に関する1900年の協約を順守していないとは信じていない。ただ幾つかの移民会社が先ず移民をハワイのホノルルに送り、ここから更に英領コロンビアに転送する事によって、協約に規定している所を避けようとしているだけである。
12月6日
佛国陸軍増徴案 5日タイムス社発
パリー来電―佛国政府は陸軍徴集兵員を増加する方案について検討中である。結局アルゼリアに於けるアラビア人も軍隊に編入される事になると思われ、その結果戦時10万の兵を従来よりも多数得る計算である。
青木大使談話 4日上海経由ロイター社発
青木大使は或る人の質問に対して、自分の帰朝は移民問題その他の諸件について本国政府に口頭で報告する為であり、少しも米国政府に対して面白からぬ関係があることを表示するものであると解釈されるべき謂われはない。米国政府は日本が米国の最も親密な友邦の一つである事を望んでいる事を熟知している。又移民問題の解決は格別至難の事ではないと明言した。
日英同盟の実(加奈陀政府の意志公表) 4日桑港特派員発
カナダ首相ロークア氏は、3千人の聴衆に向かって演説し、反対党党首ボーデン氏の英領コロンビア州行きは日本移民制限を唱えて投票を得る魂胆であると厳しく攻撃し、支那は違うが日本は英国の同盟国である。一旦アジアに事ある時は、日本が英国軍艦と相並んで戦場に居るのを見る事になるであろう。余が総督閣下の輔弼として政府の首班に居る限り、日英条約を阻害するような如何なる行動も承認する事は出来ないと演説した。
12月7日
日清労働者需要 6日タイムス社発
本社サンフランシスコ通信員の特電によれば、カルフォルニア州の果樹園芸業者が大会を開いて、信頼できる白人労働者を得る見込みが到底ないと思われるので、支那人排斥法を廃止して、欧州人と同一条件により一定の員数だけ、日清両国人の入国を許可する様国会に請願する事に満場一致で決定した。
解説:低賃金の東洋人の移民により、白人の移民労働者の職場が奪われる為と人種差別が原因で東洋人の移民制限が行わるようになったが、経営者はこれに反対していた。
英独海軍競争 同上
ロンドンタイムスは、独逸の海軍拡張に鑑み、北海に於ける戦略上の必要からフィロス、オツ、フォースに至急広大な軍港を建設しようとする英国政府の企画を称賛した。
佛国水雷艇増遣 5日ベルリン特約通信社発
佛国は兵器の密輸入を取り締まる為にモロッコに水雷艇を更に増派しようとしている。
12月8日
摩洛哥の叛乱後報 6日タイムス社発
タンジール来電―ベルベル種族が盛んに略奪を行う為、フェツツに至る道路は、今や通航不可能となった。フェッツからタバートに居るモロッコ王の許に送った兵器、弾薬搭載したラクダ50頭は全てその種族の為に奪われてしまった。
波斯政争 同上
テヘラン来電―タブリッツ地方に騒乱が発生しそうな情勢である。同地の立憲党と専制派とは現在盛んに闘争中であり、各商店は皆店を閉じて警戒中である。その結果内閣が総辞職する機運が眼前に迫っている。
12月9日
移民問題 7日桑港特派員発
ワシントン来電―青木大使の召還に関連して、日本は移民問題について最後の決定をしようとしている様に見え、その解決方法として、米国と移民協定を結ぶ意向があるように思える。オブライエン大使から国務省への報告によれば日本の官憲はある協定を結ぶ事により解決しようとして現在研究中である。これは日本自身が移民を制限する事に決定し、米国議会に移民排斥案を議決される事を好まない証拠である。要するに東京政府は米国と満足な協定を結ぶ決心をしたものと思われる。
12月10日
米国坑夫の大暴行 9日タイムス社発
ワシントン来電―ネバダ州金鉱の坑夫が給料の支払いに関して不平を起こし、乱暴狼藉の限りを尽くした。大統領は鎮圧の為に連邦軍隊を派遣する事になった。坑夫はダイナマイトを使用して列車を破壊しようと計画したが、幸い大事に至らなかった。
印度人の排英陰謀 9日上海経由ロイター社発
ベンガル軍務長官の乗車した列車を転覆させようとする陰謀が企てられ、列車は脱線した。凶行の原因は不明である。
米国炭坑爆発後報 同上
8日報道されたモノンガ炭坑に於いては、埋没した坑夫の救助に全力を尽くしているがその効果が無く、少なくとも4百名は死亡したと思われる。その中には多数のイタリ―人が含まれている。死体が収容されたのは85名
南阿の反乱 同上
ナタルのピーターマリッツバーグ発の電報によれば、グレータウン付近で反乱が発生し、50名の予備兵が同地に派遣された。この第二補充隊は明日を以て編成される予定である。
解説:英国の植民地である南アフリカにおけるナタル自治政府の記事である。英国の植民地であるアイルランド、インド、南アに暴動が発生している。
欧州移民続々帰国 8日ベルリン特約通信社発
多数の移民が引き続き米国から欧州に帰航しており、現にハンブルグ・アメリカ汽船会社の某汽船は数日前に4千名のイタリ―移民を搭載して帰欧した。
解説:この汽船会社は、日露戦争に於けるバルチック艦隊の回航時の全航程で石炭を供給したドイツの会社である。
12月11日
愛蘭の無警察 10日タイムス社発
アイルランドに於いては無警察の状態が急速に広まっている。
解説:現代まで続く北アイルランド問題であるカソリックとプロテスタントの対立の結果である。
独逸の海軍拡張の要 同上
ベルリン来電―ドイツの海軍拡張案の新艦建造期限を1912年から1919年に延期させようとする運動が盛んに行われている。
社会党党首へーベル氏は帝国議会に於いて政府の不注意千万である軍備拡張案は徒にドイツの災害を引き起こすだけである旨の演説を行った。海軍大臣はこれに対して強大な海軍はドイツにとって必要欠くべからざるもので、これがなければドイツは遂に世界の政治舞台から引退せざるを得なくなり、今から一層速やかに軍艦の建造を急がなければならないと演説した。
外人続々退米 9日上海経由ロイター社発
1万1千人の外人が去る土曜日、ヨーロッパに向けニューヨークを出発した。
解説:米国の景気が思わしくなく、去っている様である。
移民制限問題黙約 9日桑港特派員発
ワシントン来電によると、日本人問題は停滞のようであるが、議会でもヘース氏の提出した東洋人排斥法案が急激に通過する様な事は無いと思われる。
日本は行政的な措置により米国移民を制限するつもりであるが、未だ米国を満足させるに至っていない。大統領ルーズベルト氏は日本外務大臣の約束を信じ、条約又は法律の制定の様な、日本の上下が好まない方法により決着させようとは思っていない。日本が再び制限に失敗するようであれば条約で制限しなくても排斥法案を制定せざるを得なくなるであろう。
もし日本が善意を持って処理するならば、速やかに両国の満足する解決ができるであろう。これは日本の代表と国務省との間に成立した黙約であると言われている。
12月12日
独逸海軍拡張反対論 11日タイムス社発
ベルリン来電―海軍拡張を目的とするドイツ海軍協会の政治運動は、帝国議会に於いて急進党及び僧侶党の議員から激烈な攻撃を受けた。討論の模様から察すれば、急進党及び僧侶党は、増加する経費を負担する国民の実力が未だそのレベルに達していないにも拘らず、矢鱈に海軍ばかり拡張する事は出来ないと主張している様である。
解説:海軍大臣テルピッツは、英国海軍に対抗できる海軍を夢見ていた。
英独進行吹聴 10日ベルリン特約通信社発
英国地方局長ジョン、バーンス氏はロンドンの演説に於いて、今や英独の親交は確固不動の状況であり、時局を理解しない者が如何に虚構の風説を伝えても到底その目的を達する事は出来ないであろうと明言した。
解説:英独の対立を緩和する努力は続けられていたが、7年後に第一次世界大戦が始まった。
12月13日
独帝英国御出発 12日タイムス社発
独帝は昨水曜日、ロンドンを御出発、本日木曜日汽船フォート、ヴィクトリア号にて帰国の途に就かれた。帝はロンドン市長に対して、健康も著しく回復し、且つ滞英中に於ける官民の歓迎に就いては心から喜んでいる旨お話になった。
摩洛哥国境の戦闘 同上
パリー来電―アルゼリア国境のモロッコ土人ベニァナツセン種族に対する戦闘は、金曜日(本日)から開始される予定である。総数8百人で編成された佛軍の3個縦隊がこれを担当する事になっている。尤も土人を扇動して佛軍に反抗させようとした者に対しては、成るべく処罰を制限しようとする筈である。
12月14日
独逸海相の自慢 13日タイムス社発
ベルリン来電―帝国議会に於いて海軍法案の審議の際、海軍大臣は我がドイツは他国よりも短期間で外国の艦艇と同質の艦艇を建造した。そして武器は一般的に英国のものより優秀であると明言した。
解説:海軍大臣はテルピッツであり、英国海軍と同等の海軍を持つ事は無理でも、ひと泡吹かせる能力を持つ海軍を目指していた。
日本人に対する苦情 13日上海経由ロイター社発
ワシントン来電―メキシコ方面から国境を越えて米国に入り込む日本人が日を追って多くなっているとの苦情の声が非常に多い。
布哇日本人の将来 12日桑港特派員発
ハワイ知事から内務卿への電報によると、幸いにしてハワイには労働者が沢山居り、ハワイは日本人の排斥を好まず、又将来も日本人を排斥しない様に希望している。
米国以前不景気 12日ニューヨーク特派員発
昨今、ニューヨークは益々不景気であり、スリや盗賊の類が非常に増加している。この不景気は日本人の商業に大きな影響を及ぼし、現に森村組では、一時に25,6名の雇い人を解雇した。固より一時閉店した諸銀行は10中、7、8は開店したが、2割或いは3割位しか払い出していないので、依然として不景気である。この影響を最も多く受けているのは各製造業者であり、その為多くの職工を減らし、この1週間ばかりで欧州に帰る労働者の数は実に40万人の多くに達した。
12月15日
米艦乗組の日本人 14日上海経由ロイター社発
ニュヨーク来電―太平洋に回航予定の戦闘艦隊に乗組んでいる日本人の従僕は、ハンプトンローズに於いて全て上陸を命じられた。これは日本人の従僕が始終、見取り図を作る為であり、現に一人は新式砲の操作法を写し取る所を見つけられたと諸新聞は、盛んに人心を扇動する記事を書いている。
12月16日
米艦乗組の日本人 15日紐育特派員発
太平洋派遣艦隊は回航準備が終了した。米国軍艦に調理士、ボーイ及び料理人として乗り組んでいる250名の日本人の内、太平洋派遣艦隊に属する者は、全て他の軍艦に転任を命じられた。米国には米国市民でなければ軍艦の乗組員にはなれない法律があるが、米国軍艦では、従来乗組み希望者が少ない為止むを得ず日本人を使用して来たのである。又現在までの例によると、実地演習の際には日本人を一時他艦に乗り換えさせた事もある。唯時節柄、日本人を他艦に乗り換えさせた事が注意を引いたのみである。
解説:30年位前、米国潜水艦に約1週間乗艦した事があるが、その時士官室のボーイはフィリピン人であった。又ベトナム戦争中、市民権を得る手段として、日本人が米国空母に乗り、話題となった事があった。
回航艦隊と桑港 同上
サンフランシスコ市長は、市の参事会の決議により、エバンス提督に対し、貴艦隊の安全なる航海を祈る、到着時には盛大に歓迎するとの電報を打った。
12月17日
日加移民制限問題 能勢領事の制限保証説 16日タイムス社発
オタワ来電―議会に於いて、間もなく開かれようとしている移民問題の討議結果がどうなるか、一般の憂慮している所である。首相ローリア氏は、飽く迄も日本人の条約上の権利を尊重しなければならない主張している。反対党の党首は、英領コロンビア選出議員の感情に好意を示そうとする傾向がある。コロンビアの議員は、1905年に、1894年の日英同盟条約の下にカナダを加えようとする協議が進行中、能勢領事が送った親展書の保証は依然として現在でも尊重されなければならないと主張している。この親展書では、若しカナダが門戸開放条約と共に条約全部を承認するならば移民を6百名の相当資産ある者に限ると保証していた。能勢領事も亦この書面の保証があることを承認している。
米国艦隊愈出発 同上
ワシントン来電―回航艦隊は、いよいよ月曜日(本日)、太平洋に向け出発する予定である。軍艦の隻数53隻、砲数850門、乗組員1万6千人、回航総費用約2千万円である。
解説:この規模はロシアのバルチック艦隊の回航とほぼ同じ規模である。バルチック艦隊の人員は1万2千人であったが今回は4千人多い。
露国反逆罪人の処罰 16日上海経由ロイター社発
露都来電によると、37名の全国会議員を含む社会党員の反逆罪に対する判決は極めて峻厳なものとなった。30名の前国会議員が終身シベリア追放の宣告を受け、その中の22名はなおその上に若干年間の禁固も付加されている。
解説:10年後の1917年にニコライ2世は退位し、レーニンのソビエト政府が樹立される。
摩洛哥国境戦報 同上
3千の佛軍は、多くの丘陵に集合しているペニスナツセン種族に対し、ララパマルニアを出て、戦闘を開始した。砲声は昨日午前中絶えず
ウジメで聞こえた。
解説:モロッコは佛の保護国である。
12月18日
亜細亜人排斥熱 16日タイムス社発
サンフランシスコ来電―アジア人排斥協会の運動がますます激しくなり、来春2月にシャトルで各州大会を開く予定で、現在同会に提出する予定のアジア人排斥請願書の起案中である。そしてポートランド州に於いて日本人及び支那人を是非とも追い出さなければならない旨を書いた文書が配布された。
回航艦隊と列国 16日桑港特派員発
英国の新聞は米国艦隊回航に就いて多く評論する所は無いが、ただアウトルック新聞はこれに政治上の意味があるとし、沿岸諸州の発達、ハワイの併合、フィリピンの買収、米国東洋貿易の発達及び日本の勃興によってこの事態になったのであると論じ、若し将来米国が戦争をする事があるならば、それは大西洋では無く太平洋であるだろうと断言している。(抜粋)
解説:大東亜戦争を予見する様な記事であり、興味深い。
日本移民の総数 同上
1907年の会計年度内に米国に入国した日本人の総数は1万5千人であり、昨年度より倍増している。総移民数は28万人増加し160万人に近いと移民総官は報告した。
解説:1924年の通称排日移民法で日本人の移民が禁止となったが1920年頃の日本人の移民総数は12万人と言われている。この記事の移民総数28万人増加し160万人に近いという数字は、白人を含めた総移民数の意味と思われる。
12月19日
旅順降将審問 18日タイムス社発
露都来電―旅順降将に対する軍法会議に於いて種々の審問の結果、ステッセル将軍からアレキセイエフ総督に送られた詳細な報告は大体に於いて正確なものであった。又フォーク参謀長に関する件は明瞭でなく従って同参謀長に対する非難は十分な根拠が無いと判明した。そして諸般の材料を総合して判断すれば旅順要塞は日本砲兵の優勢であった為、実際これ以上長く維持する事は出来ないという事に帰着した。
東洋人排斥論拠 18日上海経由ロイター社発
オタワ来電―カルフォルニア州議会に於ける東洋移民制限法案の討議は、遂に延期されることになった。議員スロウン氏は、同案の討議に際し、東洋人が続々英領コロンビアに入り込むならば、白人の移民を制限することになるであろう。仮令東洋人の移民を制限するとしても、コロンビアの富源は白人の労働者によって開発することができる。もし現在の政策を変更しないならば、ロッキー山脈から太平洋に至る地域は、全て東洋人の手中に帰す事になるであろうと極論した。
波斯の騒乱と英露 同上
ペルシャの政治的騒乱は容易ならざる事態であるとの情報に接し、英露両国政府は協同して時局の救済する措置を取ろうとしている。
解説:ペルシャ北半分は露国、南半分は英国の勢力下にある。
摩洛哥内乱後報 17日ベルリン特約通信社発
モロッコ僭王ムレー、ハビットは或る条件の下で、正王アブダル、アシスに降伏する事を申し出た。
12月20日
日本移民制限論 19日タイムス社発
オタワ来電―カナダ議会に於ける日本移民問題の討議に際し、政府反対党の党首は次の様に明言した。政府はカナダの利益を図る上で、怠慢のそしりを免れない。現在の有様を強行するならば白人の労働者は、英領コロンビアに於いて到底東洋移民と互角に競争する事は出来ない。故にアジア人の入国に対しては、是非それ相当の制限を加えなければならない。
首相ローリア氏はこの議論に対して、余は日本が述べた証言を実行する事を信じているので、それ故移民は制限される事になるであろう。但し日本の企業家に対してはこの論を適用する事は出来ないと言明した。
日加移民談判(日本移民制限の方法) 19日上海経由ロイター社発
オタワ来電―首相ローリア氏は庶民院に於ける演説で、労働大臣ルミユー氏の任務は満足に果たされたと信じる事の出来る理由があると言明し、なお日本政府は誠意を以て事に当っている。しかし条約で移民を制限する事を日本は避け、カナダの法律に因る代わりに、日本の法律に因り移民を制限する事になると付言した。
波斯騒乱後報 18日ベルリン特約通信社発
ペルシャの情勢は極めて不穏であり、テヘラン駐在の列国公使は各国居留民の避難所となる予定の公使館を護衛する方法について現在検討中である。
解説:ガージャール朝に対する立憲運動の結果、1906年10月に議会が招集される事になり、12月憲法が発布された。しかしガージャール朝の反立憲派との闘争が激化している。
なおペルシャ北部はロシアの、南部はイギリスの勢力圏となっている。
12月21日
日加移民問題後報(加奈陀首相の演説)20日上海経由ロイター社発
カナダ議会の多数は、昨日電報した首相ローリア氏の所説を是認したが、企業派の議員は投票に加わらなかった。ローリア氏は議会に対して、日本と支那の移民とは同一に取り扱う事は出来ず、日本は母国の同盟国であり、カナダに対しても既に重要な通商上の特権を有していると言明し、最後に労働大臣ルミュー氏が帰国するまではこの問題について十分に述べる事を差し控えなければならないと述べた。
英独海軍拡張 同上
英国外相サー、エドワード、グレーはベルーネッグに於いて、ドイツは今や一大海軍の拡張を行おうとしているが我々はこれに対して少しも苦情を唱えるべきではない。若し他の列国が海軍を拡張するならば、英国も亦断然、その海軍を拡張するのみで何ら恐れる事は無いと演説した。
無我夢中の回航 19日ベルリン特約通信社発
米国艦隊の太平洋巡航に関して、ワシントンに於ける諸新聞の報道によれば、同艦隊が帰路にどの様な航路を取るかは未だに決定されていない、又同艦隊の乗組み将校は出発前、それぞれの家族に別れを告げたが、これを見て直ちに同艦隊が何時までも遠洋に滞在するか、若しくは戦争が始まると推測するのは早計である。
12月22日
独逸海軍協会非難 21日タイムス社発
ベルリン来電―独逸海軍協会の行動に対する世論の攻撃はますます激しさを増してきた。独逸がややもすれば全世界、中でも英国から受けると思われる危険な地位に陥ろうとしているのは、全て同会の行動に起因していると論評している。
米国陸相の日本観 20日ニューヨーク特派員発
タフト氏は、新聞記者からの日本に関する種々の質問に答えた。
日本国民は平和を希望する国民で、新聞紙もまだ同様である。2,3の新聞は不穏な記事を掲載しているが、これらは現在、我が米国にも過激な記事を掲載しているものが居るのと同様で、あえて咎める必要はない。又米国艦隊の回航についても、一般国民は少しも意に介していない。即ち同艦隊回航の目的は演習にあることを知っているからである。(一部抜粋)
英国の新艦隊創設 21日上海経由ロイター社発
スタンダード新聞の報道によれば、英国海軍省に於いて、明年5月を期して、第四巡洋艦隊とカウンティー級の6巡洋艦とで編成される太平洋北米艦隊を組織する事に決定した。多分根拠地はカナダのエスキモールトになると思われる。
12月23日
英国政府の打消 22日上海経由ロイター社発
英国海軍省はスタンダードの報道した太平洋北米艦隊を創設する件に対して、決してその様な計画は無いと取り消した。
解説:昨日、太平洋北米艦隊の記事があった。
共和党大統領候補 21日桑港特派員発
大統領がニューヨーク共和党に対して、同州知事ヒュース氏を大統領候補に推薦する事を拒否したが、これはタフト氏を候補とする前兆とし、次期大統領の候補はタフト氏であるとの見方が強くなってきた。
12月24日
波斯国王の譲歩(国乱鎮定の第一歩) 23日タイムス社発
テヘラン来電―ペルシャ国王は、固く憲法を順守する旨を誓い、暴徒の首魁の処罰や宮中朋党の解散等全て、国会が提出した条件を承認した。
解説:12月20日の記事「波斯騒乱」の続きである。
英国民兵改革 23日上海経由ロイター社発
エジンバラに於いて英国陸相ハルデーン氏は、民兵に代わるべき特別予備隊の編成は8月中に完成する予定であり、その時には長期間の戦争に堪える事の出来る6個師団の準備が完全に編成される事になるであろうと演説した。
12月25日
佛国人の杞憂(日本人こそ好い迷惑) 24日タイムス社発
パリー来電 一部の佛国人は日米両国の間に紛争が発生した場合に於ける米国太平洋艦隊の運命に就いて非常な憂慮を抱き、又佛国新聞の中には「ロジェストウェンスキー艦隊」の最後を回想して、日本人の計画が油断できない事をそれとなく説く新聞もある。
歴戦将士を饗応 同上
インド反乱の当時、戦争に参加した将士の為に一大饗宴が開かれた。席上前インド総督カルゾン卿は快弁を振るって、英国の将士がその職務に忠実であることを称賛し、又英国皇帝は之に勅語を送り、インド帝国が深くこれら歴戦の将士及びその同僚の功労を感謝する旨を明言した。
この饗宴は、間接的に民主主義の運動家に対する警告となり、彼等に有毒な反対運動を継続させなくした。
隈伯の印度論と世評 24日上海経由ロイター社発
大隈伯が去る10月神戸に於いて行ったと伝えられる注目すべき演説が、この程ロンドンに於いて公にされた。この演説によると、今や3億のインド人は欧州人の圧政の下で、日本人の保護を望んでいる。故に日本人はこの豊かな国に手を伸ばさなければならないと述べている。日本の高官は、多分これは翻訳の誤りであると述べたが、この演説は大隈伯が日本商人を奮起させる目的でインドとの通商貿易に関し説教した事は明白である。
12月26日
佛獨嫉視 25日タイムス社発
パリー来電―元老院の予算会議に於いて、政府はアルゼリアの本来の境界を侵すことなく、又外国からかりそめにも脅迫じみた行動を取らせる余地を与えてはならないとの要求を受けた。この論は言うまでもなく独逸を当てつけたものである。
解説:アルゼリアはフランス領、国境を接するモロッコはフランスの保護国であり、既に度々報道されている様にモロッコに反乱が発生している。そのモロッコに独逸が注目している。
日清電信談判(満州鉄道客扱の評判) 24日上海経由ロイター社発
南満州の電信問題に関する日清両国の交渉は満足に終了する見込みがないわけではない。又満州鉄道の吏員が不親切であるとの苦情があったが、この鉄道は今や文官の手に移っているので、最早従来の様な事は無いと信じるべき理由がある。
波斯騒乱後報 同上
テヘラン来電―ペルシャ王は今回、憲法の順守を約束した宣言書を発したが人民は尚容易に安心せず、宣言を実行する事を希望している。
テヘラン市中にて、その後開店した商人は唯数軒のみである。武器を携えた住民は今猶、所々で集会し、時々銃声が聞こえる。
解説:12月24日の記事「波斯国王の譲歩」の後報である。
桑港及び布哇の防備問題 24日桑港特派員発
大統領ルーズベルト氏は太平洋沿岸及びハワイの防衛に就いて、沿岸各州選出の上下議員と協議中である。なおサンフランシスコは地形上、僅かな費用で世界第一の要塞と思われる。
解説:これら地域の選出議員は、大国ロシアを陸海で破った日本に強い脅威を感じている。
12月27日
非軍人主義処罰 26日上海経由ロイター社発
パリー来電―
非軍人主義のヘルペ氏は、海陸軍を誹謗中傷した罪で一カ年の禁固、3千フラン(千2百円)の罰金に処せられた。又社会的戦闘雑誌の取締役メル氏及び同編集人の一人アルムレーダー氏は欠席裁判でそれぞれ5年の禁固、3千フランの罰金を申し渡された。
米国海軍の裏面 25日桑港特派員発
米国海軍航路部長ブラウンソン少将が辞職した。原因は大統領ルーズベルト氏と海軍政策に関して、完全に意見を異にし、且つ公然と海軍組織を拙悪であると批評したため大統領及び海軍卿メットカーフ氏の怒りを買った為である。又数週間前に海軍技師ルーターダール氏が、米艦の品質は粗悪であると世人の注目を引いた攻撃を行ったのも、全てブラウン少将から出たものと推測され、大統領は直ちにその辞表を受理した。後任は同次長のウエンスロー大佐が補任された。
波斯王又宣言 25日ベルリン特約通信社発
ペルシャ王は、明日再び議会に臨み、憲法を忠実に遵守する峰宣誓する予定である。当日は列国公使も式場に参列する事になっている。
解説:12月26日の記事の続き
12月28日
日加移民談判 27日タイムス社発
オタワ来電―能勢領事は近々休暇で帰朝する予定であり、同領事は日加移民協議が双方に対して友好的に決着する事を確信している。又日加両国の関係を益々親密とする為に尽くした同領事の熱心なる周旋は、今回の移民協議にその効を奏し、同領事はこれによって新たに多くの知己を得た。そして同領事の明言する所によれば、日加両国の官憲の交際は極めて親密である。
大隈伯印度論続報 27日上海経由ロイター社発
ロンドンタイムスの東京通信員の報道によれば、神戸に於ける大隈伯の演説に関し、英国新聞の報道は誤りである。同通信員は、大隈伯は政治的な意味に解釈される言葉を用いた事は無いと断言した。大隈伯が以前インド人留学生に向かって語調を強めて、インドは英国の支配下の下にあってこそ非常な幸福を享けており、もしインドが英国の支配を脱しようとするならばたちまち災害を受けるであろうと演説したことは人の知る所である。
解説:12月25日の記事「隈伯の印度論と世評」で大隈伯はインドは英国から独立し、日本の保護を望んでいると述べたと報道されている。
軍人排斥主義者処刑 26日ベルリン特約通信社発
軍人排斥運動の主謀者ハトヴェー氏はパリーに於いて禁固1年に処せられた。
解説:第1次世界大戦まで7年、ドイツの脅威が高まっている時勢であるが、フランスでは、軍隊無用論の空気があった。第2次世界大戦の4年前1936年には、社会党のブルムを首班とする人民戦線内閣(共産党が閣外協力)が成立している。
12月29日
門戸開放疑惑 28日タイムス社発
北京来電―日本が北京と新民屯間の鉄道を法庫門まで延長する事を差し止めた為、在留英人は非常に激昂している。この延長工事の請負契約は既に英人との間に調印まで終了している。そして門戸開放主義を正当に解釈すれば日本の異論には到底同意する事は出来ない。
解説:北京から奉天の新民屯までの鉄道を、奉天の北法庫門まで延長する工事である。
日加移民問題 27日桑港特派員発
日加条約第1条により、日本人は無制限にカナダに入国できるか否かについて、カナダの政治社会は今や議論紛々としている。保守党議員モンク氏は先日、下院に於いて日本は条約上移民について絶対の自由を有する故に、私は完全に日本人を排斥する:法律を制定する事は出来ないが、望ましからざる英国人を制限し得ると同様に、望ましからざる日本人労働者をも制限する事ができると述べた。これに対して反対党議員ロッス氏は、各国は外国からの移民に対し支配権を持つと主張し、日本条約第2条に移民に関し特別な但書が望ましいと述べ、この説に賛成するものが多い。
日本移民制限通告説 同上
能勢総領事はカナダ政府に対して日本は1カ年の移民数を6百に制限する旨正式に通知したと伝えられている。
12月30日
南阿移民法紛議 29日上海経由ロイター社発
トランスバール移民法に対する英国皇帝の裁可が官報で発表された。インド人の首領ガンジー以下5名のインド人及び3名の支那人は、登録拒否の罪によりヨハネスブルグに於いて48時間以内に退去するように言い渡された。
現在トランスバールに居住する約七万人のインド人はこの法律を承認せず、又前記ガンジーは立退きに従わず甘んじて捕縛されるであろうと明言している。
解説:ここに登場するガンジーとは、非暴力・不服従で有名な「マハトマ・ガンジー」である。ガンジーはこの当時南アフリカで弁護士を開業しており、この記事に首領とあるようにインド系移民の権利回復運動の中心人物となっている。
12月31日
移民問題交換条件 30日タイムス社発
オタワ来電―日本は佛国とカナダの間に締結された新通商条約の規定に対して、最恵国待遇を与えられることになるであろう。その結果、生糸の輸入税を非常に減額する同条約により、日本は多大な利益を享受すると思われる。
軽躁なる米国新聞 同上
ニューヨーク来電―当局者の公然と明言する所によると、日本は移民問題に関して米国との約束を細心に履行中である。しかし無責任な新聞は、依然として日米戦争談を書き立て、甚だしいのは戦争の結果をかれこれと予想し、平和条件の如何は多分英国の態度によって決定されるであろうと途方もない空想と逞しくしている。
印度人退去後報 30日上海経由ロイター社発
ヨハネスブルグ来電―去る29日の電報で報道したインド人と支那人は、法律上退去の命令に服すべき謂われはないとして逮捕される事を待っている。そして都合によっては高等法院に上告する意思があるものと思われる。
解説:昨日のマハトマ・カンジーの記事の続き